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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章二十節 慌しい自己紹介と霊峰の朝と遅れながらの手厚い歓迎?…-

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…さて一時は要らない誤解だったりリーナが暴走をしたりで荒れに荒れたが、

何とか事態は収束して行き…そして各々がやっと落ち着きを見せた所で話は

元の自己紹介に…マサツグやモツ…その他の面々も息を切らしながらその場に

座って息を整えると、その自分達の事情についても話し出す。その際山を登る

よりシンドイと言った様子で息を切らすと、それはそれで人狼達から戸惑われ…


__ぜぇ!!…ぜぇ!!…ぜぇ!!…ぜぇ!!………。


「…ぜぇ…お、俺はマサツグ…

見ての通り…冒険者で…シロの…ゲホッ!…育ての親と…ハァ…

シルビィーナ…じゃなくてアレクシア?…だったか?…ぜぇ…

と、主従の関係を結んでいる…ハァ…よ、よろしくな?…」


__ッ!…コ、コクリ……


と言うのも先程まで暴れていたリーナを自身の片膝に、そしてもう片膝にシロを

乗せ!…そして寄り掛かって来る二人の頭を優しく撫で、まるで子供をあやす様

にして二人の事を宥めて見せると、息も絶え絶えに自己紹介をする!…その際

当の本人も凄く疲れた表情を浮かべて見せると、思わず人狼達もそんなマサツグに

同情の視線を…と、同時にやはり戸惑いを隠せず!…マサツグの言葉に対して

ただ頷くだけ!…状況が状況だけに如何反応をしたら?と言った様子で黙って

居ると、一方ではこんな質問が飛んでいた…


「…ッ!…フィロちゃん?……

やっぱりマサツグに焼きもちを焼いているのかい?…」


「ッ!…フッ!…何を言うかオリハ!!…

わっちはこの程度で焼きもちなど焼かぬのじゃ!…」


「…ッ!…おぉ、俗に言う正妻の余裕って奴ですか?…」


「フフン、その通りじゃ!!…

だからあの程度で焼きもちなど!………やきもちなど……」


その質問と言うのもオリハがフィロに、事の発端はフィロがマサツグの事を

ジィ~っと見詰めて居る様子から始まり!…その際オリハからはまるで嫉妬を

抱いて居る様に見えている訳で…その事をフィロ本人に確認をするよう言葉を

掛けると、フィロはピクッと反応するなりその言葉を否定!…次には威張る様

にして余裕を見せる!…それこそ腰に手を当て胸を張って見せると、寧ろそれ

位の度量が無いといけない!とばかりに気概を見せようとするのだが…やはり

何処か弱々しく感じられる一方…オリハもそんなフィロの様子に気付かず!…

調子の良い言葉を掛けてフィロの事をヨイショすると、フィロもそれに対して

強がって見せる!…


さてそうしてフィロが何故か嫉妬心を隠そうとしている一方で、各々の自己紹介も

済んで行き…次にパルシディアナの番となった時!…パルシディアナが自身の事を

名乗り出すと、次には人狼達が驚き戸惑う!…何故なら…


「…私の名はパルシディアナ……

…言わなくても分かると思うが氷雪女帝・パルシディアナとは私の事だ…」


「なッ!…こ、この幼子が?…」


「噂ではそれはとても綺麗な女性と聞いたが?…」


如何やら人狼達の間でもそのパルシディアナが美人だと言う事は知れ渡っている

様子で、その紹介を聞くなり噂と違う!と…互いに顔を見合わせては驚いた様子

を浮かべて行き!…明らかに幼女にしか見えない!と言葉も口にすると、その

言葉にパルシディアナもピクッ!と…何なら幼女にした元凶フィロもクスクスと笑う!…

さてそう言った反応を受けてフィロにもカチン!と来るのだが、それよりもまずは

目の前の人狼達に物申し!…


「ッ!!!…分け合ってこの姿なのだ!!!…

…とにかく!!…私がパルシディアナだ!!!…

…よろしく頼む!…」


「………。」


若干怒りからか冷気を放ち!…その様子に人狼達もハッと何か身の危険を感じて

行くと、次には身を寄せ合う様にして黙ってしまう!…それはもはや無理やり

言い聞かせる様になってしまうと、その場の空気は文字通り冷えたモノになって

行き!…と、その様子に周りの者達も一気に警戒!…最悪マサツグがパルシディ

アナを宥める事態テイム?になるのか!?と慌てて居ると、次にはモツがふと何か疑問を

持った様子で質問を…まるで空気を換える様に尋ね出す!…


「…ッ!…ちょっと質問良いか?……」


「ッ!…誰に?……」


「パルシディアナ!…パルシディアナって確かエレメンターだよな?…」


「ッ!……そうだが?…」


この時ただ単純に質問が有る!と…するとそのモツの言葉にマサツグがピクッと

反応をすると、返事を口に…と言うのも誰に対しての質問なのか?と質問を質問で

返して行き!…モツもそれを受けてパルシディアナに向けた事を口にすると、更に

続けて話をする!…何でもパルシディアナの種族?…が気になった様子で続けて

行くと、パルシディアナもピクッと反応をするなり返事を…その際フッと怒りは

消えて平常運転!…その様子に周りの者達も安堵して行き…一体何の話?とばかり

に聞いて居ると、モツは更に質問を続ける!…


「いや…エレメンターにしては人型なのが珍しくて……

ほら、一応エレメンターも言い換えれば精霊な訳だし?…

精霊ってチネットみたいな小人の姿をしていれば…

サラマンダーみたいにトカゲの形をしてるし…

氷の精霊って珍しいってのもあってさ?…」


「…え?…エレメンターって精霊なの?…」


「ッ!…まぁ…似た様な物ではあるが……如何説明をしたモノか?…」


モツが気になった事と言うのもそのパルシディアナの容姿について!…何でもモツが

言うには精霊で人型と言うのは珍しいらしく、チネットやサラマンダーを例に挙げて

話をするのだが…ただ単純に氷の精霊と言うだけでも珍しい!と…何なら初めて見た

とばかりに一体如何言う精霊なのか?について触れて行くと、マサツグがここで若干

の横やりを…精霊とエレメンターとの違いについて戸惑って見せる!…するとその

マサツグの質問に対してモツも納得した様子で反応すると、一方でパルシディアナが

返事を口に…


「…それについて説明をするとなると色々と躊躇いが出るのだが…

まぁ良いだろう…話してやろう…」


「ッ!…え?…」


「まぁ…言うのは簡単なのだが……私は純潔の精霊とは違う!…

私は精霊セルシウスと人の間に生まれたハーフなのだ!…」


__ッ!?…えぇ!?…


まるで若干の躊躇いが有る様子で言葉を口にして行くと、それでも質問をしてくれた

事にパルシディアナは真摯に返事を!…と、そのパルシディアナの言葉にマサツグが

戸惑った具合に言葉を漏らし…その一方でパルシディアナは構わず自身の事を簡単に

説明!…この時自身が精霊と人間のハーフである事を話して行くと、周りの者達を

驚かせる!…と言うのも精霊と人間のハーフなど勿論聞いた事が無い訳で、一体如何

言う事なのか!?と騒然となるのだが!…


「せ、精霊と人間のハーフ!?…

しかもその娘が魔王って如何言う!?…」


「…ま、まぁ!…私にも色々合ったのだ!…すまないがこれ以上は…」


「ッ!…あ、あぁ……」


この時パルシディアナはそれ以上の言及はしないでくれ!とばかりに言葉を口に!…

その際少し悲しそうな表情を浮かべて見せ!…と、そんなパルシディアナの反応に

マサツグ達もハッ!と…その様子を見て各々が徐々に落ち着きを見せて行くと、

次には全員が同意する!…中でもアヤが一番何かを悟った様子で俯いて見せると、

パルシディアナと同じく悲しそうな表情を浮かべ…そしてその場の空気は冷ややかな

モノに…まるでお通夜みたいな重い空気になって行くと、次にはそんな気分を取り

払う様に!…弟子の人狼が先陣を切る!…


「……確かに驚く話では有ったのですが、

これ以上話を聞くのは野暮ってモノですので…

次は我々が自己紹介をして行きますね?…では私から!…

先程軽く隊長に説明をして居ました通り!…今はこの近衛兵隊の隊長!…

兼、新兵達の教官をしています!…名を[ラグナス]と申します!…

以後お見知りおきを!…」


「「「ッ!…よ、よろしく!!」」」×10


その弟子はやはりお調子者なのか?…簡単にその重い空気を自身のペースに変えて

しまうと、簡単に自身の紹介をして見せる!…その際近衛兵隊の隊長・兼、現教官

をして居る事を話して行くと、シルビィーナの弟子「ラグナス」と自己紹介をし!…

何ならまるで紳士の様にお辞儀をして見せ!…そんなラグナスの態度にマサツグ達も

呆気に取られたよう戸惑って見せると、次には慌てて返事をする!…するとこれ

だけでもうあの重い空気を取り払て見せると、続けて他の人狼達も自己紹介をする

のか?と思うのだが…


「………。」


「…あれ?……自己紹介は?…」


「ッ!…あぁ、申し訳ない!!…

実はですね?…新兵達に名前は名乗れないのです。」


「え?…」


ラグナスが自己紹介をして以降、その他の近衛兵達は一向に自己紹介をせず…

となるとそんな人狼達の様子にこれまた困惑!…まさかの以降が続かない事に

マサツグが戸惑ったよう言葉を漏らすと、次にはラグナスがハッ!と…何かを

思い出した様子で話しをする!…と言うのも今は何故か名乗れない事を口に

すると、更にマサツグ達を戸惑わせ!…と、その一方でシルビィーナは気が

付いて居る様子で眉間にしわを!…しかしその近衛兵達を怒るのではなく、

別の何かに対して怒りを燃やして見せて居ると、更にラグナスの言い訳は続き

を見せる!…


「…これは我が女王様の兵士として訓練を受ける際の言わば伝統なのですが…

一人前と認めて貰えるまでは名前を名乗ったりしてはいけないのです!…

…まぁ、私自身は別に名乗っても構わない!と思っている訳なのですが…

…ここ最近規律にやたら五月蝿い者が居りまして…」


「…は、はぁ……」


「………。」


ラグナスはこの状態を言わば伝統と語って行き!…本人自身も煩わしい!…

或いは面倒と言った様子で言葉を零して見せるのだが…それでも決して部下の

人狼達は一人として名乗らず…マサツグ達もその言い訳に何か某・世紀末漫画

の修羅の国か?と言った疑問を覚えると、何故か不思議と納得する…そして

そんな話を聞いて各々が戸惑った反応を見せて居る一方!…シルビィーナは

今だに何かに対して苛立ちを露わに!…と言ってもやはりラグナス達の事を

見て居らず!…何か遠くを見る様なそんな様子を見せて居ると、マサツグや

モツ!…その他数名が気付いた反応を見せるのだが、何も言わずに黙って

気付かぬフリをする…さてそうして休憩所内での全員の自己紹介がやっと

終わり!…ホッと一息を吐こうとすると、アヤが外の様子を確認しに洞窟の

外へと向かい…


__ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…ゴオオオオオォォォォォォ!!!…


「…駄目ね!…治まるどころか更に激しくなってる!…

この分だと今日はここで野宿ね…」


「…山の天気は気まぐれとは聞いていたけど……

ここまで強烈な吹雪にぶち当たるとは……

…まぁ…そんなに急いでいないから良しとするか…」


「…ッ!…それでしたらいっその事これも訓練だと思ってまたおんぶで…」


「「「止めて差し上げて!!!…」」」×7


アヤが洞窟の外の様子を確認すると、そこはホワイトアウトで全く先が見えず!…

それこそおぶってここまで連れて来て貰った時より吹雪は強く!…とても外に

出れる状況ではない!…時間的にももう厳しい事を中に居るマサツグ達に向けて

話して行くと、洞窟内での野宿が決まる!…その際マサツグが山の天候の変わり

具合に驚きながら言葉を漏らして見せて居ると、またシルビィーナがハッと思い

付いた反応を露わにし!…と言うのもこれまた鬼教官と化して無茶な事を言う

のだが!…そんなシルビィーナの言葉に対してマサツグ達がさすがにストップ!…

それこそ幼女達以外全員!…さすがに止めて差し上げろ!と羽交い絞めにしてまで

止めに入ると、その訓練は中止になるのであった!…


さてそうなると各々野宿の準備をし始めると、マサツグ達がアイテムポーチから

パーティ分の毛布を取り出し!…各メンバーに一枚づつ!…全員に配布して

暖を取る様に促して行くと、更に洞窟内に焚火を…何とか一晩だけを越せる様に

段取りをする。そうして今日は五合目の洞窟で野宿をすると、その日はそのまま

ログアウトし…時間は流れて翌日!…マサツグがゲームにログインしてハッと

目を覚まして見せると、最後に野宿した休憩所から再開される!…


__シュイイィィン………パチッ……ッ!…チラッ?…


「う…うぅ~ん…」


「…ッ~~…うぅ~…」


「ッ!…プッ!…ッ~~~!…

ニャンモナイトならぬワンモナイトってか?…フフフ!…

…ッ!……外は晴れたかな?…」


その際ふと隣に温かいモノを感じて行くと、視線を横に向けて見せ…するとそこ

にはマサツグが渡した毛布を頭から…シロやフィロが寒そうにしながら丸まって

居る姿を見つけて行くと、思わず笑いが込み上げてしまう!…しかしだからと

言って大声で笑う事は決してなく、静かに微笑みながらゆっくりと起き!…自分

の分の毛布だけを片付けて行き!…そして徐に外の様子を確かめる様に移動を

すると、そこでいつもの案内を目にする。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…如何やら吹雪は収まった様だな?…」

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   「霊峰ウルフハウリング・五合目 オオカミの腹部 人狼達の安息所」

 霊峰ウルフハウリングの五合目・言い伝えられている霊峰の図で言うとお腹の

 部分に有り、人目には付かない洞窟で人狼達の休憩所。中には色々と人狼達が

 集めた・持って来た物資が格納されており、休憩所としては最適。しかし

 順路からは離れている為、滅多に迷う込んだりする事は無いがもし迷い込んだ

 のなら余程の覚悟が無い限り近づくのは得策ではない。

 直ぐに離れる事を薦める…

 もし人狼が居た場合は…この先は言わなくても容易に想像が出来ると

 思われる…
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「……俺達、堂々案内…いや連れて来られたんだがな?…

それもおんぶされて……更に言うと息切れしながら…」


__…ッ~~~……ッ!…チラッ?…


洞窟の入り口から外の様子を見てみると、外は綺麗に雪化粧に埋もれて居り…

そしてあれだけ激しかった吹雪も嘘の様に!…今となっては絶好の登山日和と

ばかりに晴れ渡って居ると、雪を白く輝かせる!…そしてその目の前に出て来た

案内にも一通り目を通して行くと、マサツグは色々とツッコミをば…昨日の

出来事を振り返りつつ!…思わず苦笑いをしながら朝の準備をしよう!とふと

踵を返そうとすると、次には遠くから足音が!…それは微かにだがこちらへ

向かい走って来て居る様に感じられ!…マサツグもハッと気が付いた様子で

直ぐにミニマップを確認すると、ミニマップ上には感知サーチをせずとも反応が!…

何かが向かって来ているのを確認する!…


「…ッ!……団体様のお出ましかな?…

昨日の分のおもてなしだったら遠慮したいんだが?…」


__クウウゥ……ッ!…ザザッ!…ザザッ!…ザザッ!…ザザッ!…


当然ミニマップ上で敵の反応が見られた為!…マサツグは脚を止めてその音が

聞こえて来る方向を凝視すると、そこで狼の群れを見つけ!…それはまるで

辺りの雪と同化する様に!…よく見る大きさの白い狼が足音を立ててこちらに

向かい走って来ると、次にはマサツグを目の前で急ブレーキ!…そして途端に

マサツグへ対して敵意を見せる!…その際歯茎を剥き出しにしてさも縄張りを

荒らされた様な反応を露わにすると、まるで囲い込む様にして唸り!…


__ザザッ!…ザザッ!…ズザアァ!!…ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!…


「…数にして20~30ってところか……

眠気覚ましなのかそれとも遅い歓迎パーティなのか…

どちらにしてもそこそこハードな催しで…

まだ寝起きバズーカの方が優しく思えてくるぞ…」


__…タタタタ!!……ッ!…シュウゥン!!!…チャキ!!…


と、マサツグもそんな狼達に対して面倒臭い!と…いつでも襲える!と言った

状態の狼達を相手に数を数える余裕を見せると、更にアメリカンジョーク

みたいな軽口も叩いて行く!…そして戦闘が避けられない事も悟って徐にスッと

身構える体勢になって行くと、今度は背後から気配を!…それはマサツグが気配に

気付いて振り返るよりも早く隣に立ち!…その手にあの氷の槍を持って!…

シルビィーナが慌てた具合にサッと姿を現して行くと、次には安否の確認を

し出す!…


「マサツグ様!!…ご無事で!?…」


「…ご無事も何もまだ動いてすらもいないんだがな?…

…それにシルビィーナはまだ寝てても良いんだぞ?…

…これ位丁度良い運動に…」


「ッ!!…なりません!!…

従魔がご主人様を置いて眠っているなど言語道断です!!……それに恐らく!!…

この狼達はが差し向けて来た狼達!!…

尚の事眠ってなど居られません!!…」


まるで遅刻した!とばかりに慌てて居り、槍を構えるとすぐさま周りの狼達して

対して牽制をして見せ!…と、そんなシルビィーナを余所にマサツグは呑気!…

さも問題無い!とばかりに答えて行き!…逆にシルビィーナの気を遣う様な事を

口にすると、その言葉を聞いたシルビィーナはハッ!と…更に慌てた具合に

返事をする!…その際有り得ない!と言った言葉を口にすると、更に何か訳が

ある様子で言葉を口に!…と言うのも例によって暗殺目的と言葉を続け!…

それを聞いてマサツグもピクッと反応をして見せると、途端に表情を険しく!…

何なら手をワキワキと動かし始める!…


「ッ!!!…何と無く薄々分かって居たが!…

やっぱり居るのか!?…」


「…ッ…はい!…証拠が有る訳ではありませんが!…

この狼達も!…あの時襲って来た狼達も!!…

何者かに命令されて襲い掛かって様子が伺えました!!…

…確かに我々人狼族の中には狼を操る術を持って居る者も居りまして!!…

あの様に群れで特定の者を襲わせる事が当然出来ます!!…」


刀を抜いて狼達の出方を伺い!…シルビィーナにやはりそう言う疎ましく思う者達の

存在について質問をすると、シルビィーナは居る!と…と、その前から分かって居た

事なのだが改めて確認!…その際シルビィーナも何か申し訳なさそうな感じで返事を

すると、その襲い掛かって来そうな狼達の事を口に!…誰かの差し金である事を話し

出す!…この時その差し向けて来た人物達についても大体の予想が付いて居る様子で

話しをすると、まずは狼達を操れる者についての話をし!…となるとそれを聞いて

マサツグも何と無く理解をし始め!…それでもシルビィーナに話を聞くよう!…

狼達に対して警戒を強めながらに返事をすると、怒りで片手ながらに指の関節を

鳴らし出し!…


「ッ!……で!…」


「…そしてその才覚を持って居る者は限られていて!!…

一つは生まれながらにその才能を持っていた者!…

そしてもう一つはそう言った訓練をして来た者!…

生まれながらに才能有る者はシロ様を襲うは恐らく理由が無い!…

疎む者に雇われたにしても報酬等の事を考えると色々面倒になります!!…

…そうなると次に…何より一番楽な方法と言うのは!!…」


この時マサツグの怒りを知ってか知らずかシルビィーナは若干怯えながらも言葉を

口に!…この時その狼達を操れる者は限られて居る!と…二通りのパターンが存在

している事を話して行くと、更に特定をする様に言葉を続ける!…その際前者の

パターンが色々と面倒である事を話して行くと、後者のパターン説を濃厚にして

行き!…と言うかそれしか考えられない!と言った様子でシルビィーナは続け!…

そして同時に恥じる様な悲しい様な!…とにかくそんな俯き様を思わずチラッと

見せて行くと、マサツグもそれを聞いてやっぱり!と…静かに怒りを燃やして

見せる!…


「…なるほど?…

自分達の所で訓練した奴にやらせるって事か…てか一番に考えるわな?…」


「…ッ…はい!……それも訓練を受けるには女王様の兵士!…

もしくは将校でないとその訓練を受ける事は許されません!!…

…そう考えるとこの狼達は女王様の配下…或いは将校クラスの誰か?…

…そして一番に考えたくもありませんが!…の可能性も!!…」


勿論この怒りを表に出す来なく内に秘めると、取り敢えずシルビィーナの話を

聞き…と、同時になるほど?とやり方を理解をして行き!…相手が一体如何言う

思考をして居るのか?を学習すると、更に静かになって見せる!…するとこの時

シルビィーナからするとそれはとても不気味に感じられるもので!…それはまるで

居るのに居ない様な不可思議な感覚に囚われ!…が、そんな事で戸惑っている

場合では当然無く!…更に詳しい事をマサツグに!…何なら一番に考えたくも

ない事を口にすると、更に落ち汲む様なそんな反応を露わにする!…となると

そんなシルビィーナの反応にマサツグもふと気が付いて行くと、次には考えるのは

後と!…


「ッ!!…シルビィーナ!…今は目の前の狼だけに集中!…

…それと綺麗事かもしれないが一度は信じた人なら最後まで信じろ!!…

そんでもって道を踏み外していたら殴ってでも正してやれ!!…

…最悪それ位なら手伝ってやる!!…自身の心に自信を持て!!!…」


「ッ!!!……はい!!…」


自身にも言い聞かせる様にその言葉を!…そして落ち込むシルビィーナに対して

更に励ましの言葉も口に!…何なら自分だったら如何するのか?と続けて見せ!…

いざとなったら手伝ってやる!とばかりに言葉を吐くと、シルビィーナも途端に

ハッとした様子で顔を上げ!…そしてマサツグに返事をする!…その際若干

ながら吹っ切れた反応も見せて行くと、その目を鋭くしては狼達を睨み!…

と、その一方で狼達にも動きが見られ!…相手の事など御構い無し!…空気を

読まずに飛び掛かって来る様にして動き出すと、マサツグ達も迎撃に動く!…


__ヴヴヴヴヴヴ!!…ヴァウ!!…


「ッ!!…そぉ~ら来たぞ!?…

さっさと追い返してシロの母親に会いに行く準備を済ませるぞ!!」


「はい!!…参ります!!…」


まるで獲物を前にして我慢が出来なくなった様に狼達は一斉に!…となるとそれに

気が付いたマサツグもシルビィーナに声を!…その際自身の怒りを一切見せず!…

とにかく目の前の敵に集中するよう言葉を掛けると、シルビィーナもやる気を

見せて行く!…そして二人だけの狼達の迎撃戦が始まって行くと、マサツグは

その襲い掛かって来た狼達の動きを見切っては!…千切っては投げの様相で一掃

して見せ!…その一方でシルビィーナも被弾を一切する事無く!…その手に持って

居る槍で狼達を峰打ちに倒して行って見せると、そんなマサツグ達の暴れっぷり

に!…何なら野生の感が危険信号を示して居るのか動きが鈍る!…そして遂には

勝てない!と踏んだのか踵を返すと、慌てて逃げる様にして狼達はその場を去り!…


__ヴヴ!!…ヴヴヴ!!…ッ~~~…キャインキャイン!!…


「…あれ?……もう終わりかい?…

そこそこ数が居たからもう少し時間が掛かると思ったけど?…」


「…幾ら操られているとはいえ…彼らも勝てないと分かれば退きます…

それにマサツグ様と私で過半数を迎撃して…

更に目の前で仲間が横たわる姿を見たのならば戦意も削がれると思います…」


まるで化け物が居るとばかりに悲鳴を上げ!…残りの狼達が倒れた仲間達を置き

去りにして去って行くと、辺りは一気に静かになる!…その際恐らく30頭近く

居たと思われる狼達の内、15~6頭位が気絶させられた状態でその場に転がると、

まるで死屍累々としており…と、逃げ出した狼達にマサツグも呆気に取られた様な

反応を見せ!…意外と早く終わった?とばかりに恍けて居ると、シルビィーナが

警戒を解いて見せる!…この時同時に狼達が逃げ出した理由についても話して

行くと、マサツグの居る方を振り向いては澄まして見せ!…するとその一方では

マサツグが大きく伸びをし出し!…更にまだ眠い!とばかりに大欠伸もすると、

先程の戦闘を肩慣らし!と…大した事が無い様に漏らして見せる!…


「……ッ!……ふあっ!……あぁ~……

まだあの程度で済んで良かったわぁ~…

これが本気の戦闘となると乙ってたかもしれないからな…」


「………。」


{…さすがはマサツグ様!!…やはり強い!!…

あの程度の狼など造作も無いと言う事ですね?…

……それにしてもあの?…

さっきあの様に話をしましたがアレは?…

あの狼達を見たところ調教兵達によって育てられた狼達では無い!…}


その呑気をして居るマサツグを見て!…シルビィーナも一人感心するようジッと

マサツグを見詰めて行くと、次にはホッと安堵する!…が、それと同時にふと

別の事にも視線を向けると、途端に考え込む様にして悩み!…と言うのも改めて

倒れている狼達の様子が可笑しい!と…シルビィーナから見るとその狼達にはある

違和感が有る様で…その違和感についてシルビィーナが悩む様にして悶々とした

反応を見せて居ると、その一方ではマサツグが…


「…やれやれ…じゃあ戻るぞぉ~?……ッ!……シルビィーナ?…」


{となるとこれは野良の狼達と言う事に?…

いや、それは決して有り得ない!…

確かにアレは誰かの意図が裏で見え隠れして居た!…

ただ単に野生で襲って来たとは考えられない!…

じゃあ、野良のオオカミ達を?…

…あり得ない…あの様に野良の狼を従えるなど才有る者でも恐らく不可能…

もし出来るとしたら…それこそ…}


「……シルビィーナ!…シルビィーナ!!…」


「ッ!…は、はい!…何用で御座いましょうか?…」


__あわあわ!!…わたわた!!…


終わったとばかりに言葉を口に!…その際シルビィーナにも戻るよう声を掛けて

行くが、返事がない…となるとマサツグもそんなシルビィーナに疑問を持ち!…

振り返ってそのシルビィーナの様子を確かめて行くと、そこで顎に手を置き長考

する様子を目撃!…まだ何か有る様子を目にして行く!…そしてその一方で

シルビィーナはと言うと、今だその狼達を前に悩んでおり!…何でも如何にも

納得出来ない事が有る様で、頭の中であぁ~でも無いこぉ~でも無いと言い!…

と、その一方でマサツグもそんなシルビィーナの様子を分かりながらも!…

何度も呼ぶ様にしてシルビィーナに声を掛けて行くと、シルビィーナをハッ!と…

我に返らせるなり慌てさせて行くのであった!…


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