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援助
喜びと怒り
「…おい亮。」
朝のリビングで龍之介のその声が響き渡った。そんな龍之介の腕の中には見事に亮に抱き潰された庵が居た。
「はい。なんでしょう。」
怒っている龍之介に気付かないふりをして亮はお気楽にそう答えた。そんな亮をみて龍之介は呆れ顔だ。
「なんでしょうじゃねぇよ馬鹿。俺は昨日言ったよな。庵を抱き潰すなって。なのに何だこの有様は。こいつこれじゃあまともに歩けねぇじゃねぇか。」
「はい。だから俺は手加減してやって歩ける程度に留めましたよ。本当は立ち上がることが出来ないぐらい抱き潰したいのにそれを押えたんですから褒めてください。」
と、亮は言う。確かに亮は性欲を抑えて庵を歩ける程度には留めた。しかしだからといって庵の体の負担がゼロなわけじゃない。実際庵は腰も痛いし歩くのが辛いぐらいにはなっている。だから龍之介は亮に…。
「褒める要素ねぇだろ馬鹿が…。」
と、呆れ顔で龍之介は亮にそう言った。瀧雄も龍之介同様に呆れ顔をしている。しかし亮には亮の言い分があった。それは…。
「…2人は今日庵と楽しめるからいいじゃないですか。俺は1人仕事なんですよ。これぐらい許してください。それに2人も俺の立場だったら同じことしてますよね。特に組長。」
恨めしい目をしながら亮は龍之介にそう言った。そのため龍之介は何も言い返せなくなってしまう。亮が言ったことは事実だったから。
「…はぁ。お前は全く仕方の無いやつだ。」
亮の言い分を聞いてどうやら龍之介はこれ以上何も亮に言うつもりは無いのだろう。その証拠に溜息をつきながらではあったがそう言ったのだから。そして龍之介は視線を亮から庵に移した。
「庵。大丈夫か?歩けそうか?」
「大丈夫…っ。」
と、言っているものの庵はかなりきつそうだった。この調子では長時間歩くのは無理だろう。だから龍之介はドライブに変更しようかと考えた。そしたら庵の負担を減らしながら庵を楽しませることが出来るから。そんな事を龍之介が考えていると亮がまた余計なことを言ってしまう。
「大袈裟なやつだな。たった3回やっただけじゃねぇか。」
「…たったじゃないっ、3回もだっ!」
たった3回…。たしかに亮からしたら3回かもしれない。だがその間に庵は沢山数え切れないほど達している。だから思わず庵は声を荒らげてしまった。そんな庵に亮は更にいいかえす。
「おーおー。元気じゃねぇか。言い返せる元気があるなら大丈夫だ。ですよね組長。」
声を荒らげて言い返す庵をみて亮はそう言った。それはもちろん庵を抱き潰したことを承知の上で亮はそう言った。だから庵はまた亮に言い返そうとしたが龍之介がそれを妨げるように話し出した。
「まぁそうだな。けど無理すんなよ庵。体に鞭打ってまで外に行く必要はないんだからな。」
「無理してない。外行きたいもん。」
龍之介はやはり心のどこかで庵を外に出したくないと思っているのだろう。だから庵が外に出ないよう仕向けるようなことを言った。その龍之介の思惑に気づいた庵だがそれを知らんぷりして庵は外に行きたいという強い意志を持ってそう言った。そう言えば龍之介は庵を外に出してくれるから。そう約束したから。そして案の定龍之介は…。
「よし。そうか。なら行こう。」
と、言ってくれた。そのため庵は大喜びだ。体の痛みなんて忘れるぐらいに嬉しかった。そんな庵の頭を龍之介は優しく撫でた。
「お前の嬉しそうな顔を見ると俺まで嬉しくなる。」
「そうですね組長。」
瀧雄はそう言いながら庵の頬を撫でた。その様子を亮が恨めしそうに見ていた。そんな亮にいち早く気づいた龍之介だが亮には今日大切な仕事がある。そのため龍之介は亮を甘やかさなかった。
「亮。お前はさっさと行け。約束の時間が迫ってんぞ。旭川さんを待たせるなよ。」
「承知しました…。では行ってきます…。」
とぼとぼ歩いていく亮。そんな亮を庵たちは3人で玄関まで見送った。そしたら少しだけだが亮は機嫌が良くなったようで龍之介は安心した。
「ねぇ龍。」
「ん?どうした?」
「どうして亮だけなんだろうね。」
庵はどうやら亮だけが呼び出されたことが不思議でならないらしい。だが普通に考えればそう思うだろう。この組では1番龍之介が権力を持っている。だから呼び出すなら誰しも龍之介を呼びたい。そう思うはずだ。だが今回は亮だけ。そのため庵はそんな疑問を持ったのだ。そんな庵にも分かるよう龍之介は丁寧に説明をした。
「あーそれはな、旭川さんと亮は昔からの知り合いでな。多分今回の話は俺らには話せねぇ内容なんだろ。だから亮を旭川さんは呼び出したんだと思うぞ。あくまでこれは憶測だがな。」
「…そっかぁ。」
龍之介の話を聞いた庵はどこか寂しそうな顔をした。そのため瀧雄と龍之介は少し心配そうに庵の顔をのぞき込んだ。そんな2人の視線に気づいた庵は慌てて話し出す。
「じゃあ今度は4人で行けたらいいね…っ!」
「そうだな。」
庵がそう言ってくれたことが相当嬉しかったのだろう。瀧雄は嬉しそうに笑いながらそう言った。そんな瀧雄に続くように今度は龍之介が…。
「よし。庵、飯食ってさっさと出かけるぞ。お前の行きたいとこに連れて行ってやる。」
「うん…っ!」
やっと外に出れる。それが嬉しくてたまらない庵。だから庵はご飯を食べている最中もずっと笑顔だった。そんな幸せ空間な龍之介たち。だが亮は真逆だった。その頃亮はというと寛也の事務所に到着していた。相変わらず亮は不貞腐れたままだったがこのまま寛也に会うわけにはいかない。そのため亮は切りかえて事務所の扉を開けた。
「失礼します。」
と、亮がいいながら事務所に入ると皆が亮のことを見た。亮はその時一瞬で気づいた。何かがおかしいことに。
「…亮か。」
そう言いながら松下が亮のところまで駆け寄ってきた。松下はこの組の幹部。幹部の中で1番上の人だ。だから亮は松下のことを尊敬している。しかしそんな松下が何故か顔を真っ青にしていたのだ。そのため亮は松下に…。
「松下さんどうされたのですか。顔色が悪いですよ。もしかして何かあったのですか…?」
「駿里が攫われた。」
「…はい?」
…攫われた?あの旭川組の宝を…?誰がそんな命を捨てるような行為をするのだろうか…。亮はわけも分からず混乱してしまう。しかしここで取り乱してしまえば松下をもっと混乱させてしまう。だから亮は自分を落ち着かせた。こうして松下が顔を真っ青にするということは寛也よりも上の相手が駿里を攫ったということだから。ということは…外国。つまりマフィアだ。
「すまない亮。お前の力を貸して欲しい。組長は今事務所にいるからとりあえず組長のとこ行けるか?」
「は、はい。直ぐに行きます。」
朝のリビングで龍之介のその声が響き渡った。そんな龍之介の腕の中には見事に亮に抱き潰された庵が居た。
「はい。なんでしょう。」
怒っている龍之介に気付かないふりをして亮はお気楽にそう答えた。そんな亮をみて龍之介は呆れ顔だ。
「なんでしょうじゃねぇよ馬鹿。俺は昨日言ったよな。庵を抱き潰すなって。なのに何だこの有様は。こいつこれじゃあまともに歩けねぇじゃねぇか。」
「はい。だから俺は手加減してやって歩ける程度に留めましたよ。本当は立ち上がることが出来ないぐらい抱き潰したいのにそれを押えたんですから褒めてください。」
と、亮は言う。確かに亮は性欲を抑えて庵を歩ける程度には留めた。しかしだからといって庵の体の負担がゼロなわけじゃない。実際庵は腰も痛いし歩くのが辛いぐらいにはなっている。だから龍之介は亮に…。
「褒める要素ねぇだろ馬鹿が…。」
と、呆れ顔で龍之介は亮にそう言った。瀧雄も龍之介同様に呆れ顔をしている。しかし亮には亮の言い分があった。それは…。
「…2人は今日庵と楽しめるからいいじゃないですか。俺は1人仕事なんですよ。これぐらい許してください。それに2人も俺の立場だったら同じことしてますよね。特に組長。」
恨めしい目をしながら亮は龍之介にそう言った。そのため龍之介は何も言い返せなくなってしまう。亮が言ったことは事実だったから。
「…はぁ。お前は全く仕方の無いやつだ。」
亮の言い分を聞いてどうやら龍之介はこれ以上何も亮に言うつもりは無いのだろう。その証拠に溜息をつきながらではあったがそう言ったのだから。そして龍之介は視線を亮から庵に移した。
「庵。大丈夫か?歩けそうか?」
「大丈夫…っ。」
と、言っているものの庵はかなりきつそうだった。この調子では長時間歩くのは無理だろう。だから龍之介はドライブに変更しようかと考えた。そしたら庵の負担を減らしながら庵を楽しませることが出来るから。そんな事を龍之介が考えていると亮がまた余計なことを言ってしまう。
「大袈裟なやつだな。たった3回やっただけじゃねぇか。」
「…たったじゃないっ、3回もだっ!」
たった3回…。たしかに亮からしたら3回かもしれない。だがその間に庵は沢山数え切れないほど達している。だから思わず庵は声を荒らげてしまった。そんな庵に亮は更にいいかえす。
「おーおー。元気じゃねぇか。言い返せる元気があるなら大丈夫だ。ですよね組長。」
声を荒らげて言い返す庵をみて亮はそう言った。それはもちろん庵を抱き潰したことを承知の上で亮はそう言った。だから庵はまた亮に言い返そうとしたが龍之介がそれを妨げるように話し出した。
「まぁそうだな。けど無理すんなよ庵。体に鞭打ってまで外に行く必要はないんだからな。」
「無理してない。外行きたいもん。」
龍之介はやはり心のどこかで庵を外に出したくないと思っているのだろう。だから庵が外に出ないよう仕向けるようなことを言った。その龍之介の思惑に気づいた庵だがそれを知らんぷりして庵は外に行きたいという強い意志を持ってそう言った。そう言えば龍之介は庵を外に出してくれるから。そう約束したから。そして案の定龍之介は…。
「よし。そうか。なら行こう。」
と、言ってくれた。そのため庵は大喜びだ。体の痛みなんて忘れるぐらいに嬉しかった。そんな庵の頭を龍之介は優しく撫でた。
「お前の嬉しそうな顔を見ると俺まで嬉しくなる。」
「そうですね組長。」
瀧雄はそう言いながら庵の頬を撫でた。その様子を亮が恨めしそうに見ていた。そんな亮にいち早く気づいた龍之介だが亮には今日大切な仕事がある。そのため龍之介は亮を甘やかさなかった。
「亮。お前はさっさと行け。約束の時間が迫ってんぞ。旭川さんを待たせるなよ。」
「承知しました…。では行ってきます…。」
とぼとぼ歩いていく亮。そんな亮を庵たちは3人で玄関まで見送った。そしたら少しだけだが亮は機嫌が良くなったようで龍之介は安心した。
「ねぇ龍。」
「ん?どうした?」
「どうして亮だけなんだろうね。」
庵はどうやら亮だけが呼び出されたことが不思議でならないらしい。だが普通に考えればそう思うだろう。この組では1番龍之介が権力を持っている。だから呼び出すなら誰しも龍之介を呼びたい。そう思うはずだ。だが今回は亮だけ。そのため庵はそんな疑問を持ったのだ。そんな庵にも分かるよう龍之介は丁寧に説明をした。
「あーそれはな、旭川さんと亮は昔からの知り合いでな。多分今回の話は俺らには話せねぇ内容なんだろ。だから亮を旭川さんは呼び出したんだと思うぞ。あくまでこれは憶測だがな。」
「…そっかぁ。」
龍之介の話を聞いた庵はどこか寂しそうな顔をした。そのため瀧雄と龍之介は少し心配そうに庵の顔をのぞき込んだ。そんな2人の視線に気づいた庵は慌てて話し出す。
「じゃあ今度は4人で行けたらいいね…っ!」
「そうだな。」
庵がそう言ってくれたことが相当嬉しかったのだろう。瀧雄は嬉しそうに笑いながらそう言った。そんな瀧雄に続くように今度は龍之介が…。
「よし。庵、飯食ってさっさと出かけるぞ。お前の行きたいとこに連れて行ってやる。」
「うん…っ!」
やっと外に出れる。それが嬉しくてたまらない庵。だから庵はご飯を食べている最中もずっと笑顔だった。そんな幸せ空間な龍之介たち。だが亮は真逆だった。その頃亮はというと寛也の事務所に到着していた。相変わらず亮は不貞腐れたままだったがこのまま寛也に会うわけにはいかない。そのため亮は切りかえて事務所の扉を開けた。
「失礼します。」
と、亮がいいながら事務所に入ると皆が亮のことを見た。亮はその時一瞬で気づいた。何かがおかしいことに。
「…亮か。」
そう言いながら松下が亮のところまで駆け寄ってきた。松下はこの組の幹部。幹部の中で1番上の人だ。だから亮は松下のことを尊敬している。しかしそんな松下が何故か顔を真っ青にしていたのだ。そのため亮は松下に…。
「松下さんどうされたのですか。顔色が悪いですよ。もしかして何かあったのですか…?」
「駿里が攫われた。」
「…はい?」
…攫われた?あの旭川組の宝を…?誰がそんな命を捨てるような行為をするのだろうか…。亮はわけも分からず混乱してしまう。しかしここで取り乱してしまえば松下をもっと混乱させてしまう。だから亮は自分を落ち着かせた。こうして松下が顔を真っ青にするということは寛也よりも上の相手が駿里を攫ったということだから。ということは…外国。つまりマフィアだ。
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