ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐

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35.お似合い?

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 僕とオフィガタス様は医務室までやってきた。そこには、何人もの魔法使いたちがいて、幾つもの魔法の素材を使って回復の魔法の薬を強化している。

 その部屋の奥に、ベリレフェク様もいた。それに、領主様もだ。

 領主様……

 無事で帰ってきてくれていて、本当によかった……

 本当は、すぐに会いにきたかったけど……ベリレフェク様とここにいたんだ……

 ベリレフェク様は領主様と向き合って、何か話している。きっと回復の魔法に関する話だろう。今朝、回復の魔法の道具の話をした時も、ベリレフェク様はそんな話をしていたから。
 彼みたいな回復の魔法が使えるようになるのは難しいけど、道具があれば、かなり強力な回復の魔法を僕だって使うことができる。それだって、ベリレフェク様のおかげでかなり強化することができたんだ。
 彼の魔法はすでにこの城にとってなくてはならないものになりつつある。領主様だって、あんな風に喧嘩してるけど、きっとベリレフェク様のことは頼りにしているんだろうな……

 領主様とベリレフェク様は、魔法の道具を囲んで、何か話し込んでいる。

 …………やっぱり……あの二人、距離が近いような気がしてきたっ……!

 しかも……ああして話してると、お似合いじゃないか……?

 二人で一緒に仕事ができるから、捗っているんじゃ……
 二人にとって邪魔な僕もいないし…………って、また僕はこんなことを考えてっ……!!

 だけど、どうしても二人の距離が気になるっ……!!

 いつの間にか、僕は頭を抱えていた。

 僕がそんなことをしている間に、いつの間にか、オフィガタス様が僕の隣にいない。

 彼は医務室に入って行くと、ベリレフェク様に駆け寄って行った。

「ベリレフェク!」

 呼ばれて、ベリレフェク様が振り向く。

 というより、多分……こっちに振り向く前に、誰が入ってきたのか気づいてたんじゃないかな……? ひどく冷たい顔をしていて、見ていて怖くなるくらいだ。

「…………何の用ですか……?」

 冷ややかに言われても、オフィガタス様はあまりに気にしていないみたい。

「なんの? そんなことを聞く必要はないだろう? この城に来る時は、いつもこうして会いに来ているじゃないか!!」

 言ってベリレフェク様は、魔法で花束を出した。

 あの花束……確か、庭で会った時に持っていたものだ。あれ、ベリレフェク様へのお土産だったのか……

 オフィガタス様はその場に跪き、そしてそれを、ベリレフェク様に差し出した。

「お前が好む草花ばかりを持ってきた。受け取ってもらえると嬉しい」
「…………」

 差し出されたものを、ベリレフェク様はひどく冷たい目で見下ろしていたけど、受け取った。
 束ねられているのは、ただの草花じゃない。どれもこれも、強い魔力を持った素材になる珍しいものだ。

 彼はそれを受け取り、中身を確認すると、満足したらしく、頷いて魔法で消した。
 そして、オフィガタス様には冷たく言う。

「確かに受け取った。帰れ」
「………………」

 しばらく黙ってしまうオフィガタス様。

 彼どころか、その場にいた誰もが黙り、部屋中がしんとなっている。
 ベリレフェク様は、花束を受け取った時は笑顔だったのに、その素材にむけていた表情はすっかり消え去っていた。
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