血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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援助

外出

「どうした庵。そんなに嬉しいのか?」

「うん…っ!」



龍之介の問いかけに庵は嬉しそうに頷いた。そりゃそうだろう。庵はずっと外に出たかったのだから。外に出たくて出たくて仕方がなかった。それが叶うんだ。嬉しくないはずがなかった。



「そうかそうか。なら良かった。お前もいい気晴らしになるだろうよ。」



庵が嬉しそうにしている姿を見てどうやら龍之介も嬉しくなったようだ。その証拠に龍之介は嬉しそうに笑っていたのだから。だが亮は違った。心配性の亮は庵が心配で仕方が無いようだ。そのため亮は庵に…。



「おい庵。嬉しいのは分かったがあんま羽目外しすぎんなよ。」



と、庵に水を刺すように亮は言った。いつもの庵だったらそんな亮が鬱陶しくて言い返していただろうが今はそれどころじゃない。外に行ける。その嬉しさが庵の中で勝っていたので庵は満面の笑みを浮かべながら亮に返事をした。



「分かってる…っ!」

「ほんとに分かってんのか?」



庵の嬉しそうな姿を見て余計に亮は心配になるのだろう。2度もそう聞いた。そんな亮に変わらずいい笑顔で庵は返事をする。



「分かってるって、大丈夫だよ亮…!!」



そう言った庵の顔は本当に嬉しそうだった。だから亮はそれ以上何も言わなかった。庵がこんなに嬉しそうにしている姿を見たのは本当に久々だったから。



「そうか。ならいい。」

「亮は心配症だよな。庵に嫌われんぞ。」



と、瀧雄が庵の頭を撫でながらそう言った。そんな瀧雄に亮は少し不貞腐れたような顔をして…。



「うるせぇ。お前には関係ねぇだろ。」



と、亮は言った。そんな亮を見て庵は亮に近づいた。いつもだったら庵は亮に対してお節介とか過保護とかしか思わなかっただろうけど今は亮のそのお節介さがなんだか嬉しかったから。



「亮。」

「…なんだよ庵。」

「心配してくれてありがとう。けど大丈夫だよ。だって亮たちが一緒なんだから。俺は独りで行くわけじゃない。だから亮が俺の事守ってよ。亮が安心できるようにさ。」



そう言った庵をみて亮はなんだか泣きそうになった。庵はまだ15歳…。幼いからこそ成長がよくわかる。そして今がその瞬間だった。だから亮は嬉しいようで少し寂しくもなった。亮は可愛くてこんなお茶目な庵しか亮は知らないから。



「…そうだな。お前の言う通りだ庵。俺がちゃんとお前を守ってやる。」

「亮、ありがとう。」

「おい庵。俺も忘れんなよ。俺もいんだからな。」

「分かってるよ瀧。忘れてなんかないよーだ。」

「それならいい。」



と、瀧雄は嬉しそうに庵を抱きしめた。その様子を龍之介は微笑ましそうに見ていた。この幸せがずっと続けばいいなと思いながら。龍之介がそんな風ににこやかな顔をしているとある人物から電話がかかってきた。



「電話ですか組長。」

「ああ。」



亮の問いかけに龍之介はそう答えると電話の主を見るべく携帯を取りだした。そして電話をかけてきた主の名を見るやいやな龍之介は顔を上げて…。



「あ、悪い。旭川さんから電話だ。ちょっと席を外す。その間また庵を頼むなお前ら。」

「「はい。」」



龍之介は庵の唇にキスを落とすとまた席を外した。今度は寝室ではなく玄関の方に向かっていった。仕事の話だからだろう。



「りゅう忙しそうだね…。」

「そうでもねぇぞ。なぁ瀧。」

「ああ。今は落ち着いてる方だ。実際俺達もこうしてお前との時間を過ごせてるからな。」

「…そっか。」



瀧雄の言ったことを聞いて庵は複雑な気持ちになった。庵からすれば今の龍之介たちは忙しいと思う。けれど瀧雄らはそうでは無いと言う。だから本当に忙しくなった時の彼らが庵は心配だったのだ。そんな風に庵が考え込み始めたその時…。



「お、庵。組長が帰ってきたぞ。」
  


と、瀧雄が言ったので庵は慌てて顔を上げた。そして龍之介の元に庵は駆け寄った。すると何故か龍之介は申し訳なさそうな顔をしていた。



「どうしたの龍…?」

「庵すまない。明日の商談は無くなっちまった。」

「…そ、そっか。」



龍之介の言ったことを聞いて庵は正直ショックだった。けれどそれは龍之介が悪い訳では無いので庵は一生懸命大丈夫だよ言う笑顔を龍之介に向けた。そんな庵をみて龍之介は…。



「だからどこかへ行こう。俺もオフだしお前を外に連れ出すって約束しちまったからな。」



と、言ってくれたのだ。だから庵は嬉しさのあまり硬直してしまう。



「…いいの?」

「ああ。」

「どこ行きますか組長。俺色々調べますよ。」



亮も庵と同様に嬉しそうにそう言った。だがそんな亮をみて龍之介は何故かばつ悪そうな顔をする。



「その事なんだが…。」



龍之介はらしくなく歯切れ悪そうに亮にそう言った。そんな龍之介をみて亮は嫌な予感がした。そしてその予感は当たってしまう…。



「亮。お前は旭川さんのとこに行け。」

「…はい?今組長なんて言いました?」

「だから旭川さんのとこ行けって言ってんだ。」

「俺一人がですか?」

「そうだ。」

「なんでですか!」



意味が分からないと言わんばかりに亮は声を荒らげた。しかし龍之介にそれを言われても困る。龍之介は寛也にそう言われてそれをそのまま伝えただけなのだから。



「んなの知らねぇよ。そうやって旭川さんが言ったからだ。」

「…そんなぁ。そりゃないっすよ寛也さん。」



龍之介の言ったことを聞いて亮は思わずため息をついてしまった。せっかく庵と楽しめるチャンスだったのにそれがなくなってしまったから。



「仕方ねぇだろうが亮。旭川さんの指示だそ。腹括って行ってこい。」

「…黙ってろてめぇはよ。くそ瀧が。庵と組長と楽しめるからって楽しそうだな。」

「ああ。そうさ。楽しいに決まってんだろ。」

「…殺す。」



亮と瀧雄が何度目か分からない喧嘩をまた始めた。そんな2人をみて庵は慌てて止めに入る。



「ちょ、ちょっと亮やめてよ。」

「…………。」



喧嘩を止めに入った庵をみて何故か亮は動きを止めた。動きだけではなく喋ることもやめたのだ。そんな亮をみて庵は焦ってしまう。何故か嫌な予感がしたから。



「な、なに…っ。 」



庵はそう言いながら亮から距離をとる。しかし亮にとっさに手をつかまれ庵は逃げられなくなってしまった。



「あの、組長…。」



庵の手を掴みながら亮は無表情のままそう言った。そんな亮をみて龍之介は呆れ顔だ。亮がこれから何を言うのかがわかったのだろう。



「なんだ亮。文句は聞かねぇぞ。」

「違いますよ組長。ただ確認したいんです俺は。今日は俺が庵と寝ていいですよね。」

「…は?」

「だって組長と瀧は明日庵と楽しめるじゃないですか!」

「…たく、仕方ねぇな。」



珍しく本気で余裕のなさそうな亮をみて龍之介はため息しか出なかった。今の亮には何を言っても引かないだろうから。そんな龍之介をみて今度は庵が焦り始めた。こんな状態の亮に抱かれたら明日歩けなくなってしまうから。



「りゅ、りゅう、やだおれ亮と寝ないからっ!」

「いーおーり。今俺を煽るようなことを言うんじゃねぇ。抱き潰すぞ。」

「………っ。」



亮にそう言われては黙ることしか出来ない庵。そのため黙り込んだがそんな庵をみて龍之介が…。



「てことだ庵。亮に付き合ってやれ。」



と、言ってきた。だから庵はもう逃げられない。龍之介にそう言われてしまえばどう足掻いても庵は逃げ道を塞がれてしまうから。



「…うぅ。やなのにぃ。」

「組長、この御恩は忘れません。」



亮は清々しい顔をして龍之介にそう言った。先程とはまるで別人だ。だがそんな亮に龍之介は水を指すことにした。明日は庵が楽しみにしている外出なのだから。



「そうか。だが万が一にでもこいつを明日起きれないぐらいに抱き潰したら二度と庵を抱けないと思えよ。分かったな亮。」

「…は、はい。」

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