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7.出てけーー!!
しおりを挟む僕は一度、自分のねぐらに戻って服を着てから、杖を探し始めた。
だけど、歩くのが辛い。すぐに壁に寄りかかって、座り込んじゃう。
す、座ると余計に感じる……
オーフィザン様につけられた泡は、服を着ても、自分で取ろうとしても、全然取れなくて、僕が動くたびにクルクル僕の乳首を弄り回す。その度に、意地悪な快楽が僕の体に広がる。
苦しいよ……
だけど、オーフィザン様に杖を探せって言われた。探さなきゃ……杖。確か、庭の方に落ちたはず。
フラフラしながら、僕は城の中を庭へ向かって歩いた。足を前に出すたび、床に足がつくたびに、泡が胸の先を刺激する。もうだめ……
「あ、あ、あうぅぅ……」
辛いよ……もう歩けない。また廊下の端に座り込む。イきたい……だけどこんなところでなんて……
廊下の端で蹲っていたら、後ろから声をかけられた。
「おい、クラジュ。大丈夫か?」
この声……シーニュ?
顔を上げると、掃除の途中なのか、モップを持ったシーニュが心配そうに僕を見下ろしている。
「クラジュ……どこか具合悪いのか?」
「う、う……僕……」
無理……話すの、辛い。涙まで出てきた。
僕は体を丸めて、意地悪な快楽に耐えた。
「う…………」
「クラジュ!? どうしたんだよ!?」
「シーニュ……」
「……どうした? 体調悪いのか!?」
「……ぼ、僕……お仕置きされてて……」
「お仕置き?」
「オーフィザン様に……ううあ…………あ、あ……」
「……なんだよ、それ……オーフィザン様がこんなにお前を苦しめるなんて……オーフィザン様らしくない……クラジュ、何があったんだ!?」
「ぼ、僕、オーフィザン様を怒らせちゃって……」
「怒らせた? 何か失敗したのか?」
「うん…………朝、起きたらオーフィザン様のベッドにいて、服を探していたら、オーフィザン様の杖につまずいて杖を折っちゃって、バレないように窓から捨てたら下着まで捨てちゃって、その時香炉とグラスも割って、マント破っちゃったら、オーフィザン様が怒ったんだ」
「…………………………は?」
「オーフィザン様、罰として……乳首弄られたまま杖探してこいって言い出して……」
「……その程度で済んでよかったな」
「その程度なんてひどい! 辛いのに!」
「お前が悪いだろ!!」
「そんなぁ…………」
「そんな、じゃねーよ。杖を折っちゃったところまでは分かるけど、なんで捨てるんだよ。その上、他のものまで壊して」
「それは……だって、バレたら怒られるって思って……隠そうとしたら、部屋の物をいっぱい壊しちゃって……」
「……杖壊した時点で、さっさと謝ればよかったんだ。隠そうとしたお前が悪い」
「だって……」
「だってじゃねーよ。それならさっさと杖探せ」
「うう……あ、う……」
まずい……また泡が乳首をいじり始めた。シーニュの前なのに……
僕は、体を丸めてうつむいた。ダメだ……もう、い、イキそう……
できるだけシーニュから離れたいのに、彼はしゃがんで、僕の顔を覗き込んでくる。
「クラジュ?」
「う、あ、あ、ああ……」
「おい、クラジュ!?」
シーニュの前でイクなんて嫌だ。
彼の前で射精する自分を想像してしまい、恐怖で体が緊張する。
すると、急に泡が動くのをやめてくれた。しばらく胸を押さえて呼吸を整えると、焼けるように熱かった体も落ち着いて行く。
よかった……
ホッとする僕の前で、シーニュが立ち上がった。
「仕方ないなー……仕事の合間でよければ、俺も探してやるよ」
「シーニュ……ありがとう!」
「どの辺りに落ちたとか、分かるか?」
「多分……庭。オーフィザン様の部屋から捨てたから……」
「じゃあ、バラ園のあたりか……俺も後で行くから、先行ってろ」
「うん! ありがとう!」
返事をして、僕はシーニュと別れて庭へ急いだ。シーニュが手伝ってくれることになって、俄然元気が出てくる。
シーニュはいつも頼りになる。僕がこの城にきたばかりの時も、そうだった。
あの頃は、誰も信じられなくて、いつも隅っこで怯えていた。震えるだけの僕に、シーニュは一番最初に、優しく手を差し伸べてくれたんだ。
それなのに、僕は彼を信じられなくて、怖くて、彼の手を引っかいて振り払ってしまった。それでも彼は粘り強く、僕にここでの生活とか、仕事のやり方とか教えてくれたんだ。
シーニュは大切な友達だ。
庭に出ると、外は晴れていて、清々しい空気が迎えてくれる。朝早くに雨が降ったらしく、芝には水滴が付いていた。このあたりは芝だけだけど、少し行ったら大きな池があって、その先は広い花園、その向こうには果樹園があったはず。
僕はあまり庭に出たことがない。それは仕事が忙しいからっていうのもあるけど、ここにはいつも、苦手な人がいるんだ。
今日は会わないといいな……
そう思いながら、バラ園へ急いだ。
細い蔓が大きなアーチを作る門をくぐると、たくさんのバラが咲き誇るバラ園についた。
大輪の花は太陽の方を向いていて、背中を丸めて歩く僕より、ずっと自分に自信がある様に見える。
なんだか、この中にいると気後れしちゃいそう……早く杖を探して出て行こう。
オーフィザン様の部屋の下あたりに来たけど、杖は見つからない。周り一面、バラの木が高く育っていて、この中で杖を探すのは大変。それに、バラの花壇に落ちたのなら、花壇に入って、バラの花をどけて探すしかない。
だけど、このバラに触れると、ここの世話をしている庭師がめちゃくちゃ怒るんだ。でも、杖は絶対に探さなきゃならないし……
バラに気をつけながらなら、いいよね!!
花を避けながら、花壇に入り、杖がないか探してみる。
ないなー……い、いた! バラの棘が刺さった!! うわああ、髪にまで絡まってきた!
棘を外そうとしたら、バラの花の向こうに、何かが見えた。
あれ、まさか、杖!?
急いで視界を邪魔するバラを避けてみるけど、杖みたいなものが見えたあたりには、バラの枝しかない。
見間違いか……
引き返そうとしたら、くいって、後ろから髪を引かれた気がした。
な、なに!? 痛っ……
動こうとしたら、あちこちチクチク傷んで、服まであちこちから引っ張られちゃう。
何かと思ったら、花壇の奥に入りすぎて、服や髪に、いっぱいバラの棘が刺さっていた。外そうとしても外れない。
うう……困った……
なんとか棘を外そうとするけど、余計に棘が刺さるばかりで、ちっとも外れない。
もうバラを千切っちゃおうかな? だけど、これを千切ると大変なことになるし……
迷っていると、すごい怒鳴り声がした。
「クラジューーーーっ!! 庭に入るなっ!」
僕の方に向かって飛んできたのは、庭師のペロケだ。不思議な模様のレース生地の服を着て、背中に大きな黒い鳥の羽を生やした精霊族で、僕が苦手な人。だって、いつも僕を怒るんだ。
この城にきたばかりの頃、僕が芝や花を傷つけたりしたから、悪い印象を持たれてるらしい。今日もまた怒ってる……
「クラジュ!! 何してるの!? 早く出て! バラがかわいそう!」
「ご、ごめんなさい……さ、捜し物をしていたんです……」
「捜し物!? いいから出て!」
「で、でも、棘が絡まって……」
「棘? 仕方ないなー。棘、とってやるから大人しく……じっとしてて! バラが折れる!」
「は、はい!」
言われたとおり、僕は動くのをやめた。ペロケは丁寧に棘を取ってくれる。
「はい、取れた。早く花壇から出て!」
「はい!」
急いで僕は花壇から出た。
あちこち傷だらけだ……痛い……
傷を舐める僕を尻目に、ペロケはバラの方を心配している。彼は庭をすごく大事にしてるんだ。
「ひどい……こんなに葉っぱが取れちゃって……あっ!! ここ、棘が折れてる! クラジュっっ!!」
「ご、ごめんなさい!」
「クラジュは庭に立ち入り禁止って言っただろっっ!!!! それなのに、こんなところで何してたの!?」
「あ、そ、それは……ひゃ!」
こんな時なのに、泡が服の中で動き始めた!! なんで今動くのーー!?
お、落ち着かなきゃ……ちゃんと説明しないと、ペロケを怒らせちゃう!
「えっと、えっと……つ、杖を……」
うう……焦るのと感じるのとで、うまく説明できない。その上僕は、普段あまり話さない人と話すのが苦手なんだ。
困っていると、シーニュが走って来てくれた。
「おーい! どうしたんだー?」
うわあああ! 助かった!
僕は、急いでシーニュの後ろに隠れた。誰かと話す時に、ついシーニュの後ろに隠れちゃうのは僕の癖で、シーニュも慣れている。
彼は、ペロケをなだめてくれた。
「ペロケ、落ち着けよ。クラジュは捜し物をしてるだけなんだ」
「じゃあそれ、僕が探すから、クラジュは庭から出て行って! その猫、前に実をつけたばかりのリンゴをとって行っちゃったんだよ! 花が咲いたばかりのバラを折っちゃうし、クラジュは庭に立ち入り禁止ーーーーっっ!! 一歩も入らないで!」
「落ち着けって。な? じゃあ、杖、見つけたら教えてもらっていいか?」
「杖? それって、オーフィザン様の?」
「知ってるのか?」
「うん。朝、庭の見回りしてたら、バラ園に落ちてて……」
「どこへやった?」
「セリューに渡したよ。オーフィザン様のだから」
「そうか……ありがとう」
セリューか……僕が一番困る人だな……だけど、なんとか返してもらうしかない。
シーニュと僕は、ペロケにお礼を言って、城に戻った。
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