【本編完結】ネコの慰み者が恋に悩んで昼寝する話

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
7 / 174

7.出てけーー!!

しおりを挟む

 僕は一度、自分のねぐらに戻って服を着てから、杖を探し始めた。

 だけど、歩くのが辛い。すぐに壁に寄りかかって、座り込んじゃう。

 す、座ると余計に感じる……

 オーフィザン様につけられた泡は、服を着ても、自分で取ろうとしても、全然取れなくて、僕が動くたびにクルクル僕の乳首を弄り回す。その度に、意地悪な快楽が僕の体に広がる。

 苦しいよ……

 だけど、オーフィザン様に杖を探せって言われた。探さなきゃ……杖。確か、庭の方に落ちたはず。

 フラフラしながら、僕は城の中を庭へ向かって歩いた。足を前に出すたび、床に足がつくたびに、泡が胸の先を刺激する。もうだめ……

「あ、あ、あうぅぅ……」

 辛いよ……もう歩けない。また廊下の端に座り込む。イきたい……だけどこんなところでなんて……

 廊下の端で蹲っていたら、後ろから声をかけられた。

「おい、クラジュ。大丈夫か?」

 この声……シーニュ?

 顔を上げると、掃除の途中なのか、モップを持ったシーニュが心配そうに僕を見下ろしている。

「クラジュ……どこか具合悪いのか?」
「う、う……僕……」

 無理……話すの、辛い。涙まで出てきた。

 僕は体を丸めて、意地悪な快楽に耐えた。

「う…………」
「クラジュ!? どうしたんだよ!?」
「シーニュ……」
「……どうした? 体調悪いのか!?」
「……ぼ、僕……お仕置きされてて……」
「お仕置き?」
「オーフィザン様に……ううあ…………あ、あ……」
「……なんだよ、それ……オーフィザン様がこんなにお前を苦しめるなんて……オーフィザン様らしくない……クラジュ、何があったんだ!?」
「ぼ、僕、オーフィザン様を怒らせちゃって……」
「怒らせた? 何か失敗したのか?」
「うん…………朝、起きたらオーフィザン様のベッドにいて、服を探していたら、オーフィザン様の杖につまずいて杖を折っちゃって、バレないように窓から捨てたら下着まで捨てちゃって、その時香炉とグラスも割って、マント破っちゃったら、オーフィザン様が怒ったんだ」
「…………………………は?」
「オーフィザン様、罰として……乳首弄られたまま杖探してこいって言い出して……」
「……その程度で済んでよかったな」
「その程度なんてひどい! 辛いのに!」
「お前が悪いだろ!!」
「そんなぁ…………」
「そんな、じゃねーよ。杖を折っちゃったところまでは分かるけど、なんで捨てるんだよ。その上、他のものまで壊して」
「それは……だって、バレたら怒られるって思って……隠そうとしたら、部屋の物をいっぱい壊しちゃって……」
「……杖壊した時点で、さっさと謝ればよかったんだ。隠そうとしたお前が悪い」
「だって……」
「だってじゃねーよ。それならさっさと杖探せ」
「うう……あ、う……」

 まずい……また泡が乳首をいじり始めた。シーニュの前なのに……

 僕は、体を丸めてうつむいた。ダメだ……もう、い、イキそう……

 できるだけシーニュから離れたいのに、彼はしゃがんで、僕の顔を覗き込んでくる。

「クラジュ?」
「う、あ、あ、ああ……」
「おい、クラジュ!?」

 シーニュの前でイクなんて嫌だ。

 彼の前で射精する自分を想像してしまい、恐怖で体が緊張する。

 すると、急に泡が動くのをやめてくれた。しばらく胸を押さえて呼吸を整えると、焼けるように熱かった体も落ち着いて行く。

 よかった……

 ホッとする僕の前で、シーニュが立ち上がった。

「仕方ないなー……仕事の合間でよければ、俺も探してやるよ」
「シーニュ……ありがとう!」
「どの辺りに落ちたとか、分かるか?」
「多分……庭。オーフィザン様の部屋から捨てたから……」
「じゃあ、バラ園のあたりか……俺も後で行くから、先行ってろ」
「うん! ありがとう!」

 返事をして、僕はシーニュと別れて庭へ急いだ。シーニュが手伝ってくれることになって、俄然元気が出てくる。

 シーニュはいつも頼りになる。僕がこの城にきたばかりの時も、そうだった。

 あの頃は、誰も信じられなくて、いつも隅っこで怯えていた。震えるだけの僕に、シーニュは一番最初に、優しく手を差し伸べてくれたんだ。
 それなのに、僕は彼を信じられなくて、怖くて、彼の手を引っかいて振り払ってしまった。それでも彼は粘り強く、僕にここでの生活とか、仕事のやり方とか教えてくれたんだ。

 シーニュは大切な友達だ。



 庭に出ると、外は晴れていて、清々しい空気が迎えてくれる。朝早くに雨が降ったらしく、芝には水滴が付いていた。このあたりは芝だけだけど、少し行ったら大きな池があって、その先は広い花園、その向こうには果樹園があったはず。

 僕はあまり庭に出たことがない。それは仕事が忙しいからっていうのもあるけど、ここにはいつも、苦手な人がいるんだ。

 今日は会わないといいな……

 そう思いながら、バラ園へ急いだ。

 細い蔓が大きなアーチを作る門をくぐると、たくさんのバラが咲き誇るバラ園についた。
 大輪の花は太陽の方を向いていて、背中を丸めて歩く僕より、ずっと自分に自信がある様に見える。

 なんだか、この中にいると気後れしちゃいそう……早く杖を探して出て行こう。

 オーフィザン様の部屋の下あたりに来たけど、杖は見つからない。周り一面、バラの木が高く育っていて、この中で杖を探すのは大変。それに、バラの花壇に落ちたのなら、花壇に入って、バラの花をどけて探すしかない。

 だけど、このバラに触れると、ここの世話をしている庭師がめちゃくちゃ怒るんだ。でも、杖は絶対に探さなきゃならないし……

 バラに気をつけながらなら、いいよね!!

 花を避けながら、花壇に入り、杖がないか探してみる。

 ないなー……い、いた! バラの棘が刺さった!! うわああ、髪にまで絡まってきた!

 棘を外そうとしたら、バラの花の向こうに、何かが見えた。

 あれ、まさか、杖!?

 急いで視界を邪魔するバラを避けてみるけど、杖みたいなものが見えたあたりには、バラの枝しかない。

 見間違いか……

 引き返そうとしたら、くいって、後ろから髪を引かれた気がした。

 な、なに!? 痛っ……

 動こうとしたら、あちこちチクチク傷んで、服まであちこちから引っ張られちゃう。

 何かと思ったら、花壇の奥に入りすぎて、服や髪に、いっぱいバラの棘が刺さっていた。外そうとしても外れない。

 うう……困った……

 なんとか棘を外そうとするけど、余計に棘が刺さるばかりで、ちっとも外れない。

 もうバラを千切っちゃおうかな? だけど、これを千切ると大変なことになるし……

 迷っていると、すごい怒鳴り声がした。

「クラジューーーーっ!! 庭に入るなっ!」

 僕の方に向かって飛んできたのは、庭師のペロケだ。不思議な模様のレース生地の服を着て、背中に大きな黒い鳥の羽を生やした精霊族で、僕が苦手な人。だって、いつも僕を怒るんだ。

 この城にきたばかりの頃、僕が芝や花を傷つけたりしたから、悪い印象を持たれてるらしい。今日もまた怒ってる……

「クラジュ!! 何してるの!? 早く出て! バラがかわいそう!」
「ご、ごめんなさい……さ、捜し物をしていたんです……」
「捜し物!? いいから出て!」
「で、でも、棘が絡まって……」
「棘? 仕方ないなー。棘、とってやるから大人しく……じっとしてて! バラが折れる!」
「は、はい!」

 言われたとおり、僕は動くのをやめた。ペロケは丁寧に棘を取ってくれる。

「はい、取れた。早く花壇から出て!」
「はい!」

 急いで僕は花壇から出た。

 あちこち傷だらけだ……痛い……

 傷を舐める僕を尻目に、ペロケはバラの方を心配している。彼は庭をすごく大事にしてるんだ。

「ひどい……こんなに葉っぱが取れちゃって……あっ!! ここ、棘が折れてる! クラジュっっ!!」
「ご、ごめんなさい!」
「クラジュは庭に立ち入り禁止って言っただろっっ!!!! それなのに、こんなところで何してたの!?」
「あ、そ、それは……ひゃ!」

 こんな時なのに、泡が服の中で動き始めた!! なんで今動くのーー!?

 お、落ち着かなきゃ……ちゃんと説明しないと、ペロケを怒らせちゃう!

「えっと、えっと……つ、杖を……」

 うう……焦るのと感じるのとで、うまく説明できない。その上僕は、普段あまり話さない人と話すのが苦手なんだ。

 困っていると、シーニュが走って来てくれた。

「おーい! どうしたんだー?」

 うわあああ! 助かった!

 僕は、急いでシーニュの後ろに隠れた。誰かと話す時に、ついシーニュの後ろに隠れちゃうのは僕の癖で、シーニュも慣れている。

 彼は、ペロケをなだめてくれた。

「ペロケ、落ち着けよ。クラジュは捜し物をしてるだけなんだ」
「じゃあそれ、僕が探すから、クラジュは庭から出て行って! その猫、前に実をつけたばかりのリンゴをとって行っちゃったんだよ! 花が咲いたばかりのバラを折っちゃうし、クラジュは庭に立ち入り禁止ーーーーっっ!! 一歩も入らないで!」
「落ち着けって。な? じゃあ、杖、見つけたら教えてもらっていいか?」
「杖? それって、オーフィザン様の?」
「知ってるのか?」
「うん。朝、庭の見回りしてたら、バラ園に落ちてて……」
「どこへやった?」
「セリューに渡したよ。オーフィザン様のだから」
「そうか……ありがとう」

 セリューか……僕が一番困る人だな……だけど、なんとか返してもらうしかない。

 シーニュと僕は、ペロケにお礼を言って、城に戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

竜人息子の溺愛!

神谷レイン
BL
コールソン書店の店主レイ(三十七歳)は、十八歳になったばかりの育て子である超美形の竜人騎士であるルークに結婚を迫られていた。 勿論レイは必死に断るがルークは全然諦めてくれず……。 だが、そんな中で竜国から使者がやってくる。 そしてルークはある事実を知らされ、レイはそれに巻き込まれてしまうのだが……。 超美形竜人息子×自称おじさん

オメガ転生。

BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。 そして………… 気がつけば、男児の姿に… 双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね! 破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

処理中です...