誰より重くて愛がないと言われる僕の後ろには、いつも監禁趣味のあいつがいる

迷路を跳ぶ狐

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86.おねだり


 フュイアルさんは、拘束した僕の服のボタンを一番上から外し始めた。

「ちょっ……フュイアルさんっ……! 何するんですか!?」
「後でするって言ってたお仕置きが、幾つもあるだろ? 今、まとめてする」
「ふざけんなっ……! やめろ!!」

 やめろって言っているのに、フュイアルさんは、全然聞いてくれない。
 フュイアルさんの指が、僕の服に触れる音がして、ゆっくりと、ボタンが外されていく。

「フュイアルっ……さんっ……やだっ…………こ、こんなところでっ……! いやっ……ぁっ……!!」

 ついに、僕のシャツのボタンは、全部外されてしまった。

 こんなところで、こんなことをされているだけで恥ずかしいのに、フュイアルさんの周りには、すでにあの、僕が苦手な媚薬の魔法が飛んでいる。その、光る魔法の粒のうちの一つが、僕の体の中に入ってきた。

「ぅっ……!」

 いつもより、ずっと威力が小さい。一気に中心が膨れ上がることはなくて、もしかして、手加減してくれたのかと思った。

 残酷淫魔のフュイアルさんでも、ここは魔界との境界の街。ここに来るまでに、魔族の王だって来てるって話してたし、フュイアルさんだって、そんなに無茶苦茶しないはずだ。

 そんな甘い期待は、すぐに裏切られた。

 だんだん、じわじわと体が昂ってきた。頭まで快楽に犯され始め、ぼーっとしてしまうのに、まだ、理性が生きている。その分、自分がどれだけいやらしい姿をしているか、思い知らされてしまう。

 快楽から逃れようと、何度も体をよじるのに、服に肌が擦れて、それだけで感じるようになってきた。

「あっ……ぁ…………フュイアル……さん……っ!」
「……いやらしい。こんなところで……おねだりか?」
「ちがっ……魔法とけ変態!! 殺してやるから!」
「…………俺にそんな口をきいて、ただで済むと思うなよ」
「は!? んむっ……」

 僕の口に、枷が現れる。鎖をかまされただけだけど、こんなんじゃ、拒否する声も出せない。

「素直に話すって言ったときだけ、外してやる」
「んむっ……!」

 フュイアルさんの残酷な手が、僕の乳首をつまみ上げる。そのまま潰すようにされて、刺すような痛みに襲われた。
 つままれた乳首が痛い。ぎゅって強く、時々力を抜いて触れられて、優しくなったかと思えば、また強く責められる。痛くてたまらないのに、そこが焼けるように熱くなってきた。そこからゆっくり、快感が広がっていくみたいだ。

「うっ……うぅっ……」

 見下ろしたら、フュイアルさんに摘まれた乳首に、ぼんやり光るものが染み込んでいく。媚薬の魔法だ。

 壁に磔にされたまま、腰がピクンと跳ねる。
 フュイアルさんは、ガチャガチャ鎖を鳴らして感じる僕を見下ろし、ニヤリと笑った。

「気持ちいいか? これから、媚薬と責め具で、感覚ごと壊してやる」

 僕は、何度も首を横に振った。そんなことされたら、僕はどうなってしまうんだ。そんなの、怖い。

 だけど、この冷酷な男が許してくれるはずがない。強く乳首を摘まれているのに、媚薬で無理矢理快楽を押し付けられて、痛いのか気持ちいいのか、分からなくなりそうだ。

「ぁっ……!!」

 キュッと摘まれたそこが、すでに少し膨らんでいる。いつもよりずっと敏感になってしまったのか、もう、硬くなったそこを指でぐりぐりと押されただけで、股間が濡れていく。我慢できずに先走りが溢れているらしい。
 それでもまだ溜まったものは出せない。
 フュイアルさんは、僕の乳首はいじめるのに、僕が解放してほしいところには触れてくれない。苦しいのに。

「ぁっ……あぁっ……」
「トラシュ…………そろそろ辛いか?」
「……」

 こいつ……そんなこと分かってるくせにっ! 僕の体壊して楽しそうにしやがって!!

 だけど、枷をつけられた口じゃ何も言えない。
 その間も、フュイアルさんの、乳首への執拗な責めは続く。すっかり膨らんだ胸の先を、さらに嬲るように、その周りを指先で優しくなぞられた。まるで、ひどく脆いものに触れるような、優しい手つきで。早くイキたいのに、わざとやってるんだ。こんな微かな刺激じゃイケないのを知っててやってるんだ。

 いつのまにか、すっかり敏感にされてしまった乳首を、僕は差し出すように突き出していた。
 それを見て気をよくしたのか、フュイアルさんが意地悪な顔で笑う。

「素直になるなら、口枷を外してやってもいい」
「……っ!!」

 すぐに僕は頷いてしまった。快楽に、体も理性も蝕まれてしまったらしい。僕には、絶対に言えないことがあるのに。

 それなのに、一度頷いてしまったから、もう遅い。
 フュイアルさんは、口枷を外してくれた。すでにそれは、僕が物欲しげに垂らした涎でどろどろになっていて、そんなものを見られるだけで、恥ずかしかった。

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