完結!【R‐18】獣は夜に愛を学ぶ(無垢獣人×獣人にトラウマを持つ獣人殺し)

路地裏乃猫

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俺だけのロア=リベルガ

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 それは五年ぶりに目の当たりにする、〝ロア=リベルガ〟の姿だった。

「は……ははっ、そうだ、ロア……それでいい。それで……」

 かつて夢の中で何度もゲインを切り刻み、そのたびに歓喜させた最強の戦士。あの純粋な憎悪と強さにひれ伏すことが、あの頃のゲインにとってはただ一つの生きる目的だった。

 いや、あるいは今も。

 だからこそロアには、今も、そしてこれからも深い憎悪の中で生きて欲しい。そこがロアの生きる唯一の世界であってほしい。俺の、俺だけのために。

 そう人知れず願いながら、建物の陰からロアと例の獣人とのせめぎ合いを見守るゲインだったが、やがて、ある違和感に気付く。

 なぜロアは、奴を仕留められない?

 いや、それを言えば〝せめぎ合い〟なるものが発生すること自体おかしい。少なくともゲインの知るロアは、いかなる獣人を相手にしても必ず一太刀で仕留めたものだ。あの男が部隊でもとくに畏怖の対象とされたのは、単なる討伐数の問題ではなく、その冷酷かつ正確無比な太刀筋のせいでもある。

 そのロアが、なぜ、あんなガキ相手に。

 わからない。昼間の討伐の疲れが残っているのか? いや、いくら疲れていても獣人なら一刀のもとに斬り伏せるのがあの男だ。まさか……躊躇している? だが、ロアが纏う殺気は間違いなく本物だ。

 一体、何が起きている?

 確かに、あの獣人は強い。これまでゲインが相手した中では間違いなく最強クラスだろう。身体能力はそれほどでもない。ただ、奴の動きには明らかに体術の心得が見て取れる。おそらくロアが教え込むか、さもなければロアの戦いを間近に見るうちに自ずと戦い方を学んだのだろう。ただでさえ人間より身体能力の勝る獣人がこれを身につければ、もはや並の獣人殺しには手がつけられなくなる、ということらしい。

 だから手こずっているのか? いや、だとしても……

 まさか。

 ふとゲインの脳裏をよぎる想像。あの〝ロア=リベルガ〟が、無意識にせよ獣人殺しを躊躇している。あの純粋な憎悪、最強の刃が、曇り、欠けている。……いや、ロアが獣人を連れ歩いていると耳にした時から、そんなことはわかりきっていただろう。問題は、ロアが〝ロア=リベルガ〟を取り戻せるかどうかだ。

 そうだ。最終的にロアがあの獣人を殺してくれればそれでいい。

 あれだけの戦闘力を、何より大人の雄としての姿を見せつけられて、もはや子供扱いは無理がある。そしてロアは、成熟した獣人の雄は決して生かしてはおかない。……いや、殺すべきなのだ。ロアが、〝ロア=リベルガ〟であり続けたいと願うなら。

 それでもなお、あの獣人を見逃すなら。

 その時は、俺が殺してやる。獣人だけじゃない、お前もだ、ロア。
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