冷遇された僕、思いが募るばかりなので遠ざかったら嫉妬心を見せつけた隊長が襲いかかってくる。僕じゃなくても良い、邪魔するなって言ってたのに……

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
65 / 85

65.それが終わったら

しおりを挟む
 殿下は、僕の腕を強く引っ張りながら、護衛の人たちに振り向いて言う。

「ここからは、彼が僕の護衛してくれるから、君たちはここにいてね!!」

 急にそんなことを言われて、護衛の一人が「しかし殿下! 殿下をたった一人に任せてはおけません!」って、もっともな反論をする。

「せめて我々もっ……!」
「だめ!! 君たちがいたんじゃ、またブレロブルに逃げられちゃう!! デフィトリュウィクは、この前の城での騒動で、僕を守ってくれたんだよ?! 彼がいれば十分だから!!」

 ……殿下……それはあまりに過大評価です!!

 だけど、殿下がこんなことを言い出すことは、想像できた。きっと、護衛の方々を振り切るためにここに来たんだ。
 護衛の人数が増えているのも、殿下がすぐにどこかに行っちゃうから。あの作戦の間にも、殿下はよく護衛の方を振り切って、僕のところに来ていた。

 僕と一緒に行きたいって言ってくれるのは嬉しい。僕だって、殿下に会えるのも一緒にいるのも楽しいから。
 だけど、僕だけじゃ力不足だし、何より殿下が僕のことすら振り切ってどこかに行っちゃいそうで怖い……

「殿下……あ、あの…………やっぱり……ブレロブル様を探すなら、護衛の方も一緒に行きましょう。そうでなくても、会議の時間になったら、みんな集まるはずですし……」
「きっとブレロブルがいるところに君の隊長もいるよ!?」
「……え…………隊長が?」

 隊長は一族の方と会議の準備をしているはずだけど…………ブレロブル様と一緒にいるのか?

 い、いやっ……何考えてるんだっ……!! これは、いつもの殿下の手口じゃないか。僕を護衛ってことにして、ブレロブル様を探しに行きたいんだ。

 だけど……

 僕だって、本当は隊長を探しに行きたい。今すぐに、隊長に会いたい。

 会議の時間までまだあるんだし、準備があるなら、僕だって手伝う。なんだってするから、隊長のそばにいたい。

 城に来て、隊長のそばにいられるようになったのに、いつだってそれだけじゃ足りない……だけど……隊長だって、今は会議の準備で忙しいんだ!! わがまま言ったらダメだ!!

「た、隊長には会いたいですけど……い、今は隊長は忙しいんだから、ダメですっ!」
「デフィトリュウィクまで、ブレロブルみたいなこと言わないでよ!」

 言って、殿下は部屋を飛び出して行こうとする。そうはさせるか!!

「待ってください!!」

 叫んで、殿下に飛びついて止める。すると、殿下は僕に振り向いて、口を尖らせた。

「……素早くなったね……」

 護衛の方々も、僕に手を貸してくれたり、拍手したりしている。

 だけど、殿下はますますムッとしてしまう。

「離してよ!! あいつ、冷たいんだよ! いつも殿下は殿下の仕事をしてくださいって言って……」
「…………えーっと……それは、当たり前のことなんじゃ……」

 僕が恐る恐る言うと、殿下は僕のことを睨んでくる。

「じゃあなんで、君とかヴァンフィルイトの前では、まるで友達にみたいに接するの!?」
「え…………?」
「僕といる時だけ、殿下、お勉強は終わったんですか? だって! あんまりだよ!! 僕は、あいつと友達になりたいんだよ!? それなのに、あいつはずっとあの調子で、よそよそしくて……僕は、それがずっとと寂しくて辛いのに……」
「殿下……」

 なんだか、殿下がひどく落ち込んでいるように見えてきた……

「あ、あの…………それなら、ブレロブル様にそう話してみるといいと思います……」
「ブレロブルに……? 聞いてくれるかな……」
「き、聞いてくれると思います!!」
「だったら、僕と一緒に来てよ!!」
「い、今はダメです! もうすぐ会議ですよ!?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

捨てられた花屋のオメガは、雨の日に現れたスパダリ社長に溺愛される~抑制剤をやめたら、運命の番に捕まりました~

水凪しおん
BL
花屋『フルール・リリエン』で働くオメガの藍沢湊は、かつて家柄を理由に番(つがい)に捨てられたトラウマから、アルファを頑なに拒絶して生きてきた。 強力な抑制剤でフェロモンを隠し、ひっそりと暮らす湊。しかしある雨の日、店に現れたIT企業社長のアルファ・橘蓮に見初められてしまう。 「この花、あなたに似ている」 毎日店に通い詰め、不器用ながらも真っ直ぐな愛を注ぐ蓮。その深い森のような香りに、湊の閉ざされた心と、抑え込んでいた本能が揺さぶられ始めて――? 傷ついたオメガ×一途で完璧なスパダリ社長。 雨上がりの紫陽花のように涙に濡れた恋が、あたたかな陽だまりに変わるまでの、救済と溺愛のオメガバース。 ※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました

多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。 ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。 ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。 攻め ユキ(23) 会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。 受け ケイ(18) 高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。 pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

【完結】みにくい勇者の子

バナナ男さん
BL
ある田舎町で農夫をしている平凡なおっさんである< ムギ >は、嫁なし!金なし!の寂しい生活を送っていた。 そんなある日、【 光の勇者様 】と呼ばれる英雄が、村の領主様に突然就任する事が決まり、村人達は総出で歓迎の準備をする事に。 初めて会うはずの光の勇者様。 しかし、何故かムギと目が合った瞬間、突然の暴挙に……?     光の勇者様 ✕ 農夫おっさんのムギです。  攻めはヤンデレ、暴走ロケット、意味不明。 受けは不憫受け(?)だと思いますので、ご注意下さい。ノリよくサクッと終わりますm(__)m 頭空っぽにして読んで頂けると嬉しいです。

処理中です...