血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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太陽

脅し

*龍之介視点





「何を言い出すのかと思えば…。旭川さんを殺すだと?その話を俺に何故持ちかける。俺は旭川さんに恩があるんだぞ。」



こいつの狙いが分からない。俺を脅して旭川さんを殺そうという趣旨だと俺は思っていた。だがそうじゃない。こいつは俺に危害を加えるつもりは無い。もちろん庵にも。もしかしたら近くに仲間がいて俺らを狙ってるのかもしれないが…それも考えにくかった。



「はい。そうです。殺すんですよ南里さん。いい提案ではないですか?」

「馬鹿め。それを俺に言う時点で間違ってんだよ。誰の差し金だ。」



庵が俺の後ろで怯えてる。だが庵も庵で俺に迷惑をかけまいと恐怖に耐えてくれてんだ。こんな思い…させたくなかった。せっかく外に連れ出してやれたのに久々に外に出たらこれだ。ここに一般人がいなければ殺してやったのに。



「さぁ、誰でしょうね。あなたと違って他の連中は旭川寛也に苦しめられてますから。それをお忘れなきよう。」

「それはそいつらの実力不足だろうが。」

「本当に心からそう思っているんですか。ねぇ南里龍之介さん。」

「どういう意味だ。」



こいつの旭川さんへの恨みは相当なものだ。そこまでどうして恨むんだ。俺らの世界では序列がある。それは昔からあったこと。勢力がつけば勝てるし組を潰せる。そうしねぇと自分が殺されるからな。なのにこいつは旭川さんに大切なもんでも奪われたような言い草だった。



「あなたが旭川寛也に力を貰えてるのは亮のおかげでしょ。」



こいつ…俺の部下まで知ってんのか。しかも亮のことを呼び捨てで呼んだな。てことは…亮もこいつを知ってる可能性が高い。だがこいつは深い帽子にマスク…。顔が見えねぇ。



「…お前どこまで調べてんだ。亮に何かするつもりか?」

「さぁ。どうでしょうね。」

「てめえ…。」

「りゅうっ!!やめて!」



俺は思わずこいつを殴りそうになった。その寸前で庵が俺を止めてくれたおかげでそれは避けられた。俺は何してんだよ…。ここはヤクザがウロウロいるところじゃねぇ。一般人がいるところだろうが。



「おやおや。あなたの愛人の方が賢いみたいですね。南里さん、ここは一般人がうじゃうじゃといるところです。ゴミのようにね。我々はそいつらに異常者と扱われる場所ですよ。一般人はただのうのうと生きてるくせに恵まれなかった俺達のことを異常と言うんですから嫌な世界ですよね。」



こいつは一般人にも恨みがあんのかよ。いや…それより庵だ。ただでさえ怖い思いさせてんのに俺まで理性を失いそうになった。



「庵。悪い…。」

「…ううん、大丈夫だよ。でも…もう帰ろう龍。」

「庵くん。もう少し待ってくれる?」



帰ろうと言った庵にこいつが話しかけてきた。胸糞が悪ぃ。俺には何してもいいが庵に手を出されちゃたまったもんじゃねぇ。今は話しかけられただけだけどそれも俺は気に食わねぇ。



「…あなたは…何が目的なんですか?龍を怒らせるようなことしないでください。」

「へぇ。肝が据わってるね。さすが南里さんの愛人だ。伊達に極道の嫁をしていないようだ。なら庵くん。分かって欲しいんだ。俺たちは今、仕事の話をしてるから。」

「さっきからベラベラうるせぇよ。俺は旭川さんを殺さない。例え俺が撃たれようともお前に手は貸さない。」



庵にこれ以上怖い思いをさせる訳にはいかない。ここはとりあえず帰らなくては。こいつの始末はその後だ。帰ればあいつらがいる。こいつを殺すにしても庵を安全なところに移してからだ。



「そうですか南里さん。それは残念です。」



やはりこいつには違和感しかない。俺に手を下すつもりはねぇのか?俺は断ったんだぞ。なぜだ?なぜそもそも俺にこんな事を…?



「やけに簡単に引くんだな。」

「俺はちょっとあなたに話を持ちかけただけですから。けどね南里さん。よく考えた方がいいですよ。庵くんが大切なら尚更、ね。旭川寛也は殺した方がいい。それがすぐに分かりますよ。て事で何か困ったことがあればこの連絡先まで。」



そう言って目の前に現れた男は俺に紙を渡してきた。そこには連絡先が書いてあった。直ぐにでもそれを破り捨てたかったがここには一般人がいる。そいつらの前でそんな真似はできない。騒ぎになったらめんどくせぇからな。



「じゃあお元気で。また近々会いましょうね南里さん。」



そう言うと男は帰って行った。直ぐにこいつが誰なのか突き止めなければ…。庵のために。



「庵…。すまない。俺がいながらあんな怖い目に遭わせてしまった。」

「龍のせいじゃない。それに…俺もずっと守られるだけじゃだめなんだ。」



何言ってんだ…。守られるだけじゃ駄目ってそれはお前の身に危険が及ぶってことだ。そんな事させねぇ。



「それは違う。俺がお前を守るのは義務でもなんでもねぇ。俺がそうしたいからだ。頼むから守らせてくれ。嫌なんだ。お前が傷つくのは。だから…今日は帰ろう。嫌な予感がする。」

「そうだね。寛也さんも…危ないかもしれないし。」

「それは大丈夫だ。旭川さんは俺らが思っている以上に強いし部下にも慕われてる。もし旭川さんが狙われてるとしても旭川さんが命を落とすということはほぼないからよ。」

「…そっか。でも誰かが犠牲になるのは…嫌だね。俺はそういう時いつも守られてばかりだから何も出来なくて悔しい。」

「庵、そんなことを考えるな。身を守ることを第一に考えろ。俺達のためにも、な?まぁとりあえず帰ろう。おいで庵。それと家に着くまで気を抜くな。」

「うん。分かった。」
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