【本編完結】ネコの慰み者が恋に悩んで昼寝する話

迷路を跳ぶ狐

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番外編7.最終決戦

118.扉が開かない

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 僕は必死に走った。倉庫に向かいたいけど、周りの芝がニョキニョキ伸びてくるから、どっちが倉庫のあった方がわからない!!

 僕の身長より長く伸びた芝をかき分けて、勘だけで走ると、倉庫の扉っぽいものが見えてきた。あそこだ!!

 急いでその扉をあけて、中に飛び込む。

 中は真っ暗だ……どうしよう……あ、そうだ、確か壁にランプがあったはず……

 手探りで壁を探すと、何かが手に当たった。

 あ!! これ、オーフィザン様の部屋を燃やした時と同じランプだ。これなら使い方、分かる!

 なんとか明るい火をつけられて、ランプが倉庫の中を照らしてくれる。

 だけど、中は空っぽ。倉庫に見えたのに。おかしいなあ……

「捕まえましたよ」
「わああ!!」

 後ろから僕の首根っこを掴んだのは、どこかで見たことがある人。

 この人、魔法の道具の調整をしているクロクディルさんだ。セリューに羽が生えたのも、この人が手を貸したんだ。

 ううう……この人も敵なの?

「あなたを花園に行かせるわけにはいきません。オーフィザン様との結婚を諦めるなら、話は別ですが」
「嫌です!! 僕は絶対、オーフィザン様と結婚します! 離してくださいーーーっ!!」
「……よくそんなことが言えますね……自分がどれだけオーフィザン様にとって危険な存在か、分からないわけではないでしょう?」
「き、危険って……僕、危険じゃありませんっ!」
「……いいえ。危険です。あなたが今までにしたドジの数々を忘れたのですか?」
「う……」
「諦める気になりましたか?」
「なりませんっ! 僕はオーフィザン様と結婚します!!」
「……そうですか」

 そう言って、その人は僕を倉庫の奥に放り込む。いたた……

 起き上がっていたら、クロクディルさんは、バタンって外から扉を閉めちゃう。その上、外から閂を閉める音がした。

 扉に駆け寄るけど、やっぱり開かない!! うわああん! 閉じ込められた!

「考え直すまでそこにいなさい」

 うううー!! ひどい!!

「開けてーーっ!! 開けてくださいっっ!! 開けろーーーっ!!」

 いくら叫びながら扉を叩いても、ちっとも扉は開かない。扉に耳を当ててみると、遠ざかっていく足音が聞こえた。

 行っちゃった……

 扉に近づいて押したり引いたりしてみるけど、扉、開かない……

 こんなところで足止めされている場合じゃないのに!! なんとかしなきゃ! どこか、出られそうなところ、ないかな?

 倉庫の中を歩いて、逃げられるところが無いか探してみるけど、倉庫の中にはなにもない。困ったなあ……

 こうなったら、扉を壊す!!

 体当たりしてみるけど、扉はビクともしない。うううー。そうだ! ランプをぶつけちゃうのはどうだろう!!

 ランプを振り上げ、それを投げようとしたけど、直前で、外からシーニュの声がした。

「おい! クラジュ!! クラジュ!! ここにいるのか!?」
「シーニュ!!」

 急いで扉に駆け寄る。彼の名前を呼ぶと、扉の向こう側から、優しい声がした。

「クラジュ……お前なにやってるんだよ……」
「閉じ込められちゃったのーーっ!! でも今、ランプぶつけて、扉を壊そうとしてたの!」
「馬鹿やめろ! なんでもすぐに壊すな! 今開けてやるから少し待ってろ」

 扉の向こうからかちゃかちゃ音がする。よかったあ。シーニュが来てくれて。

「シーニュ……ねえ、開いた?」
「いいや。まだだ。魔法の鍵がかけてある。しばらく時間がかかりそうだ」
「わ、わかった……」

 クロクディルさん、そんな鍵までかけて行っちゃったんだ……すごく反対されてる……でも、僕はオーフィザン様と結婚するんだもん!!

「なあ……クラジュ……」
「なに? 開いた!?」
「……いや。まだだ。そうじゃなくて、お前、本気でオーフィザン様と結婚する気か?」
「うん! もちろん!!」
「……お前に恐れはないのか……」
「恐れ?」
「……だからさ、オーフィザン様に迷惑かけたらどうしようとか、そういうの、考えないのか?」
「か、かけないようにがんばるもん!! 僕、絶対いいお嫁さんになるんだもんっ!」
「……なんだかお前がうらやましくなりそうだ……」
「え? し、シーニュもオーフィザン様と結婚したいのっ!?」
「…………そうじゃねーよ……まあ、いいや。お前さ、一人でどうにかするなんて絶対無理……いや、無理どころかとんでもないことになるんだから、ちゃんと俺に相談しろよ」
「う、うんっ! もちろん!」
「……絶対だからな………………もうちょっと待ってろ。なかなか開かないな……」

 シーニュ、苦戦してるみたい。普段魔法の道具の調整をしているクロクディルさんがかけた鍵だ。きっと複雑なんだろう。

 そもそも、これ、僕が認めてもらうためにしているのに、シーニュに任せっぱなしでいいのかな? ダメな気がする!! だってそもそも僕の問題だもん!! 僕も何かしなきゃ!!

 頑張るぞ! 何か抜け出す手段を探さなきゃ!!
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