血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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喧嘩

「お、起きたのか庵。今組長は風呂だからその間に飯食っとこうな。身体は大丈夫か…ってなんだその顔は。怒ってんのか?」



亮に抱き抱えられながら寝室から出てきた庵に瀧雄はそう言った。そして瀧雄は何やら庵が怒っていることに気がつくと亮の顔を見た。お前何したんだよ…と。そんなふうに瀧雄が亮を睨んでいると庵が口を開いた。



「…だって、亮がっ、」

「は?お前また俺のせいにすんのかよ。」



庵は亮に文句があるらしい。そしてそれを言おうとしたが亮に妨げられるように話されてしまった。そのため庵は言いたいことも言えずに亮に強制的にソファに運ばれると亮の腕の中に閉じ込められてしまった。そんな亮を見てさすがに横暴すぎる。これは駄目だと思ったのだろう。瀧雄が庵を庇うように話し始めた。



「おい亮。庵が嫌がってんぞ。」



瀧雄はそういうことで亮に庵を離させようとした。亮に捕まっている庵は本気で嫌がっているように見えたから。だが亮は…。



「ああ。知ってる。だからやってんだよ。邪魔すんじゃねぇよ瀧。」

「おいおいまじでお前何やってんだよ。さっきあんなに無茶させたんだから休ませてやれよ。」



と、瀧雄は亮に呆れ顔でそう言う。だが亮はまるで取り合わなかった。庵のことを意地でも離そうとしない。そして庵も庵で亮から逃げようと本気で抗っていた。そんな二人を見て瀧雄は思った。二人を離したところで二人が揉めているものを解決しなければどうにもならない、と。だから瀧雄は庵の話を聞くことにした。



「庵。とりあえず落ち着け、な?」

「だって亮が…っ!!」



瀧雄は庵を落ち着かせようとしてそう言ったがどうやら逆効果だったようだ。庵が更に興奮してしまった。



「そうだな。こいつ悪いよな。けどそうなってる原因があるだろ?それを話してくれるか?」




と、瀧雄は庵に優しくそう言った。今の亮には何を言っても無駄だと思ったからだ。亮は言うことを聞かない。だから瀧雄は庵を落ち着かせてその後で亮を落ち着かせようとしたのだ。



「亮が悪いもん…っ、」

「は?お前だろ。被害者ぶってんじゃねぇよ馬鹿が。また抱き潰されてぇのか?」



せっかく庵が話し出してくれたのに亮がイラついた様子でそう言ってしまった。そのため当然庵は怒る。さらに怒った。



「っ、さいてい!!」

「庵、一回落ち着け。亮の事は無視して俺と話をしよう。」



瀧雄はとにかく何があったのかを知りたかった。そのため庵に優しくそう言った。そして亮にはお前は黙ってろと言わんばかりに鋭い睨みをきかせた。だから亮はそれ以上何も言わなかった。そんな亮とは裏腹に庵はゆっくりとではあったが話し始めてくれた。



「…りょうがさっき、話も聞いてくれなかったんだ、それはさすがに酷いもんっ、」

「当たり前だ。」



また亮が庵に突っかかってしまう。そんな亮を見て瀧雄は庵が何かをやらかしたことは何となくわかった。亮は理由もなくここまで怒らないから。特に庵のことに関してはそうだ。



「まぁまぁ落ち着けってお前ら。まじでお前ら何があったんだよ。」

「この馬鹿が俺に浮気を進めてきたんだよ。他の女をだけってな。」

「…は?」



瀧雄はあまりにも予想外のことを亮が話したので思わずフリーズしてしまう。そして段々と怒りが込み上げてきた。そんな瀧雄を見て庵は焦ったのだろう。庵は慌てて否定をした。



「ち、ちがう…っ、ちがうからっ!」

「あ?嘘ついてんじゃねぇよ庵。違くねぇだろ。お前さっきそう言ったじゃねぇか。」



亮が庵の顔を鷲掴みながらそう言った。そしてそのまま亮は庵のことを鋭い目付きで睨みつける。だが庵も引かなかった。もちろん亮の事が怖かったがここで引くわけにはいかなかったのだ。これは大切なことだから。



「そうじゃないもん…っ!」

「あ?ならどういう意味だよ。」



亮は怒っていた。そのため声も低いし顔も怖い。だがそれは庵も同じだ。庵も亮同様に怒っていた。庵を全く理解しようとしてくれない。話も聞かずに一方的に話を終わらせた。そんな亮に庵は…。



「っ、もう亮なんか知らないっ、ばかばかっ!!」

「なんだと…?」

「亮なんか大っ嫌いだ!!」

「もう1回言ってみろ庵。」

「だから亮なん……」

「おい庵!落ち着けって!1回黙れ!」



さすがにこれ以上亮を怒らせるととんでもない事になる。そのため瀧雄はそう言って庵を落ち着かせた。ここで亮を落ち着かせても意味が無いから。それほどまでに亮は怒っていたのだ。だから瀧雄は亮に対しては…。



「亮。お前もあんまこいつを煽んな。とりあえずお前は冷静になれ。」

「チッ。」



瀧雄は亮にこれ以上怒るなという意味を込めてそう言った。その瀧雄の意図が通じたのだろう。腹は立っている様子だったが亮は黙り込んだ。だが亮は相変わらず庵を離そうとはしなかった。



「んで、お前は何を亮に言いたかったんだ?」

「……………。」



亮が黙り込んだのを見計らって瀧雄は庵にそう言った。庵が浮気を進めたのには何かしら理由があると思ったから。



「俺は亮と違って短気じゃねぇ。だから言ってみろ。」



瀧雄はそう言いながら庵の頭を優しく撫でた。相変わらず庵は亮の腕の中だが今はもう暴れていない。というよりかは諦めたのだろう。亮の力には勝てないから。そんなふうに大人しくなった庵の頬にキスをすると瀧雄はもう一度口を開いた。



「庵。言ってみろ。どうなるかは別としてお前の気持ちを教えてくれ。」



瀧雄は先程と変わらず優しい声でそう言った。そんな瀧雄の優しさのおかげだろうか。庵が話し始めてくれた。



「…どうして瀧たちはっ、」



庵はそこまで言うと黙り込んでしまった。先程この話の続きをしたところで亮に強制的に話を終わらせられてしまったから。そんな庵に瀧雄は…。



「庵。大丈夫だ。落ち着いて言ってみろ。」

「…なんで?」

「ん?」

「…なんで俺ばっかりにするの?」

「だからお前相手にしか勃起してねぇからだっつってんだろ!!」




ずっと頑張って黙り込んでいた亮だが我慢できなくなってしまったようでそう叫ぶように庵に言った。そのため庵は体をびくりと震わせて驚いている様子だった。だから当然瀧雄は亮に怒った。



「亮は黙ってろ!!てめぇは口を挟むんじゃねぇ!」

「…へいへい。」



瀧雄の本気の怒りに亮は黙り込むしかない。瀧雄がこうして本気でキレるときは亮が大抵やらかしている時だから。そのため今もそうだ。だから亮は黙り込んだのだ。



「庵、悪い。俺にも分かるように言ってくれるか?亮の事は無視していいから。だから言いたいことを全部言ってくれ。」



もう何度目か分からないが瀧雄は優しい笑みを浮かべて庵にそう言った。そしたら庵はなぜな目に涙を貯めた。だが瀧雄はそれに気付かないふりをした。ここでそれに触れてしまえば庵は更に泣いてしまう。だからあえて庵が泣きそうになっていることに気付かないふりをしたのだ。



「っ、たき、たちはっ、俺にばっかりセックスしてくるのはなんでなの…?」

「…は?」



そんなの当たり前だ。だから庵にそう言われて瀧雄は目を点にしてしまった。だって庵以外抱けないから。そもそも勃起しないから。



「おれはっ、体きついのに…でも止めくれないから我慢するしかないもん…っ、」

「おい庵…」



庵は気持ちを抑えきれなくなってしまったようで涙を流しながらそう言った。そのため庵になんて声をかけるべきか分からず瀧雄は黙り込んでしまう。そんな瀧雄に庵は泣きながら話し続けた。



「だからちょっとぐらい外でやってきてくれたら俺は楽になるっ、なのにそれをしてきてくれないのはなんでなの…っ!!」

「なんでもクソもあるかよ。俺はお前を愛してんだ。なんでそれ以外のクソみたいなやつを抱かなきゃなんねぇんだよ。」




と、亮は言った。それは事実だ。それに亮は庵を虐めたくて庵を抱き潰しているんじゃない。ただ愛しているから気持ちが押えきれなくなり抱き潰してしまう。だけどそれは庵にとって相当苦痛だったようだ。



「俺は亮なんか好きじゃない…!!!」

「…は?てめぇなんつった?好きじゃねぇ?ふざけるなよ。」

「亮。落ち着け。庵は怒り任せに言っただけだ。」



亮がまた庵に対して怒り始めてしまった。そのため瀧雄はすぐさま亮を落ち着かせようと声をかけるが…。



「それなら尚更許せねぇよ。なぁ庵。もう1回やるか?」

「やだ…っ、やらない!!」



亮に服の中に手を入れられながら脅すようにそう言われて庵は大暴れし始めた。しかし当然庵は亮から逃げられない。亮がものすごい力で庵を捕まえているから。



「お前がそうやって反抗的な態度をとるうちは躾ぇとな。」



と、亮は庵の体を撫で回すようにしながらそう言った。そんな亮に庵は…。



「なんでよっ、俺はやりたくないのっ、疲れるからやだっ、きついのも嫌なの…。」

「それはお前がやらかすからだろ。お前が何もしなきゃ俺もひでぇ事しねぇよ。」

「りょうのばかっ、俺のこと愛してんなら俺の気持ちも考えてよ…っ!!」

「おいうるせぇよお前ら。一体なんの騒ぎだ。」

「…く、組長。」
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