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-第一章-スプリングフィールド王国編-
-第一章十二節 不遇の護衛任務と初のパーティ戦と初の野宿-
しおりを挟むマサツグ達が馬車に乗って王都を離れること数十分…徐々に先ほどまで居た筈の王都が
遠く遠ざかり小さく見え出した頃、戦士・僧兵・魔法使い・盗賊・二日酔い…
そしてマサツグは和気藹々と話をしながら護衛の任務に当たっていた。如何やら
マサツグを含む全員が積荷を積んである馬車の方へと乗り込み、一応いつでも
飛び出せるよう手元に武器を置いては、多少の揺れでも微動だにしない荷物を
見詰め、興味を持ったマトックがマルコに声を掛ける。
「……なぁ?…マルコさん?…」
「んん?…何でしょうか?」
「一応で確認をしたいんだが…この積荷が商品なんだよな?…
物はなんだい?」
「え?…えぇ、調味料に胡椒や岩塩…後は香草類ですかね?…」
__どよっ!?…
荷物が心配なのか一緒の馬車に乗っていたマルコへ声を掛け、マルコが
その呼び掛けに返事をするとマトックは今回の護衛対象の積荷について質問をする。
特に気になると言った様子でマルコの隣にあるパンパンの大きな布袋を指差して
中身を尋ね、その問い掛けにマルコが若干戸惑うもその質問に答えるよう大きな
布袋を手元に移動させ、その布袋の紐を開けて中身を見せると、今回運んでいる品の
正体を明かし始める。そしてその商品の正体を見た護衛メンバーが突如驚いた様子で
袋に入っている大量の胡椒の粒を見詰め、マサツグがその様子に不思議そうな表情を
浮かべては自身の隣で青い顔をして唸っている二日酔いのエルフに尋ね始める。
「……?
…おぉ~い…何で皆あの胡椒を見て驚いてんの?…
別に珍しくも…」
「うぅ~……え?…胡椒?…そりゃ驚くに決まってるじゃない…
まず一般家庭で胡椒を扱うなんてとんでもない話…使ったとしても塩と料理酒位で…
胡椒使う所なんて言ったら超一流のレストランか上流階級の宿か…
後は王室料理人位よ?…胡椒1kgで下手すると家一軒は建つわよ?…」
「ッ!?…そんなに?…マジで?…」
「……大マジよ……うぅ~…」
マサツグの問い掛けに対し二日酔いのアヤは青い顔をしながらもマサツグに胡椒の
貴重さを、一般家庭や使う店・人…そして軽いレートの話を交えて説明をし、それを
聞いたマサツグが考えられないと言った様子で驚いて控えめ気味にアヤへ本当か
どうかを確認する。その確認にアヤはやはり青い顔をしながらガクンガクンと馬車に
揺られて首を振り、本当とマサツグに答えてマサツグの肩に寄り掛かってまた唸り
始める。そのアヤの返事を聞いてマサツグが慌てた様子でクエスト確認画面を
開いては改めてこの護衛クエストの内容を確認するのだが、何処にもそんな貴重品を
運ぶといった事は書いてはおらず、話の内容を聞いた限り明らかに駆け出し向きの
任務ではない。そして恐る恐る今回の積荷の方を確認すると先ほどアヤが言った胡椒
1kgなど簡単に超える量の物資が積まれており、この任務が失敗した時…罰則金
などが出た事を考えるとマサツグも一緒になって青ざめ始める。
「おいおい…マジかよ!…
これの何処が駆け出し冒険者向きなんだ?…」
「うぅ~…言っておくけどギルドは悪くないし…
そのマルコって言う商人も悪くは無いからね?…」
「え?…」
他のメンバーが初めて見たと言った様子で大量の胡椒を見詰める中、マサツグが
青ざめ詰まれた荷物を見上げていると、アヤがマサツグの言葉と気持ちを察したのか
唸りながらも目を覚ましてギルドもマルコも悪くないと双方の肩を持つ。突如目を
覚ましたアヤのその突然の言葉にマサツグがハッ!と元の顔色に戻って肩に
寄り掛かるアヤに目を向け、戸惑った様子で言葉を漏らしているとアヤは双方の
都合を知っているかの様にマサツグに説明をし始める。
「…まず護衛任務って言うのはハッキリ言って割に合わない依頼なのよ…
時間を掛けて護衛対象を守りながら目的地まで先導する…ちょっとでも怪我を
させたり、物に傷が付けばそれだけで報酬は下がったり、最悪の場合は弁償だとか……
…そうなって来ると今度困るのは本当に目的地まで連れて行って欲しい人達で、
ここ最近はそう言った事の無いようギルドでも配慮はしてくれていて…
悪質依頼者のブラックリストなんて物も作って居るけど……やっぱり実入りの悪い
護衛任務は今だに不人気で誰もやりたがらない…
だからこうして簡単に見せ掛けて人を引っ張って来るのよ…
……それに正直に書いたらその商人が何を扱っているか?とか他の商人に
手の内を見せちゃうことになるし…更に悪く言えば依頼に来た客…
もしくは冒険者に見せ掛けた盗賊とかに狙われる可能性だって出て来ちゃうから…
やりたくなくてもこうして騙すしか無いのよ?…
…例え…本人がやりたくなくてもね?……ッ!…うぅ~…」
アヤが説明したのはいかにこの護衛任務が不遇か如何かの話で、ギルドはそれを
改善する為に動いて居る事…商人がいかに苦労しているか等色々な事がアヤの口から
飛び出し、その話は周りのメンバーの耳にも届いて居たのか先ほどまで胡椒を見て
騒いでいたのが気が付けば静かになっていた。そして馬車の中の雰囲気はまるで
葬式の様に陰鬱な雰囲気になり始め、全員が黙って俯いてしまうとマサツグが
心の中で色々考え始める。
{別にこんな所まで現実に近付けなくても…
…いや、これはそのゲームのAIがそうさせたのか?…
そちらにせよゲームなのに何か考えさせられるな…}
「……先ほどの話を聞かせて貰いましたぞ?…
えぇ~っと…確かアヤ殿…でしたかな?…
先ほどの説明…お見事です!…まさにその通り!…
アナタ方を騙す様な事をして申し訳ない…」
マサツグが心をモヤモヤとさせながらその説明を聞いて一人考えていると、同じ様に
話しを聞いて居たのかマルコがマサツグとアヤの方に向けて話し掛け、
確かめる様にアヤの名を呼び、先ほどの説明について称賛の声を掛けると同時に
冒険者達に対して反省の色を滲ませた表情を見せると、頭を下げて謝り始める。
そのマルコの様子にマトックや宗玄が慌てて声を掛けてはマルコに頭を上げるよう
声を掛ける。
「ッ!?…ちょ!…そんな事こっちだって百も承知で受けてるんです!!…
別に謝る必要なんて!!!…」
「そうですぞ!!…マルコ殿!!
それに拙僧は見返りが欲しくて受けた訳では無い!…
これも修行と思い請けた次第で…人を助けると言うのは至極当然な事!!」
「ッ!…皆さん!……有難う御座います!!!…
もし、この運搬が無事終わりましたらその暁に…
報酬を上乗せさせて頂きます!…」
__オオオォォォ!!……
「ですのでどうぞご助力を!!…」
マトックがこの依頼が訳アリだと言う事を重々承知していると、最初から分かって
居た様子で謝る必要は無いと慌ててマルコに声を掛け、それに続くよう宗玄が
これ位如何って事は無いと修行の言葉を口にして、助けるのは当然と堂々宣言する。
その他のメンバーもマルコの方を見詰めて無言で頷き、やる気の見せた表情を
見せたりと各々がマルコに気にするなと言った態度を見せて居ると、マルコはそんな
護衛メンバーに感激したのかホロリと涙を流しては喜び、そして涙を拭って見せると
この依頼が成功した際の報酬の額を上げると笑顔で宣言する。その言葉を聞いて
メンバーが驚き喜ぶ声を挙げていると、マルコは最後に改めてお願いするよう言葉を
口にしてはメンバーに頭を下げるのだが、次の瞬間前方の馬車から突然大声が
聞こえて来る!
「ッ!!…オオカミだ!オオカミが出たぞー!!!」
__ッ!?…バッ!!……ダッダッダッダッダ!!!…
「ッ!?…あっちか!!…だが……数は!?…」
「か…数は!……約三十!!!…」
大声を上げたのは恐らくは御者だろう…狼が現れた事を叫んではその叫び声に
冒険者一同がハッ!とした様子で武器を手に馬車から飛び出し、耳を澄ませて
狼が向かって来る方向を確認すると、しっかりと大群で走って来る足音が
聞こえて来る。しかし向かって来る方向が分かっただけで大体の頭数が分からず、
先に見つけた御者に向かってマトックが少し慌てた様子で狼の数を尋ねると、
その御者は怯えながらも向かって来る狼の数を数えてはマトックに向かい
叫び返す!それを聞いたメンバーが武器を構え迎え撃つ体勢に入るのだが、
アヤ一人だけは疑問を持った様子で弓を構える。
{数が三十?……?…}
「さぁ皆さん、出番ですぞ!
皆さんを信じておりますので!!…お願いします!!
怪我をされましたら無理せず薬草をお使い下され~~!!!!」
こちらに向かい走って来る狼に対しアヤが疑問の表情を浮かべながらも弓を
構えていると馬車からマルコが顔を出し、マサツグ達冒険者の身を案じた
言葉を口にする。そうして御者が見つけた狼の群れが漸く目視で大群だと言う事が
分かる頃、マサツグが辺りを注意深く見渡し全員の位置を把握すると、軽く緊張した
様子で剣を構え始める。何故ならこれが初のパーティバトルだからであった。
更に言うと今回集団で相手するのはあの時のウサギの軍団とは違い狼の群れ、
今までと勝手が違う上にこのゲームには一応ながらFFのシステムも有る。
勿論やってしまった際はダメージ補正が入るのだがそれなりに痛いし、技によっては
怯み・ノックバック等の一時的行動不可も付いて来る。それらの事を頭に入れて
マサツグが軽く呼吸を一つ吐くと、まず最初に向かって来る狼達の鑑定をする。
「ふぅ~……ッ!…鑑定!!」
__ピピピ!…ヴウン!…
-----------------------------------------------------------------------
「平原オオカミ」
Lv.6
HP 750 ATK 70 DEF 50
MATK 0 MDEF 0
SKILL
遠吠え
-----------------------------------------------------------------------
「……これなら行けるか!…」
「ウオォォォォォーー!!」
「へッ!?……」
マサツグが狼を鑑定しその結果を見ては大した事が無いと確認していると、突如
叫び声が聞こえては誰かがマサツグの隣を走り抜けて行く。その声に反応して
マサツグが走り抜けて行った者の正体を確認するとそれはマトックであり、
マトックは右手に斧を左手に盾を構えては一直線に狼達の群れに向かい走って
行き、その姿はまるで戦士と言うよりは何処か未開の地に居る蛮族みたいに
見えて来る。そして狼の群れとマトックがぶつかると、狼の群れの数頭がまさかの
マトックの盾に弾かれそのまま宙を舞う。
「ウオォォォォォーー!!!」
__ダアァン!!…ギャインッ!!…
「うへぇ…
NPCとは言え何も考えずに突貫…
いや…やっぱりNPCと言った所か…」
まずはマトックが単独で狼の群れにぶつかって行っては数頭を盾で弾き飛ばし、
狼の群れの中心にやって来るとやはり戦士と言うよりは蛮族と言った方が正しい、
荒々しい斧捌きをマサツグ達の前で披露し始める!例え後ろから襲われようとも
構わず斧を振り回し、真正面から向かって来る狼に対してはシールドバッシュで
弾き飛ばす!そんなマトックの戦い方にマサツグは剣を手に馬車の近くで戸惑って
居ると、呆れた様子でアヤが溜息を吐いては矢を番い、狼に向けて狙いを付け
始めていた。
「…はあぁ~……何とか狙えそうね!……
…あの戦士が私の射線上に出なければ!……」
__カッ…ギリィィ!!…
「ッ!…アヤ!?…頭は?…」
「まだガンガンするけどこれ位なら…ね!」
マサツグのすぐ後ろ辺りで弓を構えるアヤがスッと地面に片膝を着いては弓を弾き、
そのアヤの様子に気が付いたマサツグが振り返ってアヤに二日酔いは大丈夫か?と
尋ねると、アヤはマサツグに受け答えをしながら片眼を閉じて狼に狙いを定めると
矢を放つ!そのアヤの放った矢は一頭の狼に向けて真っ直ぐ飛んで行くと、その狼の
動きを読んでいたとばかりに頭を貫き、一撃で絶命させる。
__バシュッ!!…ヒュウゥゥ…バスゥゥン!!…
「え?…」
「よし!ドンピシャ!!…ッ!あたたた…
…でもここからは…」
見事十数m有る狼にヘッドショットを決めたアヤにマサツグが驚きその撃たれた狼と
アヤを交互に見返していると、アヤはグッとガッツポーズをしては喜ぶ。
しかし興奮して頭に血が上ったのか直ぐに頭を軽く押さえては痛みに耐える表情を
見せ、落ち着き始める。そして痛みが落ち着いて来たのかまた矢を番いて狼を
狙い始めるのだが、ここからがアヤの凄い所であった。
__カッ…ギリィィ!!…バシュッ!!…カッ…ギリィィ!!…バシュッ!!…
アヤは最初の一発を皮切りに番いては撃ち番いては撃ちで次々狼の頭を貫き始めた
のである。その様子にマサツグが驚きジッとアヤの事を見詰めてしまうのだが、
アヤは目の前の獲物だけに集中しているのか全くマサツグの事を気にせず撃ち続け、
その弓矢を構える姿から何処と無く気品を感じ取るとマサツグは自分の目が
おかしいのか?…と錯覚し、目を擦り始める。
__ッ!?…ゴシゴシゴシ…
{…え?…これがあの二日酔いで倒れていたアヤ?…まるで別人じゃねぇか!?…
それもさっきから一発も外さずに頭を撃って行ってるし…
心なしかマク○ラン先生の声が聞こえて来ている様な…}
__ビューティフォー…
戸惑った様子でマサツグがアヤを見詰めてはその的確な射撃を見せるアヤに違和感を
覚える。つい先ほどまでマサツグに寄り掛かって青い顔をして唸り、馬車が揺れる
度グロッキー状態になっていたアヤとは思えない…冷静かつ無慈悲な矢を放ち続ける
その姿に、マサツグの頭の中では某FPSゲームに出て来るスナイパーの先生の声が
再生され、もう本当に憑いているとしか思えない。そうしてマトックとアヤが徐々に
ではあるものの狼を倒し続けていると、宗玄の後ろで杖を手に構えては魔法を
唱える者が約一人…その握る杖の先に炎を集めていた。
__バシュウ!!…ゴオォォ!!…
「《…紅蓮の火球よ!!…我が目の前に立ちはだかる障害を焼き払え!!…
ファイアーボール!!!》」
__バヒュン!!…ドゴウゥ!!!…ギャインッ!ゴオオォォォォ!…
宗玄がハリットの盾となる様に薙刀を握って仁王立ちし、その後ろで魔法を唱えて
いたハリットが詠唱を終えると狼に向けて杖を突き付ける!その杖の先に集まった
炎は三つの球体となって杖の先から放たれると迷う事無く狼を狙い、そして三つの
火の玉が狼に直撃すると衝撃音と共にその狼を火達磨にしてしまう。
それも恐ろしい事に火の玉が直撃した狼はまだ息が有るのか火を纏ったまま
のた打ち回り、他の狼が居ようが居まいが関係なくその場で暴れる為、他の狼達が
その火達磨の狼を避ける様にして怯え始める。そしてそれを見たハリットが全員に
号令を掛ける!
「オオカミは火を嫌います!!
あの火に他の狼達が怯えている今の内に殲滅してください!!」
「うわぁ……中々にえげつない事をする…」
__ガウガウ!!…
「うおっと!?…あぶねぇ!!…」
ハリットの冷静な号令を聞き、マサツグが可愛い顔してえげつない事をする!…と
驚き戸惑って居ると、回り込んで来たのかマサツグに向かい走って来る狼が一頭だけ
現れて襲い掛かる!それにマサツグは直ぐに気が付くと構えていた剣で狼を縦に
斬り伏せ倒すのだが、その間にもマトックが狼達の群れの中で大暴れしては狼達の
数を減らして行く。馬車に近付く狼達にはマサツグと宗玄の二人が剣と薙刀で対処に
当たり、遠距離からは弓と魔法の両方からのアプローチでアヤとハリットが
活躍する。そして言わずもがなマトックは狼達の群れの中で一人大暴れをしては
次々に狼達の倒して行き、そして最後に忘れ去られていた盗賊のデクスターは
と言うと他のメンバーが倒し切れず負傷させるに終わった狼達を仕留めて回り、
自分が仕留めた、仕留めてないも関係無しにその狼達の遺体からちゃっかり素材を
剥ぎ取っていた。そして狼達の遺体が転がるその散々たる光景にそのマサツグが
若干の抵抗を覚えるのだが、躊躇っているとこちらがやられると感じてアヤと
馬車を守る様に狼達と戦い続ける。そして…
__バシュッ!!…フォン!…
「…ッ!!……これで大分と数は減ったかな?…」
_…ウウゥゥ~~~!!!……バッ!!…
「ッ!…逃げ始めた?…」
戦闘時間にして大体7分~8分位だろうか…さすが六人で戦うとその狼達の
対処速度が速く、見る見るうちにその数を残り五頭にまで追い詰める。その間何度か
群れの狼が遠吠えをしては増援を呼んだりしたものの、最後の残り五頭位になると
狼達自身も不味いと感じたのかその場を後にするよう逃げ出し始める。それを見て
マサツグが警戒を解くと同じ様に宗玄やハリットがふぅ…と一息入れ、徐々に
落ち着きを取り戻し始めると同時にその遠ざかる狼達の様子を見詰めていると
まだ頭に血が上っているのかマトックがその逃げる狼達を追い掛けようとする。
「ッ!!…逃がすか!!…」
__ガッ!!!…ッ!!!…
「落ち着かんか!!!…深追いする事も無いだろう!…」
「ッ!?…あ…あぁ…すまん…
頭に血が上ったみたいだ…」
狼を追い掛けようとするマトックに宗玄がいち早く気が付くとパッ!と直ぐに
マトックに追い付いては肩を掴む。それに反応してかマトックがまだ暴れると
言った様子で振り返りギッ!と宗玄の事を睨むのだが、それを見た宗玄がカッ!と
糸目を見開き怒った表情を見せると、説教をする様にマトックに声を掛ける!
その宗玄の言葉でマトックがハッ!…とした表情を見せて落ち着き始め、宗玄に
謝罪して武器を仕舞い馬車の方へと歩いて来るのだが、そのマトックの様子に
マサツグは何処か嫌な予感を感じる。そうして全員が馬車に戻って乗り込むと
マルコが待ってましたと言わんばかりにメンバーをヨイショする。
「いや~お疲れ様です!皆さん!!!
無事で何よりです!!…あっ!…そうだ皆さんにこれを…」
「え?…あ、あぁ…どうも…」
__……ガショッ…ゴシゴシゴシゴシ…ピトッ…
マルコが全員の無事を喜んだ様子で迎え入れては護衛メンバー全員に薬草を手渡し
始め、そのマルコの心遣いに若干戸惑いながらもマサツグ達は薬草を受け取ると、
落ち着いた様子で腰を下ろす。傷を負った者はその手渡された薬草を慣れた様子で
手ですり潰すと傷を負った所に当てては染みると言った様子で声を挙げ、
またある者は傷は負ってはいないもののこのまま放置して置くのも、もったいないと
言った様子を見せては口に放り込んで食べ始める。そんな色々な薬草の使い方をして
見せるメンバーを尻目にマサツグは別にダメージを負っていないと言った様子で、
貰った薬草をアイテムポーチの中に仕舞っていると、隣に座ったアヤが悩んだ様子を
見せて顎に手を当て一言呟く。
「……うん…おかしい…やっぱりおかしい…」
「え?…可笑しい…って何が?…」
「…平原オオカミの群れって大抵、七頭~十頭位なのだけど…
今回の群れは数を見た限り…その二、三倍は居た…
あんな大規模の狼の群れって見た事が無いのよ…
それに連携も…狼達ってスタンドプレイが多いから狙い易いのに…
まるで最初から私やハリットみたいに遠距離で戦える人が居る事を
知っていた様な動きを見せて居た…
それこそ誰かが後ろで操っているとかでない限り、あの群れは…」
アヤの言葉に反応してマサツグが首を横に向けると不思議そうな表情をしては
その言葉の意味について尋ね、アヤがマサツグの問い掛けに対してマサツグの方を
振り向くと先ほど戦った狼達の特徴について話し始める。一個の群れを作るにしては
数が多い…動きに統一性を感じるなど…色々思う点をマサツグに話しては悩み、
最後には誰かが後ろで操って居るのでは?と考え始める。その言葉にマサツグが
え?…と言った様子で疑問の表情を浮かべては困惑し始めると、マトックが傷口に
薬草を当てながら話し掛け始める。
「いててて!…まぁ、たまにはそんな日もあるさ。
あんまり気にし過ぎると持たないぞ?…」
「それはそうだけど…」
「大体…操るにしたってその目的が馬車を襲うとか…
もっと良い方法は色々と有ると思うぞ?…それにあの大所帯だと…
あぁ~…魔法の事はからっきしだけどそれなりに力が無いと一同にアレだけを
操作するのは無理だろ?…」
「…そうですね……魔法使いでも最低で大魔道クラスで無いとあの大軍を
操るのは難しいかと…それにそんな事が出来るのなら引く手数多で仕事には
困らないと思いますしね?…」
「うぅ~ん……」
マトックはアヤの言葉を聞いてか気にし過ぎと苦痛の声を漏らしながら話し掛けると、
アヤも分かっていると言った様子で返事をして見せるのだが何処か気にした態度を
見せ、そんな態度にマトックが少し呆れた様子で話し始めては自身の前に座っていた
ハリットに質問する様に声を掛ける。そのマトックの言葉にハリットも少し悩んだ
表情を見せるも直ぐに答えが出て来たのかマトックやアヤにメリットが無いと話し、
その答えにマトックが「な?…」っと納得させるよう顔を向けるのだが、それでも
アヤはあの狼達の群れが気になるのかずっと唸っては考え続ける。そんな疑問の
有る狼達の群れを退けたマサツグ達なのであったが、実のところアヤの考えは意外と
的を射ていたりする。
「……ふむ…
何とも…あぁ~…ふぅ…しょうもない幕切れじゃのう…
途中から何と無~く分かって居ったが…やはりそこいらの犬では駄目じゃったのぅ…
ちっとばかし狼共を突いて動かしてみたものの…
肝心のあ奴が前に出んでも勝手に狼共が転がって逝きおる…
これではちっとも楽しくないではないか…そうじゃのう……ッ!…くふふ♪…
それなら嫌でも動かざるを得ない状況にしてみるかや?…マサツグ♪…」
__ゾワワッ!!…
「ッ!?……な、なん!?…
何なんだ!?…今の寒気は!?…」
誰にも気づかれる事無くジッ…と空から見詰める者が一人…。
マサツグの後を追て来ているのだが先ほどの狼騒動を目にしてはつまらないと一言、
欠伸と共に吐いて次の作戦を考える様に顎に手を当て辺りを見渡す。狼達を
けしかけたのは失敗と口にしながら辺りを見渡し、ふとある山がその謎の者の目に
映るとある事を思い付いたのか、徐にその山の方へ飛んで行っては意味深な言葉を
一人で口にするのであった。そしてその嫌な気配と言うのはマサツグにも届いた
のか、背筋に何か冷たいモノを感じるとマサツグは身を震わせて戸惑い、その
マサツグの様子に気が付いたアヤがビクッとした様子で反応しては、心配した表情で
マサツグに声を掛けるのであった。
「……?
如何かした?…マサツグ?…」
「あ?…あぁ…何か何処からか嫌な雰囲気が…」
「敵襲ぅぅぅぅ!!!」
「ッ!?…もう!?…」
そうしてその後も何度かモンスターとの戦闘が有ったものの何の問題も無く切り抜け、
気が付くと日は傾き徐々に月が空に上がり始めていた。夜が徐々に近づき今日は
ここまでと移動を中断し、馬車を止めても安全そうな野宿場所を探し出すと同時に
馬車を引く馬を休ませる為に一度馬車から馬を離しては馬車の近くで休ませる。
そうして本日の移動は終了し、各自野宿の準備をする為に動き始める。
「じゃあ、俺と宗玄はそこいらの適当な木を切って丸太イスに作っから…
後の事は任せた!…」
「じゃあ、私達は薪集めでもしてきましょうか?…
それまでの荷物番を任せても大丈夫かしら!!」
「大丈夫でやんす!!
安心して行ってきて欲しいでやんすぅ~~!!!!」
「……言っちゃいけないけど…何だか不安で仕方が無い…」
若干の不安を残しつつ各自がそれぞれやる事を決めると一斉に動き出し始める。
マトックと宗玄は近くの林に向かい歩いて行き、そこからベンチにするのに
丁度良い太さの木を選んで伐採すると野宿場所まで計三本用意し、マサツグも
アヤに連れられ林に入ると薪集めをし始める。ガサガサと落ちている枝を
集めては一束に…更にその束が集まればまた大きな一束に…そうして一束百本の
束を作りながら歩き、そろそろ辺りがグッと見えなくなり始めるとアヤが
マサツグに薪の数を聞く。
__ガサガサッ!…
「…よっと!…ふぅ~…マサツグ~!!
どれ位集まったぁ~!!!…」
「うぅ~んと……ザっと見て百本束が三束程度~?…」
「よし!!じゃあ戻りましょうか!!…」
マサツグとアヤがその集めた薪の束を抱えて林を抜け野宿地に戻って来ると既に
他のメンバーは準備を整えていたのかマサツグ達の薪を待っていた。マサツグと
アヤがその薪の束を置いてその束から適当に数取り出すと野宿する場所の中心に
焚火の囲いを作り、ハリットが魔法で火を付け更に焚火の周りに丸太のベンチを
置けば野宿場所が完成する。そうして何とか一晩を明かす位の準備を整えると
やっと本当の意味で一息吐けるのだが、その間デクスターは何をしていたかと
言うとここに来るまでに集めた戦利品を取り出しては一生懸命に選別しているので
あった。そんなデクスターに呆れながらもその夜、道具屋で買った携帯食料を
取り出しては晩御飯代わりに食べ始め、デクスターがお詫びとばかりに狼の肉を
焚火で調理するのであった。
「…案外うまい!……」
「狼の肉って臭いイメージが有ったけど!…」
「…これはドライフルーツ?……はむ………ッ!?…
く…口の中の水分が持って行かれる!?…」
「ッ!?…ぷふ!!…ちょ!…ちょっとマサツグ何してるのよ~!?…
ほら水!水!…」
全員が初めて食べたと言った様子で炙っただけの狼の肉を食べて驚き、マサツグは
一人アヤに勧められた携帯食料を開けて中に入っているドライフルーツを食べて
口の中の水分を持って行かれる。その様子に気が付いたアヤが吹き出しながら
マサツグに水を差し出したので、失った水分を取り戻す様に水を飲む。そうして
楽しい時間は過ぎて行き、そろそろ寝ようかと言う時馬車の中で寝泊まりする
マルコ達の為に夜寝ずの番をしないといけないのだが、その日の当番は何事も無く
自主的に宗玄とデクスターが手を上げ決まる。そしてその晩案の定盗賊らしき者達が
襲って来たらしいのだがこれを見事に撃退し、その際良い戦利品を手に入れたと後の
デクスターは喜ぶのであった。
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※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
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https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~
エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます!
2000年代初頭。
突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。
しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。
人類とダンジョンが共存して数十年。
元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。
なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。
これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
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【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
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