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24.随分嫌そう
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先に素材を指定の部屋に持っていったから、訓練場についたのは、それからしばらくしてだった。
訓練場は、庭を少し飛んだ辺りにあった。運動をするために設けられた広場のようだが、魔法が城に当たってしまわないように、結界が張ってある。そこでは、魔法使いの方々が並んで魔法を撃っていた。
さっきの素材の破裂には気づいていないみたい。急いで魔法で抑えたのがよかったのかも。
訓練場に入ると、そこでヴィラウレル様が振り向いた。
「……早朝から何をしているんだ……?」
……随分嫌そうな顔をされている……よほど私と話すのが嫌みたい。随分嫌われてしまったようだ。
ちょっと怯んでしまいそうになるけど、私は彼の前に立って挨拶をした。
「お、おはようございます! ヴィラウレルト様っ……!!」
「…………」
「そ、そんな、嫌そうな顔をなさらないでください。用がすんだらすぐに出て行きます」
「だったら早く済ませて出て行け。何の用だ?」
「はい! ヴィラウレルト様に頼み事をしにきたのです!!」
「…………頼み事?」
「はい!」
「朝からか?」
「はい!!」
「……それならなぜ、そんな格好をしているんだ?」
呆れたような顔で私を見下ろす彼。
確かに、積んであった素材の整理をしているせいで、服はだいぶ汚れている。
「こ、これは魔法の素材を運んでいて……」
「…………そんな格好で城をうろつくな」
「申し訳ございません……け、けれど、そんなことを言われても、私は服なんて持っていません!!」
「なぜだ?」
「私には必要ないと言われていましたから……そんなことは、今はどうでもいいではありませんか!」
「…………どうでも良くはない」
「……申し訳ございません……今度からは気をつけます!」
「……………………それで? 何の用だ? 服のことか?」
「違います!」
追い返されるかと思ったのに、ちゃんと話は聞いてくれるんだ。
これはチャンス!
だって、彼の背後にはたくさん魔法使いの方々がいる。
「人手が必要なんです! 魔法が使えて魔法に関する知識がある……そんな方々の力が必要です!」
「魔法が……?」
「ですからどうか、ヴィラウレルト様! 私に、部隊を貸してください!」
思いっきり胸を張って言うと、ヴィラウレルト様は目を丸くした。
背後では、キュファリウェスが真っ青になっている。
「ち、ちょっ……! も、もう少し丁寧に……」
彼女は今にも泣き出しそう。
ヴィラウレルト様も少し顔を顰め、首を傾げていた。
「……………………は?」
「ですから、部隊ですわ!! ぜひ、あなたの部隊の魔法使いの方々のお力をお借りしたいのです!!」
「……………………ダメだ」
「なぜです!?」
「貸すはずがないだろう!! どういうつもりだ!!!!」
思いっきり怒鳴られてしまう。
だ、だめだった??
だけど、このままじゃ素材を運ぶのも難しいし……
こんなところで怯んでたまるか!!
「ほ、ほんの少しの間でいいのです!! 部隊の魔法使いの方々に手を貸していただきたくて……! どうか、お願いします!!」
「絶対にダメだ!!!! 戦力になる部隊など手に入れて、どうする気だっっ!! 失せろっっ!!」
「なっ……何も、反乱を起こそうと言うのではありません!! ちょっと手伝って欲しいだけです! これだけ魔法使いの方々がいるのだから、いいではありませんか!!」
「絶対にダメだ。失せろ。余計な真似をするなら、今すぐ投獄する」
「とっっ……投獄!!??」
せっかく自由になったのに、冗談じゃない。驚いていると、彼らはさっさと片付けをして行ってしまう。
「城に戻るぞ。今日は城の周辺の魔物退治がある」
そう言って、彼らは私たちに背を向けて訓練場を出て行ってしまった。
と、取り付く島もない……
「待ってください!! ヴィラウレルトっ……!」
尚も追って食い下がろうとすると、キュファリウェスが私の服を捕まえて止めた。
「きゃっ……! な、何をなさるのですか?」
「何をっ!? 止めてるんです!! 分からないんですか!? 殺されるところだったんですよっっ!!」
「殺されるだなんて……魔法を撃たれたわけではありませんし……」
「もう少しで魔法で吹き飛ばされてました! なんでそんなに怖いもの知らずなんですか!!」
「怖いもの知らずなわけではありません。怖かったです!」
「はあ!?」
「……本当に投獄されたらどうしようかと思いました……せっかく自由になったのに…………」
胸に手を当てると、まだドキドキしているのがわかる。胸ごと壊れちゃいそうなくらいだ。もう、息が苦しくなりそう。
「確かに怖かったし、あのまま投獄されたらどうしようかと思いましたが……けれど、私、何もされてません!!」
「……投獄より、命の心配をなさった方がよろしいのではありませんか?」
「ヴィラウレルト様は、噂ほど恐ろしい方ではありませんよ。だって、私をここまで連れて来てくださいましたからっ!!」
「…………連れてきてくれた……と、おっしゃいますが…………あの、大変言いにくいですが……魔法の道具が壊れた時の補償のためにいらしたんですよね? それって…………その、人質ではありませんか? 魔法の道具が動かなくなったら、あなたがその代わりになるだなんて……まるで道具のように扱われているようで……」
「はい! そうです!」
はっきり答えると、キュファリウェスは目を丸くして私に振り向く。
「…………え? わ、分かってたんですか?」
「だって、私は道具の代わりにここに来たので! だけど、そんなことはどうでもいいんです!! 私はあの城を出ることができたので! これからは自由になるんです!!」
「そ、そうですか……」
「ヴィラウレルト様には、断られてしまいましたし、他の魔法使いを当たりましょう!!」
「ま、まだ、諦めないんですか?」
「運ぶ間に出会った方に声をかけるだけです!」
「……なぜ……そこまで…………」
「だって、怪我をした方にも休んでいただきいですし、あなたも責任を感じているのでは?」
彼女は使用人たちをまとめる仕事をしていると言っていたし、こんな早朝から、あんなカゴを持って歩いているのも、責任を感じてのことだろう。
何より、彼女は怪我をした使用人の話をする時に、ひどく寂しそうな顔をする。そんなの、放っておけません!
「それに!! 私とこれだけ友好的に話してくださったのは、あなたが初めてですから!」
「………………そ、そうですか……?」
訓練場は、庭を少し飛んだ辺りにあった。運動をするために設けられた広場のようだが、魔法が城に当たってしまわないように、結界が張ってある。そこでは、魔法使いの方々が並んで魔法を撃っていた。
さっきの素材の破裂には気づいていないみたい。急いで魔法で抑えたのがよかったのかも。
訓練場に入ると、そこでヴィラウレル様が振り向いた。
「……早朝から何をしているんだ……?」
……随分嫌そうな顔をされている……よほど私と話すのが嫌みたい。随分嫌われてしまったようだ。
ちょっと怯んでしまいそうになるけど、私は彼の前に立って挨拶をした。
「お、おはようございます! ヴィラウレルト様っ……!!」
「…………」
「そ、そんな、嫌そうな顔をなさらないでください。用がすんだらすぐに出て行きます」
「だったら早く済ませて出て行け。何の用だ?」
「はい! ヴィラウレルト様に頼み事をしにきたのです!!」
「…………頼み事?」
「はい!」
「朝からか?」
「はい!!」
「……それならなぜ、そんな格好をしているんだ?」
呆れたような顔で私を見下ろす彼。
確かに、積んであった素材の整理をしているせいで、服はだいぶ汚れている。
「こ、これは魔法の素材を運んでいて……」
「…………そんな格好で城をうろつくな」
「申し訳ございません……け、けれど、そんなことを言われても、私は服なんて持っていません!!」
「なぜだ?」
「私には必要ないと言われていましたから……そんなことは、今はどうでもいいではありませんか!」
「…………どうでも良くはない」
「……申し訳ございません……今度からは気をつけます!」
「……………………それで? 何の用だ? 服のことか?」
「違います!」
追い返されるかと思ったのに、ちゃんと話は聞いてくれるんだ。
これはチャンス!
だって、彼の背後にはたくさん魔法使いの方々がいる。
「人手が必要なんです! 魔法が使えて魔法に関する知識がある……そんな方々の力が必要です!」
「魔法が……?」
「ですからどうか、ヴィラウレルト様! 私に、部隊を貸してください!」
思いっきり胸を張って言うと、ヴィラウレルト様は目を丸くした。
背後では、キュファリウェスが真っ青になっている。
「ち、ちょっ……! も、もう少し丁寧に……」
彼女は今にも泣き出しそう。
ヴィラウレルト様も少し顔を顰め、首を傾げていた。
「……………………は?」
「ですから、部隊ですわ!! ぜひ、あなたの部隊の魔法使いの方々のお力をお借りしたいのです!!」
「……………………ダメだ」
「なぜです!?」
「貸すはずがないだろう!! どういうつもりだ!!!!」
思いっきり怒鳴られてしまう。
だ、だめだった??
だけど、このままじゃ素材を運ぶのも難しいし……
こんなところで怯んでたまるか!!
「ほ、ほんの少しの間でいいのです!! 部隊の魔法使いの方々に手を貸していただきたくて……! どうか、お願いします!!」
「絶対にダメだ!!!! 戦力になる部隊など手に入れて、どうする気だっっ!! 失せろっっ!!」
「なっ……何も、反乱を起こそうと言うのではありません!! ちょっと手伝って欲しいだけです! これだけ魔法使いの方々がいるのだから、いいではありませんか!!」
「絶対にダメだ。失せろ。余計な真似をするなら、今すぐ投獄する」
「とっっ……投獄!!??」
せっかく自由になったのに、冗談じゃない。驚いていると、彼らはさっさと片付けをして行ってしまう。
「城に戻るぞ。今日は城の周辺の魔物退治がある」
そう言って、彼らは私たちに背を向けて訓練場を出て行ってしまった。
と、取り付く島もない……
「待ってください!! ヴィラウレルトっ……!」
尚も追って食い下がろうとすると、キュファリウェスが私の服を捕まえて止めた。
「きゃっ……! な、何をなさるのですか?」
「何をっ!? 止めてるんです!! 分からないんですか!? 殺されるところだったんですよっっ!!」
「殺されるだなんて……魔法を撃たれたわけではありませんし……」
「もう少しで魔法で吹き飛ばされてました! なんでそんなに怖いもの知らずなんですか!!」
「怖いもの知らずなわけではありません。怖かったです!」
「はあ!?」
「……本当に投獄されたらどうしようかと思いました……せっかく自由になったのに…………」
胸に手を当てると、まだドキドキしているのがわかる。胸ごと壊れちゃいそうなくらいだ。もう、息が苦しくなりそう。
「確かに怖かったし、あのまま投獄されたらどうしようかと思いましたが……けれど、私、何もされてません!!」
「……投獄より、命の心配をなさった方がよろしいのではありませんか?」
「ヴィラウレルト様は、噂ほど恐ろしい方ではありませんよ。だって、私をここまで連れて来てくださいましたからっ!!」
「…………連れてきてくれた……と、おっしゃいますが…………あの、大変言いにくいですが……魔法の道具が壊れた時の補償のためにいらしたんですよね? それって…………その、人質ではありませんか? 魔法の道具が動かなくなったら、あなたがその代わりになるだなんて……まるで道具のように扱われているようで……」
「はい! そうです!」
はっきり答えると、キュファリウェスは目を丸くして私に振り向く。
「…………え? わ、分かってたんですか?」
「だって、私は道具の代わりにここに来たので! だけど、そんなことはどうでもいいんです!! 私はあの城を出ることができたので! これからは自由になるんです!!」
「そ、そうですか……」
「ヴィラウレルト様には、断られてしまいましたし、他の魔法使いを当たりましょう!!」
「ま、まだ、諦めないんですか?」
「運ぶ間に出会った方に声をかけるだけです!」
「……なぜ……そこまで…………」
「だって、怪我をした方にも休んでいただきいですし、あなたも責任を感じているのでは?」
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何より、彼女は怪我をした使用人の話をする時に、ひどく寂しそうな顔をする。そんなの、放っておけません!
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「………………そ、そうですか……?」
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