誰もが我儘な私ではないお方が良かったようなので、悪役の私は残忍な猛将達に手酷く扱われに行きます。戻れ? 絶対に離れるなと脅されているのですが

迷路を跳ぶ狐

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14.楽しい!

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 まずはお金が必要……魔物と戦う手段だって、武器や道具、薬を手に入れるにはお金がいる。そのためにも、まずはお金を手に入れる手段! これを手に入れなくては。

 けれど、私たちの話を聞いていたテクフィノレク様が鋭い目つきで言う。

「金を稼ぐことより、あなたはまず、役目を果たすことを考えてください。あなたは、魔法の道具が確かに役に立つことを証明しにきているのです。もし、それができなければ、その場で私たちに引き裂かれると言うことをお忘れにならないように」
「は、はいっ……!! あ、あのっ……! では、私は何をすればいいのですか!?」
「このリストにある荷物を、馬車の中から下ろして、あちらにある荷物を、すべて馬車の中に運んでください」

 彼が通りにあった商店を指差し、私にリストを渡してくれる。商店はまだ開店前らしい。扉の前でヴィラウレルト様が商店の方と何か話していた。

 このリストにあるものを馬車から下ろして、商店の扉の前まで運んで、それから商店の前に積まれたものを馬車に運ぶみたい。

 荷物の整理なら、よくやっていた。これなら、私でもできそう。

「分かりました! お任せください!!」
「……安請け合いはしない方がいいですよ」
「へっ……!?」

 安請け合い? そんなつもりはないのだけれど……そう聞こえたのかな?

 テクフィノレク様の目は、私をひどく冷たく見つめている。

 安請け合いだと言われたわけじゃない……これは、私のことをまるで信じていないだけだ。

 私たちのあの城での態度はひどいものだったし、長年の確執もある。

 魔法の道具が動くか確認……そんなことを言い出す時点で、彼らは私たちを信じていない。道具が動くとも思っていないのだろう。

 けれどそれでは、あの城まで足を運んだ彼らは丸損。だから一人連れていくことにしたんだ。

 つまり私は、道具の保証人。それが動かなくなったら、次に道具として扱われるの私。

 そんなこと、承知の上です!

「安請け合いをして答えたわけではありません。自分の立場も分かっています。リストをお貸しください!」

 言うと、彼はこめかみを抑えてかぶりを振る。

 すると、今度歩み寄ってきたのはヴィラウレルト様。

「そこまで言うなら、時間までにそこにあるものを馬車の中には運んでおけ。遅れたら、遅れた個数と同じだけ鞭で打つ。悪く思うなよ。自分の立場を思い知らせるためだ」
「…………」

 鞭で打つ、なんて言っておきながら、悪く思うな、なんて無理な話だけど……

 理由なんて、私に話す必要、ある? いつも理不尽に打たれていたのに。それに……

「それは、最高でもここにある荷物の個数分しか打たれないと言うことですね!?」
「はあっっ!???」

 訳がわからないと言った様子で、ヴィラウレルト様が声を上げる。テクフィノレク様も呆れたような顔をしていた。

 だけど……

 ここにある荷物は確かに多いけど、個数を数えても、ブークリアス様よりよっぽど少ない!!

 もちろん打たれるのは嫌だけど……運べば回数は減る!!

「お任せください!! こうしてあの領地を出ることができた以上、あなた方に鞭を振るう手間はかけさせません!!」
「…………」

 二人とも黙ってしまうけど、時間がもったいない!! 早速運ばなくては!!

「テクフィノレク様! この荷物、中身はなんでしょうか!?」
「信頼もしていないあなたには、教えられません……」
「では、私が荷物を運ぶために、私に強化の魔法を使うことに問題がないかは教えてくださいますか?」
「……それは問題ありません」
「では、他に何か問題があれば教えてください! 早速始めます!!」

 私は、馬車から荷物を取り出した。

 荷物を運んで、商店の前まで運ぶ。すぐに扉から一人の女性が出てきた。

「あら…………いつもの方とは違うのですね……」
「はい! 初めまして!! フィレイルイラルと申します!!」
「……マルガレウトです。あの……その格好は……」

 あ、そうか。私、鞭で打たれてあちこち破れた服のままだった。
 彼女に見えてしまうかも知れない血の跡を慌てて隠す。見られたら驚かせてしまうし、彼らが誤解されるかも知れない。

「ここに来るまでの間に、魔物に襲われてしまい、逃げていたのです。傷は回復の魔法で治ったのですが、服までは準備できなくて……」
「まあ……それは大変でしたね……だったら、うちの店で用意して行きませんか? 可愛いものをたくさん揃えております!」
「ありがとうございます……では、また後日うかがいます!」
「そうですか? えっと……商家の方でしょうか?」
「いえ…………私に家はありません。彼らの馬車に乗せてもらった、ただの同行人です!」

 荷物は思ったより多いけど、持てないほど重いもの、危険なものなんかはないみたい。こういった雑用はいつも私の仕事だったし、なんとかなりそう。

 けれど、この服で荷物を運ぶのは結構大変。だって荷物に服を引っ掛けたら、ますます破れてしまう。早く補修したい……それに、もっと動きやすいものが欲しい。お金を貯めたら、まずは服? 考えただけで楽しい!
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