16 / 25
第16話:寺垣翼は怒られる?
しおりを挟む
僕が1人、個室でチビチビとお茶を飲んでいると、寺垣さんと美作さんが戻ってきた。
でも2人の表情は、対象的だった。
美作さんは、それはもう楽しそうな笑顔を浮べていた。
なんだったら個室に入る直前、振り返って吉良さんに手を振っていたくらいだからね。
打ち解けすぎじゃない?
え、これは美作さんのコミュ力?
それとも吉良さん?
いや、どっちもかな。
吉良さん、男が苦手って言ってたけど、女の人相手だと普通に接してるもんね。
それに美作さんだって、初対面の僕にも凄く優しくしてくれたし。
まぁ、2人が仲良くなれたみたいだし、とりあえずは良かったのかな?
それよりも問題は寺垣さん。
なんだか難しそうな顔をしてる。
やっぱり静海さん、人見知りが激しくて、上手く話せなかったのかな?
僕がそんな事を考えていると、寺垣さんが話しかけてきた。
「はぁ。なんか、怒られちまった。『初日から飲むなんて、随分と余裕ね』って」
え?静海さんそんな事言ったの!?
うわぁ、これ僕も、後で帰ったら怒られるのかなぁ。
「なぁ芦田、静海課長補佐ってどんな人なんだ?」
あ、初めて寺垣さんからまともに名前呼ばれた気がする。
うーん、どんな人、かぁ。別に怒るような人とも思えないんだけどなぁ。
「んー、どんなって言われても・・・別に普通だと思うんですけど・・・」
まぁ、飲ませてくること以外は、だけどね。
「芦田、静海課長補佐と仲良さそうだったよな?どんな手を使ったんだ?」
どんな手、って。あくどいみたいに言わないで欲しいんだけど。
「さ、さっきも言ったけど、僕、静海さ――課長補佐とは、同じアパートなんです。それで静海課長補佐、ブルーレイ機器とか、そういう機械系に弱いみたいで、時々その接続とかをお手伝いしたりはしてました」
まぁ、お手伝いっていうより、全部僕がやって、静海さんは優雅にワイン飲んでただけだけど。
「なるほど、機械系、か。どっちにしろ、そういう細かい所から信用を勝ち取っていくしかないわけか・・・」
なにやら寺垣さんは、そう言って考え込んでいました。
「とにかく、ありがとな。また何か情報あったら、すぐに教えてくれ」
そう言って、真面目な顔で、寺垣さんは僕に言いました。
その向上心?には素直に凄いと思ったけど、なんとなく偉そうだって感じた僕は、性格が悪いのかな?
「それにしても―――」
寺垣さんは、すぐに僕から視線を逸して隣の美作さんに目を向けました。
「星ちゃんは、いいよな。すぐに吉良係長と仲良く話せて」
「そうかな?でも吉良係長、凄く優しそうな人で安心しちゃった」
美作さんが、そう笑ってグラスを手に取った。
「・・・・飲んでて、いいのかな?」
寺垣さんが言われた静海さんの言葉を気にするような美作さんの言葉に、僕達は何も言い返すことができず、結局その日はそのまま帰ることになった。
2人と別れてアパートに戻った僕は、シャワーを浴びて共有スペースで一息ついていた。
なんで自分の部屋にいないのかって?
それはね・・・
「「ただいま~」」
あ、静海さんと吉良さんが帰ってきた。
僕は、2人を、というより静海さんを待ってたんだ。
「あ、あの、静海さん・・・」
僕は恐る恐る静海さんに話しかけた。
「あら、幸太じゃないの。どうかしたの?」
「あの・・・すみませんでした!」
そう言って僕は、静海さんに頭を下げた。
「今日の飲み会、僕が誘ったんです。同期の2人と仲良くなりたくて!だから、寺垣さんは悪くないんです!」
静海さん、ごめんなさい、僕は嘘をついてます。でも、これが一番良いと思ってるから、だから、それも許してください。
「・・・・・・・・寺垣君から聞いたのね」
少し間をおいて、静海さんが静かに言いました。
僕が顔を上げると、静海さんはなんだか悲しそうな顔をしていました。
「こ、幸太君、気にしなくていいのよ。あれは、智恵が悪かったんだから。ね、智恵!」
吉良さんが、すかさずそう言って笑っていました。
「・・・・えぇ。あれは私が大人気なかったわ。明日、寺垣君にもフォローは入れておくから、幸太は気にしなくて良いのよ」
そう言って静海さんは、僕の肩にそっと手を触れてそのまま共有スペースをあとにしました。
「・・・・・・・・」
「あっ、幸太君、2人とは仲良くなれた?星ちゃんなんて、凄く可愛くて幸太君にお似合いだと思うんだけどなぁ」
気まずい雰囲気になったのを感じたのか、吉良さんが笑ってそんな爆弾を投げてきた。
「そ、そんな!確かに綺麗な人ですけど、僕となんて・・・」
「そうかしら?お似合いだと思うんだけどなぁ。良かったら、私が応援しましょうか?同じ係だし、どうとでもできるわよ?」
吉良さん、それ職権濫用です。
っていうか吉良さん、全然『男嫌い』じゃないくらいガンガン話しかけてくるじゃないですか!
「いや、ほんと勘弁してください!」
僕は、お断りのために吉良さんに頭を下げた。
美作さんとどうにかなるとは思ってないけど、吉良さんが協力するなんて聞いたら、寺垣さんがなんて言うか、怖いよ。
「え~、残念!せっかく、母親らしいことできると思ったのになぁ~」
吉良さんは笑いながら、
「じゃぁ、おやすみなさい。明日から頑張ってね、息子よ!」
そう言って共有スペースを出ていった。
吉良さん、僕を息子だと認識してるんだ。
まぁ、僕が『お母さんみたい』って言っちゃったからかな。
なるほど、男じゃなくて息子と思って接してるから、普通に話せるのかもしれないな。
僕は、そんなことを考えながら、明日に向けて早く寝るべく自分の部屋へと戻っていった。
でも2人の表情は、対象的だった。
美作さんは、それはもう楽しそうな笑顔を浮べていた。
なんだったら個室に入る直前、振り返って吉良さんに手を振っていたくらいだからね。
打ち解けすぎじゃない?
え、これは美作さんのコミュ力?
それとも吉良さん?
いや、どっちもかな。
吉良さん、男が苦手って言ってたけど、女の人相手だと普通に接してるもんね。
それに美作さんだって、初対面の僕にも凄く優しくしてくれたし。
まぁ、2人が仲良くなれたみたいだし、とりあえずは良かったのかな?
それよりも問題は寺垣さん。
なんだか難しそうな顔をしてる。
やっぱり静海さん、人見知りが激しくて、上手く話せなかったのかな?
僕がそんな事を考えていると、寺垣さんが話しかけてきた。
「はぁ。なんか、怒られちまった。『初日から飲むなんて、随分と余裕ね』って」
え?静海さんそんな事言ったの!?
うわぁ、これ僕も、後で帰ったら怒られるのかなぁ。
「なぁ芦田、静海課長補佐ってどんな人なんだ?」
あ、初めて寺垣さんからまともに名前呼ばれた気がする。
うーん、どんな人、かぁ。別に怒るような人とも思えないんだけどなぁ。
「んー、どんなって言われても・・・別に普通だと思うんですけど・・・」
まぁ、飲ませてくること以外は、だけどね。
「芦田、静海課長補佐と仲良さそうだったよな?どんな手を使ったんだ?」
どんな手、って。あくどいみたいに言わないで欲しいんだけど。
「さ、さっきも言ったけど、僕、静海さ――課長補佐とは、同じアパートなんです。それで静海課長補佐、ブルーレイ機器とか、そういう機械系に弱いみたいで、時々その接続とかをお手伝いしたりはしてました」
まぁ、お手伝いっていうより、全部僕がやって、静海さんは優雅にワイン飲んでただけだけど。
「なるほど、機械系、か。どっちにしろ、そういう細かい所から信用を勝ち取っていくしかないわけか・・・」
なにやら寺垣さんは、そう言って考え込んでいました。
「とにかく、ありがとな。また何か情報あったら、すぐに教えてくれ」
そう言って、真面目な顔で、寺垣さんは僕に言いました。
その向上心?には素直に凄いと思ったけど、なんとなく偉そうだって感じた僕は、性格が悪いのかな?
「それにしても―――」
寺垣さんは、すぐに僕から視線を逸して隣の美作さんに目を向けました。
「星ちゃんは、いいよな。すぐに吉良係長と仲良く話せて」
「そうかな?でも吉良係長、凄く優しそうな人で安心しちゃった」
美作さんが、そう笑ってグラスを手に取った。
「・・・・飲んでて、いいのかな?」
寺垣さんが言われた静海さんの言葉を気にするような美作さんの言葉に、僕達は何も言い返すことができず、結局その日はそのまま帰ることになった。
2人と別れてアパートに戻った僕は、シャワーを浴びて共有スペースで一息ついていた。
なんで自分の部屋にいないのかって?
それはね・・・
「「ただいま~」」
あ、静海さんと吉良さんが帰ってきた。
僕は、2人を、というより静海さんを待ってたんだ。
「あ、あの、静海さん・・・」
僕は恐る恐る静海さんに話しかけた。
「あら、幸太じゃないの。どうかしたの?」
「あの・・・すみませんでした!」
そう言って僕は、静海さんに頭を下げた。
「今日の飲み会、僕が誘ったんです。同期の2人と仲良くなりたくて!だから、寺垣さんは悪くないんです!」
静海さん、ごめんなさい、僕は嘘をついてます。でも、これが一番良いと思ってるから、だから、それも許してください。
「・・・・・・・・寺垣君から聞いたのね」
少し間をおいて、静海さんが静かに言いました。
僕が顔を上げると、静海さんはなんだか悲しそうな顔をしていました。
「こ、幸太君、気にしなくていいのよ。あれは、智恵が悪かったんだから。ね、智恵!」
吉良さんが、すかさずそう言って笑っていました。
「・・・・えぇ。あれは私が大人気なかったわ。明日、寺垣君にもフォローは入れておくから、幸太は気にしなくて良いのよ」
そう言って静海さんは、僕の肩にそっと手を触れてそのまま共有スペースをあとにしました。
「・・・・・・・・」
「あっ、幸太君、2人とは仲良くなれた?星ちゃんなんて、凄く可愛くて幸太君にお似合いだと思うんだけどなぁ」
気まずい雰囲気になったのを感じたのか、吉良さんが笑ってそんな爆弾を投げてきた。
「そ、そんな!確かに綺麗な人ですけど、僕となんて・・・」
「そうかしら?お似合いだと思うんだけどなぁ。良かったら、私が応援しましょうか?同じ係だし、どうとでもできるわよ?」
吉良さん、それ職権濫用です。
っていうか吉良さん、全然『男嫌い』じゃないくらいガンガン話しかけてくるじゃないですか!
「いや、ほんと勘弁してください!」
僕は、お断りのために吉良さんに頭を下げた。
美作さんとどうにかなるとは思ってないけど、吉良さんが協力するなんて聞いたら、寺垣さんがなんて言うか、怖いよ。
「え~、残念!せっかく、母親らしいことできると思ったのになぁ~」
吉良さんは笑いながら、
「じゃぁ、おやすみなさい。明日から頑張ってね、息子よ!」
そう言って共有スペースを出ていった。
吉良さん、僕を息子だと認識してるんだ。
まぁ、僕が『お母さんみたい』って言っちゃったからかな。
なるほど、男じゃなくて息子と思って接してるから、普通に話せるのかもしれないな。
僕は、そんなことを考えながら、明日に向けて早く寝るべく自分の部屋へと戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる