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3.遅れてしまいました!
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「……遅いよ。何をしていたんだ?」
そう言われるたびに頭を下げて、カテリスラ家の一族の方々がいそうな部屋を巡り、書物を渡して回る。
書物は手のひらを思いっきり広げた幅より分厚く重いものもあって、それが数十冊。大きなワゴンに乗せて城中を走るのは、一応魔法で体を強化しているとは言え、私にとってかなりの重労働。
何より、廊下を走っていると、「またあんなことをしている……」と、嘲るような言葉が聞こえてくる。
そっちの方が辛いなーー…………
ほとんど配り終えてから、ふと、外が騒がしいような気がして、窓の外を見る。
すると、門の辺りに大きく立派な馬車と、羽を持った竜が停まっているのが見えた。竜は使い魔だろう。その周りに立っているのは、恐らくここの隣の、竜の領地から来た方々だ。精悍な男性が数人、門番と話しているのが見えた。多分、魔法の道具や武器、薬などを作ったり強化したりするのに使う素材を持ってきてくれたのだろう。
竜の領地は、素材は多く取れるけれど魔物が多く、時折彼らはここに来ては、魔法の道具と素材を交換していく。
けれど、以前魔物が現れた時に、ここの領主様と共同で魔物を倒したのに、素材を全部奪われてしまいそうになったことがあってから、かなりこことは仲が悪い。
ここの領主のロクデラッド様は、そんなことはしていないと言ったが、竜の方々は、私達の魔法使いが、仲間を押し退けて素材を狙ったと主張したらしい。その時は、竜族の領主様とこちらの領主様とで、斬り合いにまで発展しかけたらしいが、竜族の宰相様が二人の間をとりなしてくれて、今もまだ、交流は続いている。
こちらとしても、彼らの戦力は魔物を退治する有力な手段になるから、手は組んでおきたいようだ。
けれど、領主様の彼らを見下すような態度がいつも全面に出ているから、どうにも彼らがここに来た時は、睨み合いのようになる。
窓から見下ろせば、領主様に一番近い側近の方が、彼らを迎えているのが見えた。
側近の方と話している男性は、おそらく竜の領主様の右腕とも言われ、代々竜の領主様と共に領地を守ってきた、将軍のヴィラウレルト様だろう。魔物退治に一度だけ同行した時、遠目に見かけたことがある。
そのそばでは小さな虎の耳がある獣人の男性が、巨大な剣を担いで、愛嬌のある笑顔で何か話していた。
けれど私は今日、彼らがいらっしゃるなんて、聞いていない。
これは……
まずい………………!!
体の血が引いて、気分が悪くなりそう。
ど……どうしよう。急がなければ……!!
大切なお客様がいらっしゃる時には、私も必ず横で挨拶をするように言われている。このままじゃ、オーテクルテスファー様の隣で挨拶をすることができない。
そんなことになったら……
また、何を言われるか、分からないっっ…………!!
今日は朝からずっと嫌味ばかり言われている……もう嫌味は聞きたくない!!
早速走り出そうとしたけど、まだ書物を配り終えていない。
書物の多くは急ぎではないはず……
竜族の将軍の方々に失礼があれば、今後の魔物退治にも支障をきたすかも知れないし……だったら、これを届ける予定の方々には使い魔で連絡して、先に挨拶を済ませてしまおう! 挨拶だけなら、いつも数十分で終わるのだから。
私は、小さな竜の姿をした使い魔をいくつも作って、書物を待っているであろう方々の元に飛ばした。
そう言われるたびに頭を下げて、カテリスラ家の一族の方々がいそうな部屋を巡り、書物を渡して回る。
書物は手のひらを思いっきり広げた幅より分厚く重いものもあって、それが数十冊。大きなワゴンに乗せて城中を走るのは、一応魔法で体を強化しているとは言え、私にとってかなりの重労働。
何より、廊下を走っていると、「またあんなことをしている……」と、嘲るような言葉が聞こえてくる。
そっちの方が辛いなーー…………
ほとんど配り終えてから、ふと、外が騒がしいような気がして、窓の外を見る。
すると、門の辺りに大きく立派な馬車と、羽を持った竜が停まっているのが見えた。竜は使い魔だろう。その周りに立っているのは、恐らくここの隣の、竜の領地から来た方々だ。精悍な男性が数人、門番と話しているのが見えた。多分、魔法の道具や武器、薬などを作ったり強化したりするのに使う素材を持ってきてくれたのだろう。
竜の領地は、素材は多く取れるけれど魔物が多く、時折彼らはここに来ては、魔法の道具と素材を交換していく。
けれど、以前魔物が現れた時に、ここの領主様と共同で魔物を倒したのに、素材を全部奪われてしまいそうになったことがあってから、かなりこことは仲が悪い。
ここの領主のロクデラッド様は、そんなことはしていないと言ったが、竜の方々は、私達の魔法使いが、仲間を押し退けて素材を狙ったと主張したらしい。その時は、竜族の領主様とこちらの領主様とで、斬り合いにまで発展しかけたらしいが、竜族の宰相様が二人の間をとりなしてくれて、今もまだ、交流は続いている。
こちらとしても、彼らの戦力は魔物を退治する有力な手段になるから、手は組んでおきたいようだ。
けれど、領主様の彼らを見下すような態度がいつも全面に出ているから、どうにも彼らがここに来た時は、睨み合いのようになる。
窓から見下ろせば、領主様に一番近い側近の方が、彼らを迎えているのが見えた。
側近の方と話している男性は、おそらく竜の領主様の右腕とも言われ、代々竜の領主様と共に領地を守ってきた、将軍のヴィラウレルト様だろう。魔物退治に一度だけ同行した時、遠目に見かけたことがある。
そのそばでは小さな虎の耳がある獣人の男性が、巨大な剣を担いで、愛嬌のある笑顔で何か話していた。
けれど私は今日、彼らがいらっしゃるなんて、聞いていない。
これは……
まずい………………!!
体の血が引いて、気分が悪くなりそう。
ど……どうしよう。急がなければ……!!
大切なお客様がいらっしゃる時には、私も必ず横で挨拶をするように言われている。このままじゃ、オーテクルテスファー様の隣で挨拶をすることができない。
そんなことになったら……
また、何を言われるか、分からないっっ…………!!
今日は朝からずっと嫌味ばかり言われている……もう嫌味は聞きたくない!!
早速走り出そうとしたけど、まだ書物を配り終えていない。
書物の多くは急ぎではないはず……
竜族の将軍の方々に失礼があれば、今後の魔物退治にも支障をきたすかも知れないし……だったら、これを届ける予定の方々には使い魔で連絡して、先に挨拶を済ませてしまおう! 挨拶だけなら、いつも数十分で終わるのだから。
私は、小さな竜の姿をした使い魔をいくつも作って、書物を待っているであろう方々の元に飛ばした。
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