僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
52 / 106

52.俺たちにも、協力させてくれ!

しおりを挟む
 宰相様には、失った魔力をゆっくり回復してもらうことにして、僕は、レオトウェルラレット様と客間で街の警備隊の方々を迎えた。竜のヴァルウィトフェルが警備隊を客間まで案内してくれて、警備隊の方も驚いていたようだった。

 今日来てくれたのは、街の残党たちを捕縛してくれた警備隊の人たちと、警備隊隊長のフェルデラッド様。あれから、残党たちの本拠地には警備隊が入り、調査が開始されたらしい。
 保護された人たちにも、警備隊が話を聞いて、これから調査が進むようだ。それを聞いてホッとした。貴族たちの欲望の犠牲になった人たちが、これ以上理不尽な目に遭わなければいい。

 ソファに座った街の警備隊長さんは、僕に微笑んで言う。

「昨日、この山でフィルロファルが拘束してくれた連中も、今回の横領に関わった貴族たちに使われていた奴らだった。指示を出していた男が、貴族たちが集めた者たちを使って、道具の回収と保管、運搬をさせていたようだ。中には、逆らってひどい暴力を受けた者もいたが、すべて保護して、治療を進めている」
「そうですか……」
「金と引き換えに一族に働くように言われたような者も多かった。彼らのことは、しばらく警備隊の砦で預かる。事件をもみ消したい貴族たちが何をするか分からないからな……」
「……はい……」
「彼らを使っていた貴族どもだが、中には王都の方で、魔法の道具を長く管理している貴族もいた……これは、王国に対する反逆だ」
「……そんなに……」
「保護した者たちからも、話を聞いている。王都の調査隊とも連携していく予定だが、向こうは完全には信用できない。だからこそ、ここに来た。何かあれば、王都の貴族に調査の結果を伝える役目を担ってほしい」
「僕が……ですか?」
「ああ。何か、問題があるか?」
「…………」

 問題なんてない。むしろ、嬉しい。僕に……任せてくれるんだ……

「……ま、任せてください!! 公爵家の方々が、今回の横領を調査してくださっています! 必ず伝えます!!」
「そうか……ありがとう……それと、フィルロファル……その、たびたびで申し訳ないが、頼みたいことがある」
「頼みたいこと……ですか?」
「ああ……修復の魔法が使えるのだろう?」
「は、はい……」
「昨日保護した者たちの中に、国から持ってきた大切な道具が壊れてしまい、帰れないと言っている者がいるんだ。この辺りではかなり珍しくて、修復もできないようで……」
「えっと……僕の修復の魔法で直せるかわかりませんが……見せてもらってもいいですか?」
「ああ。もちろんだ」

 言って隊長さんは、僕にその道具が入った袋を渡してくれる。

 中に入っていたものを見た竜が言った。

「これ、見たことあるー!」
「え?」
「友達のところで! フィルロファルのためなら、それに関する書物を持ってきてあげる!」
「いいんですか?! ありがとうございます!」

 彼にお礼を言って、僕は隊長さんに振り向いた。

「これ、少し預かってもいいですか? できるか分かりませんが、僕の方でも、調べてみます!」
「本当か!? 助かる……うちの警備隊には、修復の魔法が使えるものが少ないんだ」

 そう言ったかと思うと、隊長さんは、急に僕に向かって頭を下げる。

「本当に……助かった!! これまでも……あなたはそうやって街で困ったことがあった時に力を貸してくれていたのに、俺たちは挨拶もせず、ろくに礼も言わず…………それどころか一方的に依頼するばかりで、申し訳なかった……!」
「いっ……いえ……そんな……!! ここは幽閉のための砦だし……許可がないと、連絡なんて取りにくいでしょうから……」
「……俺たちの方でも、幽閉が終わるように、王都の方に進言しておく」
「えっっ!!?? で、でも……そんな…………」
「あなたを幽閉しておくなんて、あまりに理不尽だ。今回残党たちを捕縛できたのも、あなたのおかげなのに……こんなこと、あってはならないんだ。俺たちも……あなたの幽閉が終わるように、全力を尽くす!」
「え……で、でもっ……!」

 気持ちは嬉しい。僕だって、この幽閉はいつか終わってほしいから。

 ……だけど……いいのかな??

 僕の幽閉を決めた人の中には、王都で重鎮と呼ばれる貴族もいる。それなのに、この街の警備隊を巻き込んだりして、迷惑をかけてしまうんじゃないのか!?

 もしかしたら……彼らまで貴族たちに狙われるかもしれないのに……

「あ、あのっ……待ってください!! ゆ、幽閉なら、自分でなんとかします! 事件が明らかになれば……」
「しかし……」
「ほ、本当にっ……僕は、あんまり気にしてないし……」
「気にしてくれ。不自由を強いられているのに」
「でも…………」
「フィルロファル! これは、俺たちが理不尽だと思うから、それに抗いたいだけだ!! 気にしなくていい!!」

 隊長さんが言うと、警備隊のみんなも同意して頷いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

ネガティブなΩがスパダリαから逃げる

ミカン
BL
オメガバース

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

処理中です...