冷遇された僕、思いが募るばかりなので遠ざかったら嫉妬心を見せつけた隊長が襲いかかってくる。僕じゃなくても良い、邪魔するなって言ってたのに……

迷路を跳ぶ狐

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30.君たちのおかげ

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 僕が行くと言うと、王子殿下は嬉しそうにしていた。部隊の人には、本当にいいのか? と聞かれたけれど、殿下を一人にしておくわけには行かないし、ブレロブル様に用があるらしい。
 このまま、殿下の部隊の方が休憩しているところまで送りますと言っても、絶対に行ってくれそうにないし、一人でテントに向かわれても困る。

 食べかけだったものは全部平らげて、回復も終えた僕は、それを持ってきてくれた部隊の人にお礼を言った。

「あ、あの……ありがとうございました……しばらく部隊を離れます……」
「気をつけろよ……殿下にまた騙されんなよ」
「だ、騙されたりなんか……」
「お前、たまに馬鹿で心配だ。なんかあったら俺に報告しろ。部隊の奴らに、グレウォゴレルに話があるって言えばいい」
「はい……」

 なんだか、ひどく心配されている……僕、そんなに頼りにならないのか?

「……本当に大丈夫か? 殿下を連れていって」
「はい……殿下も会議の様子が気になるようですし、ブレロブル様に大切な用事があるとおっしゃっていますから……」

 僕が言うと、殿下も胸を張る。

「そうだよ。魔物の状況は、共有しておいた方がいいだろ? それに、ブレロブルは僕に会議があることを言わずに行っちゃったんだから、僕も困ってるんだ」
「ブレロブル様が……?」

 会議のこと、殿下には話してなかったのか? 確かに、なんで殿下がいないんだろうとは思っていたけど……ブレロブル様でも、報告を忘れたりするんだな……

 部隊の人も、腕を組んで言った。

「あのブレロブル様が、会議のこと忘れたりするんですか……? なんだか、信じられませんけど……」
「君は本当に疑り深いな」
「今回のことで、王族に任せておくことがますます不安になってきました。デフィトリュウィクはそんな風だし、あまり彼に無理難題を言わないでください」
「分かってるよー」

 軽い口調で言う王子殿下に、殿下を最初に見つけて僕らに「見慣れない奴が、テントに近づこうとしてる」と報告に来た人が、ひどく怯えた様子で声をかけた。

「あっ……あのっ…………殿下……その……俺……」

 彼は、真っ青だった。ずっと話さなかったし、怯えていたみたい。一番最初に殿下を不審な人だと言ったのは彼だし、それを気にしているんだろう。

「あの……お、俺……も、申し訳ございません……」

 けれど、怯える彼に、殿下は微笑んだ。

「何がー?」
「え……?」
「君らのおかげで、遠征は順調! 会議が終わるまでに、ちゃんと回復して置いてね!」

 言って、もう一人に殿下は振り向く。

「さっき王族なんかに任せておいたら不安って言ってた無礼な君も。せいぜい気をつけてね。僕に殺されないように」
「そんなことばっかりおっしゃっていて、王家が見捨てられても知りませんよ」

 二人は睨み合って、殿下は僕の手を握る。

「じゃあ、行こうか」

 殿下に手を引かれるまま、僕は会議が行われているテントに急ぐことにした。







 二人に別れを告げてから、僕らはテントのある方に向かった。その間も、殿下は上機嫌。

「僕の国の部隊のみんなは、元気で頼りになるなー」
「……あの、殿下…………会議には本当に出席なさるのですか?」
「もちろんだよ。だって僕、ブレロブルを連れ戻しにきたんだ」

 殿下はずっと、ブレロブル様のことばかりだな……僕にヴァンフィルイト様の護衛を頼んだ時も、ブレロブル様が殿下の護衛につく交換条件って言ってたし……よほどブレロブルさまに護衛になって欲しかったんだろう。
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