どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章二十五節 魔法の花と走れ!マサツグとカチュアの努力-

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マサツグと熊五郎が巨大フジツボなる瘴気壺魔虫を苦戦しながらも討伐し、十分位

休憩して居ると瘴気が晴れては紫の視界が消えて行く。そして目の前には本来の

目的地である一坪の日だまり花畑が月明かりに照らされた状態で姿を現すのだが、

その何処を見ても花らしき物は一本も生えてはおらず、ましてや魔法の花など

最初から無かったかのように荒らされた後だけが残っていた。幾ら狼…

フジツボ共に襲われていたとは言え、自分達もその荒らした原因だと分かる足跡を

見つけては絶望し、花が全滅している姿を目にした熊五郎はその場に両膝を折って

項垂れると悲観し始める。


__ザッ……ッ!!……ッ~~~!!!ダン!!!


「そんなぁ!!…折角瘴気の原因をマサツグ殿と払ったと言うのに!!…

花は全滅!!!……こんなのって!…こんなのってぇ!!…」


「熊五郎…」


熊五郎が折角森の平和を取り戻したと実感していたにも関わらず、目の前の花畑の

惨状を見て本来の目的の花も無い事を理解すると、絶望に打ちのめされる様に

地面を叩いて悔しがる。その熊五郎の様子にマサツグも悲しい表情を浮かべては

熊五郎の名前を呟き、何も言わずにその様子を見詰めて居るとティターニアの命を

助けられなかったら意味が無いと熊五郎は嘆き、自分達の行動の遅さを呪い始める。


「…先程からの瘴気の流れを見ている限りだと完全に森から

瘴気が抜け切るのは大体約二日!…

それにここから国まではそんなに距離は離れていない!…

発生源が無くなればそこを中心に流れて無くなる筈だから!…

少なくても後、半日あれば!!…でも圧倒的に時間が足りない!!…

もう駄目なのか!?…」


「……でも、見つけるしかないんだろ?…」


「へ?…」


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


熊五郎が花畑の惨状とティターニアの命を守る事が出来なかった事に嘆き悲しみ、

その様子を見ていたマサツグが突如グッ!とやる気を出した表情を見せると、

一人荒れ果てた一坪の日だまり花畑に移動しては辺りを見渡し始める。そんな

マサツグの言葉と行動に熊五郎は戸惑いの声を漏らし、重い顔を上げるとそこには

まだ時間は有ると言った様子を見せ、若干の焦りを覚えた表情で辺りを見渡し

それらしき花を探すマサツグの姿が目に映る。


__キョロッ!…キョロッ!…ガサガサ!…ガサガサ!…


「……マサツグ殿…」


マサツグは一切諦めた様子を見せる事無く魔法の花を探し始め、その様子に

熊五郎が戸惑った様子でマサツグの名を口にし四つん這いで居ると、マサツグは

色んな低木の影や木の陰…岩の陰などありとあらゆる怪しい場所を掻き分け

念入りに探し続ける。


「案外!…そういう重要アイテムは!!…オブジェクトの陰に!!…

目立たない様に!!…卑怯臭く!!!…隠してあるもんなんだがなぁ~?…

……ッ!…」


「………マサツグ殿お気持ちは有り難いのですが…

もうこの惨状では!!…」


まるでどのゲームでもお約束と言った様子でアイテムの隠し場所を口にし、

更にゲームの製作者に対して卑怯と言い出ながら魔法の花を探し続けるのだが

やはり見つからず、マサツグが額の汗を拭いながら一息吐いて居ると、

ふとある樹の上に視線を向けるとその場で動かなくなる。そして諦める様子を

見せないマサツグに対して熊五郎がもういいと探しても無駄だとマサツグを

気遣う様に声を掛けるのだが、マサツグはその熊五郎の呼び掛けに対して視線を

そのままに熊五郎に手招きをすると質問をし始める。


「……なぁ、熊五郎?…

あの青白く光っている花は何だ?…」


「……へ?…」


「ほらあの木の上…枝の生え際に三本生えているのが見えるんだが?…」


「ッ!?…まさか!?…」


マサツグは熊五郎を呼ぶ様に手招きをしては次にその自分が見えている正体不明の

花が見える方を指差し、必死に熊五郎へその見える花のアピールをしていると

熊五郎はマサツグの言葉が信じられない様子で戸惑い始める。しかしマサツグの

素振りを見る限りふざけている様にも励まそうと嘘を吐いている様にも見えず、

本気ガチの表情を見せて居ると熊五郎もまさか!?と言った様子で驚いては慌てて

立ち上がり、思わず転けそうになりながらも踏ん張って駆けて行きその指差す方を

確認すると、マサツグの言う通り花畑より若干距離は離れて居るものの木の上に

三本…淡く青白い光を放つ花がある事を確認する。


__ポゥ…


「あれは?…見た感じ神秘的でいかにもっぽいんだが?…」


__ッ!?!?!?……ガッシ!!…


「え?…」


「…えぇ!…えぇ!!…間違いないでやす!!!…

あれこそ魔法の花でやす!!!奇跡でやす!!!すごいでやす!!!」


そこに咲いている花はまるで蓮華の様な形をしており、光源は如何やら花一つ一つに

ある中心の雌蕊めしべが微かに光っているらしい…それが花全体を包む様に淡く光り、

何とも幻想的な光景を作り出しているのだがそれを見てマサツグがそれっぽいと

疑問形で熊五郎に尋ねると、熊五郎は花を見てパァッ!…と驚き戸惑った表情を

見せてはアレがそうだ!と答え、歓喜の余りマサツグを抱き抱えると同時に

締め上げ始める!


__ぎゅううぅぅぅ!!!…


「んぐはぁ!?…わ…わかった!わかったから!!…締め上げないでくれ!!…

フジツボと戦っている時より体力が削られてるから!!…」


「…ッ!?…あぁ!?…も、申し訳ねぇでやす!!…

あまりに感動して!!…つい…」


「がはッ!…げへッ!…ごほッ!……だ…大丈夫…

只一瞬だけど違う花畑が見えた様な気がしただけだから…」


熊五郎の万力の様なパワーでマサツグがサバ折にされると慌ててマサツグが

苦しそうに熊五郎の肩をタップし、それにハッと我に返った熊五郎が慌てて

マサツグを下ろすと謝る。マサツグは地面に這い蹲っては咳をし始め、

一坪の日だまり花畑とは違った花畑が見えたと咽ながら話しては息を

整えようとする。そうして熊五郎に絞殺されそうになりながらもフラフラと

立ち上って見せ、一旦はその魔法の花が咲いている樹の下まで移動するのだが、

その木は意外と高くちょっとやそっとじゃ昇れそうにない。それでもマサツグは

自身の体に鞭を撃つと無理やりにでも登って魔法の花の元まで辿り着くと

緊張の一瞬を迎えようとしていた。


「ぜぇ!…ぜぇ!…あぁ!…しんど!!…」


「マサツグ殿~~!!慎重に~~!!!…」


「はいよ~~!!…はぁ……さて…」


_スッ…


酷く息を切らしながらも魔法の花を目の前に座って見せ、マサツグが魔法の花の

元まで辿り着いた事に熊五郎が注意を促すと、マサツグは熊五郎に手を振って

返事をする。そして慎重に面差しで魔法の花を見詰めそっと花の軸に手を伸ばし

始めるのだが、この時…マサツグは若干の不安を覚えるのであった。何故なら…

マサツグが冒険者プレイヤーであるからであった。この花の特徴は魔力を持つ者が花を摘むと

花は忽ち萎れて、摘んだ者の魔力を回復してしまうと言う点…

確かにマサツグは剣士であって魔力を持ってはいないと言えば無いのだが、

冒険者プレイヤーだろうがNPCだろうが…剣士であろうが魔法使いであろうが総じて

消費されるのはMPでは無く、TPで消費されるのである。つまりは魔法使いに

とってTP=MPと同意義であり、同じTPで管理されているマサツグにとっては

大丈夫なのか?と不安になる場面でもあった。そして勿論この事を知って居る為

マサツグは慎重になり、魔法の花に手を掛けたまま動けずに居るのであった。


__プルプルプルプル…


{三本咲いているとは言え失敗は出来ない!…説明を聞く限り魔法使いで無いと…

いや…魔法適性が無いと萎れる事は無いって聞いたけど如何にも緊張する!!…

カチュアの奴は…俺に魔法の適性が無いから大丈夫とは言ってはいたが……

もしもの事を考えると手が震える!!!…

こんなに緊張しているのは車の免許を取りに行った時の本免実地以来だぞ!?…}


「……マサツグ殿!!…」


__てふてふてふてふ…ピタッ…


マサツグが魔法の花に触れた所で萎れる事は無くただユラユラと揺れては

マサツグを更に緊張させ、熊五郎も緊張した様子で全身に力を入れてジッと

その様子を見守り続けていると、一匹の蝶が何処からともなく飛んで来る。

そうして動けない事数分間…マサツグが額に汗を掻いて魔法の花を睨めっこ

して動かず、熊五郎もただジッとその様子を緊張した眼差しで見詰めて

居ると、その何処からともなく飛んで来た蝶が熊五郎の鼻先に止まって

熊五郎がピクっと反応しては鼻をヒクヒクさせ始める。


__ッ!…ヒクヒク…ヒクヒク!!…


「ふぁっ!…ふぁっ!!…」


「……ッ!よし行く!!…」


「ぶわくしょい!!!!」


熊五郎が鼻をヒクヒクさせてはクシャミが出そうになり、何とか耐えようと

するのだが我慢が出来ない。そしてマサツグも漸く踏ん切りを付けて花を

摘もうと手に力を入れ、その魔法の花の茎を折ろうとした次の瞬間!…熊五郎が

盛大にクシャミをするとそれに反応してマサツグが驚いた様子を見せて、木から

滑り落ちそうになる。


「ッ!?…どわあぁぁぁぁ!!!…」


「マ…マサツグ殿ぉ~!?…」


「な…何てタイミングでクシャミをするんだ!!…

吃驚したじゃねか!!!…」


マサツグが前のめりに枝を離さないよう必死にしがみ付き、そんなマサツグの

反応を見て心配の声を掛けると、マサツグは熊五郎に驚かせるなと文句を

言う。その際マサツグは器用に他の魔法の花を潰さない様にしがみ付いて

腕を振り上げて熊五郎に文句を言うのだが、熊五郎はマサツグに

謝りながらある事に気が付くとホッと胸を撫で下ろした様子でマサツグに

ある事を話し始める。


「へ…へぇ!すいやせん!!!…ッ!…

でも…そっちは大丈夫そうですね?…」


「え!?……ッ!…」


__ポゥ…


「し…萎れていない!…」


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             魔法の花・蓮華

               レア度 C

 豊かな森や妖精の住む森…その他にも魔力が溜まり易い土地等に

 魔力が関係する場所に咲く淡い青白い光を放つ魔法の花。突如として

 咲いては徐々に群生して行き、その魔法の花が一面に咲く光景は

 まるで光の絨毯と謳われるほど幻想的と言われており、魔法の花自体

 魔法使い系のjobのTP回復アイテムとしても有名。光の強さによって

 回復量が変わり、更のその光の加減具合でその土地の魔力の溜り易さが

 分かるバロメーターとして活用される事も有る。
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熊五郎がマサツグの振り上げた腕に向かって腕を指し、その熊五郎の行動に

マサツグが疑問を持ちながらも自身の振り上げた右腕を確認すると、その右手には

魔法の花が萎れずに握られていた。熊五郎のクシャミに驚いた拍子で摘んで

しまい、マサツグ自身も気が付いていない様子で振りかざして居た事に気が付くと

マサツグは慌てると同時に花が無事である事に喜ぶ。そして残りの花に視線を

向けるのだがマサツグは体勢を整える事無く、そのままナマケモノの様に樹に

ぶら下がった状態で熊五郎に質問をし始める。


「……で、熊五郎!…残りの花も摘むのか?」


「ッ!……いや、残して置くでやす…

もしかすると残った花が頑張って復活させるかもしれないでやすし…

全部摘んだら本当に全滅するでやすし…

何よりティターニア様を苦しめた瘴気の元凶も晴れた今…

恐らくは一つで足りると思うでやす。」


「……ん、りょうか~い!…っと!…」


マサツグが魔法の花を一本回収した所で残りの花について如何するのかと樹に

ぶら下がりながら熊五郎に質問をすると、熊五郎はマサツグから残っている

魔法の花の方に視線を移してはまだ希望は有ると言った様子で笑みを浮かべ、

残すようマサツグに指示を出す。その指示を聞いてマサツグが一度は魔法の花が

咲いている方に視線を移し、少し考え事をするのだが熊五郎の指示を聞いて

返事をしては、摘み取った花を気付付けないようそのまま樹から降りて来る。


__ザッ!……


「……さて、花を摘んだ事だし、早く戻って女王様に届けるか!…

瘴気の元が無くなったとは言え、まだまだ油断は出来ないからな!…」


「応!!!…」


__ダッ!!…


そうして花を無事に手に入れマサツグと熊五郎が笑みを浮かべている間にも夜は

更けて行き、タイムリミットが差し迫って居る事を改めて理解すると妖精の国に

向けて走り出す。その帰り道…瘴気の元が取れたと言ってもやはりまだ森の中には

瘴気が残留しており、紫色の視界が残っているのと身体的デバフが邪魔をする中

ある事に気が付く…それはモンスターと遭遇しない事であった。確かに森の中は

まだ瘴気で包まれているのだがあのフジツボ付きの狼の事を考えると他の動物にも

寄生して居そうなものなのだが…一切出て来ない。それ所かやはり瘴気は徐々に

晴れて行っている様に見え、そのモンスターが出て来ない理由に森の主…

熊五郎の力でモンスターを寄せ付けないのか、それともモンスター自体が

少ないのか…と、色々な事を考えつつ熊五郎と共に全力で帰り道を疾走して居ると、

徐々に妖精達の国が有る湖が見えて来る。


__ダッダッダッダッダッダッ!!…


「ぜぇ!!…ぜぇ!!…時間が無いのは分かって居るけど!!…きっつ!!!…」


「はぁ!…はぁ!…もう少しですマサツグ殿!!!…

もう少しで辿り……見えやした!!!!」


「ッ!!…ラストスパートォォォゥゥ!!!!…」


マサツグがキツイと嘆きながらも必死に足を動かし続け、そんなマサツグを

励ます様に熊五郎が振り向きながら声を掛けていると、ハッ!と気付た様子で

希望を持たせるよう湖が見えて来た事を口にする。その言葉を聞いてマサツグが

更に根性を振り絞って走り続け、遂に二人揃って森を駆け抜け湖へと生還すると

その様子を見ていたのか妖精達の国から歓声が聞こえて来る。


__ガサガサ!!…バサァ!!…ッ!…わあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!…


「ッ!?…朝日が見え掛けてる!?………」


「いや!!…まだでやす!!!まだ終わってないでやす!!!!」


「ッ!!!………グウゥ!!!…

唸れ俺の両太ももおぉぉぉ!!!!…根性見せろぉぉぉぉぉおおお!!!!」


木々を掻き分け飛び出す様にマサツグと熊五郎が一坪の日だまり花畑より

生還すると、まるで待っていた!…信じていた!…と言わんばかりの歓声が

マサツグ達を迎え、その声に答えるようマサツグと熊五郎が湖の外周を走って

リトルガーデンの入口まで走って来る。この時点でゲーム内時間は既に

明朝四時を回っており間に合ったのか!?間に合って居ないのか!?分からない

ギリギリの所なのだが、マサツグはTPが切れるのを覚悟で広場に滑り込む!


__ダダダダダダダダダダ!!!!…ザザアアアァァァ!!!…


「だはぁ!!…ぜぇ!!…ぜぇ!!…ティ…ティターニアは!?…」


__………。


「え?…え!?…嘘だろ?…」


マサツグが広場まで走り切り、膝が笑っている状態でティターニアがまだ無事で

あるかどうかを他の妖精達に尋ねるのだが、妖精達はただ何も声会えずに戸惑った

様子を見せては身内同士でヒソヒソと話し合うだけ。先ほどの歓声は何だったのかと

思う位の静まり返り様にマサツグが息を切らしながら戸惑い、まさかの事態を考える

のだが広場に集まった妖精達は何も答えず、更にその場にお付きの妖精ポリンと

カチュアが居ない事に気が付くと熊五郎も不安の様相を見せる。


「ポリンのお嬢にカチュアのお嬢も居ない!?…そんな!!…

まだ日は開けていない!!…間に合った筈じゃ!?…」


__ギッ…ッ!?……ギッ…ギッ…ギッ…ギッ…


余りの静かさそして周りの妖精達の様子にマサツグと熊五郎が駄目だったのかと

慌てるも、出発する前にティターニアを寝かせたドールハウスから妖精の足音が

聞こえて来ると、マサツグと熊五郎の二人がその足音の聞こえて来た方を

振り返り足音の主を確認する。そして二人が見詰めるドールハウスから顔面蒼白の

フラフラとしたティターニアが姿を現し、外が慌ただしい事を気にした様子で

出て来ては辛そうな表情で辺りを見渡す。


「……ッ…一体如何したと言う…ッ!?…その花は!?…」


「ッ!?…良かった間に合った!!!」


__コッ……コッ……コッ……コッ……


「まさか!…あの報告を受けた状態からこれを!?……ッ!……瘴気が薄い?…

まさか!?…」


ティターニアが外に出て来てはマサツグが魔法の花を手にして居る事に驚き、

ティターニアが姿を現した事にマサツグが間に合った!と先ほどの緊張感から

解放された様子で喜びの笑みを浮かべると膝が笑っている状態ながらも

ティターニアの居る方へと歩き出して行く。ティターニアはマサツグの持っている

魔法の花をマジマジと見詰めては報告を聞いていたあの花畑からわざわざ見つけて

来たのかと更に驚き、瘴気が薄れて行く感じも同時に体感したのかハッ!と驚いた

様子で気が付くと空を見上げ、その様子に熊五郎は嬉々とした様子で瘴気の元凶を

断ったと報告する。


「はい!!ティターニア様!!!…

瘴気の元凶と思われる物はあっしとマサツグ殿の二人で排除して来やした!…

これでもう瘴気が濃くなる事は無いかと…後は瘴気が抜け切るまでの辛抱です!…」


「ッ!!…ではもう!…」


「はい!!…我々はたった今!!…このお方の協力を得て!!…

……ッ!!…助かりました!!!!…」


__ッ!?……ッ~~~!!!……わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!…


熊五郎の報告を受けてただひたすらにティターニアが驚いた表情で如何言う事かを

理解し始めると、熊五郎はやっと約束を守る事が出来たと誇らしげに胸を張って、

笑みを浮かべるとマサツグの協力のお陰と堂々宣言する。そして助かった事を

叫ぶ様にティターニアに傅いて報告をするとその報告を聞いた周りの妖精達は少しの

時間を置いてから歓喜し、涙を流して喜び始める。そんな妖精達の様子に

ティターニアも肩の荷が下りたと言った様子で一息吐いて笑みを浮かべて居ると、

マサツグがティターニアの前にぎこちなく辿り着いては名前を呼ぶ。


__ギッコ!…ガッコ!…ギッコ!…ガッコ!…


「…さて、ティターニア様?…」


「ッ!…は、はい…」


「これがご依頼の品です…お納めを…」


マサツグの呼び掛けにティターニアが戸惑いながらも返事をし、マサツグが依頼の

品を持って来たと笑う膝を誤魔化しつつ花を差し出すと、ティターニアが恐る恐る

その魔法の花を受け取る。傍から見て居るとその様子は何とも締まらない光景なの

だが、ティターニアが笑みを浮かべて魔法の花を胸に抱く様に受け取ると、魔法の

花から花自体を包む光が放たれてはティターニアの体へと移り、ティターニアが

淡い光を纏い始める。


__ポゥ……パアァァァ……


「おぉ!…本当だったらこうなるって事か…

俺はてっきり取った時点で萎れるのかと…」


__……カサ…カサ……サアァァァ…


「ッ!?…崩れた!?…」


それと同時に先程まで凛と咲いていた魔法の花はみるみる萎れ始めて

ティターニアの腕の中で枯れてしまい、カサカサになると砂の様にサラサラと

崩れ落ちて行く。その様子を物悲しそうにティターニアが見詰めるのだが、

魔法の花の効果はあったのかティターニアの顔色は最初に会った時より

回復した様子で明るくなっていた。しかし幾ら回復したとは言え相手は妖精王…

やはり一本では足りないのか弱弱しい様子には変わりは無いのであった。

そうしてもうひと踏ん張りの力を得た事をティターニアが実感したのか、

マサツグに頭を下げようとお礼の言葉を口にし始める。


「有り難う御座いました…

元凶も消えた今、徐々にでは瘴気は消え…元の森に戻る日は近い事でしょう…

魔法の花の調達…及び瘴気の元凶排除……

私を…いえ…リトルガーデンを救って頂き…本当に有り難う御座いまし!……」


「ッ!…待った…」


__テシッ!……どよ!?…


「……え?…」


ティターニアがマサツグに頭下げてお礼を言おうとした瞬間、マサツグがハッ!と

気が付いた様子でティターニアの額に人差し指を差し込むよう入れると、何故か

頭を下げられない様にする。そのマサツグの突然の行動に周りの妖精達はどよめき、

熊五郎も呆気に取られた様子で戸惑って居ると、ティターニアが反応が遅れた様子で

戸惑いの声を漏らす。そしてティターニアが困惑しつつも頭を上げてマサツグの顔を

見上げると、そこには軽い笑みを浮かべるマサツグの姿が有り、マサツグは何を

思ったのか表情そのままにティターニアにある事を言い始める。


「…俺はギルドでたまたま奇妙な依頼書を見つけて、興味を持って受けただけ…

カチュアに連れて来られるままに説明を受けて、熊五郎と一緒に依頼品を

納品しただけ……

……これはタダの仕事であって頭を下げられる様な事じゃないだろ?…」


__どよ!?…


「な!…何を言いますか!!…貴方様はこの国を助けて頂いた恩人!!…

その国を助けて頂いた恩人に礼を言わない等!…礼儀に反します!!…」


マサツグが笑いながら言い始めたのは感謝はしなくて良いと言うドライな発言、

仕事だからやった…やって当然の事だから頭は下げなくて良いとティターニアに

話し掛けると周りの妖精達及び熊五郎が酷く驚いた様子でどよめき、

そのマサツグの台詞を聞いたティターニアも戸惑った様子でマサツグに礼儀を

欠く事は出来ないと訴え始める。しかしマサツグはそれでも素直に…頑なに

謝礼を受け取ろうとしない。


「…うぅ~ん……そう言われても……

俺の依頼はあくまでも調であって、じゃあ

ねぇんだよなぁ~…」


「え?…それは如何言う…」


「俺は依頼を遂行する為に花の咲いている場所に向かってただ

排除しただけなんだ。だからその過程で俺が瘴気を晴らしてもそれは依頼を

完遂する為のではないんだ。

…つまり俺が言いたいのはをしたって事なんだわ。

だから、ティターニア様が頭を下げる必要は無いんだよ。」


「……?…ある種の依頼違反?……」


マサツグがまるで何かに付け難癖を付けて来るクレーマーの様にティターニアの

謝礼を拒絶しては、その態度にティターニアだけでなく周りの妖精達に熊五郎と

疑問を持ち始め、如何言う事なのかと全員がマサツグの言葉の意味を理解出来ずに

悩んで居ると、妖精達の図書館がある方から突如勢い良く扉が開く音が聞こえて

来ては、目を真っ赤にしたカチュアとポリンが飛び出して来る!


__バタアァン!!…


「うおあ!?びっくりした!?…」


「ぜぇ!…ぜぇ!…マ、マサツグ!!…」


「え?…は、はい?…」


飛び出して来たカチュア達にマサツグや熊五郎、ティターニアに妖精達と広場に

集まって居る者全員が驚いて居るとカチュアはマサツグを見つけるなり慌てた

様子で息を切らしつつ呼びつけ、そのカチュアの様子にマサツグが戸惑いながらも

辛そうに振り返るとカチュアは奇妙な質問をマサツグにし始める。それは妖精の

国に来るまでの間に食べていた物で、この妖精の国には無い物であった。


「ぜぇ!…ぜぇ!…マ…マサツグ!!…

あ…あの時の…えぇ~っと…林檎?だっけ?…

まだ残ってるのね!?」


「え?…あ、あぁ…如何だろ?…俺の分は食っちまってもう無いし…

カチュアの分は多分……あぁ~…やっぱり酸化してカスカスになっているな…

とてもじゃないが食えないと思うぞ?…」


__ジイィ~…ガサゴソガサゴソ……


カチュアがマサツグに尋ねたのはそう…林檎であった。あの馬車に乗っている時に

カチュアは林檎半分を食べてギブアップし、残りはマサツグがアイテムポーチの

中に入れて仕舞っていた事を覚えていたのか、カチュアがマサツグに林檎が

残っているかを尋ねると、マサツグは戸惑いながらも覚えが有るのかアイテム

ポーチを開いてはカチュアの食べ掛けの林檎を探し出し始める。その際ここで

ちょっとした説明をすると本来食べ物系のアイテムはポーチに入れると時間が

止まり、腐りはしないのだが一回でも口を付けたり・中途半端に食べ残したり

すると、その効果は発動せず腐る。その事を踏まえてマサツグは残っていても

食べれない事をカチュアに伝える。そうして一分と経たない内にマサツグが

若干酸化した半分だけの林檎を取り出すとカチュアに差し出す。


「あっ!…あった…ほれ?…」


「サンキューなのね!!…

大丈夫!!…私が欲しいのは別に腐ってさえいなければ大丈夫なのね!!

これで女王様を!……ティターニア様を救う事が出来るのね!!」


「え?…」


「ポリン!!急ぐのね!!!」


マサツグから酸化した林檎を受け取ったカチュアが希望はまだあると言った様子で

喜び受け取るとマサツグに大丈夫と言い、酸化した林檎で何をしようとしているのか

分からないマサツグはただカチュアの反応に戸惑っては言葉を漏らす。

しかしカチュアは急いだ様子でお付きのポリンを呼び寄せ、その際ポリンが一冊の

本を大事そうに抱え、林檎を抱えたカチュアと一緒に一件のドールハウスの中へと

入って行くと、何やら慌ただしく作業を開始し始める。


「…材料は何とかあったのね!!…ポリン如何すれば良いのね!?…」


「…本当なら鮮度が良い物を使いたかったのですが…止むを得ません!!…

ではまずその果物を千切りにしてください!!…

その後千切りにした果物を乾燥!!…」


「分かったのね!!!…

《風の刃よ!…我が目の前の障害を完膚なきまでに切り刻め!!…》

《エアロミキサー!!!…》」


__スパパパパパ!!…がやがや…がやがや…


ドールハウスの中のキッチンにその半分の林檎を引っ張り込むとカチュアが

ポリンに指示を求め、ポリンは図書館から持って来たであろう本を開くと

カチュアに林檎を如何すれば良いのかの指示を出し始める。その指示を聞いて

カチュアが右派好き返事をすると魔法を唱え始め、指示通りに林檎を魔法で

妖精サイズの千切りにしてしまうとその様子が気になる他の妖精やマサツグ達が

ドールハウスの中を覗き込み始める。


「な…何をして……あれ?…あれってもしかして…」


「乾燥は……って!!私は火の魔法は使えないのね!?…」


「では合わせて下さい!!!…

…本当なら天日干しと書いて有るのですが…時間が有りません!!…

《穏やかなる火よ!…灯ともして我らの道を明かる照らせ!…マッチファイア!》」


窓から扉から二人の行動に興味津々の妖精達が何事かとただ二人の作業を見詰めて

居ると、同じ様にそのカチュア達のやっている行動を見ていたマサツグが見覚えが

有ると言った様子で作業を観察し続ける。そんなギャラリーの注目を浴びつつ

カチュアとポリンが千切りにした林檎を乾燥させると言っては、火の魔法が

扱えないなど更に慌て始め、ポリンがその火の魔法を唱えると口にするとカチュアに

協力するよう指示を出し、その指示を聞いたカチュアはポリンの魔法と

組み合わせる様に合体魔法を扱って見せる。


「…分かったのね!!!…

《肌を撫でる優しき風よ!…我が同胞の火を纏いて目覚めの温風を!…》

《ドライウィンド!!!》」


__ゴオオォォォォ!!…おおおぉぉぉ!…


その連携技にギャラリーが歓声を上げる中、その魔法を掛けている相手が千切りに

された林檎と言う何とも言えない状況なのだが、千切りにされた林檎が二人の魔法で

どんどん乾燥して行くと、その見た目からは想像出来ない程の水に戻す前の切り干し

大根になる。しかし二人はその様子を見て互いに笑みを浮かべては頷き、

その乾涸びた千切り林檎を集めると何処からか妖精用乳鉢を取り出しては細かく

砕き始める。


__ゴリゴリ!…ゴリゴリ!…


「ぬ!…クッ!…中々!…手強いのね!!…」


「頑張ってください!!…これも女王様の為!!…」


「ポリンも手伝うのね!!…私一人だとキツイのね!!!」


乾燥した千切り林檎をカチュアが乳鉢で必死に砕き、その様子を隣で本を抱えては

腕を振り回し応援するポリン。その様子にカチュアがポリンに手伝うよう文句を

言ってはポリンが嫌そうな表情を見せる。しかし自分も協力しないとキリが無いと

感じたのか抱えていた本を机の上に置いてカチュアの手伝いに入り始めると、

その本が気になったマサツグが視線をカチュア達にではなくその置いた本に向ける。

するとそこにはマサツグが予想した通り…ある本が置かれてある事が分かる。


「……ッ!…なるほど…だからか…でもそれって効果あるのか?…」


__ゴリゴリ!…ゴリゴリ!…


「…ッ!…ッ!……よし!これ位で良いのね!!」


「はあぁぁ~……後はその粉を漉し袋に入れて15分位……

弱火でじっくり煮詰めれば!…完成です!…」


マサツグが一人納得してはカチュア達の作業を改めて観察し始め、その様子を

見て居ると作業も終盤に来ていたのか粉砕作業は終わり、後は似るだけと

ポリンがくたびれた様子でその場にへたり込む。その後カチュアがポリンの

指示通り漉し袋に乾燥した林檎を入れ、鍋に水を入れてその林檎が入った

漉し袋を鎮めると弱火で15分掛けて煮詰め出し、その煮詰めた赤い透明感の

ある液体を棚から出して来たカップに注ぎ始める。


__カチャッ…コポポポポ……


「……よし!…あの本の通りならこれで大丈夫の筈なのね!…」


  --------------------------------------------------------------------------

             「妖精のアップルティー」

      
        効能: 魔力回復及び常時魔力リジェネ

  作り方: 1.特定の林檎を良く洗い種や皮など取らずに千切りにし、

         天日干しで乾燥させる。

       2.乾燥させる際良く解しながら六日程乾燥させ、

         乾燥具合がいまいちの場合は魔法を使って調節をする。

       3.よく乾燥させた後、鍋に水を適量入れて弱火で15分位

         煮詰め、綺麗な赤色になった所で林檎を取り出し

         カップに注げば出来上がり。


  --------------------------------------------------------------------------


__あれは一体?…でも良い香りがする!…


「やっぱりアップルティーか…

ポリンの置いた本は何処をどう見ても料理本だし…

てかアップルティーに回復効果ってあるのか?」


カチュアがアップルティーを手にドールハウスを出ると、辺りにフルーティな香りが

漂いその匂いに妖精達が更に興味を持つ中、人間のマサツグ達は言うとさすが

妖精サイズなのか若干程度にしか分からない。それでもマサツグが液体の正体を

理解した所でポリンの置いた本を見たりと色々確認をし、カチュアがティターニアの

立っている方へと飛んで行くのを見詰めて居ると、カチュアは無事ティターニアの

元まで移動し傅き、アップルティーが注がれたカップを差し出す。


「…女王様!!…これを!!…」


「ッ!…これは……良い香りがしますね…」


「これはフルーツティーと呼ばれる人間さん達の飲み物ですのね!…

魔法使い達の間でも修行の休憩時に飲んではリフレッシュをするのだとか!!…

もしかすると私達妖精の魔力を回復させる事も!!…」


「まぁ!…それはそれは…」


カチュアにカップを差し出され若干戸惑った様子を見せるティターニアであったが、

カップから漂うフルーティな匂いに癒された様な表情を見せると尋ねる様に

カチュアへ感想を伝える。それを聞いてカチュアが傅いたまま紅茶の説明を

し始め、ティターニアに飲むようお願いをするとティターニアが興味を持ったのか

カチュアからカップを受け取る。カップの中からは湯気が立ち上り…それと同時に

林檎の甘い匂いも感じられる…それらを楽しむ様に息を吸い、目を閉じて一口

アップルティーを流し込むとスッとカップを口から離す。その立ち振る舞いからは

気品を感じ、妖精達が見惚れる様に見詰めて居るとそれは突然起きる。


「……ほぅ…何と心地が良いのでしょう!…

今までに飲んだ事の無い!…何と良い味わい!…

あぁ!…体に力が戻って行く!!…」


__ブルブルブルブル……ンバサァ!!!…キラキラ…キラキラ…


「…ありがとう!…カチュア!…こんなに良い臣下を持てて私は幸せです!…」


「ッ!!!………ッ~~~~!!!!…

やっだのね~~~~!!!!」


ティターニアが初めて飲んだと余韻に浸りながら体を小刻みに振るわせ、徐々に昇る

日の光を浴びる様に両腕を広げて体を太陽に晒すと次の瞬間、ティターニアの

背中から勢いよく蝶の羽が飛び出してはふわっと光り出し、先ほどより更に顔色が

良くなって行く。そして朝日がティターニアの羽を照らしてキラキラと輝き出し、

完全復活した様子でカチュアに微笑み掛けると、その笑顔を見たカチュアが戸惑った

表情を見せた後、自分が助けたと言う事を実感してか感動のあまり大粒の涙を

流し始めるのであった。

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