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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-
-第三章十七節 マサツグの料理と撤収作業とエルフのトラウマ-
しおりを挟むさて突然洞窟内で料理を始めたマサツグ、当然これにはレイヴンも戸惑い!…
オーディックも檻から人を出して居る途中で、突如洞窟内に良い匂いが漂い
出した事で疑問を持ち出す。思わず手を止めてその匂いのする方へ誘われるよう
首を動かし…そして鉄格子の間からマサツグが実験器具で料理をしている姿を
見つけると、やはりその光景に違和感を覚えてはすかさずマサツグに声を掛ける。
__……ッ!…スンスンスンスンッ!…
「な、何だでこの匂いは?……ッ!…
お、おんれぇ!?…ちょ!…ちょっと何してるだでか!?…」
「ッ!…おぉ、オーディック!…頑張って檻から人を出してくれよぉ?…
こっちも治療をすっからよ!!…ふ~ん♪…ふんふ~ん♪…」
「い、いやそうでなくて!!…何をやってるだか!?…
それにこの匂いは!?…」
外から覗くよう鉄格子に手を掛けるとマサツグに戸惑いつつ声を掛け…
その声に反応してマサツグが振り返ると、今まさに治療をして居るとばかりに
オーディックへ急かすよう返事をする。そして直ぐにスッと視線を料理して
いる実験台の方に戻すと、呑気に鼻歌を歌い!…当然求めている答えとは違う
答えが返って来た事でオーディックは更に困惑し!…再度マサツグに尋ねるよう
慌てた様子で声を掛けると、マサツグはその質問に戸惑いつつ料理と答える…
「何って?…料理してるんだが?…
この回復効果の有る食材はそのままでも食べれるんだが…
料理する事によって更にその効果を…」
__グウウゥゥゥ~!!……
「……ッ!…あんだでこの匂いは?…美味そうな匂いだで?…」
「ッ!…っと!…お客さんもそろそろお目覚めか?…
じゃあもっと段取り良く動くか!…」
マサツグが自身の持っていた食材の更なる効果アップを望んでの行動だと
説明をして居ると、満身創痍でもその匂いを嗅いだ者達は腹の虫を鳴かせ…
そして目を覚ました様にその匂いを嗅ぐなり困惑し…節々に言葉を口にし
始めて居ると、その声を聞いたマサツグは更なるペースアップを図り出す!…
まるでリズムに乗るようステップを踏んでは焼いたり刻んだり!…踊るよう
調理を続けるマサツグにオーディックは終始困惑しっぱなしなのだが、
レイヴンが諦めた様子で声を掛けると、オーディックはピクッと反応する!…
「……諦めろオーディック…俺達にヤブの考えは分からん…
…それよりも今は命を繋ぐ事に専念しよう…俺達は俺達で出来る事!…な?…」
「ッ!…ん…んだ!…」
マサツグの奇行は今に始まった事では無いと言った様子でレイヴンが答えると、
今は人命救助最優先と答え…オーディックへ他に掴まって居た者達の解放を
指示すると、レイヴンも先に解放された者達の手当てに当たり出し!…
オーディックもその言葉を受けてハッと我に返ると、レイヴンに返事をする!…
そうしてオーディックが捕まっていた者達全員を檻の外へ出した所で、シロは
指示通り援軍を呼んで来たのか洞窟に戻って来るのだが!…まさにこの匂いに
釣られてやって来たよう!…不思議そうに鼻をスンスンさせながら戻って来ると、
連れて来た者達と一緒に困惑する…
__スンスン…スンスン……
「あれぇ~この匂いは何ですかぁ?…」
「わ、わがんね?…本当にここで合っとるだべか?…」
「ここで間違い……ッ!…ご主人様!!…」
やはり先程までの黴臭さを覚えているのか、可笑しいと言った様子で鼻を
スンスンとさせており…そして何の匂いかを考えるよう、不思議そうに
シロが言葉を口にして居ると、後から付いて来た助っ人オーク達もその匂いに
困惑する。ピンチを聞いて駆け付けて来たものの中から漂って来るのは
その美味しそうな匂いで、嘘を吐いている様子の無いシロに場所は確かかと
尋ねて居ると、シロはここで間違い無いと返事をし…辺りを見回してその
実験台の方で料理をしているマサツグの姿を見つけると、声を掛ける!…
そしてマサツグも声を掛けられた事で返事をするのだが……
「ッ!…おっ!…おかえりぃ~!……やっぱ速いな!…
シロは少し休んでてくれ!!…で、来てくれた所でそうそう悪いが…」
__ヌラァ!!…
「ちぃっとばっかし手を貸してくれや!…」
マサツグはシロにお帰りと声を掛けると、その助っ人達を連れて来るスピードに
驚きの声を漏らし!…そして急いで人を呼んで来てくれた事に感謝しつつ!…
休む様に声を掛けると、その助っ人オーク達の方へ振り向き出す。その際悪いと
言った様子で声を掛けるのだが…丁度その場面が悪かったのかマサツグの姿は
肉をミンチにして居る状態で、若干スプラッターしており!…その両手には
血塗られた刀と!…まるで捕まって居た者達を捌いて居た様ないで立ちで
出迎えてしまうと、その助っ人オーク達から誤解を受ける様な羽目になる!…
「ッ!?…ヒ、ヒィ!?…人食いだでや!?…」
「……ッ?…人食い?…」
「ッ!?…あぁ~ち、違うだでよ!!…こん人達は!!………」
__数分後…
「…あんだでよ!…おどろかさんでけろ?…
全く腰を抜かしそうになったっちゃ!…」
「いやぁ~…はっはっはっは…
…とにかくぅ~…皆で手分けして看護頼むでや!…」
「「「「んだ!!…」」」」×23
当然そのオーク達が人食い!?…と恐怖染みた声を上げ出した事でマサツグが
首を傾げて戸惑って居ると、慌ててオーディックが出て来ては説明し…現状を
理解して貰えた所で助っ人オーク達にホッと安心して貰い…改めて捕まって
居た者達の救助に当たって貰うと、マサツグも元の調理に戻り出す。その際
休む様に言ったシロはと言うと、その初めて見るマサツグの姿を凝視しており…
マサツグも凝視されて居る事で何かやり難さを覚え…思わず声を掛けるがシロは
何でも無いと何故か上機嫌で答える。
__ジュウウゥゥゥ!!!……ジィ~~~~…
「……ッ~~……あ、あのぅ?…シロさん?…何か御用で?…」
「ッ!…何でも無いのです!…ただ見てるだけなのです!!」
「そ、そう……今火を扱ってるから跳んで来ないようにな?…
危ないから…」
「はいです!!」
ミンチにした肉を一纏めの塊にすると、油を引いた鉄板の上でそれを焼く!…
辺りに香ばしい匂いが漂うと同時に肉の焼ける快音が響き!…更に腹の虫の
大合唱が背後で行われて居ると、その一方でマサツグが困惑しつつシロと
会話をする。その際シロに今は飛び掛かって来ない様に注意をすると、シロは
やはり上機嫌で返事をし!…その間もジッとシロに見詰められてはやり難さを
覚え…マサツグがその料理を作り終えると、溜息を吐いては一口大に切って
行く。そして最初に食べさせるようシロにその一切れをフォークに刺して
渡すのだが…
「……はいシロ?…味見してみ?…」
「ッ!?…は、はいです!!」
__ジュルリッ!!…あ~!…ッ!?…
恐らくシロは一口欲しくてここで待機して居るのだろう…そう考えた
マサツグはシロに試食分の一切れを差し出すと、シロは目を輝かせて喜び!…
マサツグに返事をして大事そうにそれを両手で受け取ると、思わず涎を
零す!…そしてそれを一口に食べようと大きく口を開けるのだが、当然
出来立てなので熱く!…思わず火傷しそうな位にシロが怯み!…マサツグが
慌てて屈みシロの心配をした瞬間、ここでまた軽い事件が起きる!…
「ッ!!…あぁ!…熱いから気を付け!…」
__ッ!…ふ~!…ふ~!!……ジュッ!…
「だあぁっちゃ!!!……ッ~~~!!!…」
シロを心配してマサツグが屈み、ふ~ふ~してから食べなさいと声を掛けると、
シロはそれを聞いて実践をするのだが…そのふ~ふ~をした際肉汁がマサツグの
顔目掛けて跳んで行くと、頬や眼球!…見事にノーガードで命中してはその場で
悶え倒れる!…まるで目に芥子を受けた様な状態でマサツグが倒れている一方で、
シロはマサツグの作った料理に舌鼓を打っており!…漸く落ち着いた所で
マサツグが倒れている光景を目にすると、シロは不思議そうに首を傾げて
尋ね出す…
「ハフハフ!!…ふぁふひへほほひひいへふ!!…
……ッ?…ふぉふひんはは?…」
「……侮ってたぜ!…コカトリスの余った肉で作ったつくね!!…
中々にアチィじゃねぇか!!…」
__……ッ?…モグモグ…
つくねを頬張りつつも素直に感想を口にし!…そしてマサツグがヤ○チャして
居る光景を目撃すると、マサツグの事を呼んでは首を傾げる!…当然何で
倒れているのかシロは全く理解しておらず、ただつくねを頬張り…マサツグは
マサツグで飛んで来た膏を恨むよう!…侮って居た!と口にすると、ただ地面に
転がっては今だ痙攣をして居た…さて暫くしてマサツグが復帰すると、その
つくねの他に野菜炒めなど簡単な物を作って行き!…食べれる者は食べろと!…
その料理を振舞い出すと、その料理を目にしたオーク達は目の色を変えて料理に
飛び付く!…
「さぁ、喰え!!ほれ喰え!!ドンドン喰え!!!…
食って失った分の体力を取り戻していけぇ!?…」
「…グスッ!…うめぇ!!…うめぇよぉ!!…
一週間ぶりの飯だ!!…」
「助かっただぁ!!…ほんに助かっただぁ!!…」
「おいおい!…アンタ達落ち着いて食えよ?…
まだ食材は有るから!……って、いつからここは食堂になったんだ?…」
マサツグが煽る様に食べる事を促すと、まだ自力で起き上がって物を
食べれる者達はこぞって料理を平らげ!…それこそ泣きながら生きて
いる事に感謝しつつ!…急遽作った石の皿まで舐めださん勢いに次々
消化して行くと、その勢いにレイヴンが心配の声を上げる!…その際
衰弱し切って居る者に対して回復薬を少しづつ飲ませては様子を見…
他の助っ人達と共にそうして看護をして居ると、レイヴンはその料理を
食べているオーク達の様子を見ては、まるで食堂の様だとツッコむ…
そうして一通り食べて満足したのか、それとも今までの疲労と安心感が
重なったのか?…舟を漕ぎ出す者まで現れ、中にはこれが夢なのでは?と
眠る事に対して必死に抵抗する者まで現れ始める…
「……あっ?…ッ!?…イ、イカンイカン!!…寝ちゃ駄目だ!!…
このまま寝て夢だったら!…生きて行く自信がぁ!!…」
「そうだぁ!!…オラ達には!…帰る家が!……zzzz…」
「……そろそろ集落に連れて帰るか?…
まぁ連れて帰るにしても足が…」
そろそろ限界なのか必死に眠る事に対して抵抗を見せるのだが、やはり
睡魔には勝てなかった様子で…まるで息絶えて行く様に次々眠り…
その様子にマサツグが一安心と言った様子で余った食材や道具を片付け
出すと、その捕まって居た者達を連れて集落に戻る事を提案する。だが
直ぐに連れて帰るにしてもこれらを連れて帰るには無理が有るか?と
考えた様子で、その方法について悩み出し!…腕を組み唸り出そうかと
マサツグが戸惑って居ると、助っ人オーク達が大丈夫と言った様子で
ある事を言い出す。
「ッ!…それなら安心するだよ!!…
こうなるかと思って荷車さ曳いて来たで!…」
「ッ!?…んだどもこれだけさ乗るだべか?…
みんな図体デカいだで?…」
「……最悪往復だでな?…まぁいつもの事だで!…
水汲むと思えば一緒だで!…」
「……んだでな?…あっはっはっはっはっは!!!…」
助っ人オーク達はこれを見越してか洞窟の外に荷車を曳いて来たと言い!…
いつでも運ぶ事が出来ると言った様子でマサツグ達に答えると、後は自分達に
任せるよう自身の胸を叩いて見せるのだが…その言葉を聞いてオーディックが
大丈夫か?と言った様子で声を掛けると、さすがに一回でと言う訳には行かない
のか往復と答える。だがそれでも大した事無いと言った様子で笑い出すと、
例え話で水の運搬を引き出し!…その話を聞いてオーディックも同意するよう
笑い!…全員が全員で明るい笑いを零して居ると、その様子にマサツグ達は
戸惑う…
「……また水の話…余程大変なんだろうな?…
例え話になる位だし…」
「……だな?…こんな事なら井戸を掘れば良いと思うだが?…」
「さぁ!…もう夜も更けとるで!…皆だ急ぐだ!!」
「「「「んだ!!…」」」」×23
人を運ぶ事より水を運ぶ事の方が大変なのか?…何か事ある毎に水の話を
して居る様なオーク達にマサツグは思わず零し…それに同意するよう
レイヴンも零し…井戸を掘ればいいのにと言葉を口にして居ると、早速
オーク達は団結するよう声を掛け合う!…そしてそれぞれ曳いて来た荷車を
洞窟の中に引っ張って来ると、それぞれ人を乗せては曳き始め!…まるで
一列に大行列を作るよう!…大規模な引っ越し作業の様な光景を見せると、
次々捕まって居た者達が運ばれて行く!…
__ガラガラガラガラ!!…
「せぇ~ので行くでな?…せぇ~…の!!…」
「おぉ~い!!…こっちもう三人位乗せれるだでよ!!」
「道中モンスターに気を付けるだでよ!?…
一応火は焚いて来たでぇ~!!…」
もはやその様子は流れ作業!…負傷者を荷車に乗せては即出荷を繰り返し、
次々集落にその負傷者を運んで行くと、一旦は広場に並べられる!…
一応何処の誰かは分かって居るのだが、単純にその者の家に運ぶのが面倒で…
その間マサツグ達はする事が無いと言った様子でただぼぉっと眺めており、
自分達は如何したものか?…と言った具合に悩んで居ると、ふとレイヴンが
疑問を持った様子でマサツグの話をする。
「……そう言えば…難無く鍵を開けてたけどさぁ?…
やっぱ鍵開けのスキルとか…」
「……ッ?…いんや、持ってないぞ?」
「ッ!?…じゃあさっきの料理も!…
あの野菜炒めならぬ薬草炒め等も!?…」
「……ッ?…あぁ、あれは完全にオリジナルレシピだが?…」
檻の鍵を開ける際マサツグが難無く開けた事に疑問を持ち、やはりそう言った
スキルを持って居るかについて尋ねるのだが…マサツグはその問い掛けに
対してキョトンした表情を見せると、持って居ないと言っては首を左右に振る。
するとそれを聞いたレイヴンは驚いた様子で反応すると、続いて料理スキルに
ついても同じ様に質問をするのだが!…やはり返答は同じで、マサツグはあの
料理は完全にオリジナルと言うと、持って居ないと否定する。そのマサツグの
言葉を聞いてレイヴンが絶句した様子で話を聞いて居ると、ただただ呆れ…
マサツグはマサツグでそのレイヴンの様子に首を傾げて、何か変な事でも
あったか?…と言わんばかりに不思議そうな表情を見せて居ると、レイヴンは
呆れた様子でマサツグに声を掛ける。
「……じゃあ何か?…今の今までスキルに頼ってたんじゃなくて…
現実のスキルを使って居たのか?…」
「……まぁそう言う事になるかな?…」
「だとしたらちょっと待てなんだが!?…
何であんな鍵開けをサッと出来るんだ!?…
…確かに料理に関してはまだ納得が出来る!…だが鍵開けに関しては別だ!…
…一体現実で何をやって居るんだ?…」
「…え?…別に?…ホラ、よく鍵を忘れて自分のロッカーが
開けられないみたいな展開が有るだろ?…それでよくピッキングを…
それに何回も回数を重ねれば大体どうやれば開くかってのは
掴んで来るもんで…」
レイヴンは呆れつつも確認するようマサツグ自身の技能か?と確認をすると、
マサツグは別に疚しい事はして居ないと言った様子で返事をし…その際
レイヴンも料理に関しては認めるのだが、事ピッキングに関しては日常で
使わないと考えてはツッコミ!…何をどうやったら覚えられる!?と
指摘すると、マサツグはそのツッコミに戸惑いつつも答え出す。マサツグ曰く
仕事場のロッカーを開ける際よく鍵を忘れるらしく、その際ピッキングして
居ると答え!…更にそれも回数を重ねる毎に練度が増して行き!…今では
この様にプロ級になったと答えると、レイヴンは更に絶句する!…そして
そんな事を言う物だから、もし友人がその職場でクビになっても違う意味で
やっていけそうな…そんな冗談を考える程にマサツグの技術に驚いて居ると、
ほぼほぼ運び終えたのかオーディックから声が掛かる。
「……おぉ~い!!…こっちはもう終わったでがや!!…
そろそろオラ達も撤収するだにぃ~!!…」
「ッ!…へぇ~い!……じゃ、行きますか!…」
「………。」
オーディックはマサツグ達に撤収するよう手を振って声を掛けると、洞窟の
入り口付近でマサツグ達を待ち…そのオーディックの言葉を受けてマサツグ達も
撤収しようとするのだが、マサツグがレイヴンに声を掛けた際レイヴンはただ
反応せずぼぉっと突っ立って居ると、その様子にマサツグが戸惑いを覚える。
…この時レイヴンは今だマサツグの言葉に困惑して居る様子を見せており、
頭の中で何かグルグルと考えているのか…とにかくまるで返事が無い屍の様に
突っ立っており、マサツグがそんなレイヴンの様子に恐る恐る声を掛けると、
今度はハッとした様子で意識を取り戻す…
「……レイヴン?…」
「…ッ!?…へ?…あ、あぁ!…ス、スマン!!…」
「……え?……何で謝られ?……
…まあいいか…シロ!…行くぞ?」
「ッ!…はいです!!」
突如声を掛けられた様にレイヴンが戸惑うと、慌てた様子でマサツグに
返事をし…そして何かをはぐらかすようマサツグへ謝り、足早に洞窟を
後にしようとすると、そんなレイヴンの様子にマサツグは疑問を持つ。
一体何を考えていたのか?…そんな疑問がマサツグの中で出て来るのだが、
今は脱出を最優先に考えると気にせず…シロと手を繋いでオーディックの
元へ向かい!…レイヴンとも合流をすると、そのマサツグ達の目の前には
一台の荷車が置かれて有った。
「…ッ!…おぉ、来たでな!…さ!…これに乗ってくんろ!」
「ッ!…え?…これに?…いやいや俺達も歩くぞ?…
オーディックだって疲れて…」
オーディックはマサツグ達が合流して来ると、早速荷車に乗るよう言い…
自分が集落まで乗せて行くようマサツグに態度で示すと、マサツグ達は
遠慮する様に返事をする。その際オーディックも人を運んだりスライムに
風穴を開けたり!…色々やって居て疲れたであろう事を労わり声を掛ける
のだが、オーディックは笑顔で平気と答え!…寧ろ恩返しと言った様子で、
ちゃんと仲間を見つけてくれた事に対して感謝をするよう言葉を並べると、
再度マサツグ達の乗るよう目をキラキラとさせながら勧める。
「いやいやいやいや!!…アンタ達は集落の恩人だで!!
こうして行方不明の仲間さ助けてくれただに!!
恩返しささせてくんろ?……まぁ出来る事と言ってもこの程度だが…
それでも無いよりはマシだ!……ささ、遠慮せず!!…」
「………まぁ…そう言うならこっちも有難いが………ッ!…」
__………。
「ど、どうも……」
このままだといつまで経っても平行線だと感じたマサツグは、そのオーディックの
言葉に甘えるよう荷車へ乗り込むのだが…そこには既に手負いのエルフの衛兵達が
乗っており、その事に驚きつつもマサツグが声を掛けて乗り込むと、続いてシロと
レイヴンが荷車に乗る。そして三人が乗った所でオーディックも笑顔で頷き確認を
すると、荷車のハンドルを手に取り…他に運搬するオーク達に交じって荷車を
曳き出し!…さっさとこんな黴臭い場所は後にする!と言った様子で出口に向かう
と、その荷車の荷台ではエルフの衛兵がマサツグに話し掛ける…
「……すまない…」
「ッ!…え?…」
「助けて貰ったのに礼を言ってないと思ってな…それにあんな醜態まで…
……本当に申し訳ない…」
酷く落ち込んだ様子で話し掛けて来たエルフの衛兵は、最初マサツグ達に助けを
求めて来たエルフの女性で…開幕今にも消えそうな声で謝罪をし…その謝罪に
マサツグが反応すると、同じ様にシロとレイヴンも反応してはそのエルフに
視線を向ける。そしてマサツグが戸惑った様子で声を漏らして居ると、その声に
反応するようエルフの衛兵は続けて俯いたまま話し…自身の態度が悪かったと…
反省した様子で再度謝罪の言葉を口にすると、それを聞いたマサツグは気に
するなと返事をする。
「…い、いや…別に気にしてないさ!…
…それよりも他の仲間の様子は?…」
「……全員衰弱して居るがまだ命は有る…エルフはこう見えて頑丈なのでな?…
…もっとも今の様子からだと全くその面影も感じられないが…」
{…な、何か自虐的になってね?…かなり空気が重く感じられるんだが?…}
マサツグが苦笑いをしつつ気にするなと声を掛ける際同時に他のエルフ達の
様子について質問をすると、その質問を受けてそのエルフの衛兵は返事を
するのだが…如何にもそこだけ別次元の様に!…ズドォォンと重い空気を
漂わせると、命に別状は無いと答える。その際人間のマサツグと比べて頑丈で
ある事をアピールしようとするのだが、その倒れている仲間を見ては如何にも
自虐的になり…その様子にマサツグとレイヴンは困惑し、一体どの様に反応
すれば?…と言った様子で反応に困って居ると、オーディックの曳く荷車は
遂に洞窟の外に出る!…外は既にそこそこ時間が経った様子で、日が暮れては
夕暮れになっており…オーク達の集落へ続くよう、荷車が列を成して一列に
並んで居ると、オーディックが気を利かしてかエルフの衛兵に話し掛ける。
「……仕方ねぇべな?…
アンタ達だって不意打ちに有った様なモンだで!…
あんな水餅に襲われたら何も出来ねぇべや?…」
「……それでも我々はミスを犯した!…
女王陛下様から命を受けて来たと言うのに!…本来助ける筈の者達に!…
逆に助けられる始末!!…それも相まみえた敵に対して許しを請う様な
醜態を晒し!!……敵の正体も分からず仕舞い!!…ただ分かって居たのは
あのスライムを扱って居た者がエルフの者である事位!!…」
「ッ!?…ちょっと待て!!……その話もう少し詳しく聞いても良いか!?…」
「ッ!?…レ、レイヴン?…」
まるで励ますようオーディックが荷車を曳きつつ声を掛けると、そのエルフの
衛兵達も被害者と言い…だがそのエルフの衛兵はプライドが高いのか、自分達の
ミスが許せないと言った様子で悔し涙を流し出すと、自分達のやって来た事を
悔いる様にある事を話す。その際あの馬鹿デカいスライムを扱って居た者を
見た様に!…その詳しい正体までは分からないもののエルフだったと話すと、
その話を聞いた途端レイヴンが機敏に反応し!…そのエルフの衛兵に迫るよう
話を尋ね!…マサツグとそのエルフが揃って驚き戸惑った反応を見せて居ると、
そのエルフの衛兵はレイヴンのフードの中を見たのか…レイヴンがワイトで
ある事を目視すると、途端に血の気が引いたよう恐怖の表情を浮かべる!…
__バサァッ!…チラァ…ボゥ…
「ッ!?!?!?!?…ヒッ!!…いやあああぁぁぁぁ!!!…」
「ッ!?…な、何だ!?…如何しただ!?…」
「来るな!!…クルナアアァァァァァァ!!!!…」
レイヴンの顔を見た途端一気にエルフは絶望の表情を見せ、レイヴンを拒絶する
よう突き飛ばし!…まるでトラウマが蘇ったよう悲鳴を上げると、突如荷車から
飛び降りようとする!…当然この悲鳴にオーディックも驚いた様子で足を
止めると、後ろを振り返って何事かと慌て!…マサツグも慌てて飛び出すと、
その飛び降りようとするエルフを必死に止め!…レイヴンもレイヴンで何が有った
のか分からないでただ困惑して居ると、そのエルフはただひたすらに来るなと
叫び続ける!…この時そのエルフは完全に発狂状態に陥っては、正常な判断が
出来て居ない状態に有り!…マサツグは引き止めつつも落ち着くよう声を
掛けるが聞き入れず、何度も手を振り解き飛び降りようとして居ると、遂には
マサツグが強行手段に出る!…
「放せ!!…ハナセエエエェェェェェェ!!!!…」
「ッ~~~!!!…駄目だ一向に落ち着かねぇ!!…
こうなりゃ仕方がない!……フン!!…」
__ガッ!!…ガッ!!…ダアアァァァン!!!…
「ッ!?…ガッハ!!……」
埒が明かないと感じたマサツグは行動に出る!…まずはその逃げようとして
居るエルフの踏ん張っている軸足に向かい踏み付ける様に蹴りを放つと、
膝を折り!…ただ膝を折ると言っても骨を折る訳でなく、片膝を着かせる様に
折ると言う意味で有り…エルフがガクッと体勢を崩して後ろへ仰け反ると、
マサツグは続いてエルフの顔目掛けてフェイスクローを入れる!…そして
そのまま後ろに倒れる勢いを利用して背中から荷車に叩き付けると、荷車からは
物々しい音が鳴り響き!…そして叩き付けられたエルフは卒倒…苦痛の声を
一つ漏らしてそのまま気絶してしまうと、何も言わずに沈黙する…そんな狭い
荷車の上で見せたマサツグの突発CQCに、オーディックが驚いた様子で立ち
尽くしており!…レイヴンはレイヴンで何が何だか分かっておらず!…
ただ怯えられた理由について困惑して居ると、マサツグはシロに向かってある
指示を出す。
「……シロ?…レイヴンにフェ〇スハガー。」
__きゅぴ~ん!!…バッ!!…
「ッ!?…のわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!…」
マサツグはへたり込んで居るレイヴンに向かい指を指すと、顔に張り付くよう
指示を出し!…そしてその指示を受けてシロも何の疑問も持つ事無く!…
嬉々とした様子でレイヴンへ飛び付くと、レイヴンの顔をこれでもか!と
ばかりに舐め回す!…当然これにはレイヴンも抵抗しようとするのだが、シロに
勝てる訳もなく!…そのまま張り付かれてはクタクタにされ!…ただ悲鳴を
上げて居ると、マサツグが場を収める様に声を掛ける。
「……何が有ったか知らんが詳しい話は帰ってから!…
互いに落ち着いてから話そうや!…な?…」
「だ!…だからって何でシロちゃんを差し向けてきたアアァァァ!!!!…」
マサツグが諭す様にレイヴンへ声を掛けている一方で、シロは今だ尻尾を
振りながら張り付いてはレイヴンの顔を舐め回し!…レイヴンもレイヴンで
納得したよう!…マサツグの言葉に同意するよう反応するのだが、同時に
マサツグに対してツッコミを入れ!…オーディックも困惑した様子で
その光景を見詰めて居ると、ただアワアワとした様子で反応に困っていた…
こうして色々有ったオーク族の集落であった神隠し事件は、一度ここで
決着が付くのだが!…今度この話題が上がって来るのは暫くしての事であり、
マサツグ達もその事件の結末については…全く予想も出来ない物になる
のであった。
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あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
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俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
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