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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章三十七節 シロの仲間と諦めない心とマサツグとの約束!…-

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一歩進むのに約2分、マサツグとの距離を軽く見積もってもまだ残り約十数m!…

それでもシロは未だ脂汗を掻きながらゆっくり進み!…その度にまたフラ付き

転けそうに!…となるとそんな様子にモツ達観客席側もハラハラとして見せ!…

ある者はもう良い!と…またある者が頑張れ!と言った様子で!…とにかく誰もが

シロの味方になって行くと、各々絶対に視線を逸らさない!…シロの勇姿を見届け

ようとジッと見詰める!…さてそうしてシロも時間を掛けながら着実にマサツグ

との距離を縮めて行くと、勿論この者はそんな様子を黙って見ては居られない

様子で!…


「ウッ!…ッ~~…クゥッ!!…フッ!…ッ!?…ッ~~~…」


「ッ!!…シロちゃん!!……ッ!!……

…すぅ~~!!!…ッ!!!…頑張れぇ~~~!!!!」


シロが一歩進む毎に歯を食い縛り痛みに耐える様子に!…勿論このシロちゃん

大好き獣人・オリハが黙って居る筈が無い!…しかしシロに手を出すな!と

言われている一方、マサツグに野次は飛ばせず!…それでもシロの事が心配

過ぎて!…心の中で一人葛藤をして遂に感情が爆発!…溢れ出る様にして自然と

徐に息を吸うと、次には大声でシロの応援を口!…それこそ闘技場内に響かせる

勢いで叫んで行く!…それはつい先程までして居たものとはまた違い!…

オリハの心の咆哮で!…と、突如そんな声を上げ始めたオリハに各々驚き!…

一体何事と言った視線を向けて行くと、一方で触発された者も出てくる事態に!…


__どよぉッ!?…頑張れえええぇぇぇ!!!!…頑張れえええぇぇぇ!!!!…


「…ッ…ッ!!…よし!!…スゥ!!…

頑張れぇ~~~~!!!!」


__頑張れえええぇぇぇ!!!!…頑張れえええぇぇぇ!!!!…


オリハが叫ぶ事で一人増え!…そしてその者も吠える事で伝染する様にまた更に

増えて行き!…遂には全員がシロの味方に!…と言ってもまぁ最初から味方で

ある事に変わりはないが、それでも改めて団結力が増して行き!…それはまた

大合唱と昇華して!…割れんばかりの歓声が闘技場内を包んで行くと、一方で

シロもそれに応えるよう!…また一歩!と足を前に出して行くが、やはり上手くは

行かない様で!…


__ザッ!…ガクンッ!!…ッ!?…ズシャァ!!!…ッ!?…あぁ!!…


「ッ!?…ッ…ッ~~~…」


それは地面の何処かに引っ掛けてしまう部分が有ったのか!…シロはその部分に

足を取られたよう!…バランスを崩して前のめりにまた倒れて行ってしまうと、

その光景に当然激震が走る!…誰もが心配をする様に言葉を漏らす!…普段なら

そんな引っ掛かる部分など特に気にするモノでは無いのだが、しかしこの時だけは

シロにとって大きな脅威となってしまい!…そして転けてしまったシロもそのまま

ジッと動かなくなり!…まるでもう限界と言っている様子!…となるとマサツグも

その様子を見て思わず手をスッと伸ばす素振りを!…だが途中でハッ!と我に

返り!…我慢をする様に渋々その伸ばした手を戻して行くと、暫くしてシロが

ピクッと動きを見せる!…そしてまた立ち上がる所から始めて行く!…


__……ピクッ…ズッ…ズズズッ…


「ッ!!…シロちゃん!!!…ッ…ッ~~~!!!…

いけいけシロちゃん!!…いけいけシロちゃん!!!…」


「ッ!!…ッ…が、頑張れ!!!…シロォ~~~!!!!」


シロは地面に手を着いて起き上がろうとする!…その様子はまだ完全に闘志が

折れてはいない様子を見せており!…ゆっくりでも立ち上がる!と…絶対に

マサツグを捕まえる!と言う意思の様なモノが感じられると、また何か観客席に

居る者達を震わせる!…そしてまたオリハが吠える様に応援をし出す!…すると

それに合わせて他の面々もまたシロの応援に入って行くと、最終的にシロの

名前がコールとなって闘技場内に響いて行き!…


__シ~ロ!!!…シ~ロ!!!…シ~ロ!!!…シ~ロ!!!…


「ッ!…み、みなさん!……ッ!!!…」


するとそのコールにシロもまた我に返った様子でピクッと反応!…チラッと声が

聞こえる方を振り向いて見せ!…そこでさも自分の事の様に応援をするオリハや

他の面々の様子を目にして行くと、その声援を受けてシロも歓喜に震える!…

そしてその声援を自身の力に変えて行くよう踏ん張り始める!…その際また立ち

上がろう足に力を入れて見せると、痛いのを我慢してまた歯を食い縛りマサツグ

だけを一点に見詰め!…


__ザッ!…ザッ!…ッ!!…ッ~~~!!!!…


{ッ!?…シロ!!…もう立たないでくれ!!!…

お前はただ自分の負けを宣言してくれればそれで良いんだ!!!…

そのまま立ち上がらないでくれ!!!…頼む!!!…

もうこれ以上辛い表情を見せないでくれ!!!…}


一方でそんな視線を向けられた事でマサツグは更に辛そうに!…そしてシロが

立とうとしている様子に戸惑い心の中でひたすら願い!…それはもう諦めてくれ!

と切に願うモノであって!…その場で動かずジッとして居てくれ!!…このまま

負けてくれればシロの治療が出来る!!…或いはグレイスと一緒だったらもう

心配は要らない!!と…必死に心の中でシロに説得をするのだが、当然その言葉は

一切届かず!…目の前のシロは必死に藻掻き!…その視線も真剣なモノで更に

マサツグを追い込む様なモノになって行くと、同時にマサツグは更にシロの敗北を

切に願う!…だが無情にも未だフィールドバリアは顕在し続ける!…そしてシロも

シロでもう何度目となるか分からない立ち上がろうとする様子を!…マサツグに

見せ付けるようグッと体に力を入れると、そこから踏ん張って見せようとする

のだが!…


__グ!…グググ!!…フラァ…ッ!?…ああぁぁ!?…


何とか自力で立ち上がった所までは持って行く!…しかしまた先程の様に膝に手を

着き無理やり震えを押さえている状態!…そこからちゃんと手を放して立てるか!?

と言った状況で有り!…観客席にいる面々も固唾を飲んでその様子を見守って居る

と、またフラッと来てヨタ付き始め!…となるとそんなシロの様子に各々が声を!…

またそのまま倒れてしまうのか!?とどよめく一方!…その光景を見てハッと途端に

倒れないで!と祈る様な者まで出て来て居ると、その願いは通じたのか!…シロは

唸り吠えながら根性を見せる!…


「ッ!!!…んああああああ!!!!」


__ビタッ!!…グググ!!…


「ッ!!!…そうだ!!!…行け!!!…頑張れ!!!…

…ッ~~~!!!!…いけぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


まだ立っている状態!…それこそ前のめりで腰を曲げつつ!…非常にバランスが

悪い状態で有るのだが、それでもシロは堪えて見せる!…そしてそこから徐々に

体を起こす様子も見せて行くと、オーディエンスもそれを見てハッ!と白熱し

出し!…特にオリハがシロの事で大興奮をして見せ!…誰よりも人一倍に叫んで

シロに励みを与える事になって行くと、そんなオリハの叫びを受けてシロも更に

体に力を入れて踏ん張る!…その際顔を顰めながらも!…声を上げながらも自前の

根性で何とか持ち直して立って見せると、更にオーディエンスを湧かせて行く!…


「んにゅうううううううぅぅぅぅぅぅ!!!…」


__グググググ!!!…ピシィ!!!…ッ!!!…ワアアアァァァァァァ!!!!…


「ッ!?…ッ…ッ~~~…」


それは今までこの場に立って来たどの闘士達よりも声援を受ける様に湧き上がり!…

中には感動した様子で泣く者まで現れる始末になって行くと、一方で逆に言えば

マサツグからは絶望の光景そのもので!…それは未だ挑まん!とするシロの様子に

絶句して見せ!…辛そうな表情を浮かべながらも!…絶対に勝つ!と言う意思を

ヒシヒシと感じてマサツグが心を締め付けられる様なそんな感覚に陥って行くと、

思わずに胸に手をやる!…そして息苦しそうなそんな表情を浮かべてしまう!…

その一方でシロも自力で立てた事で息を切らすと、次には睨み付ける様に視線を

向けてはマサツグを呼び出し!…


「はぁ!…はぁ!…ご、ご主人様?…」


「ッ!…ッ…」


「はぁ!…まだ…終わって!…ませんよ?…はぁ!…はぁ!…」


この時勿論痛い脚を我慢しつつ!…それでも何故か不敵に笑みを浮かべて見せ!…

と、突如シロに呼ばれた事でマサツグもピクッ!と思わず警戒!…それはある筈が

無いであろうが!…シロが飛んで来るのを予知した様に思わず身構えるそんな

素振りを見せて行くと、さすがにそれは無い様子で!…しかしそれでもまだやる!

と…息を切らしながらにこの勝負がまだ終わって居ない事を口にすると、更に

不敵に笑って見せる!…マサツグに心労を掛けて行く!…すると当然その言葉を

受けて更に息苦しさを覚えたのか、マサツグはクッと奥歯を噛み締め!…


「ッ!?…ッ…ッ~~~~…」


__シ~ロ!!!…シ~ロ!!!…シ~ロ!!!…シ~ロ!!!…


「……ッぃよっしゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!…

立った!!…シロが立ったぁぁぁぁぁ!!!!!」


必死にシロが倒れる事を願うのだが、その願いは空しく!…と、そんなマサツグとは

裏腹に観客席は大盛り上がり!…誰もがシロが勝つ事を信じて疑わず!…シロの事を

応援し続けてオリハも更に某・アルプスの少女の様な大声援を送って行くと、シロは

またマサツグへ向かってフラフラとしながら歩き出す!…その際グレイスも諦めない

シロの様子に涙無しでは見られないのか戸惑って見せる!…それこそ本当に終わった

と思った矢先の事で、シロがまた歩き出した事でとにかく静かに涙を流し!…一方で

また近付いて来るシロに対してマサツグは更に戸惑って見せ!…思わず後退りをする

様な!…逃げそうなそんな様子を見せて居ると、次にはそれを良しとしない具合に

ある妨害が!…


__ッ!?…ザッ!……ガッシ!!…ッ!!…ッ!?…


「……逃がさないのです!!…」


「ッ!?…なッ!?…」


と言うのもそれは自身の左太ももに違和感を覚える!…それは突如重りが付いた様に

感じられ!…マサツグも驚いた様子でハッとした表情を浮かべて見せると、次には

その正体を確認!…するとそこで自身の左太ももにしがみ付くハティの姿を見つけて

行く!…その際ハティも若干その目に涙を浮かべて決意の表情を露わにすると、

チラッとマサツグへ視線を向けては一言!…この時その一言と言うのはシロの言葉の

様にも聞こえ!…となるとそんなハティの言葉に更に戸惑う!…何なら逃げたくても

逃げられない!…完全に拘束された様に固まってしまうと、その間にもシロが徐々に

息を切らしながら迫って来る!…まるでゾンビの様な執念ぶりを発揮する!…


「はぁ!…はぁ!……ッ!?…」


__ふらぁ!…ッ!?…あぁ!!!…ッ…ッ~~~~!!!…


しかし幾ら執念が有ってもやはり歩くのに困難を極める!…その度にフラ付いては

足が縺れて転けそうになり、そして観客席からもどよめきが上がり!…となると

祈る者達もその光景を見て当然の如く慌て出し!…重ねている手により一層力を

込めて!…シロに力を貸す様にとにかく祈り続ける様子を見せて居ると、またもや

その力はシロに届いてしまったのか!…シロも転けない!とばかりに踏ん張って

見せる!…


「ッ~~~!!!……ダハァ!!…はぁ!…はぁ!……ッ!!…」


「ッ!…おねえさま!…ッ…ッ~~~~!!!…」


「ッ!!…クッ!!……ッ…ッ~~~!!!…」


そして堪え切った所でまた一際体力を使った様に息を吐くと、再度息を切らしながら

前進して行き!…その間ハティはマサツグの足を拘束し続け!…その際シロを見ない

様に!…見たら心配して力が緩んでしまいそうな不安感を持ってしまうと、とにかく

必死に力の限りしがみ付き続ける!…するとしがみ付かれているマサツグも動けない

のか若干痛みを覚えるそんな表情を浮かべてしまう!…この時その近付いて来る

シロに対して同時に焦りも覚えて行くと、しかしだからと言って何もどうする事も

出来ず!…動けない限りチェックメイト!…徐々に迫って来るシロを見つつ!…

マサツグも如何やってこの場を切り抜けようか!?と考えて慌てて見せて居ると、

残り数mの所までシロが迫る!…しかしここでシロが徐に足を止める!…そして!…


「…ご主人様……」


__ッ!…ザワザワ!…ザワザワ!…


「…何だ?…」


それは何を思ったか徐にマサツグの事を呼んで見せると、次には若干俯き始め!…

となると突如そんな様子を見せ始めたシロの様子にこれまた観客席はどよめき

始め!…何ならその様子はまるで痛みに堪える様で!…小刻みに体を震わせている

事から!…もしや遂に足に限界が来てしまったのか!?と言った心配もして行くと、

一方でマサツグがシロの呼び掛けに対して返事を!…しかし何処か警戒をしている

様なそんな反応も露わにする!…と言うのもその警戒は最後の力を使って飛んで

来るのでは!?と言った事を考えて居る様で、ハティにしがみ付かれながらも

身構える様子を!…だがそんな事は無い様子でシロは更に言葉を口に!…その声を

震わせてある事を話し!…最後に対話を!と考えた様な自身の気持ちを訴え出すと、

マサツグの心を震わせに掛かる!…


「…ご主人様がシロの事を考えて!!…

おかあさんの所へ置いて行こうとしたのは分かったのです!…」


「ッ!…じゃあ、このまま言う事を聞いてくれ…」


その際シロはまずマサツグの考えを分かっている様子で話をする!…それは全て

自分の為である!と自ら語って見せて行き!…そしてマサツグがシロの事を嫌い

になった訳でも無い事を!…その声色から理解している様子でマサツグにそう

話して行くと、それを聞いたマサツグは言う事を聞け!と…優しく言い聞かせる

様にシロへ言葉を掛けて行く!…だが勿論その言葉に対してシロは全力で拒否を

する!…何なら闘技場にその声を響かせて行き!…


__絶対にいやです!!!…です!!…です!…です…ッ!?…ッ…ッ~~~…


「…あははは…ですよねぇ~…」


「…シロはおかあさんが大好きです!!…ハティちゃんも大好きです!!…」


と、二重三重と響く程の拒絶具合にグレイスも思わずショックを受け!…その際

一人モジモジとする様なそんな素振りを見せて居ると、マサツグも思わず苦笑い!…

何ならその様子も想像出来てしまったのか…戸惑う様なそんな反応も露わにすると、

一方で更にシロが言葉を続けて行く!…それこそ先程の拒絶に対してのフォローの

言葉を口にする!…それは勿論グレイスやハティの事が大好きである事を訴えると、

その言葉を聞いた二人は耳をピクッと反応させ!…


__ッ!!…ッ…


「でも!…でもご主人様の事もとってもとっても大好きなのです!!!!…

ご主人様がシロの事を心配してくれるのと同じで!!…

シロもご主人様がとっても心配なのです!!!…

例えどんなに嫌われても!!…どんなに置いて行かれても!!!…

シロはご主人様から離れるつもりはありません!!!!」


次にはグレイスが立ち直った様子でシロを見詰め!…ハティも思わずハッとした

様子で無意識に顔を上げて行くと、シロの居る方へ視線を向け!…一方でシロは

そんな二人の事など御構い無しに更に言葉を訴え続ける!…それこそ先程の話に

繋げる様に!…どれだけマサツグの事が好きなのか!…どれだけ離れたら不安

なのか!…とにかくマサツグが大好きで大好きで仕方が無い様に続けて訴え!…

意地からでも付いて行く事を口に!…この時顔を上げて真剣な表情を浮かべて

見せる!…その際目を潤ませ今にも泣き出しそうな感じでジッとマサツグの事も

見詰めて行くと、その表情と言葉を向けられた事でマサツグもハッと目を見開き!…


「ッ!!…ッ…」


「……ご主人様!!…シロを!!…シロを一緒に連れて行ってください!!!…

ご主人様に心配をかけません!!!…迷惑もかけません!!!!…

ですから!!!…ッ~~!!!…ジロを!!!…ジロを!!!!…

ジロを!!!!…置いで行がないで下ざい!!!!!…ッ~~~~!!!!…」


それは再びマサツグの中の決意を揺るがす事になってしまう!…それこそ決別を

決意したのに!…自分の娘が必死になって訴えている!…ボロボロになりながらも

愛を叫んでくれている事に思わず目を潤ませてしまうと、シロも更に畳み掛ける!…

連れて行ってくれ!と魂の叫びを口にする!…その際もはや涙も我慢出来ず必死に

マサツグを見詰めながら!…ボロボロと大粒の涙を零して更に声も振るわせて行く

と、ただひたすらに懇願!…もはや痛々しい光景の様にも見えてしまい!…そんな

様子にいつの間にか声援も消え!…ただシロの泣きじゃくる声だけが聞こえて来る

と、一方でマサツグが黙ってしまう!…しかし確かにシロの叫びが届いた様子で

天を仰ぐ!…


「………。」


__ヒッグ!!…エッグ!!…グスッグスッ!!…ッ~~~!!!…


ただ何も言わずに天井を見つめる!…何も発する事無くただただ棒立ち!…そして

一部涙声で聞き取り辛い部分が有ったにせよ!…シロの願望・本心を聞いた事で

とにかく長考!…それはまた葛藤している様で、マサツグが延々と沈黙を続けて

立って居ると、一方でシロは涙を拭いながら泣き続ける!…そして鼻を啜りまるで

マサツグの返事を待つ様に待て!をする!…となるとそんな様子を見せられている

観客席側としても不安になり、二人の事を交互に見詰め続け!…と、そんな状態が

約五分~十分経っただろうか?…次にはマサツグが言葉を漏らし!…その言葉を

聞いてシロとハティがピクッと反応をして見せると、動揺の表情!…何か不穏な

モノを感じてしまう!…


「…あぁ…やっぱ駄目だな…」


「ッ!…え!?…」×2


「…ハティ?…そろそろ離してくれるか?…」


と言うのもこの時マサツグは意味深に言葉を口にして行く!…それは天を仰ぎつつ

呆れた様子で!…ただ一言[駄目]と漏らし!…その言葉を聞いてシロとハティも

ピクッとショックを受けた様なそんな表情を露わにすると、次にはマサツグがスッ

と頭を戻して行く!…そしてハティにお願いを口にする!…それは拘束を解いて

欲しい!と言った様子で声を掛けると、当然その言葉にハティもハッ!としては

抵抗の意志を露わに!…


__ッ!…ッ…ッ~~!!!……ポンッ…ッ!……チラァ?…


「大丈夫!…逃げないよ?…」


__なでなで…なでなで……ッ!…ピコピコッ!…ブンブンッ!……スッ…


勿論拒絶する様に更に拘束を強める姿勢を!…しかしマサツグが慌てる事は決して

無く!…ハティの頭に手を置き!…優しく念を送る様なソフトタッチでハティの

警戒を解こうとすると、案の定上手く行った様子でハティも反応!…次にはチラッ

と顔を見上げる!…するとそんなハティの反応にマサツグも笑顔で逃げない事を

口にすると、更にハティの頭を撫で!…と、突如頭を撫でられた事でハティも更に

ピクッと反応!…それは本能に逆らえない様子で!…耳と尻尾を上機嫌に!…

ピコピコパタパタと動かして気持ちよさそうなそんな表情を浮かべて見せると、

信用した様子でスッと離れる!…するとマサツグも放してくれた事でお礼を言う!…


「ッ!…ありがと…」


__…スッ…ッ!…コッ…コッ…コッ…コッ…ッ!?…


放してくれても尚まだ警戒を解くよう笑顔でハティにお礼を言うと、次にはその

泣きじゃくって居るシロの方へ向き直す!…と、そんなマサツグの様子に観客席も

戸惑いを露わに!…一体何をするのか?と…マサツグに対して警戒の視線が向け

られて行くと、次にはマサツグが移動をし出す!…それはシロへ向かって近付き

始める!…となるとそんなマサツグの行動に各々も驚き戸惑った反応を露わにする

と、何も言わずにただただ見詰め!…一方でマサツグはシロに向かってズンズン

近付く!…するとシロもシロでそれに対して身構えもせず!…飛び付くと言った

不意を突く様子も見せないで居ると、遂には距離にして約50cm!…この距離で

マサツグがシロに声を掛ける!…


「……シロ!」


__ッ!…グスッグスッ!…ッ~~~…ッ!…


マサツグはシロを呼んで見せる!…するとシロもそれに反応して不安ながらもスッと

顔を上げて見せると、ボロボロの表情をマサツグに向け!…と、そこでシロが見た

モノとはまるで慈しむ様に自身シロを見るマサツグの笑顔で!…その様子にシロも思わず

ハッ!と…驚いた様に目を見開くそんな表情を露わにすると、マサツグは更に続けて

シロへある質問をし始める!…するとその質問に闘技場内に居る者達がどよめいて

見せる!…と言うのも!…


「…コホン!!…シロ?…

もし本当に付いて来る気が有るのなら…

今から言う事は守れるか?…」


__ッ!?…どよぉ!?!?…ッ!?…パチパチッ…パチパチッ…


ワザとらしく咳払いをすると、マサツグはシロに希望を持たせる様に質問を!…

と言うのもそれは間違い無く連れて行くに当たっての約束事で!…マサツグが

まずその約束事を守れるかどうかについて質問をすると、周りもそれが聞こえた

様子でどよめき!…シロは驚いた様子で目をパチパチとさせて見せる!…そして

その質問の意味を理解するのに若干の間を空けてしまうが!…次にはハッ!と

我に返って慌ててマサツグに返事をすると、その内容を聞きたい!とばかりに

マサツグへ迫り!…


「ッ!…え?……ッ!!…

は、はい!!!…な、何ですか!?…」


「一つ!!…俺の言う事は絶対!!…何が有ろうとも守る事!!…

…二つ!!…絶対に俺の目の届く範囲に居る事!!…

許可無く俺の傍を離れてはいけない!!……って、言っても…

この二つは言わなくても守ってたし…まぁ怪しい時もあったが…

まぁ一応な?…お留守番って言う事もこの先有るだろうから…」


「ッ!!!…はいです、約束!!!…」


この時折角のチャンスを反故にされないようシロはピーカブーのポーズで必死さを

アピール!…するとマサツグもその反応を見て続きを口に!…一つ二つと約束事を

話して行き!…これまで通り!…何なら若干怪しい部分もあったがちゃんとシロが

守って来た事を認めて話すと、シロもそれに対して自信満々に返事!…それこそ

食い気味に返事をして早く了承を得ようとして見せるのだが、マサツグはまだ話は

終わってない!と…更に声を張って待て!を掛ける!…


「三つ目!!!…」


__ッ!?…パチパチッ…パチパチッ……スッ…ッ!…


それこそこの三つ目が一番大事!と言った様子で若干怒気を強めて言葉にすると、

シロはそのマサツグの言葉に気圧された様子でビクッとして見せ!…となると

また目をパチパチとさせては戸惑いの表情を露わにして行き!…しかし一方で

マサツグは真剣そのもの!…決して冗談半分では無い事をその表情や眼差しで

物語って見せ!…次には徐にスッとしゃがんでシロと同じ目線に!…そして三つ目

となる約束事を口にすると、更にシロを戸惑わせる!…と言うのも!…


「…もし…もし俺が…俺が死んだら!!…

何を置いてもまずは自分の命を優先しろ!!!…

…ギルドに向かえ!!!…」


「ッ!?…」


マサツグが口にした三つ目の約束と言うのは自身の死後の事について!…その際

逃げる事を口にして行き!…逃げる際の場所についてもギルドを目指す様に続けて

シロに言い聞かせると、シロは思わずショックを受ける!…そしてまた若干俯き

何か思い悩む様なそんな反応を露わにする!…しかしそれ程までに苛烈になるで

あろう事が予測されると、観客席に居る面々も黙って行き!…一方でマサツグは

淡々と続ける!…何を置いても命を大事に!…そうシロに続けて言い聞かせるよう

話しをすると、ここでシロの様子に異変が!…


「…言っただろ?…今度の戦いはそう言う戦いになるんだ!!…

…俺が勝てなかった相手にシロが勝てる筈が無い!!…

敵討ちなんて事は絶対に考えるな!!!…迷わず逃げろ!!!…

そんでもって!!!……ッ!…」


「………。」


「……如何なんだ?…守れるのか?…守れないのか?…」


それはシロのトラウマを刺激してしまった様子で!…シロは俯いたまま拳をギュッと

固く握ると、小刻みにその小さな体を震わせ!…あの時死んだマサツグを思い出して

しまったのか!…マサツグの言葉が届いていない様な…塞ぎ込むそんな反応を露わに

すると、マサツグもそれに気が付いた様子で話しを一旦止める!…そしてシロの様子

を確認し出す!…するとシロはマサツグの話が止まっても塞ぎ込んだままで微動だに

せず、明らかに駄目な様子を見せており!…となるとマサツグとしてもその様子に

これは駄目!と判断をして行き…再度この約束を守れるのか如何なのか?をシロに

問い掛け!…本当に付いて来る気で居るのか?その覚悟をシロに問い質して行くと、

シロは数分間黙ってしまう!…しかし次にはちゃんとその答えを口にする!…


__………ッ!!!…グシグシグシグシ!!…ッ!!…


「……死なせたりしません!!…」


「…ン?…え?…」


シロは葛藤する様にその体をずっと震わせて見せるのだが、次にはグッと顔を

上げると涙を拭い!…と、今度はマサツグを一点に見詰め!…マサツグの真剣な

表情に答えるようシロも真剣な表情で自分の決意を口にすると、逆にマサツグを

戸惑わせる!…と言うのもシロの答えはマサツグを決して死なせない!と言う

モノで、逆にマサツグを守る事を誓い!…と、思って居たのと違う答えが帰って

来た事でマサツグは戸惑い!…思わずその言葉の意味が分からずへ?っと戸惑いの

表情を浮かべて見せると、シロはそんなマサツグに対して最後の力を振り絞る!…

マサツグに向かって飛び掛かる!…


__バッ!!!…


「ッ!!!…おっとぉ!!……あっ…」


痛い脚を我慢してそのトラウマを拭い去るようマサツグへ向かって飛び掛かる!…

すると突如飛び掛かられた事でマサツグも反射的にシロを受け止め!…だがここで

ふとある事に気が付く!…と言うのもこれはシロがマサツグを捕まえたと言う事に

なる訳で、決闘のルールとしてはシロの勝ち!…そしてマサツグもその事に遅れて

気が付き!…思わず気の抜けた感じであっと言葉を零してしまうと、一方でシロは

更に自身の答えを続ける!…もはや誓いの言葉を口にする!…


「ご主人様は絶対に死なないのです!!!!

ご主人様はシロが!!!!…シロが絶対に守って見せます!!!…

それとシロも絶対に死にません!!!!!…

ご主人様と二人何処に行っても!!!…

絶対に!!!…絶対に!!!!…ッ~~~~!!!!…

シロ達はずうぅぅっっっと!!!!…一緒なのです!!!!!…」


__ガッシ!!!…プルプルプルプル!!!…ッ!…ッ…


よもや自分より小さな子供にプロポーズの様な言葉を言われるとは思っても

居なかった様子でマサツグは硬直!…そしてその反応にとても困り!…一方で

シロは絶対に離れない!とばかりにマサツグへしがみ付き!…言葉の通りに

ずっと一緒!と…体を震わせながら子供らしい謎理論で無理やりマサツグを

納得させようとして見せると、マサツグもシロが震えている事にふと気が付く…

そしてここで何故か笑いが込み上げて来る!…するとその様子に面々も思わず

呆気に取られたよう絶句すると、同時にいつの間にかフィールドバリアが消えて

いる事にも気が付いて行き!…さてそうして侵入が出来る様になった事で

マサツグ達と合流するかどうかで悩んで見せ!…一方でマサツグは笑い出して

しまいそうな気持ちを我慢!…シロに合否の判定を口にする!…


__…スゥ…ポンッ…ッ!…


「…この大馬鹿娘め!……合格だ!!…」


__ッ!!!…ッ~~~!!!!…ヒッグ!!!…

ッ~~~!!!!…うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!…

あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん!!!!!…


合否の判定を出す際、マサツグはシロを安心させる様にその後頭部に手を添えて

行く!…そしてシロが如何に本気なのが伝わった様子で、何なら自身も思わず

泣きそうになりながら!…シロの事を大馬鹿娘!と言葉を口にし!…その最後に

シロが合格である事を伝えてギュッと優しく抱き締めてやると、その言葉と抱き

締められた事でシロの緊張の糸はプツンッと切れる!…途端にまた目に涙を

溜めては大粒の涙をボロボロと零す!…その後はまるで我慢をして居た様に

シロは抱き付きながら大号泣をし始め、そして甘える様にしてマサツグの胸に

顔を埋め!…となるとその様子に観客達も納得して行き、シロが勝った事を

確信し出し!…各々がホッと安堵して見せ!…グレイスも自身の娘が大きく

成長している事に!…大きな感動を覚えて行くと、同時にある不安を!…しかし

ある決意も固めて見せると、シロとハティを見詰めるのであった!…

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