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第二章 旅立ち
第六話 紋章の力発動
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「うおおおわああああぁぁぁぁぁ!!!!!」
目を覚ました瞬間、俺は絶叫した。
それもそのはずだ。昨日出会ったばかりの女が俺にのしかかり、胸にある紋章をチュウチュウと吸っていたんだからな。
しかもその女、タケルはキョトンとした顔でこちらを見てくる。何が悪いのか分かっていない表情だ。
今すぐ走って置いていきたい気分が浮上したのは言うまでもない。
「何してんだ、テメェ! この痴女!!」
「ちょっ! 痴女って何よ!! もうちょっと力もらったら何か思い出せないかなって試してみただけでしょ!!」
頬をぷうっと膨らませて可愛らしさを演出しているようだが、ふざけろ。
俺はタケルを押しのけて立ち上がると、紋章を服で即座に隠した。
「……で? 何か思い出せたのか……?」
自身の髪をかき上げつつ聞いてみる。これ以上冷たくしないのはタケルの事情を知ってしまったからだ。さすがに記憶のない相手に思い出そうとするな、なんて言えないだろ……。
「全く。力すら吸えなかった!」
テヘっといった感じで笑うタケルに脱力と怒りが同時に芽生える。何とも表現しがたい感情にもやもやしていると、いきなり地を這うような轟音が響き渡った。
「な、なんだ!?」
「あ、ごめ~ん。あたしのお腹」
マジか!? あんな音が出るもんなのか!?
そう思ったが確かに何も食べていなかったことを思い出し、俺は森の中へと進んでいった。タケルもついて来る。
「どこ行くの?」
「何か食べられそうなもの採ってくるんだよ。お前も探してこい」
「分かった! 行ってくるね!」
タケルはすぐさま駆け出していく。置いてかれるとか迷うとか考えてねーんだろうな……。
「あいつのおかげで落ち込む暇もねー……」
ついつい苦笑が漏れた。
「けど、確かに落ち込んでる場合じゃねーよな」
決めたんだ。村の人たちが信じてくれた自分になるって。遅いかもしれないけど、それでも何かしたいって……さ。信頼を無駄にしたくない。いつか笑って彼らに向き合えるように……。
だからせめて今、俺にできることをやらないと。
「うし! 探しに行くか!」
気合を入れて足を踏み出した途端、木々が急にざわざわと騒ぎ始めた。
「なんだ……?」
『気を付けて、ウッドシーヴェル』
『これは、私達では抑えきれないっ……!』
「!!!」
突如俺の足元が盛り上がったかと思えばそこから木の根のようなものがうねうねと出てくる。足元を崩されたことで、俺はバランスをとれずにしりもちをついた。その隙を狙って根らしきものが俺を弾き飛ばす。
「う、ぐぁッ……!」
腹に、信じられないほどの衝撃が走った。そのまま地面に体をこすりつけ吹き飛んでいく。背後にある木に体を強かに打ちつけ、ようやく止まったかと思えば頭で理解する前に再び頭上から木の根が飛んできた。
「げほっ……! 冗談じゃねぇ!!」
とっさに転がって避けると、目の前に現れたそれの全貌をようやく見据える。
木だ。一言で説明すればそれは木に間違いなかった。その一本の木はまるで生きて意思を持ったかのように根を振り上げてこちらに襲い掛かろうとしている。否、襲い掛かってきた。
俺は慌てて昔の感覚を思い出しながら魔法を発動する。アホなことに剣はタケルに預けたままだったんだ。
「ああ!?」
だが発動したはずの魔法は何の反応も見せなかった。嘘だろ!? 復活したんじゃなかったのかよ!? 慌ててワタワタしているその隙にも、木の根はこちらに向かって次から次へと襲い掛かって来る。まるで俺自身が狙われてるみたいだ。
「どーゆーことだよ!? 何で出ねーんだ!?」
訳も分からず左手で自身の紋章を擦ってみる。途端、辺りから急に光があふれてきた。
「この……、感覚……っ!!」
ゴゴゴ……と地面が揺れたかと思えば、辺りの土が巻き上がり花びらの形を作り上げていく。
花の加護。
俺の魔法の元となっている力だ。花が触れるもの、聞こえるもの、例えば風や土、水や音、薬や毒になる成分。その能力を集めて高め、それを魔法として利用することができる。
「何を高められるかはそいつの力によるらしいけどな!!」
ニヤリと笑って手を振れば花びらの形をとった土の塊が刃のように飛んで行く。そのまま襲い掛かってきていた木の根を切り刻んだ。根を失った木はバランスを崩し、その場に倒れ動かなくなる。
「でき……た……」
久しぶりの魔法の感覚にやや感動を覚え、自身の右手のひらを呆然と見つめる。十年ぶりなせいか以前より力は鈍っている気はしたが、間違いなく俺の意思に反応してくれたんだ。嬉しさが徐々にこみあげてくる。
紋章に触れていた左手も右手の隣に持ってきて両手を見つめれば喜びもひとしおだ。
「この力があれば……今までできなかったこともできる……」
そう呟いて両の拳を握ったのと、横から声がかかったのは同時だった。
「うっしー! 見つけたぁ!! もう大変だったんだよ! どこ行っても木ばっかりで食べられそうなものないし、ようやく一個見つけて帰ろうと思ったら帰れなくなっちょぁ!!!」
声の方を振り返ってみれば、ちょうどタケルが先程倒した木につまずいたようで、手に持っていた怪しげな色の果実をフルスイングで投げつけてきた。
もちろん油断していた俺にそれを避けるなんて素早い行動ができるわけもなく……。
見事それは俺の右側の額に当たりぐしゃりとつぶれる。ゆっくりと額から頬を伝っていく生暖かい果汁と信じられないほどの腐臭を確認した瞬間、俺のこめかみに青筋が走った。
「いったたぁ~……。なんでこんなとこに木があるのよ、もう!!」
何で腐った果実投げつけられなきゃならねーんだって俺の方が先に問いたいわ。
俺は生暖かい腐った果汁を指で払うと、笑顔でタケルに近づいた。もちろん唇の端は引きつってるし、こめかみには青筋が入ったままだけどな。ぴくぴく、ひくひく震える部分は見て見ぬふりしててほしい。
「そいつがどういう訳か襲ってきやがった。先へ進みながら食べられるもの探すからついて来い」
こいつとは離れて行動するのも危険だ。俺はそう悟りを開いた。
そこからは木々の声を頼りに食料を探しつつ先を急いだ。いつもより早足なのは、こうなったら次の街でタケルを置いていこう。そう決意したからだ。
もちろんレガルについて調べてやるし、記憶を取り戻す手伝いはしてやるが一緒に行動する必要なんてないだろ? いや、ないはずだ!! ないに決まっている!!!!
そんな思いが俺の足をさらに速めていった。
「待って! 待ってようっしー! うっしーってば~!」
背後から聞こえるタケルの声も、なにもかもを無視して俺は水場を探しつつ街へと急いだ。
――――――☆――――――☆――――――
ウッドシーヴェルが早足で森の奥へと消えた頃、先程倒された木に近づく者があった。
「……思ったよりは――――だな。ふむ、もう少し様子を見るか……」
その者が倒れた木に触れると、その木はゆっくりと土に飲み込まれ消えていく。
木々が、ざわめく。
『生きていたのね、――――』
『そう、あなたが……』
『もう二度と、あの悲劇は……』
「いいんだ。そのために今、動いてるんだからね……」
その者はゆっくり踵を返すと、森の中へと消えていった……。
目を覚ました瞬間、俺は絶叫した。
それもそのはずだ。昨日出会ったばかりの女が俺にのしかかり、胸にある紋章をチュウチュウと吸っていたんだからな。
しかもその女、タケルはキョトンとした顔でこちらを見てくる。何が悪いのか分かっていない表情だ。
今すぐ走って置いていきたい気分が浮上したのは言うまでもない。
「何してんだ、テメェ! この痴女!!」
「ちょっ! 痴女って何よ!! もうちょっと力もらったら何か思い出せないかなって試してみただけでしょ!!」
頬をぷうっと膨らませて可愛らしさを演出しているようだが、ふざけろ。
俺はタケルを押しのけて立ち上がると、紋章を服で即座に隠した。
「……で? 何か思い出せたのか……?」
自身の髪をかき上げつつ聞いてみる。これ以上冷たくしないのはタケルの事情を知ってしまったからだ。さすがに記憶のない相手に思い出そうとするな、なんて言えないだろ……。
「全く。力すら吸えなかった!」
テヘっといった感じで笑うタケルに脱力と怒りが同時に芽生える。何とも表現しがたい感情にもやもやしていると、いきなり地を這うような轟音が響き渡った。
「な、なんだ!?」
「あ、ごめ~ん。あたしのお腹」
マジか!? あんな音が出るもんなのか!?
そう思ったが確かに何も食べていなかったことを思い出し、俺は森の中へと進んでいった。タケルもついて来る。
「どこ行くの?」
「何か食べられそうなもの採ってくるんだよ。お前も探してこい」
「分かった! 行ってくるね!」
タケルはすぐさま駆け出していく。置いてかれるとか迷うとか考えてねーんだろうな……。
「あいつのおかげで落ち込む暇もねー……」
ついつい苦笑が漏れた。
「けど、確かに落ち込んでる場合じゃねーよな」
決めたんだ。村の人たちが信じてくれた自分になるって。遅いかもしれないけど、それでも何かしたいって……さ。信頼を無駄にしたくない。いつか笑って彼らに向き合えるように……。
だからせめて今、俺にできることをやらないと。
「うし! 探しに行くか!」
気合を入れて足を踏み出した途端、木々が急にざわざわと騒ぎ始めた。
「なんだ……?」
『気を付けて、ウッドシーヴェル』
『これは、私達では抑えきれないっ……!』
「!!!」
突如俺の足元が盛り上がったかと思えばそこから木の根のようなものがうねうねと出てくる。足元を崩されたことで、俺はバランスをとれずにしりもちをついた。その隙を狙って根らしきものが俺を弾き飛ばす。
「う、ぐぁッ……!」
腹に、信じられないほどの衝撃が走った。そのまま地面に体をこすりつけ吹き飛んでいく。背後にある木に体を強かに打ちつけ、ようやく止まったかと思えば頭で理解する前に再び頭上から木の根が飛んできた。
「げほっ……! 冗談じゃねぇ!!」
とっさに転がって避けると、目の前に現れたそれの全貌をようやく見据える。
木だ。一言で説明すればそれは木に間違いなかった。その一本の木はまるで生きて意思を持ったかのように根を振り上げてこちらに襲い掛かろうとしている。否、襲い掛かってきた。
俺は慌てて昔の感覚を思い出しながら魔法を発動する。アホなことに剣はタケルに預けたままだったんだ。
「ああ!?」
だが発動したはずの魔法は何の反応も見せなかった。嘘だろ!? 復活したんじゃなかったのかよ!? 慌ててワタワタしているその隙にも、木の根はこちらに向かって次から次へと襲い掛かって来る。まるで俺自身が狙われてるみたいだ。
「どーゆーことだよ!? 何で出ねーんだ!?」
訳も分からず左手で自身の紋章を擦ってみる。途端、辺りから急に光があふれてきた。
「この……、感覚……っ!!」
ゴゴゴ……と地面が揺れたかと思えば、辺りの土が巻き上がり花びらの形を作り上げていく。
花の加護。
俺の魔法の元となっている力だ。花が触れるもの、聞こえるもの、例えば風や土、水や音、薬や毒になる成分。その能力を集めて高め、それを魔法として利用することができる。
「何を高められるかはそいつの力によるらしいけどな!!」
ニヤリと笑って手を振れば花びらの形をとった土の塊が刃のように飛んで行く。そのまま襲い掛かってきていた木の根を切り刻んだ。根を失った木はバランスを崩し、その場に倒れ動かなくなる。
「でき……た……」
久しぶりの魔法の感覚にやや感動を覚え、自身の右手のひらを呆然と見つめる。十年ぶりなせいか以前より力は鈍っている気はしたが、間違いなく俺の意思に反応してくれたんだ。嬉しさが徐々にこみあげてくる。
紋章に触れていた左手も右手の隣に持ってきて両手を見つめれば喜びもひとしおだ。
「この力があれば……今までできなかったこともできる……」
そう呟いて両の拳を握ったのと、横から声がかかったのは同時だった。
「うっしー! 見つけたぁ!! もう大変だったんだよ! どこ行っても木ばっかりで食べられそうなものないし、ようやく一個見つけて帰ろうと思ったら帰れなくなっちょぁ!!!」
声の方を振り返ってみれば、ちょうどタケルが先程倒した木につまずいたようで、手に持っていた怪しげな色の果実をフルスイングで投げつけてきた。
もちろん油断していた俺にそれを避けるなんて素早い行動ができるわけもなく……。
見事それは俺の右側の額に当たりぐしゃりとつぶれる。ゆっくりと額から頬を伝っていく生暖かい果汁と信じられないほどの腐臭を確認した瞬間、俺のこめかみに青筋が走った。
「いったたぁ~……。なんでこんなとこに木があるのよ、もう!!」
何で腐った果実投げつけられなきゃならねーんだって俺の方が先に問いたいわ。
俺は生暖かい腐った果汁を指で払うと、笑顔でタケルに近づいた。もちろん唇の端は引きつってるし、こめかみには青筋が入ったままだけどな。ぴくぴく、ひくひく震える部分は見て見ぬふりしててほしい。
「そいつがどういう訳か襲ってきやがった。先へ進みながら食べられるもの探すからついて来い」
こいつとは離れて行動するのも危険だ。俺はそう悟りを開いた。
そこからは木々の声を頼りに食料を探しつつ先を急いだ。いつもより早足なのは、こうなったら次の街でタケルを置いていこう。そう決意したからだ。
もちろんレガルについて調べてやるし、記憶を取り戻す手伝いはしてやるが一緒に行動する必要なんてないだろ? いや、ないはずだ!! ないに決まっている!!!!
そんな思いが俺の足をさらに速めていった。
「待って! 待ってようっしー! うっしーってば~!」
背後から聞こえるタケルの声も、なにもかもを無視して俺は水場を探しつつ街へと急いだ。
――――――☆――――――☆――――――
ウッドシーヴェルが早足で森の奥へと消えた頃、先程倒された木に近づく者があった。
「……思ったよりは――――だな。ふむ、もう少し様子を見るか……」
その者が倒れた木に触れると、その木はゆっくりと土に飲み込まれ消えていく。
木々が、ざわめく。
『生きていたのね、――――』
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