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事の顛末ー優月sideー
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「いやあ、しかしゆづにプロポーズ、断られなくてよかった。」
「え…?」
陽仁が吐き出すようにそう言った。あの後優月は車を呼んでいた陽仁と一緒に車に乗り、優月たちの元々の家に向かっていた。のだが、実はその前にもう一幕あった。
「なんでそんなにびっくりした顔するの?」
陽仁が優月に問いかける。ちなみに広い車なので、体勢はまた先ほどのように優月が陽仁に後ろから抱きしめられている形だ。なんで驚いているか?そんなの決まっている。だって――――――
「あんなにしっかり書いてある婚姻届持って来てたから、成功するの分かってたんじゃないの?」
優月は思わず拗ねたような声を出す。あの後、すぐに笑顔の陽仁に優月の記入するところ以外すべて全て記入済みの婚姻届けを差し出された。優月は一瞬驚いた。なぜなら本当に文字通り自分の記入欄以外全て―――住所から証人の署名から印鑑から、本当に何から何まで記入済みで、後は優月が記入するだけの状態になっていた。……その住所が優月も知らない場所で、陽仁に聞くと『子供ができるなら一軒家の方がいいかと思って。大丈夫。ゆづも間違いなく気に入るよ。』と言われたり、証人の欄になんだかとてもすごい名前が書いてあったりしたのだが…
(いや、俺が気に入るかとかいう問題じゃなくない?そりゃはる君がそういうんだったら間違いないんだろうけどさ。…それに、あの証人の欄はもう見なかったことにしたけど、いいよね?なんか日本を代表する大企業二つの社長の名前が書かれてたような…あれ、婚姻届だよね?何か大事な取引の契約書とかじゃないよね…?)
優月は突っ込みどころ満載の婚姻届けを思い出してげんなりする。しかもその婚姻届は、車に乗ってすぐに役所に連れていかれたので既に提出済みだ。…とにかく、優月としては、あんなもの持って来といてよくそんなこと言えるな、と思わずにはいられないのだ。
「いや、俺も断られるかもって結構ドキドキしてたよ。ゆづ、意外と頑固だし帰ってくるの説得できなかったらどうしようって思ってた。―――――まあプロポーズは、成功させる気ではあったけどね。」
陽仁がさわやかな笑顔で告げる。言い方からして、まだ何か優月を説得する材料があったようだ。
「まだ何か考えてたの?」
「いや、そんなことはないよ。ただ―――――もう父さんに結婚するって言っちゃった。」
陽仁がいい笑顔で告げる。
(そういうことか…。)
優月にはすぐに意味が分かって、陽仁の用意周到さにいっそ呆れた。陽仁のもう父さんに言った。それの意味するところは、陽仁の会社と関わりのある全ての企業に通達された
で間違いない。陽仁の父親は親馬鹿で、すぐに息子の話をしたがる。それに、陽仁の家族は優月のことも、本当の家族のように思っていい、などと言って可愛がってくれているのだ。そんな可愛い息子たちのおめでたい話、広めて回っていないわけがなかった。
(ほんとにいい人なんだけどね…もしかするともうお披露目する準備とかも進んでるかもな……)
優月は思わず遠い目になる。優月がプロポーズを断っていたら、もうすでに自分は結婚すると周りに言ってしまった、と言うつもりだったのだろう。いや、下手するとこれすら用意していたことの一つだったのかもしれない。そうは思うものの、それ以上聞く気力は優月にはなかった。
「はあ…」
優月は思わずため息を吐く。
(結局今回もはる君の掌の上だったのか…)
優月が拗ねてしまうのも無理はなかった。今回の、優月の逃亡プランは優月にしてはめずらしく自信があった。だというのに、結局陽仁はこんなものを準備しながら優月を見つけ出してしまったのだから。
「ところでゆづ、一つ聞いてもいい?」
「うん?」
陽仁が後ろから優月に尋ねてくる。なんだろうか、と優月が思っていると陽仁がの耳元に顔を持ってきて、言った。
「…俺のいない間に、他のαに会った?」
「え…?」
陽仁が吐き出すようにそう言った。あの後優月は車を呼んでいた陽仁と一緒に車に乗り、優月たちの元々の家に向かっていた。のだが、実はその前にもう一幕あった。
「なんでそんなにびっくりした顔するの?」
陽仁が優月に問いかける。ちなみに広い車なので、体勢はまた先ほどのように優月が陽仁に後ろから抱きしめられている形だ。なんで驚いているか?そんなの決まっている。だって――――――
「あんなにしっかり書いてある婚姻届持って来てたから、成功するの分かってたんじゃないの?」
優月は思わず拗ねたような声を出す。あの後、すぐに笑顔の陽仁に優月の記入するところ以外すべて全て記入済みの婚姻届けを差し出された。優月は一瞬驚いた。なぜなら本当に文字通り自分の記入欄以外全て―――住所から証人の署名から印鑑から、本当に何から何まで記入済みで、後は優月が記入するだけの状態になっていた。……その住所が優月も知らない場所で、陽仁に聞くと『子供ができるなら一軒家の方がいいかと思って。大丈夫。ゆづも間違いなく気に入るよ。』と言われたり、証人の欄になんだかとてもすごい名前が書いてあったりしたのだが…
(いや、俺が気に入るかとかいう問題じゃなくない?そりゃはる君がそういうんだったら間違いないんだろうけどさ。…それに、あの証人の欄はもう見なかったことにしたけど、いいよね?なんか日本を代表する大企業二つの社長の名前が書かれてたような…あれ、婚姻届だよね?何か大事な取引の契約書とかじゃないよね…?)
優月は突っ込みどころ満載の婚姻届けを思い出してげんなりする。しかもその婚姻届は、車に乗ってすぐに役所に連れていかれたので既に提出済みだ。…とにかく、優月としては、あんなもの持って来といてよくそんなこと言えるな、と思わずにはいられないのだ。
「いや、俺も断られるかもって結構ドキドキしてたよ。ゆづ、意外と頑固だし帰ってくるの説得できなかったらどうしようって思ってた。―――――まあプロポーズは、成功させる気ではあったけどね。」
陽仁がさわやかな笑顔で告げる。言い方からして、まだ何か優月を説得する材料があったようだ。
「まだ何か考えてたの?」
「いや、そんなことはないよ。ただ―――――もう父さんに結婚するって言っちゃった。」
陽仁がいい笑顔で告げる。
(そういうことか…。)
優月にはすぐに意味が分かって、陽仁の用意周到さにいっそ呆れた。陽仁のもう父さんに言った。それの意味するところは、陽仁の会社と関わりのある全ての企業に通達された
で間違いない。陽仁の父親は親馬鹿で、すぐに息子の話をしたがる。それに、陽仁の家族は優月のことも、本当の家族のように思っていい、などと言って可愛がってくれているのだ。そんな可愛い息子たちのおめでたい話、広めて回っていないわけがなかった。
(ほんとにいい人なんだけどね…もしかするともうお披露目する準備とかも進んでるかもな……)
優月は思わず遠い目になる。優月がプロポーズを断っていたら、もうすでに自分は結婚すると周りに言ってしまった、と言うつもりだったのだろう。いや、下手するとこれすら用意していたことの一つだったのかもしれない。そうは思うものの、それ以上聞く気力は優月にはなかった。
「はあ…」
優月は思わずため息を吐く。
(結局今回もはる君の掌の上だったのか…)
優月が拗ねてしまうのも無理はなかった。今回の、優月の逃亡プランは優月にしてはめずらしく自信があった。だというのに、結局陽仁はこんなものを準備しながら優月を見つけ出してしまったのだから。
「ところでゆづ、一つ聞いてもいい?」
「うん?」
陽仁が後ろから優月に尋ねてくる。なんだろうか、と優月が思っていると陽仁がの耳元に顔を持ってきて、言った。
「…俺のいない間に、他のαに会った?」
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