性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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46.すでに

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 素材を買ってくれたこの店に迷惑はかけられない。

 僕は、店の外に出ようと彼らに背を向け、店のドアを開けた。

 すると、店の入り口のところに、ヴァトズフィウズ様が立っている。

「あ………………」

 嘘だろ…………

 こんなところに来ているなんて。

 ドアを開いた格好のまま固まる僕。

 だって今日は、一族の方と魔物退治に行くんじゃなかったのか?

 驚きすぎて頭がついていかない僕に、ヴァトズフィウズ様がいつものように微笑んだ。

「迎えに来た」

 彼はいつもの笑顔のままで、僕はどうしていいか分からなくなった。

 どうしよう……

 まさか、こんなところにヴァトズフィウズ様が来ているなんて思わなくて、僕は、ドアを閉めてしまった。

 会わせたくない……ヴァトズフィウズ様を一族とを。

 彼らに会わせたら、またさっきみたいな調子で、僕のことを指さして貶すんだろう。そんな奴らと、ヴァトズフィウズ様を会わせたくない。

 僕は、当主に振り向いた。

「あ、あの…………その……裏口から出ませんか?」
「なんだと?」

 当主が苛立った様子で僕を睨みつける。僕に対して腹を立てているんだろう。

 だけど、そこはさすが当主。僕の弱みを見つけるのがうまい。にやりと笑って言った。

「なぜ裏口から出なくてはならないんだ? 今すぐ外へ出る!!」
「ま、待ってくださいっ……!! あ、あのっ……まだっ……あのっ……!」

 揉み合っていると、バンッと音を立てて、その扉が開いてしまう。

 そして、店に入ってきたヴァトズフィウズ様が、僕に近づいてきた。

「リュイウェリレク? どうしたんだ? こんなところで……締め出さなくてもいいじゃないか。寂しいな」
「あ……あの…………ヴァトズフィウズ様……僕は、あの……締め出すつもりなんて……」

 困る僕に、ヴァトズフィウズ様はいつもみたいに微笑んだ。

「見つかってよかった。帰ろう」
「へ!? で……でも、僕っ……」

 まだ、当主との話が終わっていない。

 焦る僕を、ヴァトズフィウズ様は平然と連れて行ってしまう。待ってと言っても、彼はまるで聞いてくれない。

「あのっ…………ヴァトズフィウズ様っ……!」
「どうした? 帰りが遅いから心配したぞ」
「で、でもっ……えっと…………」

 勝手に出て行く僕に、当主もついてきて、ヴァトズフィウズ様を怒鳴りつける。

「おいっ! 待てっ……! 貴様、何者だ!? リュイウェリレクには、私たちが用があるんだ!! それは一族に恥をかかせて、つまみ出された男でっ…………」

 当主はそこで立ち止まり、言葉を切った。

 ヴァトズフィウズ様が振り向いたからだ。

「だからなんだ? リュイウェリレクは、すでに俺の仲間なのだが?」
「あ…………あなたは、フィリフェント家の……」

 睨まれて、立ち尽くす当主。

 どうやらもう向かってくる気はないらしい。

 それならよかった。僕だって、魔法でやり合うような真似はしたくない。明日の魔物退治に響く。

 だけど……

 ヴァトズフィウズ様に、今の状況を見られてしまったことが、怖い。

 けれどヴァトズフィウズ様は、僕の手を強く握って、僕を連れて行ってしまった。
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