怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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銀時

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「ん。合格。いいこだ誠也。」



ただ…愛してるって…言っただけなのに慎都さんはそりゃもう嬉しそうに笑ってた。俺を抱きしめてきたんだ。その温もりに俺は慣れちまってる。段々とな。この人に抱きしめられると温かくなるんだよ。特に今みたいに恥ずかしさでどこかに消えたい時とか…抱きしめてもらえると恥ずかしさがどこかに行く。



「…じゃ、じゃあ俺もう行くから。じゃあな慎都さん。」

「待て。その前にこっち来い。」

「な、に…。」

「嫌がる事はしねぇから。」



そんなのは知ってる。嫌がる事はしないって知ってるよ。だから俺も逃げる必要なんてない。



「可愛い顔。後で抱き潰す。」



また慎都さんは俺の事を抱きしめてきた。キスしたりもされながら俺は慎都さんのされるがままになってる。



「…やだから!」

「期待してるくせによ。」

「してねぇし…!じゃあな!」

「はいはい。また後で。」



俺がじゃあなと言うと慎都さんは俺の事を離してくれた。だけどまた後で会う。しかも抱かれる。だけど嫌じゃない自分が少し…複雑だ。もう…!なんだよもう…!



「なんだよ調子狂う…っ。後で抱き潰すって…俺また立てなくなるじゃんか。」



俺はそんなことを言いながら部屋を出て廊下を歩いてた。多分もう時間が来るから。あとは適当に逃げればいいなんて思ってたんだ。

けどちょうどその時…。



「誠也。」



後ろから声が聞こえた。これは游さんでも慎都さんでもない。この声は…。



「…銀時…さん。」

「よ!元気そうだな。良かった良かった。」

「え?」



銀時さんが珍しく満面の笑みを浮かべてた。銀時さんは多分俺がこの部屋にいるのを知っててここで待ってたんだ。だけど銀時さんは游さんや慎都さんみたいに俺を捕まえようとはしない。



「游さんになんかされたかと思ったがそうでもなさそうで安心した。」

「游さんは優しいですからね。」

「そうだな。あの人はあんな強面な顔だけど根は優しい。」

「うんうん。ですね。」



って何俺は普通に銀時さんと会話してんだ。これは一応鬼ごっこだよな…。それを忘れさせるぐらい呑気に銀時さんは会話してくる。



「ああ。じゃあ誠也、てことで俺の願いも聞いてもらおうか。」

「は、はい…。」



楽しく話をしてたけど銀時さんが話を戻してきた。やっぱそうだよな。でも…銀時さんはどんなことを言ってくるんだろう。俺は不安もあったけど興味も湧いた。



「誠也。緊張しなくていい。俺は游さんみたいに変なことはしないから。」



俺…そんな不安そうな顔してたのかな…?銀時さんが俺の頭を撫でながらそう言ってきた。けど俺は游さんや慎都さんの時ほど不安じゃない。銀時さんが優しい顔をしてるから。



「俺の願いは…誠也、お前には慎都さんのそばにいて欲しい。それだけだ。」



…なにそれ。俺は色々想像してしまっていた。もしかしたら銀時さんも游さんみたいなことをしてくるんじゃないかって。けど自意識過剰だった。銀時さんはやっぱり人思いでかっこいい人だ。



「…え?で、でもそれじゃあ銀時さんの願いじゃ無くなっちゃいますよ。」

「これが俺の願いなんだ。慎都さんがあんなに嬉しそうに笑うのは久しぶりに見た。お前が来るまでは淡々と仕事をしてよ。それに慎都さんが元気なら游さんも元気になる。俺はそれが嬉しいんだ。お前にはその力がある。だからずっととは言わねぇ。今は慎都さんの傍にいてやって欲しい。」



この組の人はみんなこんな感じなのかな。トップの慎都さんや游さんたちがこんな感じだと部下のみんなも働きやすくていいだろうな。それに銀時さん…俺はそんな願いごとされなくても…。



「分かりました。でも銀時さん…」

「ん?」

「俺はそのつもりです。慎都さんが大切にしてくれる限り俺は慎都さんの傍にいたいです。」

「…そうか。そりゃ驚いた。」



本音を銀時さんに話すと銀時さんは目を見開いてすげぇ驚いた顔をしてた。そんな…驚くことか?



「…どうしてですか?」

「いや、言っちまえばお前は俺と游さんが攫ったも同然だ。お前にはヤクザの世界から離れるという選択も出来たんだから。ただまぁ…一度この世界に踏み入れちまうとそれは難しくなる。だから慎都さんはお前を傍に置いた。昔お前と出会ってたってのもあるだろうけどな。だがなんにせよ慎都さんはお前を本気で愛してる。ずっと近くにいる俺にはそれが分かる。あと游さんも。游さんも暇さえあればお前の話をしてるよ。楽しそうにね。」

「そうなんですか…?」

「そうだよ。あと俺も。俺もお前を守る覚悟だ。だから困ったことがあればなんでも俺に言うんだぞ。俺もお前を守ってやるから。」

「ありがとうございます…。」

「また二人で話す機会があればいいな。そしたら星秀ともお茶でもしよう。」

「はい…!!」



楽しみが増えた。星秀さんも銀時さんと仕事をしているからとても安心だ。そんなことを俺が思っていると俺がさっきまで入っていた扉が開いた。そこにいるのは…。



「おい銀時。やってもいいが俺の許可を取れよ。誠也も勝手な行動話だからな。」

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