どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章十四節 古びた刀と怪奇現象とスキルの色々-

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不自然に鉱脈から姿を現した恐らく金属製の剣…見た所ボロボロの鍔や今にも

外れそうな柄に目釘と、その細い刀身らしき姿から刀と思われるのだが…

何故こんな物が自然の鉱脈の中から出て来るのか?と考えると、マサツグには

違和感しか感じられなかった。確かにゲームの中の出来事と言えば全てが

納得出来そうな物なのだが、やはり不自然で…マサツグが興味を持った様子で

その刀らしき金属に近付き始める。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「…うぅ~ん……やっぱ見回した所で刀…だよな?…でも何でこんな所に?…

それもかなりボロボロだ……見事にオリハルコン鉱脈に固定されてるし……

……抜けるのかね?…これ?…」


__スッ……ガッ…


近付き観察した所で詳しい事は分からない…ただ分かったのはやはり形状が

刀に似ている事とボロボロである事…更に刀身の半ば程までそのオリハルコン

鉱脈に埋まっており、ちっとやそっとじゃ抜けそうな様子を見せて居ないと

言う点であった。金色に輝く鉱脈の中に黒く錆びた?…風化した?…剣が

一本…異様な光景にマサツグは興味本位でその刀に手を伸ばしては抜けるか

どうかを試そうとするのだが、案の定予想通りの結果が起きる…


「せ~の!!…」


__グン!…ギギギギギギ!…


マサツグが徐に刀の柄を握ると鉱脈から抜こうと力を入れ始めるのだが、

元々オリハルコン鉱脈に埋まるよう刺さっていた為、抜こうにもガッチリと

刀身が固定されているのかビクともしない!…不思議な事にこれだけ

ボロボロなのだから折れても可笑しくは無いのだが折れる様子は微塵も

感じさせず…ただ一応遊びは有るのか若干左右に振るよう動かすと、

何かが擦れる様な不快な音が聞こえる。何か手段を選べば抜けるのだろうが…

この時のマサツグは脳筋なのか馬鹿の一つ覚えにもう一度柄を握り直すと、

腕に力を入れては再度鉱脈から抜こうと藻掻き始める!


「ッ!?…硬った!!……ふぅ~…

…いっせ~の!…せ!!憤怒怒怒怒怒怒!!!!」


__ギギギギギギギギギギ!!…


「だあっ!!……はぁ!…はぁ!…ぬ、抜けない!?…

はぁ!…春風刀の…時は……条件が…あったから…だけど…こいつは?…

…はぁ!……多分単純に根元が引っ掛かっているからだろうから…

もう少しで抜けそうな気がする!」


__スッ……ガッ…


顔を真っ赤にしては険しい表情を見せ、鼻息も荒くなるともはやその表情はまるで

縄張り争いをするゴリラの様になる!…とてもでは無いが見れた物ではない!…

その間刀からは不快な金属の擦れる音が聞こえ続けマサツグも徐々に疲弊して行く

のだが、結局抜けずに手が滑りマサツグが仰け反った様に後退りをすると、体勢を

立て直すよう前のめりに戻っては膝に手を着いて息を切らす。しかしまだ諦めて

いないのか春風刀の事を思い出して抜けない理由を条件等では無いと改めて考え、

遊びが有る事からただ引っ掛かっているだけと結論を出すのだが、やはり

何か策を考える気は無いのか脳筋に頼る。


「…せ~の!!…墳!!!…」


__グン!…ギギギギギギ!…ガゴッ!!…


「おおおぉぉぉ!!!…ッ!?…今なんか妙な感触が!?…グッ!!…

いっけええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


__ガゴッ!!…ゴゴゴゴゴゴ!!…キンッ!!…


今だ鉱脈に刺さる刀に近付いて三度柄に手を掛けると、思いっきり引き抜こうと

腕に力を入れ始める!するとやはり最初はかなり抵抗を感じるのだが今度は

違うのか少しだけだが抜ける様な音が聞こえ…マサツグもその手応えを感じたのか

ラストスパートを掛けるよう更に腕に力を入れ出すと、叫びながら刀を引っ張り

続ける!すると如何だろう…マサツグの脳筋がここで生きて来たのか徐々に

鉱脈からボロボロの刀が抜け始め、最後刀が鉱脈から抜け切る際金属の軽い音が

大空洞内に響くよう鳴ると、マサツグは引っ張っている勢いそのまま後ろに

倒れる。


「ッ!?…とっ!…とっ!…とっ!…とおぉぉぉ~!!……ダァ!?…」


__ドタアァン!!……ゴインッ!!…ガランッ!…ガランガラン…


「ッ!?…おっ!…おっ!…おぉぉぉ~~~!!……お?…」


転ける際まるで歌舞伎役者の様に片足で何度も跳んで後退すると、

そのままバランスを崩しては後ろ向きに倒れる。その際鉱脈から

抜いた筈の刀はマサツグの手からすっぽ抜けては宙を舞い、

背中から倒れる様にマサツグが転ぶと後頭部を強打する!そして

宙を舞った刀はマサツグが倒れた後…更に後方へ転がると錆びた

鉄の音を立て、マサツグは後頭部を撃った事で痛みに悶えながらも

頭を抱えつつ慌てて飛び起きると、余程痛かったのか言葉が

上手く出て来なくなる…そして自身の後頭部を撫でながら

抜いた筈の刀が無い事に気が付くと、辺りを見渡し…自分の後ろに

転がった錆びた刀を見つけると、立ち上って回収に歩き出す。


「…あぁ~たたたた……はぁ~…どっこいしょ…」


__ザッ……コッ…コッ…コッ…コッ……カランッ…


「……うぅ~ん…やっぱ刀だよな?…かなりボロボロだけど?…

刃は完全に無いに等しいし、辛うじて峰で形状を保っている様な……

でもさっきガンガンに引っ張った時は曲がったり折れたりする様子は

無かったよな?……」


後頭部を撫でながら錆びた刀の所まで歩き、屈んで刀を回収すると改めて

その錆びた刀の状態を確認する。状態は勿論最悪…刃は欠けるを通り越して

無いに等しい…山波に欠けてはボロボロで刃と峰の境目どころか峰だけしか

残っておらず、地は完全に死んでいる状態であった。しかし茎と峰が

シッカリしているお陰か折れる心配は全く感じられず、更に先程の扱いを

思い出すようマサツグが試しに曲げようと試みるもビクともしない!…


「……フン!!…ッ~~~~!!!……ダアァ!!…

はぁ!…うん…頑丈!…絶対に曲がらない!……はあぁ~…」


__スッ…フォン!!…フォン!!…


「…うぅ~ん……鑑定アプレェィザァル!」


一ミリも曲がる気配を見せない錆びた刀にマサツグは息を切らし、

改めて自分の身を持って頑丈である事を確認すると、溜息を吐いては

徐に錆びた刀を構え始める。そして軽く二回素振りをして具合を

確かめるもやはり素人のマサツグではこれが何なのかが分からず、

恐らくは刀であろうと思いつつ…マサツグがその錆びた刀に対して

本日何度目となるか分からない鑑定アプレェィザァルを発動すると、マサツグの

目の前にいつもの様に詳細が表示される。


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------

             古い風化し錆びた刀

               レア度 F

                                            ATK+5

  古くから風化して更に錆びた刀。ボロボロでまともに物を斬る事は

  出来ないが殴打は出来る。耐久性も低く完全に武器としての機能を

  失っているのだが、古代の遺物かもしれない事からその手の収集家

  に人気が有り!…更にもしこの遺物を復活させる事が出来るだけの

  職人が居れば、その古代の力を手に入れる事が出来る!…

  ロマン武器としての可能性も秘めている!

 -----------------------------------------------------------------------

「…やっぱ刀なのか……てかロマン武器って!…

古代にもう刀が有るって言うのもおかしな話に聞こえるのだが?…

…まぁいいか…とにかく目的の物は手に入れたし…帰るか…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


目の前に表示された説明文に目を通すと、そこにもこの錆びた棒状の物は

元が刀で有った事が表記され…マサツグはその文面を見て軽い困惑を覚えた

のだが、更に古代の遺物と書かれてある事に思わずツッコミを入れる。

そうして苦労して手に入れた錆びた刀を見詰めてはとにかく一度あのモジャ男に

見せてみようと考え、アイテムポーチを開いてその錆びた刀を仕舞い込むと、

目的の物も手に入れた事から帰ろうと言葉を口にして出口に向かい歩き出す。

その際初めての洞窟に初めての採掘…ゴブリンにぴちぴちにワイバーンと

色々…短い時間の出来事を思い出しながら歩いていると、ふとマサツグは徐に

アイテムポーチ内の画面を開いては、今まで掘った鉱石・素材等を改めて

確認し始める。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「ッ!…そうだ!…今なら落ち着いて戦果を確かめられる!…えぇ~っと?…」


__ピピピ!…ヴウン!…


「……え~っと……大体、鉄鉱石×60 …マラカイト鉱石×50…

ダマスカス鉱石×35…オリハルコン鉱石×20……後はワイバーンの素材に…

使うかどうか分からないゴブリンの素材多数っと……

これだけ掘ればシロの分も十分に作れるよな?…

…足りない…何て事起きないよな?…」


マサツグがアイテムポーチ内の画面を開くとそこには上々の戦果が表示される。

余りの採掘量にアイテムポーチからはその他のアイテム…鉱石同士がぶつかる様な

ガチガチと言う音が聞こえて来そうな物なのだが、全く音は聞こえて来ない

消音仕様で…とにかく集めれるだけ集めたと言った様子でマサツグは材料の量に

心配しながら、シロの待つモジャ男の工房へ急いで帰ろうとするとその道中…

妙に誰かの視線を感じる様な気がしては仕方が無いのであった。


__コッ…コッ…コッ…コッ……バッ!!……しぃ~~~ん……


「……ッ?…やっぱ誰も居ないよな?…

別にゴブリンが見ていると言った感じでも無いし……ッ?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……バッ!!……しぃ~~~ん……


視線を感じ始めたのは戻る道中の中間部位…またぴちぴちに遭遇してゴブリン達に

襲われると言った面倒事を回避する為、辺りを警戒しながら歩いていると何やら

邪な視線を感じ始める。マサツグが少し進むとその視線の主も追って来ている

のかやはり視線を感じ、気になって振り返りその視線の主を探すがその姿は

何処にも…それどころか影すらも見当たらない!…更に進んで三度四度と視線を

感じるとまた振り返って物陰等を調べるがこれまた何も無く、行っては振り返り

行っては振り返りをひたすらに繰り返しており!…マサツグもさすがに異様と

感じると感知サーチを発動するのだが!…


「……感知サーチ!…」


__ピィ~~~ン!!……ヴウン!…


「ッ!?…反応無し!?……おっかしいなぁ?…じゃあ何でこんな?…えぇ~…」


マサツグが歩いている洞窟は一本道で分岐路は無い!…完全に無いと言う訳では

無いのだがマサツグが通れない幅の横穴等で実質一本道である。隠れられそうな

場所もボコボコとしている岩陰位で大の大人が隠れるには少し小さい…完全に

隠れる場所が無い中で感知サーチを発動したのだがマサツグの反応には何も出ず、

更に困惑だけが出て来るとマサツグは戸惑いを隠し切れないで居た。ただ何度も

辺りを見渡した所で同じ岩…同じ穴…同じ鉱床と使い回しのグラフィックを

見つける位で、肝心の視線の主の陰は全く捉える事が出来ないでおり…また先を

急ぐ様にマサツグは違和感を感じながらも歩き出すと、その視線の主は化ける様に

姿を現しては笑うのであった。


__……ポウン!!…カラコロッ…


「くっふふふふふふふ♪…惜しいのう?…本当に惜しいのう?…

一度はわっちの尻を触って来たから慌てたモノじゃが…

肝心なところで詰めが甘い……故に可愛らしい!…

それに最初に比べて進歩したものじゃ!…わっちの気配に気づくとは!…

……もう少し遊びたい気もするが…時間が惜しい…

さて?…ではそろそろ次の試練を与えてみるか……

わっちの物になるに相応しいかの…な?…くっふふふ♪…」


__ポウン!!……くっふふふふふふふ♪……


困惑の様子でキャンプに向かって戻って行くマサツグの後ろ姿を見詰めながら、

その姿を現した者は全身を隠すようボロのローブを身に纏って嘲笑う様に

コロコロと笑う!…一度は触れられた事を惜しいと口にしつつ、最初から

マサツグに興味を持った様子で独り言を話してはその成長に喜びを感じ…

何やら良からぬ事を考えているのか悪い笑みを浮かべ一人満足した様子で

姿を消すと、その笑い声だけが洞窟内に残るのであった。そしてその笑い声は

マサツグの耳に届いているのか届いていないのか?…謎の者の尻を触ったと

されるマサツグは視線を感じなくなると同時にある物を見つけていた。


「……何これ?…何でこんな所に本が?……

あからさまに罠っぽさを感じるんだが?…」


__ポオォォ!…


マサツグが見つけた物…それは一冊の本であった。洞窟の通路の真ん中…

それも何処かの誰かの遺体が近くに有ってその人の遺品とかでは無く、勿論

近くに本棚等が設置されて有る訳でも無く!…ただポツンと一冊だけが

これ見よがしに置かれてあった。表紙はまるで魔導書…何か魔法陣らしき物と

同時に解読不可能な文字が書かれて有り、古そうな感じの外見で色は臙脂色と

渋いチョイスがされてあった。そして更に不気味なのはその本が光って

居る事!…その本は黒く光ってまるで罠ですとアピールしている様に見え、

当然そんな奇妙な物を見つけたマサツグは罠か何かかと!?と警戒し出す

のだが、最初ここを通った時は間違い無くこんな物は無かった事と思い出し、

更に不気味さを覚えると本を見詰めたまま動けないで居た。


「え?…本当に何なのコレ?…こんな本最初通った時は?…

えぇ~…如何するよコレ?…何か光ってるし!…黒いし!…

見た感じ魔導書っぽいけど…普通こんな所に魔導書が落ちてる訳が無い!…

落ちているとしたらチョ〇ボの不思議のダンジョン位だ!!…

んでもってさすがの不思議のダンジョンでも通路には落ちてない!…

余程の事が無い限りは落ちてない!!…って、んな事思い出してる場合じゃ……

クソッ!…調べるしかないよな!…」


__ザリッ……ザリッ……ザリッ……ザリッ……


道に落ちている本一冊でこの慌て様!…これが現実リアルと言うのなら確かに

大袈裟であるのだが、ここはゲームの世界!…魔法等が当たり前に存在する

世界なので嫌でも警戒をする!…そうしていつまでもこうしている訳には

行かないと言った様子で覚悟を決めると、恐る恐る本に近付き出し…

その本の前に立ってマサツグは戸惑った様子で鑑定アプレェィザァルを発動すると、

マサツグの目の前にいつもの様に詳細が表示される。


「あ、鑑定アプレェィザァル!」


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------

             スキルの書・鍛冶

             レア度 unknown

   読むとスキルを得る事が出来る魔法の本。各ジャンル毎に

   色分けされておりその種類は様々…この本は「鍛冶」に

   関するスキルが書かれて有り、使用するとこの本を読んだ者が

   「鍛冶」のスキルを習得する事が出来る。現在この本は

   この本を含めて世界に1529冊しかなく、次に新しいのが

   見つかるのはいつになるか分からない…完全に未定となって

   いる。

 -----------------------------------------------------------------------

「ス…スキルの書?…何だそれ?…と、とにかく罠では無いのか…」


__……スッ……パラッ……


「ッ!…あれ?…何でこれ理解出来るの?…

明らかに活字ばっかで普段絶対に読まないタイプなのに!…

基本漫画しか読まない俺でも分かる!?…」


マサツグの目の前にスキルの書と言う名の謎アイテムの説明文が表示され、

その説明文を読んでマサツグは魔導書らしき本が罠で無い事を確認すると、

おっかなびっくりその本を拾っては中身を確認するよう徐に本の表紙を

開き出す。するとそこには本当に鑑定結果の通りに鍛冶に関する目次が

書かれて有り、一ページ目から続けてそのまま本を読み出すと不思議な事に

その本の内容がスゥ…と頭の中に入って来る。本の内容は如何にも活字

ばかりのややこしそうな事が書かれて有り、たまにチラッと図が書かれて

いる位で間違い無く敬遠物なのだが…何故かスッとそのまま読み切って

しまうと、マサツグは「鍛冶」のスキルを身に付ける。


__……パタンッ…ピロリン♪…


「うお!?…な、何だ!?…何の通知?……ッ!」


[マサツグは「鍛冶 Lv.1」を獲得しました。」


「…本当に習得出来た……

って事はこれで俺も施設と材料さえ有れば出来るって事か…」


スキルの書を読み終えたマサツグがゆっくり本を閉じると不意に通知音が鳴り、

その通知音にマサツグが驚いて居ると目の前にはスキル獲得のお知らせが

表示される。その通知が出たと言う事は本当にスキルを獲得したんだと本来なら

喜ぶ筈なのだが、今のマサツグは驚きが勝っているのか感動が薄く…とにかく

スキルを獲得出来た事に戸惑った様子を見せて居ると、マサツグが読んでいた

スキルの書に突如異変が起きる!


__……チリッ!…ボッ!!…


「え?…うわあぁ!!…」


__ボシュウゥゥゥゥ!!……


「……え?…えぇ!?…」


マサツグがスキル獲得の通知に戸惑って居ると突如として読んでいたスキルの書が

独りでに発火し、原因不明の発火に当然マサツグが気付くと途端に慌て出し!…

何も出来ないままに戸惑って居るとスキルの書は尋常じゃ無いスピードで

燃え尽きて行く!…その際マサツグはスキルの書を手放さずずっと手に持ったまま

で居たのだが、その炎からは熱さが感じられず…更に驚く事にその炎も青色と

まるで人魂か何かの様で、その仕様にただただマサツグが驚いて居ると

スキルの書は跡形も無く燃え去ってしまう。そんな様子を目にしたマサツグは

自身の手を見詰めたまま戸惑い続けると、奇妙な視線に突然のスキルの書と…

突拍子も無い事のオンパレードに困惑を覚えた様子でただただ立ち尽くしては、

数分の間放心してしまうのであった。


{……一体何なんだ今日!?…何でこんな立て続けにイベント起きる!?…

本当に何が起きてるの!?……ただ装備を作って貰う為だけにここに来たのに

怪奇現象とか!?……ちょっと怖いぞ!?……てか普通に読んじゃったけど…

アレかなりレアな本じゃなかったっけ!?…やっちまったか!?…俺!?…}


ここで少しこのゲームのスキルシステムについて説明…本来スキルを覚える

には、一定の経験値・取得条件達成・伝授と言った過程を経て新しくスキルを

覚える事が出来る。その条件は様々でそこそこ面倒な手順になっており、

更にこのゲームは一応一つのキャラに付き持てるスキルの量が決まっている。

これも職業毎によって違うのだが、例として挙げるとマサツグの剣士の場合で

大体20~30となっている…これはメイン・サブ・シークレットと全てを

合わせてこの数と決まっており、上限内でスキルを吟味しないといけない…

そして何時その上限が来るかは本人達には分からない仕様になっている。

とは言ってもシークレットを山ほど抱える事は出来ないので大半がサブで

埋まるのだが…そんなスキル上限を無視してスキルを覚える事が出来る!…

そんな公式チートの夢のアイテムが有るのだが、それこそが先程の

スキルの書なのである!このアイテムが高値で取引される本当に理由は

そこにあり、個人の露店等で高値で取引されるアイテムランキングの常に

上位をキープしている超レアアイテムなのである!…因みにまだ上限一杯

じゃない状態で使った場合はそのまま上限かの中でカウントされ、それを

知らないマサツグはただただ貴重な物だったんじゃ!?…と、今更になって

後悔するのであった。そうして呆ける事数分…使ってしまった物は仕方ないと

自身の中で割り切り、今までの怪奇現象についても考えるのが面倒臭くなると、

改めて工房に向かい歩き出す。


「……はあぁ~…考えても仕方ないか…とにかく今は戻る事を最優先に!…

…って、あれ?…視線も感じなくなった?……ッ?…本当に何なんだこれ?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


さて、ここまで色々な事が立て続けに起きて来たがその奇妙な帰り道も徐々に

終わりを告げ始める。何故なら見覚えの有る整地された道…掘り尽くした鉱床跡と

色々見覚えの有る物が見えて来たからであり、ここまで来るともうモジャ男の

工房まであと少し!…マサツグがそう思いながら歩いていると、あの洞窟内の

壁際に有った発光する水晶とは違う…目の前が窯の火で明るくなっている光景を

見つけるのであった。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「ふぅ~…本当に訳の分からない事が色々有ったけど…

漸く戻って来れたなぁ……

後は一本道だから迷う心配もないし……」


「………ッ~~~~~!!!」


「……ん?…今なんか聞こえた様な?…」


モジャ男の工房まで後数十m…マサツグが改めてここまで戻って来るのに

あった事を思い出して居ると、マサツグの進む道の先から何やら声が

聞こえて来る…それは聞き覚えの有る様な無い様な?…変に反響している

せいかその声は聞き取り辛く、マサツグが思わず足を止めその声の聞こえる方に

目を向けると、その道の先から何かが走って来る足音も聞こえ出す。しかし

マサツグには窯の火の光の方が強いのか逆光になっていた。


__タッタッタッタッタ!!…


「ッ~~~~~~~!!!!……」


「……やっぱ何か変に聞こえるなぁ…

確かに誰かが呼んでいるのは間違いなさそうなんだが…」


徐々に近づいて来る足音に叫ぶ声…だがやはりマサツグには誰が叫んでいる

のかが分からず、幾ら目を細めた所でその影を捉える事が出来ないでいた。

その間にもその謎の正体は徐々にマサツグに向かって近づいて来ており、

マサツグが一応とばかりに警戒していると遂にその謎の正体の声がハッキリと

マサツグの耳に届く!…その正体は……シロであった!


「ごぉ~しゅぅ~じぃ~んん~さぁ~まぁ~!!!!」


__タッタッタッタッタッ!!!…


「え?…シロ?……ッ!?…」


「ご主人様!!!!」


シロの声がハッキリと聞こえる頃にはマサツグも漸くシロの影を捉え出し、

叫んでいたのがシロだと分かるとマサツグは警戒を解き出すのだが…

それがいけなかったとばかりに次の瞬間、悲劇が起きる!…それはシロが

マサツグに向かい全速力?…坂道を下っているせいか勢いが付いている

状態であり、シロ自身止まるどころか感情の赴くままに!…マサツグに

向かって走っている事から起きた事であった!…そしてマサツグもハッと

シロが走って来る様子から気付くのだが、時既にお寿司!!…その時には

シロはマサツグに向かいヘッドダイブを敢行すると、マサツグの腹筋を

貫いているのであった!…


__ドゴシュウウゥゥゥゥ!!!…


「ッ!?!?!?…グボアアァァァ!!!!…」


__ゴロゴロゴロゴロ!!…ゴロゴロゴロゴロ!!…ドシャアアァァン!!!…


シロは宛らラガーマンの様に!…的確にマサツグの腹部に向かい頭から

タックルを決めると、某大学も真っ青なスタンドプレーをして見せる!…

当然喰らった方は大ダメージを受けるとそのまま後ろに吹き飛ばされ、

シロを抱えたまま緩やかな斜面を転がり落ちて行くと、そのまま然程深く

無い水溜りの中へと突っ込んで行く!この時マサツグの視界はまるで刹那を

使った様にスローモーションで風景が流れると、自身でも…

{あっ…これ死んだな…}と感じ…シロはシロでマサツグが帰って来た事が

嬉しいのか、マサツグの腹部に顔を押し付けては一生懸命に懐いていた。


「ご主人様ぁ~!!!」


__スリスリスリスリ!…


そして時は水溜りに突っ込んでから…マサツグがまたもや後頭部を強打すると

出血し始め、シロもマサツグの顔を見ようと一旦離れて見せると、マサツグの

姿を見るなり酷く動揺した様子で声を掛け始める!


「ッ~~~!!!!…お帰りなさい!!…ご主人…さ…ま?…」


__ダクダクダクダク!…


「あっ…あぁ……た、ただいま…シロ…」


__バシャアァン!!…


「ッ!?!?…きゃあああああぁぁぁぁぁ!!!!

ご、ごめんなさぁい!!!…ご主人様あぁぁぁぁ!!!!」


シロが歓喜した様子でマサツグの顔を見ると途端に困惑した表情を見せる…

何故ならマサツグの頭がフィーバーしていたからである。当然マサツグの

髪型が変わっている事にシロは戸惑いの様子を見せるのだが、次にマサツグの

後頭部から出血が見られる事を確認すると今度は青褪め始める!ちゃんと

自分が勢い任せに抱き着いたせいだと言う事を理解しているのかシロは次第に

慌て出し、マサツグはマサツグでシロを怒るのでは無く一旦落ち着かせようと

考えたのか、出血したままシロに挨拶をしていたがやはり倒れ…それを見た

シロが更に慌て出すと、マサツグに謝ってはワタワタとし始めるのであった。


因みにこの後騒ぎを聞き付けたモジャ男はやって来るなりその惨状に驚き、

何とかマサツグを抱えて工房に連れ帰り治療すると、マサツグは一命を

取り留める。その際マサツグの後頭部は骨折どころかヒビすら入って居らず、

ただの切り傷とたん瘤だけで済ませた事に、モジャ男を酷く驚かせる。


「…お前さん一体どんな頭をしとるんじゃ?……それにその爆発した髪は?…」


「あはははは…」


「ごめんなさいご主人様ぁぁぁ!!!」


モジャ男の疑問に対しマサツグはただ…苦笑いをしては誤魔化すしか無く、

シロはシロでマサツグに縋り付くよう抱き着くと、ひたすらにマサツグへ

謝り続けるのであった。

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主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
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2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
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 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

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ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

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HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

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