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番外編12.俺に懐かない猫に好かれる方法を教えてくれ
137.ごめん……
しおりを挟む立ち上がって、ロウアルさんを追って走り出そうとしたら、空からフィッイルが降りてきた。
「フィッイル!? ど、どうしたの? もしかして、ロウアルさんを追ってきてくれたの!?」
「そんなわけないだろ! バカ猫!」
あ、あれ? フィッイル、なんだかすごく怒ってる。なんで? 僕、なにかした??
「バカ猫!! さっきから何してるの!?」
「ぼ、僕はフィッイルを探してただけだよ? フィッイルこそ、僕らのこと、追いかけてきたんじゃないの? もしかして、ロウアルさんと話したかったの!?」
「バカ!? 違うっていってるだろ! お前とロウアルが二人で何か企んでるみたいだから、怖くて問いただしにきたの! なにしてるの!? さっきから!!」
「それは…………そ、それは、えっと……今はだめなんだけど……あ、後でロウアルさんが……じゃなくて、え、えっと……ぼ、僕が話したらダメなんだけど……」
「なに言ってるのか分からない!! これ!!」
フィッイルが突き出してきたのは、拳くらいの大きさの石。
「なに? それ?」
「なに? じゃない!! このバカ猫!! お前がさっき蹴飛ばしたせいで、僕の頭に当たったの!! どうしてくれるんだよ!! 腫れてるじゃん!!」
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「だってじゃない!! チョロチョロチョロチョロ鬱陶しい!! もう許さない!!」
フィッイルが構えると、彼の両手に光が生まれて、僕に向かって飛んでくる。
「え、え!? ふ、フィッイル!? わ、わざとじゃないもん!! 僕の話を聞いてよ!!」
「うるさーーい!! 言い訳なんか誰が聞くか!! 絶対許さなーい!!」
うわああああん!! 怖いーー!!
フィッイルの周りに生まれた光の球が、いくつも僕に向かって飛んでくる。
慌てて逃げ出すけど、そのあともフィッイルは僕を追って飛んでくるし、魔法もやめてくれない。いくつも僕の横をかすめては庭に突き刺さる。
フィッイルが本気で怒ったーーー!!
「フィッイルーー! ごめんてばー!! 許してよおおっっ!」
「うるさーい!! お前なんか、石ころにでも変えてやるー!!」
「わざとじゃないもーーん!! 話を聞いて!!」
「お前と話すことなんかないのーー!!」
「ぼ、僕のじゃなくてロウアルさんの……じゃなくて、今は言えないんだけどっ……! うわわわわわ! 危ない!!」
光はまるで雨みたいに僕を追って来る。
フィッイルは全然話を聞いてくれなくて、次々魔法を飛ばしてくる。このままじゃ、本当に石にされちゃう!!
「うわあああん! フィッイルーー!! やめてよーー!!」
「うるさーーい!! お前が石になってたほうがここが静かになる!!」
「そんなことないもん! フィッイルひどいもん! わわわわわ!!!」
飛んでくる光を僕が避けて、外れた魔法の光は、次々芝生を石に変えている。
あ、あれ? 周りの芝がいつのまにか、石まみれ!! こ、これって、まずいんじゃないかな!? さっき怒られたばっかりなのに!!
「フィッイルーー!! 芝!! 僕じゃなくて芝生が石になってる!! 芝の人が怒るよ! やーめーてーーーっっ!!!!」
「うるさーい!! だったらお前が逃げなきゃいいだろーー!!」
「そんなのやだもん! 僕、石になりたくないもん! フィッイルがやめればいいんだもん!! わあああ!!」
フィッイルの飛ばした魔法が、僕の足元に当たって、僕は転んじゃう。
こけて飛び込んだ先にあったのは、水みたいなものがいっぱい入ったバケツ。それに頭から突っ込んじゃった。うわあああん! また濡れた! びちょびちょだ!! せっかくシャワー浴びたのに!!
背後には怒ったフィッイルが腕を組んで浮いている。
「やっと追いついた……このバカ猫!」
「バカ猫じゃないもん!! 石のこと謝るから話を聞いてよ!!」
怒鳴ると、フィッイルは魔法を打つのをやめてくれて、なぜか青くなっていく。
「……お、お前……それ、なにかぶってるの……?」
「え? あ……お、落ちてたバケツ……」
さっき僕がひっくり返しちゃったバケツを拾う。これ、見覚えがある。このバケツ……
「あーー!! これ、さっき芝の人が持ってたバケツ!!」
え、じゃあ、これ…………芝を育てるためのもの!? うわあああん! どうしようーー!! またやっちゃった!! 中に入ってる液体も、僕が芝を育てすぎちゃった時のものだ!
「ど、どうしよう……フィッイル……」
「なんで僕に聞くの!? このバカ猫!! う、うわ……なにこれ!!」
僕らの周りにあった、石に潰されてた芝が、さっきの液体でびちょびちょに濡れて、にょきにょき伸びてきた。それはあっという間に僕の身長を越して空に向かってどんどん伸びていく。周りにある芝が一斉に伸びて、まるで僕が芝のジャングルにいるみたいだ!
うわああん! どうしよう!! 絶対また怒られる!!
そしたら空からも悲鳴。フィッイルが芝に襲われちゃってる!!
「何これ!! バカ猫おおおお!!!」
「フィッイル!!」
びっくりしたのか、それともまた魔法が暴走したのか、彼は落ちてきちゃう。
僕は彼を抱き留めようとしたけど、僕の体まで浮きだした! じゃない!! 僕の体が芝に巻き付かれてるんだ!! フィッイルも僕と同じように芝に捕まってる。どうしようー! 芝、解けない!! しかもそのまま伸びだした!
「うわあああん!! フィッイルーー!! なんとかしてよーー!!」
「できたらしてるよ! バカ猫!! もともとお前のせいだろ!!」
「フィッイルも追いかけたからちょっと悪いもん!!」
ど、どうしよう……芝、どんどん伸びてる!! もうお城の屋根も越しちゃいそう!!!!
高い……さっきまで僕らがいた庭が、遥か下にある。フィッイルが寝ていた木までパセリみたいに小さく見える!
「うわああああん!! フィッイルーー!! これ止めてよう!!」
「バケツひっくり返したのお前だろ!! バカ猫!! なんとかしろーー!!」
「そ、そうだ!! 僕、前に魔法の芝に捕まった時、噛みちぎって逃げたんだ!!」
「はあ!? バカ!?」
「そうだよ! フィッイル!! こんなの、切っちゃえばいいんだ!!」
「やっぱりバカ!! こ、こんなに伸びたの、どうやって千切るの!? って、食べてる!?」
だって、フィッイル助けなきゃだもん! 前はできたんだから、これくらいできるもん!!
僕は僕を捕まえていた芝に噛みつくけど……にが……
「うわっ……前に食べた時よりにーがーいーーーっっ!!」
「当たり前だろ!! バカ猫!! バーカーねーこーーーーっっ!!」
「だってフィッイル助けるんだもん! ロウアルさんと約束したんだもん!!」
「ロウアルと約束ってなんだよ!! お前、勝手になに約束したの!? このバカ猫!!」
「え!? えっと……そ、それは言えないんだけど……」
「なんで言えないんだよ!! なにする気だよこのバカ猫!!」
「お、怒らないでよう……変なこと約束してないよ? え、えっと…………えーっと……」
「なに? 変なことじゃないなら言ってみろよ!!」
「え、えっと……い、言えないけど、大事なことだもん! とにかくフィッイルが一緒に来てくれればいいんだもん!!」
「やだよ! とにかく来いなんてなんか怖い!!」
「うううー! フィッイル強情!!」
「うるさーい!! お前なんかに頼った僕がバカだった!!」
フィッイルは大きく手を上げる。その手に光が集まって、僕らを捕まえた芝がきしきしいってる。
「ふ、フィッイル! 魔法はダメだよ!! フィッイルの魔法、うまくいったことないのに!!」
「失礼だな! バカ猫!! うまくいくこともあるだろ!! お前も芝と一緒に石にしてやる!」
怒鳴ったフィッイルの周りから光が溢れて、周りの草たちが光り出す。
そしたら僕らに巻きつく力が少し緩くなって、そのすきに逃げることができた!! 僕もフィッイルも、高く伸びた芝の上に降りる。やったああ!!
「た、助かった……フィッイルすごい!!」
「まあねーー!! これで逃げられただろ!? 僕、オーフィザンに力を封じられる前はすっごい魔法使いだったんだからー!」
「すごい! すごいよーー!! フィッイルー!! わ!」
僕の頬に、ふわっとしたものが触れる。何かと思ったら、それは一匹の猫だった。毛の色は深い新緑みたいな色。猫は巨大化した芝の上に乗って、顔を僕の頬にすりつけてくる。
「え? え?! 猫? なんで??」
周りを見渡すと、いっぱいある草の先っぽがちぎれて、もう一匹の猫になる。
「ふ、フィッイル?? なんで猫??」
「う、うーん……ほ、本当は、草が全部集まって大きな石になるはずだったんだけど……ま、まあ、逃げられたらいいでしょ?」
「う、うん……逃げられたもん!! フィッイルの猫、可愛い!!」
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