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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
-第二章三十六節 看守達からのやっかみと裁判と地獄の鏡-
しおりを挟むさて、マサツグが監獄に入れられてそこそこ時間が経った訳なのだが…
今日は運命の裁判の日である!…牢屋の外では看守達が慌ただしく
動いて居るのが見て取れ、そんな外の様子に対してにマサツグは全く
緊張する素振りを見せる事なく!…朝を迎えると気怠そうに起きては
呑気に欠伸をしていた!…前日までゲスデウスの屋敷で手に入れた
証拠を読んでは如何突こうかと思案し!…如何にして陥れようか?と
その事を考えては色々と攻撃の糸口を幾つか見つけていた!…そして
戦闘準備万端!と言った様子でマサツグが看守達の迎えを待っていると、
遂に護送の準備が出来たのか…看守達が牢屋の前に集まり出すと
マサツグの牢が開けられる!…
-〇月×日…午前9:30-
ハーフリングスの監獄・マサツグの牢屋前
__タッタッタッタッタ!!……ガチャンッ!!…
「……出ろ!…昨日言った通り!…今日は貴様の裁判の日だ!…
これより貴様を裁判所まで連行する!…」
マサツグの牢が開けられると集まって来た看守達の内一人が高圧的に
声を掛け出す!…明らかにマサツグに対して敵意を向けている様な…
まるで恨んでいる様な素振りにも見え、周りの看守達はそんな
高圧的な看守とは裏腹に緊張した様子を見せており、まるで相手は
一度脱獄した凶悪犯と言った様な注意を向ける視線でマサツグを
見詰めていた!…
__ッ!?…ッ~~……
「…はあぁ~……はいはい…
御大層に…俺一人を連行するのに5人掛りか?…
コイツはトンデモぇVIP待遇だな?…」
ここまで看守達に注目される理由として恐らくはあの脱獄騒ぎの
せいで警戒されているのか…その際騒ぎを起こしたとしてこの
看守達は上司に当たる者に厳重注意されたのであろう…その鬱憤を
ぶつけるようマサツグに当たって来ているのは誰の目から見ても
明白であった!…しかしマサツグはそれでも態度を改めようとは
せず、寧ろ看守達を無能と言った具合に!…茶化すよう言葉を
掛けては厭味ったらしく笑みを浮かべて見せ、その高圧的な態度を
見せる看守に近付き出すと、その看守は焦った様に舌打ちしては
マサツグに牢から出るよう命令する。
「ッ!?…チッ!!…無駄口を叩かずさっさと出ろ!!…」
「へいへい…」
__コッ…コッ…コッ…コッ……ガチャンッ!…
そうしてマサツグは指示に従うよう適当に返事をして牢屋から出ると、
まずは抵抗出来ないよう両腕に手枷を嵌められ…そのまま他の囚人達に
見送られる様にして外へと歩き出すと、監獄の直ぐ外では既に護送用の
馬車が用意されて有った。5日ぶり?…いや、9日ぶり?…とにかく
久しぶりの朝日にマサツグは目が眩み…思わず手で日差しを隠し戸惑って
居ると、看守達に早く馬車に乗るよう急かされる!…
「…何をしている!…早く乗れ!…」
__ドンッ!…
「ッ!?…ったく!…もう少し太陽光を浴びさせろっての!……
…はあぁ~……あ~た~らしい朝が来った♪…さ~い~ばんのあ~さ♪
逆転~狙って吠~えろ♪…異議有~りと叫~べ~♪…」
看守に後ろから急かされるよう背中を押されてはマサツグが転けそうに
なるのだが…何とか踏み止まり文句を口にすると、溜息を吐いては何処か
夏休みを思い出す体操の替え歌を歌い始める。そしてマサツグは歌を
歌いながら馬車に乗り込み出し、ただ馬車に乗り込むだけだと言うのに
何故ここまで時間が掛かるのか?と…看守達は戸惑うのだが、マサツグが
漸く馬車に乗り込んで席に着くとふぅ…と一息吐き、はたと気が付いた
様子で目の前に視線を向けると、そこには既に見知らぬ女性が座って居た。
「……ふぅ~…ったく!…何をそんなに慌てて…ッ!?…
…って、あんた誰?……」
__モッフゥ~ン!…
「…んんッ!……ゴホンッ!!…初めまして!…
私は今回貴方の弁護士を受け持つ事になりました…
「フレデリック・スクウェレル」と申します!…
本来なら貴方の様な方の弁護を引き受ける事は無いのですが、
ミスティアナ姫直々のご依頼と言う事で引き受ける事になりました。
…まぁ、貴方が何をしたかは大体聞いておりますが…今回の裁判は
かなり珍しく難しい物になると思われます!…何故なら…鎖国状態の
この国で異邦人を裁くという有り得ない……」
目の前に座って居る女性は如何やらシマリスの獣人なのか、
髪はショートでシロとこげ茶のストライプ模様…身長はやはり
リスな分低く格好はまるでアメリカの学校を卒業する際に着る
黒いローブに帽子…タッセルと如何にもな格好をしており、
尻尾もシマリス特有の長く曲がった尻尾をして居て、モフモフと
している見た目からマサツグは思わずモフりたくなってしまう!…
しかしそんな感情をグッと押し込めて誰かと尋ね出すと、その
女性は咳払いをしては高飛車に自己紹介をし始め!…今回の裁判の
マサツグの弁護人を務めると口にすると途端に怒涛の口撃を
披露し出し!…止まる事の無い話にマサツグが置いてけぼり状態に
なって居ると、その口撃を右から左に受け流してはよく喋ると
思わず感心してしまう…
{…一度喋り出したら止まらないタイプの子かな?……
とにかく良く舌の回る子だなぁ……って、感心してる場合じゃねぇや…
さて如何したもんか?…確かにゲスデウスを口撃する為の武器は
持って居るもんの相手にそれを認めさせない限りは有効打にならない!…
せめて仲間がいれば良いんだが…まぁ居る訳が無いし……さて?…}
「…これでも私!…この国で5本の指に入る位に勝率の良い弁護士でして、
今までに敗戦したのはたった3度のみ!…戦勝数としては数百を超えて
居まして!…」
思わず饒舌な事に感心してしまうがそんなタカビーなシマリスを余所に、
マサツグは徐にその場で一人悩み出すとただ如何やってゲスデウスに
罪を認めさせるかを考え始める!…ただ証拠を突き付けて論破した所で
相手が認めなければ意味がない!…何なら一国の宰相を告訴するとなると、
権力を使って捻じ曲げる等…有耶無耶にする方法は幾らでも有ると
考えさせられると、やはりマサツグの方が不利であり!…それらを立証
するにしてもマサツグが手に入れた証拠からは証明するのは難しく!…
ただやったかどうか…犯行が起きていようがいよまいが!…証明出来な
ければ意味が無いと理解させられると、ただひたすらに悩み続ける!…
こうしてマサツグが一人悩んでいる間…マサツグの目の前ではタカビーな
シマリスが自分の請け負って来た裁判の話を続けるのだが、それを遮るよう
一緒に乗り合わせた看守が呆れた様子を見せると、一向に裁判の説明を
始めない弁護士に代わってマサツグに話し始める。
「……ゲフン!!……一応だがここで裁判の内容と確認!…
説明をしておく!…後で聞いて居ない等言わない様に
心して聞いて置け!…今日の裁判は貴様がゲルデウス宰相の
部下に対して暴行・殺人を起こした罪!…及びミスティアナ
皇女殿下の誘拐を試みたと言う計三つの内容の裁判を執り行う
予定となって居る!!…もしこの裁判で貴様が有罪になればこの
ハーフリングスの地にて貴様は処刑される事になるだろう!…
…だが逆に!…もし貴様が無罪を勝ち取れば貴様は無罪放免!…
直ちにこの国から何事も無く堂々と出て行って貰う事になる!!…」
「…ッ!……因みに何だが…ここに残るって選択肢は?…」
「それは絶対に許される事は無い!!…
今この国は未知の外敵を入れない様に鎖国するよう!!…
女王陛下の命の元!…ゲルデウス宰相の指揮下で
厳重に護られて来たんだ!!
余程の例外が認められん限りは何が有ろうと無理だ!!…」
「……なるほど?…」
咳払いを一つすると看守は淡々と声を張る様に!…今日行われる裁判の
内容をマサツグに確認させる!…内容としては監獄に入れられる前に
マサツグが確認した時と同じで、ゲルデウスの配下に対しての暴行!…
及び殺人にミスティーの誘拐と…極悪人振りがこれでもか!と言った
具合に盛られて有り、その後の裁判の結果では処刑!…或いは追放と、
両極端な結論を言われては如何によそ者を拒んで居るかを口にする!…
その一連の説明を聞いてマサツグもピクっと反応すると、別の選択が
無いかを確認するよう看守に尋ねるが、看守は有り得ないと答えては
首を左右に振り!…更にゲスデウスの影響が強い事もしっかりアピール
されると、マサツグはその話を聞いて渋々納得する…そうしてマサツグを
乗せた馬車は徐々に裁判所へ近付いて居るのか、外の風景からは
民家らしき建物の影が消え…徐々に石造りの大きな遺跡の様な建物が
見え出すと、馬車はその遺跡の様な建物の前で停車する…
-〇月×日…午前9:55-
ハーフリングス裁判所前
__パッカラ!…パッカラ!…パッカラ!…パッカラ!……ドドドド…
「…着いたぞ?…降りろ!…」
「…はあぁ~……どっこいしょ!…ッ!?…」
__ざわざわ!…ざわざわ!…じぃ~~~…
ジャングルの中に町が有り!…その中に遺跡!…まるでインディーな
気分になりそうなモノのだが、そんな事は無く…馬車がその遺跡の様な
建物前で停車すると看守はマサツグに降りるよう命令し、マサツグは
マサツグで動き難い!…面倒!…と言った態度を見せるのだが、
命令には従い…ゆっくり馬車から降りると、まずその目の前の光景に
戸惑いを覚えてしまう!…何故なら…マサツグの目の前には何故か
人だかりが出来て居り、その人だかりは一身に馬車から降りて来た
マサツグを見詰めて居るからであって!…何故こんなに注目を浴びて居る
のか分からないマサツグが馬車の前でただ立ち尽くして居ると、看守に
注意される!…
「ッ!?…こんな所で止まるな!…さっさと歩け!!…」
「ッ!!……なぁ…看守さん?…
この国ではそんなに裁判は人気なのか?…
明らかに普通じゃ無い視線も感じるのだが?…」
「…理由は貴様だろう……恐らくはこの国初めての異邦人の裁判だ…
私達獣人族以外を見るには良い機会であり!…
更にミスティアナ皇女殿下の誘拐を試みた怖いモノ知らずと噂されているからな!…」
マサツグが足を止めていると後ろでつっかえて居る看守に背中を
押され!…マサツグがバランスを崩し転けそうになって居ると、
看守とフレデリックが馬車から降りて来る!…そして連行するよう
看守がマサツグの手枷に付いた鎖に手を持ち出すと、先頭に
立ってはキビキビと歩き出し!…引っ張られる様にしてマサツグも
後を付いて行き、看守にこの集まり様は何!?と困惑気味に質問を
すると、看守から人だかりの目的はマサツグと告げられる!…
その際細かな事も言われるのだが主な原因としてはミスティーの
誘拐未遂で、それが人を集めたのだろうと看守から説明されると、
マサツグは戸惑いながらも軽口を口にする…
「…ッ!…うわあぁ~…マサツグさんモテモテ…
こんなに嬉しくないモテモテは初めて!…」
「……こっちだ!…着いて来い!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ…
まるで珍しい物を見る様な…その目が好奇心に満ちている者も居れば、
不届き者!…と言わんばかりの敵意に満ちた視線も感じ!…そんな
視線を浴びつつ遺跡の様な裁判所の中に入って行くと、そのままの
脚で連行されるよう大裁判所まで通される。大裁判所まで移動すると
既に傍聴席は当然ながら獣人達で満員になっており、傍聴席の獣人達が
一斉にマサツグへ視線を向け始めると、マサツグは何も言わずに
被告席へ座らせられる。そうして獣人達の凝視の目に晒される中、
一応は何も後ろめたい事は無いと言った様子で…マサツグも黙って
被告席に座って居るのだがさすがにこの視線には耐え切れなかったのか、
逃げる様に視線を逸らすとふと見覚えの有る人影をチラッと確認する。
__……クルッ…ッ!……
{あれ?…今さっき…誰か見覚えの有る様な?……ッ!?…}
「……ッ!…」
{な!?…何で!?…何でここにミスティーが居る!?…
…いや!…他人の空似かもしれんし!…わざわざここに来る事は!!…}
傍聴席の一番奥!…視線を逃がすにしてもその居所は何処も悪く!…
辺りを見渡す様に視線を動かして居ると、ドレス姿のミスティーの
姿を見つける!…何故この場にミスティーが!?…普通に護衛も無く
一般向けの傍聴席に座って居る事に疑問を覚えるのだが、直ぐに
ここに居る訳が無いと!…マサツグはミスティーの性格を理解した様に
そんなアクティブな事はしない!と言った具合で、他人だ!…と自身に
言い聞かせてようとするのだが!…向こうも視線に気が付いた様子で、
マサツグに視線を合わせるなりムッと気合を入れる様な表情を見せては、
マサツグにピーカブーポーズを執っていた!…
__……スッ……グッ!!…
{ご本人様でしたああぁぁぁ!!!…}
__ッ!…ジロッ!!……
{止めてええぇぇぇぇぇ!!!…
助けようとしてくれるのは有り難いけど今は止めてええええぇぇぇ!!!…
何か!…何か要らない誤解を受けてるからああぁぁぁ!!!…}
ミスティーはマサツグに対してファイティングポーズを取り!…
その他の傍聴席に座って居る獣人達がミスティーの様子に気が付くと、
一気に誤解をし始める!…まるでマサツグに対してミスティーが
怒りを覚えている!…ギルティ!!…と言って居る!と言った様子に
見えたのか、傍聴席の獣人達までマサツグに敵意の目を向け始めると、
マサツグはその視線に居た堪れなくなる!…そうして裁判官が来る
までの間…マサツグは一身のその身に視線を浴び続け!…何とも言えない
居心地の悪さを覚えるのだが、ふとここである疑問が出て来る…
{……あれ?…そう言えばシロは?…
ミスティーがここに居るのならシロも居る筈?…なのに居ない?…
何か有ったにしても絶対に通知が来る筈だし……一体何処に?…}
マサツグが気付いた事と言うのはシロの事であった…ミスティーを
護る様に言った筈のシロがミスティーの傍に居らず、影どころか
この場にミスティーだけしか居ないのである!…そんな姿の見えない
シロにマサツグは不安を覚えると、思わず安否を確認するよう
通知履歴を調べるのだが、シロに関するモノは何一つとしてない!…
ただ一体何が有った!?…とミスティーに視線を送るがミスティーは
ピーカブーのままで…何一つとして状況が掴めないままで居ると、
時間が来たのか裁判官が大裁判所に姿を現す!…
__ガチャッ!!…キイィィィ……コッ…コッ…コッ…コッ…
{…ッ!…来た!…}
__コッ…コッ…コッ…コッ……スッ…コン!…コン!…
「静粛に!!…原告、被告共に揃っていますな?…では!…
これより!…ここに居るマサツグなる者の裁判を執り行う!」
ぞろぞろと大裁判所に裁判官が入って来てはいよいよ始まる!と
言った様子で、傍聴席がどよめき出し!…裁判官がそれぞれの
席に腰掛け出すと、あの木槌で台を叩いては場内に静かにするよう
呼び掛ける!…真ん中は犬・右に猫・左に鳥と言ったそれぞれ
ご高齢の裁判官が如何にもな黒いローブを身に纏い!…マサツグを
見下ろしてながらサツグの裁判を行うと宣言すると、まずは
マサツグへ証言台に立つよう声を掛け始める!…
-〇月×日…午前10;15-
ハーフリングス裁判所内・大裁判所
「……被告人…マサツグは証言台へ!…」
{…遂に始まった!…俺が死ぬか!…
ゲスデウスの野郎を引き摺り落とせるかの裁判が!…
…ってかゲームの中とは言え牢屋に入るは…裁判は受けるは……
本当に波乱万丈だな…俺の人生…}
__コッ…コッ…コッ…コッ…
裁判が始まると辺りに重々しい空気が漂い出す!…まるで
某逆転しないといけない裁判ゲームの中にいる様な気分になる!…
これが人生(ゲームの中)初の裁判かと思うとやはりマサツグも
緊張をするのだが、それよりも自身の今までのプレイ状況を
思い出しては波乱万丈と感じてしまい…ゲームを始める前の
自分に戻り、自分が思って居た波乱万丈とは違うと言った様子で
改めて戸惑いを覚えてしまうと、自分で何とも言えない微妙な
気分に落ち込んでしまう…こんな事をもしモツに言えば如何帰って
来るか?…恐らくは「何を今更?…」と言われそうなモノなのだが、
今は集中!…と覚悟を決めてマサツグが証言台の方に歩き出し!…
台の前に立つと、まずは裁判官による罪の有無を認めるかの
質問を聞かれ始める。
「……ではあなたに問います!…原告からの主張では?…
過日…被告人マサツグはゲルデウス宰相の命で動いて居た
配下数名に対し、暴行を働き!…その上に虚偽の申告をして
その者達をホエールビアードの牢獄へと幽閉した後!…
殺害をしたと!…更に我が王国の皇女殿下を誘拐しようとした罪!…
余罪等が数件含まれている主張されていますが…如何なものか?…」
「……はあぁ~……何か色付けられてるみたいですが?…
最初の暴行の件に関しては認めます!…とある女の子が
襲われて居たので助けた次第!…ですが後の殺人と誘拐に
関しては事実無根です!…無罪を主張します!!…」
__ざわッ!?…どよどよ!?………カンカン!!…
裁判官が話し始めたのはマサツグの罪について…その罪の言葉も
何度も聞いて居るのでもはや呆れも出て来るのだが、ただ原告からの
主張を淡々と読み上げ…その内容が合って居るかどうかとマサツグに
確認の言葉を掛け始めると、マサツグはその質問に思わず溜息を吐く。
よくもまぁぬけぬけと!…若干尾鰭が付いて居る様な事を言われて
呆れた態度を見せると、最初の暴行は認めた様子で答えるのだが!…
次にある殺人と誘拐に関しては真っ向から対立するつもりで強く否定を
すると、裁判所内がどよめき立つ!…そんな様子に裁判官も木槌を
振り被っては台を叩き、音を鳴らして注意を向けると静かにするよう
声を掛ける。
「静粛に!!……被告人マサツグ…
今の言葉に嘘偽りはないと受け取っても宜しいか?…」
「…ッ!…別に結構です!…嘘は吐いて居ません!…」
まるで予想外の答えが飛び出して来たと言った様子で、傍聴席の
獣人達は驚きを見せるのだが…裁判所内に響くよう木槌の叩く音が
聞こえると、再びシ~ンと静まり返る…そんな静まり返る様子に
マサツグはあの木槌叩くの良いなぁ…等と考えてしまうのだが、
直ぐに裁判長から確認の質問が飛んで来るとハッと我に返る!…
そしてその確認の言葉に対してマサツグは同意するよう返事をすると、
その態度が如何にも気になったのか、裁判官三人は途端に悩んだ
表情を見せ始める。
__……うぅ~む……ッ!…ヒソヒソッ!…
{…ッ!…何を耳打ちしてるんだ?…面倒事じゃなければ良いけど…}
まるでマサツグの声音や態度…あらゆる物を精査する様に見詰めては
悩み続け、マサツグもその様子に若干の戸惑いを感じて居ると、鳥の
裁判官は判断に困ったのか…ふと思いついた様子で表情を明るく
させると、犬の裁判長に耳打ちをし始める!…この時マサツグはまだ
ハーフリングスの司法を信用して居ないので、裏で何か企んで居る
のでは?と疑って居たのだが…犬の裁判長は鳥の裁判官の言葉に耳を
貸したのか快く同意をすると、衛兵にある物を持って来るよう声を
掛ける。
「……ッ!…なるほど!…
よろしい!…では例の物をここへ!…」
「ハッ!!…」
__タッタッタッタッタ!!………カラカラカラカラ…
犬の裁判長の指示にその衛兵が威勢よく敬礼しながら返事をし、
裁判所の奥へと姿を消して行くと数分後には何やら大きな布で
隠された何かを大裁判所に運び込む!…そしてその布に手を
掛けると徐に布を捲って見せ、何を持って来たのかマサツグを
含める傍聴席の獣人達に見えるよう姿を露にすると、そこに
有ったのは巨大な一枚の鏡で有った。
__バサァ!!……ッ?…
「…オホン!!……これは今回の裁判から使われる事となった
<浄玻璃の鏡>と言いましてな?…
例え被告人が嘘を吐いたとしても!…この鏡がたちどころに
事件の真実を映し出すと言う…そんな何とも不思議な鏡らしいです…
…我々も今回初めて使うので如何言った物かは詳しくは分かりませんが…
真実を捻じ曲げられてはいけない!…とミスティアナ姫が直々に
エルフの国より取り寄せた物らしく…品質は確かかと…」
__どよ!?…どよどよ!……チラッ…グッ!…
まず犬の裁判長が咳払いを一つすると徐に出て来た鏡の説明をし始める!…
何でもこの鏡は<浄玻璃の鏡>と言うらしく、その名前に聞き覚えの有る
マサツグはハッとした表情を見せては戸惑い、何故ここに?…と言った
様子で鏡を見詰める…何故ならその鏡は俗に言う閻魔大王が罪人の過去を
見る為に用いていた鏡で、こんな密林のど真ん中で見かける様な鏡では
無かったからである!…しかし幾ら疑問を持った所でその鏡はここに存在し、
ミスティーがエルフの国から貰って来たと言う話を聞くと、その話を聞いた
マサツグや傍聴席の獣人達は驚き戸惑いの様子を見せる!…鎖国中の筈なのに
如何やって!?…と言うよりエルフと如何やって関係を!?…と言った
表情を見せる獣人達を余所に、マサツグがミスティーの方に振り返ると
そこにはやはりピーカブーのポーズで笑みを浮かべ見詰めるミスティーの
姿が有り!…犬の裁判長が試運転と言った様子で嘘を一言口にすると、
直ぐに鏡には真実が映し出される!…
「…試しに…私は魚が嫌いです…」
__ぱああぁぁ!…ッ!?…おぉ!!……
「ッ!?…これは驚きました!…確かなようです!…
…では、これを用いて裁判の続きを!…」
犬の裁判長が他愛のない嘘を口にすると、鏡には犬の裁判長が食事を
して居る場面が映し出される!…そしてその食事をしている際の
料理はと言うと思いっきり魚料理で有り!…犬の裁判長はそれを満面の
笑みで食べて御代わりをしようか?と悩む様子が映し出されていた…
その映像を見て犬の裁判長は本物!と言っては若干恥ずかしそうに
驚き!…その性能に信頼を寄せたのか裁判の続きをしようとすると、
マサツグもその映像を見てはスッと悪知恵が働いたのか?…徐に悪い
笑みを浮かべるとミスティーに感謝しながらある事を口にし始める!…
「……ッ!…へぇ~?…じゃあ…えぇ~っと?…
ゲスデウスだっけ?…は、他人の子供を誘拐して居ない?…」
__ざわ!?…
「ッ!?…こ、これ被告人!!…口を慎みなさい!!…
幾らこの鏡が優秀でも!…有る事無い事を行っても良い訳では!!…」
__ぱああぁぁ!…どよッ!?…
突如マサツグがゲスデウスを落とし居てる様な事を口にし始めると、
裁判所内は一気に混乱の渦に飲み込まれる!…何で急にそんな事を
言ったのか!?…訳が分からない傍聴席は一気にどよめき出し!…
ミスティーも突然のマサツグの言葉に驚くとオロオロし始める!…
明らかに印象が悪くなる!…それで何も映されなければマサツグは
嘘吐きと判断されて一方的に不利になる!…とミスティーは心配を
するのだが、そんな不安を裏切る様に!…マサツグの言葉に反応してか
鏡はゲスデウスの配下が無理やり何者かを誘拐している場面を次々と
映し出して行く!そしてその映像を見た大裁判所内の全員が目を丸くして
ただ流れる映像を見詰めて居ると、更に戸惑う事に!…その映像の
中にはマサツグとシロ!…あのミスティーが裏路地にて襲われている
場面も映し出され!…その映像を見た犬の裁判長や裁判官・傍聴席!…
口を開けてぽか~んとした表情を見せてはただただ一言呟く!…
「「「……え?…」」」
「おぉ~!…ハッキリと映ってますねぇ~?…
それも俺が暴行を加えた理由付きで?…
…てか、本人がいなくても確かめる事が出来るのか…
これってある意味正当防衛だと俺は思うんだが?…」
__ッ!?…どよどよ!!!…どよどよ!!!…
余りの突然の出来事に全員が戸惑った様子を見せる中…
マサツグ一人だけが鏡の性能を褒めるよう言葉を口に
すると、正当防衛を訴え始める!…これが証拠!…と
言わんばかりに犬の裁判長にドヤ顔をしては折角の
弁護人を置いてけぼりに!…フレデリックは突然の事の
連続に戸惑ってはただ目をパチパチとさせ、状況に
追い付けないのかただ弁護席に座ったまま裁判の行く末を
黙って見詰める!…完全にやる事が無くなったと言った
様子で、呆然とし…マサツグの言葉で大裁判所内が
また一気にザワ付き出すと、犬の裁判長もハッとした
様子で意識を取り戻しては鎮圧に掛かる!…
「ッ!?…せ!…静粛に!!…静粛に!!!…
この件は本件とは関係が無いものとし一旦保留とします!!!…
…被告人は余計な事を言わない様にお願いします!…」
「……へ~い…」
目の前の予想外の出来事にただただ傍聴席は戸惑い…裁判官や
裁判長はその目の前の突然の出来事に把握し切れず混乱する!…
ただ初めて使う鏡一枚でこの慌て様!…必死に傍聴席へ落ち着くよう
木槌を連打しては声を挙げ!…逆にお前が落ち着け!と言われ
そうな雰囲気になり始めると、徐々に傍聴席が落ち着き出す!…
それでもやはり先程の映像は効果的だったのか、今だ皆が揃って
戸惑いの表情を浮かべ!…犬の裁判長は先程の映像を保留にし…
マサツグに慌てて注意の言葉を口にすると、その言葉にマサツグは
適当に返事をする。そうして先程の映像に関してやはり疑問を
持つ者が出て来るのだが、決して誰も名乗り出ようとはせず…
ただ傍聴人同士であ~でも無いこ~でも無いと話して居ると、
先程の映像は更に謎に包まれるのであった。
「…何だったんだ!?…今のは!?…」
「確か…あの人間の被告人がゲスデウスの事を…
とにかく配下の様子が可笑しかったのは覚えてる!…
じゃあ本当に攫おうとして居たのは?…攫っている様子が?……」
「あの人間の被告人が何かあの鏡に細工したとか?…」
「いやそれは無理だろ!…
あの鏡は姫様の命令で今日導入されたんだろ?…
捕まっていた人間がそんな鏡に細工をする事なんて出来るか?…
いや、如何考えても無理だろ?……」
こうして最初から可笑しな空気になり始めたマサツグの裁判なのだが、
やはり一筋縄では行かず!…更なる混乱が待っているとも知らず!…
ただマサツグは次に如何やって騒動を起こそうか?と考えて居ると、
傍聴席ではミスティーが心配した様子でマサツグを見詰め…またある
者は先程からの様子を見てマサツグに興味を持ったのか、同じ様に
見詰めてはこの裁判の行く末を見守り続けるのであった。
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そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
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