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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章六十六節 付いて来る理由と三国の代表と三倍速の帰還-

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港町・ホエールビアードを後にしてから数時間お昼頃…馬車の中で一行はお昼

ご飯を食べた後、シロとミスティーはもはや人目も気にしない様子でマサツグに

ベッタリ…ロディもそんな様子を目の前で見せられて居る内にもはや見慣れた

のか、微笑ましく思うようニッコリ笑ってはその光景を見詰めて居た。その際

マサツグは両太腿にシロとミスティーの頭を乗せて優しく撫でる様に可愛がって

居るのだが、如何にも太腿に長時間頭を乗せているせいか脚に痺れを覚え出し…

それでも二人の安らかな表情を見ては降ろす訳にも行かず!…男を見せるため

痺れを忘れさせる何か別の事を考え出すと、ふとマサツグはある疑問を持ち出す…


「ッ~~~……そう言えば今更何ですが…

何でギルマスが付いて来てるんですか?…

一応ギルドに居ないといけないと思うんですが?…」


「あら、マサツグちゃん?…

もしかしてギルドが建てられるところ見るの初めて?…」


「え?…いや…まぁ……初めてですが?…」


マサツグが感じた疑問とは、当然の様にロディが付いて来ている事で有り…

脚の痺れに耐えながらマサツグがその事について尋ね出すと、ロディは

その問い掛けにキョトンとした不思議そうな表情を見せる。まるで

何を言って居るのかしら?…と言わんばかりの表情を見せては、マサツグに

今回の建築は初めてか?と尋ね出し…当然マサツグはそのギルドの建築は

今回が初めてであり…逆にその質問をされた事で戸惑った反応を見せながら

返事をすると、ロディもそのマサツグの反応を見てハッと気が付いたのか、

思わず謝りながら説明を始める。


「……ッ!…って、あぁ!…ごめんなさい!…当然よね!…

…いや、いつもの感覚で居たから…

その質問をされた事に疑問を感じちゃって!…」


{…え?…ギルドってそんなに建てられる事が多いの?……}


「……そうね?…簡単に説明すると…

私が付いて来た理由は確かに女王様へ挨拶をするって言うのも有るけど…

大元の目的は[ギルドの門]を開くって事の方が重要かしら…」


「ッ!…ギルドの門?…」


もはや説明する事も無かったせいか、ロディはいつもの建てる気満々の感じで

居た事を笑いながら話し出すと、その話を聞いたマサツグはそんなにギルドを

建てる頻度が有るのか?と思わず戸惑ってしまい…そんな悩むマサツグの様子を

尻目に、ロディは続けてマサツグに付いて来た理由を話し出すと、更に聞いた

事の無い単語を口にし始める。…「ギルドの門」それがどの様な物なのかは

全く想像が付かず、マサツグはその単語を聞くとロディに尋ねるよう復唱する

のだが、ロディは当然と言った様子でマサツグに頷いて見せると、そのギルドの

門についての説明をし始める。


「そう!…こう考えた事は無い?…

何でどの町のギルドの建物に入ってもあの場所へ辿り着くのか?…

…それはその建物を建てる前に、その土地にギルドの門を開いて

あるからであって…まぁ…簡単に言うとその土地の神様と契約して

ギルドの紋章を書いて…ワープゲートを開いているからなんだけど…

そのワープゲートを開けるのがギルドマスター…つまり私で無いと

出来ないって事と…ちゃんと契約しないでそのワープゲートを

作っちゃうと色々問題が出て来るからこうして私自ら出向いてるって訳!…」


「…ッ!…へぇ!……ってかこの世界ゲームに土地神の概念が有ったのか…」


「ちゃんと有るわよぉ~?…

それもちゃんと契約しないと折角汗水流して建てたギルドが

簡単に潰されちゃうんだから!…」


「ッ!?…ぐ、具体的には?…」


駆け出し冒険者達が思わず考えそうな小さい疑問を織り交ぜる様に…マサツグの

質問に答え出すと、そのギルドの門が如何言うモノなのかを説明し始める。

「ギルドの門」と言うのはつまりギルドへ通ずるワープゲートの事で有り、

これは誰でも知識が有れば直ぐに作り出す事は出来るみたいなのだが…如何にも

ちゃんと機能させるには土地神との契約が必要らしく!…その契約をする為に

ロディが付いて来たとマサツグに説明をすると、マサツグはここで土地神の

存在を初めて知った様子で若干驚く!…そんな驚くマサツグの様子を見て

ロディも肯定するよう頷くと、更に契約しなかった場合の事を話し始め!…

その話をされた事にマサツグも興味を持ったのか、恐る恐る尋ねるようロディに

質問をすると、そのロディからトンデモナイ返答が帰って来る!…


「……そうねぇ?…建築途中に地盤沈下が起きて作業員諸共埋められたり…

漸く立てたと思ったらその土地だけが隆起し出して倒壊したり…

一番酷いと火山が噴火して町ごと焼かれたり…」


「え、豪く物騒な神様なんですね?…」


「…何でも自分の縄張りにそう言ったモノを置かれること事態を嫌うようでね?…

ちょぉ~っと面倒臭いのよ……でもまぁ…メリットとして何かが起きたとしても

直ぐに他の場所へ避難させる事の出来る確実な安全路を確保出来るって言うのと…

似た様な魔術を扱う奴が秘密基地!…もっと言うと暗躍・隠れ家的な物を簡単に

作れない様になってるってのは有り難いのだけどね?…それに一応その土地の

神様の加護みたいなのも付くし…」


「へぇ~!……ッ~~~……」


ロディが言うには契約をしなかった場合そこそこヤバい規模の災害が起きると

言う事で!…その最悪のパターンを聞いてしまうと、土地神の融通の利かなさに

マサツグは動揺を隠せないで居た!…その際思わずその災害の光景を想像して

しまったのか、青ざめた表情を見せてはやはり触らぬ神に祟りなしと考え!…

ロディはロディで色々と面倒臭いと言った様子でその理由について語り出すと、

思わず本音を漏らしてしまう…しかしその土地神との契約も悪い事ばかりでは

無いと言った様子で更に追加で説明をすると、それを聞いたマサツグは納得した

様子で返事をし…その返事をする際思い出した様にまた脚に痺れを感じ始めると、

ロディはマサツグの様子に気付いている表情で茶々を入れ出す!…


「……所でマサツグちゃん?…貴方キツそうね?…」


「ッ!…え?…な、何の事で?…」


__スゥ~…ツンッ!……じぃ~~~~ん!!!!


「ッ!?…ふぁっ!?!?…ッ~~~~~!!!!」


この時のロディは非常に意地悪!…邪悪な笑みを浮かべ出すとその声は

嬉々として上擦っており!…徐に席から立ち上ると徐々にマサツグの方へと

詰め寄り出す!…その際人差し指をマサツグの目の前に差し出して見せると、

何かを企んで居るかの様に振って見せ!…その際マサツグが今如何言う

状況かを分かって居る筈なのに意味深な言葉を掛け出し、マサツグもそんな

ロディの様子に嫌な予感を感じて青褪めながら返事をすると、次の瞬間

ロディはマサツグの事など御構い無しにその脚を人差し指でつつく!…

当然痺れた足を突かれた事であのじぃ~ん!…とした痛みを感じて

マサツグが声にならない悲鳴を上げ出し!…ロディはロディでその反応を

見て喜ぶと、マサツグに鍛錬が足りないと言い出す!…


「ちょっと脚周りの鍛錬が足りないんじゃなぁ~い?♥…

そんなんじゃ大事な場面でポカやっちゃうわよぉ?♥」


「ッ~~~~!!!…ちょ!?…ロディさん!?…

じょ、冗談抜きで勘弁して!…」


「いやん♥…私の事はぁ?…

ロ・ディ・イ・ちゃん!!…って…呼んでって言ってるじゃなぁ~い?♥…」


__ツンッ!…ツンッ!…ッ~~~~~~!?!?!?!?…


頭を乗せている二人を起こさない様に!…脚を動かさないようマサツグは

必死に歯を食い縛って痛みに耐えると、ロディにシャレにならない!…と

訴え出すのだが!…ロディはその反応を楽しむ様にクネクネしながら

恍けて見せると、更にマサツグの根性を試す様に脚を更に突き続け!…

そのロディの攻撃にマサツグはまるで拷問を受けて居る様な感じになって

居ると、さすがにそれを酷と感じたのか…いつ乗っていたのか分からない

あの目隠れ女史がロディを止めに入る。


__……ガッ!!…ブンブンブンブン!…


「ッ!…あらぁ?……さすがにやり過ぎ?…」


__コクコクッ!…


「そう…ざぁんねん!…もうちょっとからかって遊びたかったけど?…

止められたんじゃ仕方が無いわね?…」


「……はぁ!…はぁ!…

…た、助かったのは助かったけど…いつ乗ってたの?…」


無言でロディの丸太の様な腕にしがみ付くと、さすがのロディも気が付いた

様子で手を止め…不思議そうな表情で目隠れ女史の居る方に振り向き出すと、

その首を振っている姿を目にする。その際一切何も話しては居ないのだが、

ロディはその目隠れ女史の言って居る事を理解した様子で声を掛け出し…

そのロディの言葉に目隠れ女史も返事をするよう大きく頷いて見せると、

ロディは渋々納得したのか…残念と言っては目隠れ女史に手を引かれるよう

自身の席へと戻って行く…こうしてマサツグは二人を起こす事無くロディの

嫌がらせに耐えて見せるのだが、それ以上に影の薄い目隠れ女史の事に驚き!…

息を切らしながらも思わず声に出して問い掛けてしまい…その問い掛けに

目隠れ女史が戸惑った反応を見せて居ると、ロディはキョトンとした様子で

代わりに答え出す。


「……へ?…最初から居たわよ?…馬車に乗り込む前…

何ならさっきまで私の隣に座ってたし…」


「……あれ?…ロディ…」


__ッ!…チラァ?…フリフリフリフリ!…


「ッ!?…ちゃんの!!…陰に隠れて見えて居なかったのか?…」


ロディは不思議そうにマサツグの問い掛けに対して最初から乗っていたと

答えると、その答えを聞いたマサツグは戸惑い…ロディの陰に目隠れ

女史が隠れて居た事を確認しようとするのだが、その際ロディの名前を

口にするとロディは自身の名前の呼び方に反応しては、人差し指を

チラつかせながらマサツグの事を見詰め!…その様子を見てマサツグが

慌ててロディをちゃん付けで呼び直し!…改めて事実確認をし始めると、

そのマサツグの言葉に目隠れ女史は無言で頷く。


__…コクリッ…


{…な、何か距離を置かれて居る様な?……

感覚的には知らない親戚が来て如何したら

良いか分からない子供と言った所か?…

…まぁ、それは良しとして……}


目隠れ女史はロディの体の陰に隠れるよう身を隠しながらマサツグを見詰めると、

恐る恐る頭を下げて返事をし…その様子を見てマサツグは目隠れ女史の事を

小動物の様に見てしまうのだが、それ以上に親戚と初めて会った時の子供の様な

対応をされた事に若干ショックを受け…その初めてされた対応のショックを

落ち着かせるようシロとミスティーの頭を再度撫で出すと、心の安寧を取り戻し

始める。因みにこの時頭を撫でられている二人は既に、この話の冒頭より寝落ちを

して居る訳なのだが…マサツグは何も考えず慣れた様子で撫でており、二人も全く

起きる気配を見せず…ただ淡々と自身の心を癒して居ると、ロディは今までの話の

まとめをし始める。


「…さて!…とにかくこうして色々理由や説明もして来たけど…

私が付いて来た一番の理由は…視察の方があってるかも…」


「ッ!…視察?…」


「そう!…やっぱり今まで鎖国されていた分…

色々と確認をしないといけない訳だからね?…

現場監督兼視察団って所かしら?…

後ギルドを建てるに当たって代表様に挨拶を…

一応だからね?…しっかり挨拶をしておかないと!…」


こうしてここまでロディが付いて来た詳しい理由を聞いて来た訳なのだが、

結論を言うと本人からすれば今回のこれは視察であるらしく…その言葉を

聞いてマサツグが再び疑問の表情を浮かべると、その疑問に答えるよう

ロディは視察の方が大事と語り!…その際フィリアに会うのが楽しみと

言った様子でマサツグに話し掛けて居ると、そのロディの言葉を聞いた

マサツグは思わず戸惑って苦笑いをしてしまう…


「…ッ!…代表様……」


__…マサツグゥ~!!……裸の方が!!……マザヅグゥ~~!!!…


「…ぷッ!……代表様…ねぇ?……ッ?…」


マサツグが苦笑いをした理由、それはロディがフィアナの事を

言い出したからであり!…マサツグはフィアナの内面を知って居る上に!…

今までの行動や言動を思い返してはアレが代表?…と思わず考えると、

代表と言うよりは手の掛かる子供の様に感じてしまい!…ロディの言う代表には

結び付かず!…如何にも腑に落ちなかったから思わず笑ってしまったのである。

確かにフィアナは一見しっかりして居る様に見えるのだが、やはり何処か抜けて

居り…マサツグの記憶ではすっぽんぽんになったり…抱き着いて来たり…

何度思い返してもやはり手の掛かる子供の様に感じてしまっては、マサツグは

フッと笑みを零し…代表様とは縁遠い様な?…等と思わず失礼な事を考えて

しまうと、ふとある疑問を抱え出す…


「……ちょっと良いですか?…

フィアナが代表なんですよね?…この連合国の?…」


「…ッ?…えぇ…」


「なのにその代表が居る国が鎖国状態だったって……

その間のこの大陸の治安管理とかは如何なっていたんですか?…

やっぱりギルドが?…」


マサツグの中で出て来た疑問とはまさにその代表の話で有り…疑問の表情を

浮かべては改めてフィアナが連合国の代表である事をロディに確認し出すと、

その突然のマサツグからの問い掛けにロディは戸惑い…目をパチパチとさせ

ながらマサツグの言葉を肯定し出すと、その言葉を聞いたマサツグは自身が

感じた疑問を口にし始める。確かに連合国の代表の国が鎖国状態など、

ハッキリ言って前代未聞で有り!…そんな聞いた事の無い状態にマサツグは

色々と心配をした様子で詳しい話をロディに尋ね出すと、ロディはマサツグの

意図を読んだのか…大した事は無いと言った様子で笑顔を見せて返事をすると、

何やら気になる言葉を言い出す。


「ッ!…あぁ!…そう言う事ね?

いえ、それに関しては大丈夫!…が管理してたから!」


「……え?…」


「…えぇ~っと…

まずこの大陸が連合であると言う事はルンから聞いて居るわよね?…

[獣人達の国・ハーフリングス]…[エルフ達の国・ユグドラド]…

そして[人魚達の国・マーメイディア]…この三国が協力して出来たのが

今のサマーオーシャン連合国であって!…そしてそれぞれの国の王が

代表となる事でこの大陸の均衡がこうして保たれて居るの!…」


「ッ!…均衡って…まるで争いでも有った様な言い方…」


マサツグの質問に答える際…ロディはまるで代表が複数人居る様な事を

言い出すと、当然その言葉を聞いたマサツグは戸惑い!…ロディも

マサツグの反応を見て察した様子を見せると、改めてこの連合国が三国で

なって居ると説明をし始める。その際その三国それぞれに大陸の代表者が

居る事をロディは説明するのだが、同時に何やら嫌な歴史が有った様な

言い回しを口にし…そのロディの言葉にマサツグは引っ掛かり、更に

気になった様子で問い掛けるよう言葉を掛け出すと、更にロディは話を

続ける。


「まさにその争いが有ったのよ!……この連合が出来上がるまでの間…

この大陸では種族間での諍いや戦争が多々あってね?…

それを良くないと見たそれぞれの国の王達が同盟を結ぶ事で解消を

図ったのだけど!…まぁ勿論そんな簡単に無くなる筈も無かったって事で…

それでも長い時間を掛けて頑張って来て今ではこの通り!…

漸くこの大陸にも平穏がやって来て今の様になったのだけど…

その際また誰が上とかって決め出すと争い事に発展しかねないでしょ?…

だから決めないよう代表が三人…各国に代表が居るよう設定されたのよ!…」


「…なるほどね?……

じゃあ残りの[ユグドラド]と[マーメイディア]の二人が代表として

動いて居たから、サマーオーシャンでの大きな騒動は無かったって事か…

…オマケに片っ方が横暴を働き出しても同盟を結んでいる事で直ぐに

他の国と連携を取り合えるし…もし同盟から抜ければそれだけで怪しいし?…

迂闊な事も出来ない三竦みの状態を作り出して居るって事か…」


「…良く言えばいつでも連携可能状態!…

悪く言えば終わりの無い牽制状態って事だからね?…

…まぁ薬にも毒にもなってるってのが今の現状よ……

オマケに今回ハーフリングスが事実上鎖国をして居た

訳だから如何にも他二国が緊張しているみたいで…

その偵察兼視察の役が中立であるこっちに回って来たって訳!…

…全く!…そのゲルデウスって子にも困らされたけど!!…

何より今困らされて居るのはあのフィロネウスなんだけどね!?…」


「あははは……ッ!………」


マサツグの言葉に反応するようロディが話し出したのはまさにそのサマー

オーシャン連合国の暗い過去…戦いが有った事を話し出してはその当時の

三国の王達の話を簡単にし始め、同盟を結ぶまでに至った経緯もマサツグに

話して見せると、何故代表が三人居るのかを説明する。そしてその話を

聞いたマサツグも納得した様子でロディに頷いて見せると、更にこれが

如何言う事なのかも理解した様子で呟き出し…その呟きを聞いたロディも

肯定するよう自身が付いて来た詳しい理由を更に付け添えると、改めて

フィロネウスに対して文句を言い出す!…そんなロディの様子を見て

マサツグは苦笑いをするしか無いのだが、気ふとが付くと自身の脚の痺れは

無くなっており…だが二人の頭は今だマサツグの太腿に乗っており…

一周回って何も感じなくなった事にマサツグが恐怖を感じて居ると、

ロディは馬車の外を見るなり変な事を言い出す…


「……ッ!…さて、そろそろハーフリングスの検問かしら?…

と言う事はもう直ぐね?…」


「ッ!…へ?…い、いやいや!…

幾らこの馬車がシャア○クみたいに赤くて三倍で動けるったって!…

まだまだハーフリングスには……ッ?…」


__ワイワイガヤガヤ…


「あっれれぇ~?…おっかしいぞぉ~?」


ロディは窓の外を見るなり何かを見つけたのか?…徐にフッと笑い出すと

もう直ぐ検問だと言い出し、その言葉にマサツグが有り得ないと言った

様子で戸惑い…まだ早いと声を掛けては自身の目でも確認するよう窓の方に

視線を向けると、そこにはロディの言う通りに見覚えの有る石造りの建物が

見え出す。そしてその建物と言うのは紛れも無くマサツグが捕まったあの

検問所で有り、その検問所ではこちらを見つけた様子で何やら騒いでは!…

そのマサツグ達の乗る馬車の前に立つよう道を塞ぎ出す!…そんな検問所の

様子を目にしたマサツグはまるで某・少年探偵の様にお道化て戸惑う反応を

見せると、ただその様子を驚いた表情で見詰め…ロディはロディでマサツグの

反応が面白かったのか肩を震わせながら声無く俯き出すと、中の様子など

お構いなしに突如馬車の外からノックをされる。


__…コンコンッ!……


「…失礼する!……

外の御者からはギルドの者と聞いてはいるが念の為……ッ!?…」


「んん~…如何されました?…何か事件でも?…」


二回ノックされた後こちらの有無など聞かない様子で突如馬車の中に獣人の

衛兵が乗り込んで来ると、確認と言っては馬車の中を見渡し始めるのだが…

そこでマサツグの姿を見つけると、同時に横になっているミスティーの姿を

見つけ!…ミスティーもその騒動で目を覚ました様子で眠い目を擦りながら

衛兵の方に目を向け出すと、その様子に衛兵は慌ててミスティーの名前を

口にする!…


「ミ、ミスティアナ姫!!…」


「……これは再放送か?…」


「ッ!?…ぶふッ!!…ッ~~~~~~!!!!…」


「ッ!?…し、失礼いたしました!!…予想より早いご帰還に驚いてしまい!!…

とにかく今すぐ警戒を解くよう指示して参りますのでお待ちを!!…」


当然その衛兵の慌て様を目にしたマサツグは思わずツッコむよう言葉を

口にすると、そのマサツグの台詞が刺さったのか噴き出す様にロディは

更に体を震わせ!…衛兵もマサツグのツッコミを受けて更に慌て出すと、

謝罪の言葉を口にしてとにかく待つようマサツグ達にお願いをする!…

そして衛兵は直ぐに馬車の外に向かって飛び出して行くと、外に居る

衛兵達に警戒を解くよう合図を出し!…その合図を受けて衛兵達は警戒を

解き…マサツグ達の乗る馬車に道を開けると、先導するよう御者に

合図を出し始める。


__…パタパタパタパタ……ガラガラガラガラ!…


「……んん~?…あれ?…ここはぁ?…」


「おはよう!…寝坊助なお姫様?…もう着いちゃったわよ!…」


「え?……ッ!!…」


先導する衛兵の様子から察するに…既にフィアナが通すよう指示を出していた

のか、すんなりとハーフリングスに向かい馬車は動き出し!…ミスティーも

再度動き出した馬車に戸惑いつつ…今だ寝惚けている様子で辺りを見渡して

居ると、ロディがちょっかいを入れる様に声を掛ける。その際もうハーフ

リングスに戻って来た事をミスティーに伝えると、ミスティーは若干戸惑った

様子を見せながら窓の外を確認し…本当にハーフリングスへ帰って来て居る事に

気が付くと、その寝ぼけて居た目は徐々に見開かれる!…まだまだ先だと思って

居たのにもうハーフリングスへ辿り着いて居る事に!…ミスティーが改めて

様子で驚いて居ると、マサツグも同じ様に驚いた様子を見せて居た。


「嘘!…もう着いてるなんて!?…」


「……本当にな?…あの時の三日間は何だったんだ?…」


__……ドクンッ!!…ゴゴゴゴゴ!!!…ビリビリビリビリ!!!!…


「ッ!?!?!?…グオアァ!!!…」


「ッ!?…え!?…どうかしましたか!?…」


ミスティーがまだ狙われて居た時の事を思い出しては、マサツグもあの時の

苦労は何だったのか?と言った具合に落胆し…ミスティーが起きた事で片方の

脚に血が流れ始めると、その反動が一気に来るようマサツグの脚に激痛が走る!…

その痛みは何とも名状し難い!…痺れた痛みの最上位版としか言いようが無く、

マサツグがその痛みに悲鳴を上げるよう声を荒げて居ると、その声にミスティーは

驚き!…釣られてシロも驚き跳び起き出す!…


__ッ!?…ガバァ!!…


「て!…てきひゅうれふか敵襲ですか!?…」


__……ドクンッ!!…ゴゴゴゴゴ!!!…ビリビリビリビリ!!!!…


「だあああぁぁぁぁ!!!……っは!!!!……」


「ッ!?…ご、ごひゅひんはま!?…」


シロは飛び起きる際…敵襲と勘違いした様子で慌てて頭を上げるのだが、やはり

寝惚けており!…そのシロの口からは涎が垂れ、呂律が回って居らず!…シロが

頭を上げた事でマサツグのもう片方の脚に血が流れ始めると、またもや痺れた

痛みの最上位版がマサツグを苛み始める!…当然もう一度あの痛みが来た訳なので

マサツグは堪らず悲鳴を上げると、そのマサツグの声にシロは驚き!…心配した

様子で声を掛けては涎を拭いつつ!…這い寄りマサツグの脚に刺激を与え出すと、

更にマサツグは悶絶し始める!…


__ガバァ!!…グリグリ!!…ッ~~~~!!!!…


「ご!!…ご主人様!?…如何したのですか!?…痛いのですか!?」


「シ!…シロ!!…落ち着いて!!!…ちょっと放っておいて!!!…

だはあぁ!!!…」


シロ自身は決して本位でやって居る訳では無い!…ただマサツグが足を痺れ

させていると言う事を理解していないだけであり、痛がるマサツグを見て

シロは必死に心配をするのだがその原因が自分にある事が分かって居らず!…

マサツグの脚を揺さぶっては追加ダメージを与え!…マサツグも何とかと声を

出して止めさせようとするのだが!…更に別の所から追撃が飛んで来る!!…


__ガバァ!!…グリグリ!!…ッ~~~~!!!!…


「マサツグ様!!…しっかり!!!」


「あばあああぁぁぁぁぁぁ!!!……」


「……これって止めた方が良いと思う?…」


シロと同じく心配した様子でミスティーが這い寄って来ては、シロとは逆の脚に

刺激を与え出し!…シロと一緒になってマサツグを苛み始めると、マサツグは

もはや叫ぶ事しか出来なくなる位に天を仰ぎ出す!…その際自身の顔に両手を

当てては痛みを訴え!…そんなマサツグの様子にシロとミスティーは心配した

表情を見せるのだが、やはり原因が分かって居ない為攻撃を続行しており!…

その様子を見せられて居るロディがマサツグの事を不憫に感じて、思わず

目隠れ女史に確認を取ってはマサツグの救助に当たり出す!…こうして馬車の

中ではドッタンバッタンの大騒ぎになって居るのだが、外の様子はと言うと

平穏で有り…衛兵の案内でマサツグ達が乗る馬車は王宮の広場まで案内されて

おり、その道中色々と運ばれて来た馬車の様子に獣人達が何事かと言った様子で

興味を持ち出すと、瞬く間に馬車は獣人達に囲まれてしまう…


__ワイワイ…ガヤガヤ…ワイワイ…ガヤガヤ……タッタッタッタッタッタ!…


「コラァ!!…道を開けて!!…

見世物では無い!!…」


「道を開けなさい!!!…この馬車には要人が乗っている!!!

即刻道を開けなさぁい!!!…」


余程外からの来訪者が珍しいのか、その馬車を囲む獣人達のせいで思う様に

進めないで居ると、遂に衛兵達の交通整理が入り始める!…そしてこの

衛兵達の懸命な働き掛けによって、何とかマサツグ達が乗る馬車だけ王宮の

広場まで辿り着く事に成功すると、そこには既に連絡を受けていたのか

王宮前にはフィアナが立っており!…その他にもハーフリングスの議員達、

衛兵長が整列して待って居り、その整列するフィアナ達の前に止まるよう

馬車は旋回しながら止まって見せると、その馬車からまず…ミスティーが

降りて来る。


__ガラガラガラガラ!……ガチャッ!!…キイィ…コッ…コッ…コッ…コッ…


「…お姉様!!…ただいま戻りました!!」


「ッ!!……うむ!…大儀であった!!」


まずミスティーが元気な姿でフィアナ達の前に姿を現すと、フィアナを始める

する全員が安堵した様子で言葉を漏らし!…ミスティーもフィアナの安堵する

表情を見て安心したのか、自信を持った様子で堂々帰って来た事を報告し出すと、

その言葉にフィアナも威勢よく返事をする!…そうしてミスティーが馬車から

降り出すと、ロディに目隠れ女史と順番に馬車を後にし…ロディが下りて来た

所でミスティーはロディとフィアナの間に立つよう移動すると、フィアナに

ロディの紹介をし始める!…


「…お姉様!…こちらの方がサマーオーシャン連合国のギルドマスター!…

ロディ・ガンブレオ様です!…数十日の間ここに滞在されると言う事ですので、

もし何か質問等が有りましたらこの方に…」


__…スッ…コッ…コッ…コッ…コッ……ズシャッ……ッ!!…


「お初にお目に掛かります女王陛下!…

先程ミスティアナ皇女殿下様よりご紹介に預かりました!…

私…このサマーオーシャン連合国担当のギルドマスターを勤めております…

ロディ・ガンブレオ…と、申します。以後お見知りおきを…」


ミスティーは笑顔でロディの事をギルドマスターと言って紹介をし始めると、

ギルドに関する質問をする事と数十日間滞在する事を報告する…そのまま紹介を

し終えてロディに道を譲るよう一歩下がると、ロディはその作法に

感心するよう視線を送っては、フィアナの前に移動して傅き始める。

そのロディの態度にハーフリングスの者達は同じ様に感心した反応を見せ、

思わずおぉ!…と声を漏らし…ロディはロディで改めて自分でも自己紹介を

すると、フィアナに畏まった様子で挨拶をし…フィアナもその一連の

様子を見て歓迎するよう労りの言葉を掛けると、ロディに会釈をする。


「……うむ!…遠路遥々この様な森の奥の国に来て貰った事!…

ご足労頂いた事に感謝する!…今回のギルドの件!…

ご了承頂けた事にも深く感謝の意を申し上げる!…」


__……スッ…ッ!………


片方は傅き…もう片方は頭を下げる!…王宮前の広場が畏まった場に

変わり出すと、二人の周りは緊張感に包まれ!…その様子を黙って

見詰めるミスティー達もプレッシャーを感じ、妙な息苦しさを覚え

出して居ると、そんな空気も次の瞬間には崩れ去ってしまう!…

互いに礼儀を示している状態で固まって居る中…馬車の中から最後の

二人…マサツグとシロが下りて来たからである!…


「いぃ~たたたたた!!…あぁ!…まだ痺れて居る様な感覚が!…」


「ご主人様ぁ?…大丈夫ですか?…」


「え?…あ、あぁ…何とか……

まだ足が覚束無い気もするが……ッ?…

あれ?…何この状況?…」


広場の緊張感をぶち壊すようマサツグがミスターサ〇ンの様に痛がりながら

馬車を後にすると、その後ろを心配そうにシロが付いて来ており…シロは

マサツグを労わるよう声を掛け出し、その問い掛けにマサツグは一応大丈夫と

言った様子で返事をすると、漸く目の前の光景に気付いた反応を見せる。

当然そんな会話をしながら馬車を降りて来たマサツグに、全員が呆れる様な

反応を見せるのだが…フィアナとロディにとっては好都合だったのか、二人

揃ってそのマサツグの言葉に反応するよう!…自身の身を震わせ始めると、

堅苦しいのは終わりと言った様子で会話を交わし出す!…


__……プルプルプルプル!!…ブッ!!…


「ククク!!…さて、ロディ殿?…堅苦しいのはここまでにして…

振舞ってくれて結構なのだぞ?…」


「ッ!…あら?…そうなの?…

まぁ確かに私もこう言う堅苦しいのは苦手だし?…

思いっきりお言葉に甘えさせて貰う?…」


「……わよ?…」


突如噴出した二人に周りは困惑した様子を見せるのだが、二人は互いに色々

既に見抜いている様子で!…フィアナは頭を上げて腕を組み出すと、ロディに

楽にするよう言葉を掛け…その言葉に反応するようロディも立ち上がり

ながらタキシードに手を掛けると、フィアナの言葉に甘えるよう不敵に

笑って見せる!…その際フィアナはロディの言葉遣いに違和感を持った様子で

戸惑うのだが、ロディは構わず自分を曝け出す様にオネエ全開で絶好調に

入り出し!…次には早脱ぎしてあのブーメランパンツ一丁の姿になって

見せると、周りの獣人達の度肝を抜いて見せる!…


__グッ!!…バサアァ!!…どよぉ!?…


「おぉ~っほっほっほっほっほ!!!…ご注目の程ぉ!…

うわぁ~りがとうございまぁす!!!!」


__グッ!!…グッ!!…ガッ!!!…


「これが本当のわ・た・し♥…ロディちゃんでございまぁ~す!!!」


__ヴワチコォォォン!!!!…


タキシードを身に付けていた紳士がいきなり目の前でキレにキレたボディ

ビルダーに変わったのだ…当然その変わり様に面食らった様子で獣人達が

驚いて居ると、ただ何も言う事無く絶句し!…ロディはロディで自身の

キャラを貫き通すよう!…視線を感じて居る事に若干興奮した様子でお礼を

言い出すと、マサツグ達の時同様ワンフレーズに三回見事にポージングを

決めて見せては、獣人達にあっついウィンクを繰り出す!…その際

気合の入ったウィンクをしたせいか、それを喰らった獣人達は違う意味で

やられた様子を見せてはその場に倒れ!…フィアナも驚いた様子でロディを

見詰めると、気を確かめる様に思わず言葉を漏らす!…


「ッ!?…ロ、ロディ殿?…そなた…気は確かか?…」


「もう絶好調よぉ~~!!!

何ならそこら辺の巨木ワンパンで粉砕出来そう♥…」


__どよッ!?……


余りの変わり様にフィアナも困惑を隠し切れない表情を見せており、ロディも

そのフィアナの問い掛けに対して怒ると言った事は無く返事をすると、途端に

謎の準備運動をし始める!…この時テンションが昂って居るのか、本当にして

しまいそうな事を口走り出し!…獣人達がその言葉で更に驚きどよめき立って

居ると、マサツグもロディのキャラが良く分からないのか質問をし始める…


「……何かアンタのキャラが良く分からん様になって来た…

結局本当のアンタはどっちなんだ?…」


「ッ!……本当の私?…

そんなの全部よぉ?♥…時にはキュートに攻めたり♥…

また時にはクールにあしらったり♥…

相手を魅了するのにミステリアス♥…

本気で落としに掛かる時はパッションに!♥…

それが女の戦い方ってもんでしょう!?♥…

乙女心はぁ!…ふ・く・ざ・つ・な・の!♥」


「いやアンタ男だろ!!!」


「いやんいやん!!♥

体は男でもぉ~!!…心は乙女なんだからぁ!!!♥」


「ッ!?…じゃかあしいわ!!!!」


さすがのマサツグも付いて行けない様子で呆れて見せるのだが、ロディは

鋼のメンタルを持って居るのか全然気にして居らず!…寧ろマサツグの

問い掛けに対して自身が乙女で有る様に語り出すと、そのロディの返答に

マサツグはツッコミを入れ出す!…その際獣人達はマサツグに同調するよう

頷いたりするのだが、やはり全くブレる事は無く!…マサツグのツッコミに

対して更に乙女と返し、その返事にマサツグが漫才をするよう激しい

ツッコミを入れて居ると、その一方でシロはレイヴンがこの場に居ない事に

気が付き…辺りを見渡してはレイヴンの匂いを辿り出し、一人その場を

後にし始めるのであった。

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