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22.眠れなかった……
しおりを挟む会長……いつもはすごく優しいのに、たまにちょっとだけ意地悪なんだ。
すっかり勃ってしまった僕は、何とか自分でしたけど、会長がドアの向こうで「俺のこと考えてる?」とか「今どこ触ってる?」とか、意地悪な質問ばっかりするから、恥ずかしくて堪らなかった。
外に出ると、会長はそこで待っていてくれた。だけどもう恥ずかしくて仕方なくて、お風呂に入りたいですって言ったら、じゃあ、どうやってイったのか話してくれたらって言われて、全部白状させられて、消えたくなった。
会長には、寮にある温泉に行こうって誘われたけど、あんなことの後で二人で温泉なんて、絶対に無理。涙ながらに頼んだら、部屋にあるお風呂に、順番に入ることにしてくれた。
食堂に行った時は、ご飯は俺が食べさせてあげるねって言われて、もうご飯どころじゃなかった。
部屋に帰ってきたら、いっぱいキスされて、明日の予習を始めたら、会長が手伝ってくれた。
そのあと二人で各々布団に入って、照明を消して、会長に「おやすみ」って言われたけど、大好きな会長が同じ部屋の少ししか離れていないところにあるベッドにいるのに、眠れるわけない。
ずっと眠れずに会長の寝顔を眺めて、そんなことをしている間にいつの間にか朝になっていた。
夜遅くまで起きていたから眠いのに、朝日の眩しさに無理やり起こされて、大きなあくびが出る。
朝かあ……
まだ寝てたい……
布団を被り直して、寝返りを打つ。
だけど、そこで布団の向こう側から声がした。寝言みたいに聞こえて、布団から顔を出したら、向こうのベッドで会長が寝てる。
部屋は二人部屋。ベッドは、部屋の端と端に二つ。
向こう側のベッドで、会長が気持ちよさそうに寝てる。
会長の寝顔……可愛い。金色の髪が顔にかかって、キラキラ光ってる。カーテンから少し漏れた光に照らされた姿に見惚れてしまいまそう。
もっとそばに行きたい……だけど下手なことをしたら、会長が起きてしまう。そんなの、寂しい。もう少しだけ……見てようかな……会長のこと。
だけど、じーっと見ていたら、会長が目を覚ましてしまう。
「おはよう……ディトルスティ」
「あっ……お、おはようございます……」
「起きてすぐにディトルスティの顔が見れるって、いいなー……俺、ずっとディトルスティに会いたかったから」
「会長……」
会長が笑顔でそう言ってくれた。それだけで、僕はこんなに幸せ。
会長も、僕と同じように、僕に会いたいって、思ってくれていたんだ。
温かいものが胸の中に広がって行くみたいだ。
会長……好きです。
いつもは重苦しい朝も、何だか今日は輝いて見える。窓の外には快晴の空が見えた。すごくいい天気。会長と二人で外を歩いたら気持ちいいんだろうな……
デート……したいなあ……誘ってみようか。でも、どこへ行こう!? 初デートって、どこに行けばいいんだろう。会長とならどこに行っても楽しそう。だけど今日は授業があるし……授業が終わったら、夜にデートなんてどうだろう。夜景も見れるし……会長と、夜景……
色々妄想していたら、会長が僕の顔を覗き込んでくる。
「ディトルスティ? どうしたの? そんなに嬉しそうにして」
「え!? な、何でもないんです! そ、そんなに嬉しそうな顔……してましたか?」
「うん。すごくニコニコしてる」
「…………だって……嬉しいんです…………」
ずっと会いたかった。置いていかれて、見送る時だって、走って行って止めたかった。
学園に入学するための試験を受ける時だって、その勉強をする間だって、すごく不安だった。
学園で試験を受けた時は、ここに会長がいるんだから、もしかしたら会えないかなって期待したけど、会長の姿を見ることはなかった。
本当は探したかったけど、問題を起こして試験が台無しになるのが嫌で、必死に我慢した。
だけど本当は試験の間ずっと不安で、会長のそばに飛んで行きたかったんだ。
貴族たちの試験官を前に、魔法を披露した時だって、緊張を抑えてくれたのは、僕に優しくしてくれた会長の笑顔を思い出したからです。
「僕……僕も、トウィント様に会いたくて……ずっと、こんなふうに朝を迎えたかったんです」
すると、会長は微笑んでくれた。
「大好きだよ…ディトルスティ。これからは、ずっと俺のそばにいて?」
「はい……」
会長……大好きてます。こんな風にそばにいられて、怖いくらいだけど、ずっと、このままならいいな、なんて考えちゃいます。
会長……大好きです。
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