誰もが我儘な私ではないお方が良かったようなので、悪役の私は残忍な猛将達に手酷く扱われに行きます。戻れ? 絶対に離れるなと脅されているのですが

迷路を跳ぶ狐

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13.これからです!

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 馬車はしばらく空を飛んで進んで、私はその間に寝てしまっていたようだ。いつの間にか、積み上がった柔らかい毛布のようなものに寄りかかって寝ていて、こんっと頭の上に、小さな瓶のような形の魔法の道具が落ちてきて、目が覚めた。

「いた……」

 馬車の床に落ちて転がっていく小さな瓶を、慌てて捕まえる。ここにある荷物を大切に守っていなきゃならないのに、危ないところだった。

 私の魔力もだいぶ減ったな……もともとあの魔物との戦いから、まだ魔力が回復しきっていなくて、魔力の少ない私だから、回復しないと、荷物を守ることも難しくなりそう。

 枷をされているとはいえ、魔力を封じられなかったのは、荷物を守るためだろう。

 仮に私が魔力を使って暴れたとしても、彼らにかかれば私を抑え込むなど簡単なこと。あっという間に抑えられて、今度は殺されるかもしれない。
 そんな状況で抵抗しようとは思わない。

 それにそもそも、私が行きたいと言ったのだから!

 外はすでに上っていた朝日に照らされていて、丘と森が広がっている。大きな川のずっと向こうには、海が見えた。

 辿り着いたのは、川とその支流を包むようにしてある大きな街。川には大きな橋がかかり、塔がいくつか立っている。民家が並んで、その間に美しい石畳が見えた。その向こうは、市場になっているようだ。

 なんて広い……見つめているだけで、うっとりしそう。あんな街、初めて見た。

 街に馬車はゆっくりと降りていく。そして大きな商店の裏の通りに、馬車は止まった。

 買い物でもあるの?

 キョロキョロしていると、テクフィノレク様が馬車の中を覗き込んできた。

「降りなさい。あなたにも、運んでもらいます」

 言われて、私は外に出された。手枷は外してもらえたが、それは、両手を結ぶ鎖を切られただけ。手首にかかる鉄の輪はそのまま。

 だけど……

 空は澄み、太陽は眩しいし、街はまだ朝だからか静かだけど、人が歩いている。私たちのように馬車を引いている人がいて、多くの荷物を運んでいた。

「すごい……」

 石畳の通りはひどく美しい。水路には水が流れ、花びらが散っている。水が流れる音がして、そのわきには、いくつも街灯が並んでいた。きっと夜になれば、あれが順番に輝くのだろう。通りのわきには商店が並び、いくつか飲食店も見えた。その近くに、花壇が並んでいる。花びらは、あそこから落ちてきているようだ。

「これが……街? なんて美しい……すごいっっ!! すごいっっ!!」

 つい、街並みに夢中になってしまう。そうしていたら、ロズルラト様が、私に微笑んだ。

「だろーー? すごいだろ?」
「はい!! ここはもう、竜の領地ですか!?」
「なんだよ! 俺らの領地に入るの、見てなかったのか!?」
「は、はい……眠ってましたから……」
「そうか! 俺もだ!!」
「…………」
「だけど、ここに入るまでにすっげー綺麗な川の上を通るんだ! 今度通るときは、ちゃんと見ておけ!」
「川……分かりました! 覚えておきます!!」
「それと、この先では、すっっげーーうまい肉をたくさん売ってるんだ! それも覚えておけ!!」
「肉…………」

 そうか……これからは、市場に行って食事を手に入れることも、自由にできる。あの城では、「役立たずに食事を与えるべきではない!」なんてオーテクルテスファー様に言われて、食事がキャベツの葉一枚なこともあった。

 それが……今は、自分で選んで、自分で手に入れに行けるんだ!

「お肉…………絶対に覚えておきます!!」
「いい返事だな!! 金は持ってるか!?」
「お金…………そ、それも今から手に入れるんです!!」
「今はないのかーーーー!!」

 ロズルラト様はひどく残念そう。私だって残念です!
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