冷遇された僕、思いが募るばかりなので遠ざかったら嫉妬心を見せつけた隊長が襲いかかってくる。僕じゃなくても良い、邪魔するなって言ってたのに……

迷路を跳ぶ狐

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16.何をしていたんだ?

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 ヴァンフィルイト隊長に見つかった。その恐怖で、体が震える。動けなくなりそうだ。

 彼は、ゆっくりと、僕に近づいてくる。僕が一歩前に出れば、彼に触れることが出来そうな距離で、僕をじっと睨んでいた。

「ひっ…………」

 怯えて、開いた唇までもが震えていた。すぐにでも逃げ出してしまいたいのに、足がすくんでいる。

 ……どうしよう…………

 見られた……

 早速、揉め事を起こしているところを。

「……何をしている?」
「あっ…………ち、ちがっ……!」

 僕が伯爵にかけた拘束の魔法で、伯爵の体には、僕の鎖が巻き付いている。全部服の下に入れたし、離れていれば気づかれない。脅しに使った魔法の球だって。だけど、魔法に精通している者が至近距離にくれば、普通に見えるし何をしていたかも分かる。

 絶対に、拘束の魔法バレた。魔法で脅していたことだってバレた!! さっさと隠せよ僕の馬鹿!!

 慌てて、今さら魔法を消す。もちろん、そんなのとっくに遅い。

 何をしていたんだっ……! 彼が近づいてきたことに気付いたのなら、すぐに、伯爵にかけた拘束の魔法を解けばよかったのに!

 …………いや、そうじゃない。魔法で伯爵を拘束したりしたらだめだ。

 どうしよう……

 今日は、ヴァンフィルイト様にとって大切な日。だから、それを僕も大事にして、彼を守りたいって思ったのに、こんな騒ぎを起こしてしまうなんて…………僕はまた、隊長の邪魔をしてしまったんだ…………

「あっ…………あのっ…………!!」

 言い訳が一つも出てこない。

 伯爵にかけた拘束の魔法は解いたけど、伯爵はよほど恐ろしかったのか、尻餅をついていた。

 広場もざわざわし始める。さっきまでは、二つの部隊の間に対立の空気があったのに、今度は動揺が広がっていく。

 どうしよう……最悪だ。

 こんなことをしてしまうなんて……

「…………何をしていたんだ?」

 再度聞かれて、僕は、オロオロしながら言い訳を始めた。

「あ、え、えっと…………ち、違うんです…………ヴァンフィルイト様…………あの……だから……伯爵様の首に……ま、魔物がっ…………! 魔物がいたんです!! すぐにお守りしなくてはと思い……倒していました!」

 自分でも聞いていられない……こんなすぐにバレる下手な言い訳をしている暇があるなら、早く謝罪すればいいのに……

 だけど、酷く冷たい彼の目を見たら、怖くて言えない。きっと、怒っている。

 僕は、なんてことをしてしまったんだ……

 ……やっぱり、言い訳なんてできない。僕が、ヴァンフィルイト様の邪魔をしてしまったんだ。

 そう思ったのに、ヴァンフィルイト様は、僕を見下ろして言う。

「…………そんな男は、守る必要などないだろう」
「え!?」
「今日は、俺の護衛じゃないのか?」
「え……えっと……は、はい…………そ、そうです……」
「それなのに、今度は、その男を守っていたのか?」
「へっ……!? な……なんのことですか?」

 その男って……伯爵のこと?

 だって、今揉め事なんて起こしちゃダメだろ……相手は、ずっと王家に仕えてきた伯爵家。蔑ろにしていいはずがないのに……
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