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01:個人ダンジョン
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寝起きでボーッとする頭でテレビを見ていれば今を活躍するクランの特集をしていた。
今回紹介されているのは一度壊滅状態になったがその息子が活躍しているクラン『八百万の剣』だった。
五年前に起こったモンスターによる大災害で当時のリーダーやその幹部たちが亡くなったがその息子が意思を引き継ぎリーダーとして活躍しているというものを説明される。
『大規模魔物侵攻』
この話題が出るだけで吐き気がする。
ただ今紹介されているリーダーは俺の弟で両親の意思を継いでクランを強くしている。俺とは違って強い男だ。
俺は未だにこのダンジョンやモンスターというものが恐ろしくて堪らない。
「ふぅぅぅぅぅ……」
気分が悪くなったからアラームをかけてソファで寝ることにした。
☆
鳴り響くスマホのアラームに違和感を覚えながらもアラームを消してソファから身を起こす。
「……どこだここ?」
体を伸ばしてふと周りを見ればマンションではなく洞穴の中だった。
「……もしかして、ダンジョンなのか……?」
数十年前に突然現れたダンジョンは今もなお大なり小なり出現している。
どこでも出現するそのダンジョンは異空間に通じているらしく二階建ての家の二階にダンジョンの出入り口が出現して一階には貫通していないことで異空間であると証明されたのは聞いた。
俺はマンション住みで最上階に住んでいるから俺の部屋にダンジョンが出現してもおかしくはない。
でもどうして俺はダンジョンの中に入っているんだ? 寝ている間にダンジョンの出入り口ができてそこに落ちたのか? そんな衝撃があったら起きるだろうに。
それにどうして俺なんだ。
ラノベ主人公ならこんな状況が起きたらワクワクしてダンジョンの中を冒険するのだろうが、ぶっちゃけ俺は危険だから早く出たいという気持ちでいっぱいだ。
ダンジョンなら絶対に出入り口はあるだろうが周りを見ても全くそれが見えない。
「ん? なんだこれ」
俺の目の前にステータス以外の文字が出現した。
『はじめまして、ダンジョン主さま』
……俺に話しかけているのか? いや、そもそもこういう文字はステータス以外あり得ないはずだ。それなのになんだこの文字は。
『私はダンジョン作成をサポートするダンジョンのプログラムです。あなたのお名前をお聞かせください』
ダンジョン、作成? それにダンジョンのプログラム? どういうことだ。寝起きだし意味が分からない。あぁ、イライラしてきた。寝たい。
でもここはたぶんダンジョンの中だ。悠長なことをしていられないしこの目の前のプログラムとやらに聞かないといけない。
「……ここはどこなんだ?」
『あなたのお名前をお聞かせください』
「……ここはどこだ?」
『あなたのお名前をお聞かせください』
「……岩倉王間」
全く俺の質問に答えてくれないから渋々名前を答える。
『イワクラオウマさま……登録完了しました。いいお名前ですね』
なんだこいつ。よく考えればどうして会話ができているんだ? 全く意味がわからん。
「名前を答えたんだからここがどこなのか答えてくれ」
『次に私に名前をつけてください。名前を呼べなければ不便だと思います』
「……ここはどこなんだ?」
『私に名前をつけてください』
「……性別はあるのか?」
『いいえ、私に性別は存在していません』
なんだよ、それは答えるのかよ。プログラムの分際でいい性格をしている。
「……じゃあトキで」
『トキ……登録完了しました。いい名前をありがとうございます、気に入りました』
「そうか。なら答えてくれるのか?」
『これで最後の初期登録です。ダンジョン名を決めてください』
「いつになったら答えてくれるんだよ」
『ダンジョン名を決めてください』
ハァ、いつまで俺はここに拘束されるんだよ。でも案外周りにはモンスターの気配はない。もしかしてダンジョンじゃないのか? いやダンジョン名を決めてくださいって言ってた。
安全かどうかも分からないここから一刻も早く出たいんだが動き回って迷子になるのもいけない。
「……サカキダンジョン」
『サカキダンジョン……登録完了しました。とてもよい名付けです』
こいつは毎回こう返してくるな。本当は思っていないんじゃないのか?
「それでここはどこなんだ?」
『はい。ここはサカキダンジョンです』
「ようやく答えてくれた……それで出口はどこなんだ? ここから早く出たいんだが……」
『出入り口はありません。ここはまだダンジョンと呼ぶにはおこがましい、名前しかない場所です』
出入り口がない……だと? おいおい、俺にここで餓死しろと言っているのかこのプログラムは。
……いや待て。『ここはまだ』って書いている。まだということは出入り口ができる時があるということか。
「……出入り口はできるのか?」
『はいオウマさま。このダンジョンはまだ白紙の状態。それを完成させるのはオウマさま次第です』
「……完成させれば出れるということか」
『その通りです』
ふぅ、何だか意味の分からないことに巻き込まれてしまったな。でもまあゲームも昨日でやりきったんだ。暇潰しと思えばいいか。
この相手も人じゃなくてプログラムなんだ。人と関わるわけではないから気が楽か。
「……分かった。どうやって作る」
『ダンジョン作成開始します』
俺の目の前にプログラムを作成するパネルが出現した。
『ただいまからサカキダンジョン一階層の作成を開始します』
「一階層?」
まあダンジョンだから階層があって当然か……?
『ダンジョンを作成する手順をご説明します。階層ごとにあらかじめポイントが設定されています。そのポイントの範囲内でモンスターと採取物を設定してください』
「色々変えれるのか!」
『その通りです』
サカキダンジョン一階層の設定ポイントは100。
何百体とモンスターの名前が出てきて名前の全く知らない鉱物や植物などの名前がずらっと出てきた。
「銀煌石、4000。金漆黒石、6000。数値が高いのはレアってことか」
『その通りです。ただ数値で選ぶのがダンジョン作成ではありません』
「どういうことだ?」
『なにか一つ、モンスターを選んでください』
「なにか……」
大体最初に出てくるモンスターはチンアント、ハイピジン、サイレンウルフ、メタルトータスの四種類だ。でもこの中で一番弱いのはチンアントだ。
「じゃあチンアントを選ぶ」
チンアントのポイントは10だ。でもモンスターにポイントがついているんだな。
てっきりモンスターが増えればポイントも増えていくのかと思った……ん? ポイントが110になった。
『モンスターを選択すればモンスターのポイントがダンジョン作成のポイントに追加されます』
俺が思っていたことと合っていたな。
『ただしモンスターは一種類以上選択していなければいけません。次に選択したチンアントをタッチしてください』
「あぁ」
タッチすれば強さ、出現頻度、出現可能上限の三項目が出てきた。
『この三つの項目は変更できます。強さをあげればチンアント一体ごとに強くなります。出現頻度をあげればダンジョンから出現する速度があがります。出現可能上限をあげれば階層に出現するチンアントの数を増やすことができます』
「ダンジョンのモンスターって無限に出る訳じゃないんだな……」
『たまにこの出現可能上限をバグらせているダンジョンはあります。そしてこの三つの項目をあげればあげるほど使えるポイントが増えていきます』
「それなら一階層でバカみたいに強いモンスターを登場させてポイントを稼いで貴重な鉱物を一階層で出すこともできるのか……」
『できますがそれはおすすめしません』
「どうしてだ?」
やるつもりはないが一応聞いておく。
『ダンジョンは攻略させることを存在意義としています。一階層なら一階層に適した設定でなければポイントが引かれることになります。なので一階層で強力なモンスターを設定したとしてもポイントは大幅に減らされることになるのでおすすめできません』
「ダンジョンの存在意義か……」
どうしてダンジョンが出現するのか全く分かっていないけど少しは分かった気がした。
「他にポイントが追加されることはないのか?」
『あります。ダンジョン階層の広さ、複雑さ、厳しさの三つを設定することもポイントが追加されます』
「なるほど……ん? 待て、ダンジョンは下に行けば行くほど環境が厳しくなると聞いた。厳しくするということはポイントは変わらないのか?」
『そういうわけではありません。ダンジョンの存在意義として下に行けば行くほどそれ相応の階層基準にしなければいけません。ただポイントが変わらず厳しさだけがあがるダンジョンもあります』
「ここはどうなんだ?」
『ご心配なく。このダンジョンは特別性です』
「特別性? どこら辺が?」
『特別性です』
あぁ、答えてくれないってことね。
まあ情報はこれくらいみたいだし決めていくか。
一階層だからチンアントだけでいいか。強さはそのままにして出現頻度と出現可能上限がどれくらいか分からないからそのまま。
広さも大体広いなくらいでいいか。あまり広いと面倒だし。複雑さもそこそこで厳しさはなし。
今のポイントは120。広さで10追加されただけでほぼ変わらないがこれで鉱物を見ていく。
項目の一番上にある鉱物は『魔鉄』。
これはダンジョンでとれる鉱物としてかなり有名な好物だ。鉄の成分に魔力がこもっている鉄よりも上質な鉱物だったはず。この魔鉄が50だった。
この50が一番最低値で次の鉱物は『魔鋼』で70。植物の方を見てみれば最低値が20の『癒草』だから魔鉄と癒草の二種類ができるのか。
『魔鉄だけでよろしいのではないですか?』
魔鉄を選んで癒草を選ぼうとしたところでトキからそんなことを投げかけられた。
「どうしてだ?」
『出現する鉱物も項目があります。タッチしてみてください』
トキの言う通りタッチすれば項目が出現した。量、採取場所、再出現の三つの項目だ。
「これを操作して余ったポイントを振り分ければいいのか」
『その通りです』
三つの項目を操作して見た感じ、一番ポイントを消費するのがやっぱり量だ。その次に採取場所、最後に再出現。
どれを上げれば効率がいいとかは全く分からないから一回に取れる量を増やそう。量に全振りしてすべてのポイントを使い切った。
そして魔鉄が生成される場所を設定した。
「これでいいのか?」
『はい。ですがもう一つだけポイントを増やす方法を伝えておかなければいけません』
「……まだあったのか。なんだ?」
『二階層に降りるための場所にボスを配置しておけばかなりのポイントを追加できます』
「一階層でボスいるか?」
『一階層ですからたかが知れています。やってみてはいかがですか?』
「まあ……」
トキに促されてボスを追加することにした。
ボスの項目もあって強いモンスターからチンアントを巨大にしたキングチンアントというものまでできるみたいだ。
キングチンアントを追加すれば整合性は取れるからそれにすればポイントが100回復していた。ボス自体の数値は何もいじっていないのに。
「……こんなにもらえるのか」
『それで魔鉄の別項目を増やしてもいいかもしれません』
「……そうだな」
言いなりになるのはあれだが一階層で魔鉄以外がとれるのもどうかと思ったから魔鉄の採取場所と再出現にポイントを振り分ける。
あと二ヶ所採取場所を増やすことができるため偏りがないように設置する。
「よし、これで完成だな」
今回紹介されているのは一度壊滅状態になったがその息子が活躍しているクラン『八百万の剣』だった。
五年前に起こったモンスターによる大災害で当時のリーダーやその幹部たちが亡くなったがその息子が意思を引き継ぎリーダーとして活躍しているというものを説明される。
『大規模魔物侵攻』
この話題が出るだけで吐き気がする。
ただ今紹介されているリーダーは俺の弟で両親の意思を継いでクランを強くしている。俺とは違って強い男だ。
俺は未だにこのダンジョンやモンスターというものが恐ろしくて堪らない。
「ふぅぅぅぅぅ……」
気分が悪くなったからアラームをかけてソファで寝ることにした。
☆
鳴り響くスマホのアラームに違和感を覚えながらもアラームを消してソファから身を起こす。
「……どこだここ?」
体を伸ばしてふと周りを見ればマンションではなく洞穴の中だった。
「……もしかして、ダンジョンなのか……?」
数十年前に突然現れたダンジョンは今もなお大なり小なり出現している。
どこでも出現するそのダンジョンは異空間に通じているらしく二階建ての家の二階にダンジョンの出入り口が出現して一階には貫通していないことで異空間であると証明されたのは聞いた。
俺はマンション住みで最上階に住んでいるから俺の部屋にダンジョンが出現してもおかしくはない。
でもどうして俺はダンジョンの中に入っているんだ? 寝ている間にダンジョンの出入り口ができてそこに落ちたのか? そんな衝撃があったら起きるだろうに。
それにどうして俺なんだ。
ラノベ主人公ならこんな状況が起きたらワクワクしてダンジョンの中を冒険するのだろうが、ぶっちゃけ俺は危険だから早く出たいという気持ちでいっぱいだ。
ダンジョンなら絶対に出入り口はあるだろうが周りを見ても全くそれが見えない。
「ん? なんだこれ」
俺の目の前にステータス以外の文字が出現した。
『はじめまして、ダンジョン主さま』
……俺に話しかけているのか? いや、そもそもこういう文字はステータス以外あり得ないはずだ。それなのになんだこの文字は。
『私はダンジョン作成をサポートするダンジョンのプログラムです。あなたのお名前をお聞かせください』
ダンジョン、作成? それにダンジョンのプログラム? どういうことだ。寝起きだし意味が分からない。あぁ、イライラしてきた。寝たい。
でもここはたぶんダンジョンの中だ。悠長なことをしていられないしこの目の前のプログラムとやらに聞かないといけない。
「……ここはどこなんだ?」
『あなたのお名前をお聞かせください』
「……ここはどこだ?」
『あなたのお名前をお聞かせください』
「……岩倉王間」
全く俺の質問に答えてくれないから渋々名前を答える。
『イワクラオウマさま……登録完了しました。いいお名前ですね』
なんだこいつ。よく考えればどうして会話ができているんだ? 全く意味がわからん。
「名前を答えたんだからここがどこなのか答えてくれ」
『次に私に名前をつけてください。名前を呼べなければ不便だと思います』
「……ここはどこなんだ?」
『私に名前をつけてください』
「……性別はあるのか?」
『いいえ、私に性別は存在していません』
なんだよ、それは答えるのかよ。プログラムの分際でいい性格をしている。
「……じゃあトキで」
『トキ……登録完了しました。いい名前をありがとうございます、気に入りました』
「そうか。なら答えてくれるのか?」
『これで最後の初期登録です。ダンジョン名を決めてください』
「いつになったら答えてくれるんだよ」
『ダンジョン名を決めてください』
ハァ、いつまで俺はここに拘束されるんだよ。でも案外周りにはモンスターの気配はない。もしかしてダンジョンじゃないのか? いやダンジョン名を決めてくださいって言ってた。
安全かどうかも分からないここから一刻も早く出たいんだが動き回って迷子になるのもいけない。
「……サカキダンジョン」
『サカキダンジョン……登録完了しました。とてもよい名付けです』
こいつは毎回こう返してくるな。本当は思っていないんじゃないのか?
「それでここはどこなんだ?」
『はい。ここはサカキダンジョンです』
「ようやく答えてくれた……それで出口はどこなんだ? ここから早く出たいんだが……」
『出入り口はありません。ここはまだダンジョンと呼ぶにはおこがましい、名前しかない場所です』
出入り口がない……だと? おいおい、俺にここで餓死しろと言っているのかこのプログラムは。
……いや待て。『ここはまだ』って書いている。まだということは出入り口ができる時があるということか。
「……出入り口はできるのか?」
『はいオウマさま。このダンジョンはまだ白紙の状態。それを完成させるのはオウマさま次第です』
「……完成させれば出れるということか」
『その通りです』
ふぅ、何だか意味の分からないことに巻き込まれてしまったな。でもまあゲームも昨日でやりきったんだ。暇潰しと思えばいいか。
この相手も人じゃなくてプログラムなんだ。人と関わるわけではないから気が楽か。
「……分かった。どうやって作る」
『ダンジョン作成開始します』
俺の目の前にプログラムを作成するパネルが出現した。
『ただいまからサカキダンジョン一階層の作成を開始します』
「一階層?」
まあダンジョンだから階層があって当然か……?
『ダンジョンを作成する手順をご説明します。階層ごとにあらかじめポイントが設定されています。そのポイントの範囲内でモンスターと採取物を設定してください』
「色々変えれるのか!」
『その通りです』
サカキダンジョン一階層の設定ポイントは100。
何百体とモンスターの名前が出てきて名前の全く知らない鉱物や植物などの名前がずらっと出てきた。
「銀煌石、4000。金漆黒石、6000。数値が高いのはレアってことか」
『その通りです。ただ数値で選ぶのがダンジョン作成ではありません』
「どういうことだ?」
『なにか一つ、モンスターを選んでください』
「なにか……」
大体最初に出てくるモンスターはチンアント、ハイピジン、サイレンウルフ、メタルトータスの四種類だ。でもこの中で一番弱いのはチンアントだ。
「じゃあチンアントを選ぶ」
チンアントのポイントは10だ。でもモンスターにポイントがついているんだな。
てっきりモンスターが増えればポイントも増えていくのかと思った……ん? ポイントが110になった。
『モンスターを選択すればモンスターのポイントがダンジョン作成のポイントに追加されます』
俺が思っていたことと合っていたな。
『ただしモンスターは一種類以上選択していなければいけません。次に選択したチンアントをタッチしてください』
「あぁ」
タッチすれば強さ、出現頻度、出現可能上限の三項目が出てきた。
『この三つの項目は変更できます。強さをあげればチンアント一体ごとに強くなります。出現頻度をあげればダンジョンから出現する速度があがります。出現可能上限をあげれば階層に出現するチンアントの数を増やすことができます』
「ダンジョンのモンスターって無限に出る訳じゃないんだな……」
『たまにこの出現可能上限をバグらせているダンジョンはあります。そしてこの三つの項目をあげればあげるほど使えるポイントが増えていきます』
「それなら一階層でバカみたいに強いモンスターを登場させてポイントを稼いで貴重な鉱物を一階層で出すこともできるのか……」
『できますがそれはおすすめしません』
「どうしてだ?」
やるつもりはないが一応聞いておく。
『ダンジョンは攻略させることを存在意義としています。一階層なら一階層に適した設定でなければポイントが引かれることになります。なので一階層で強力なモンスターを設定したとしてもポイントは大幅に減らされることになるのでおすすめできません』
「ダンジョンの存在意義か……」
どうしてダンジョンが出現するのか全く分かっていないけど少しは分かった気がした。
「他にポイントが追加されることはないのか?」
『あります。ダンジョン階層の広さ、複雑さ、厳しさの三つを設定することもポイントが追加されます』
「なるほど……ん? 待て、ダンジョンは下に行けば行くほど環境が厳しくなると聞いた。厳しくするということはポイントは変わらないのか?」
『そういうわけではありません。ダンジョンの存在意義として下に行けば行くほどそれ相応の階層基準にしなければいけません。ただポイントが変わらず厳しさだけがあがるダンジョンもあります』
「ここはどうなんだ?」
『ご心配なく。このダンジョンは特別性です』
「特別性? どこら辺が?」
『特別性です』
あぁ、答えてくれないってことね。
まあ情報はこれくらいみたいだし決めていくか。
一階層だからチンアントだけでいいか。強さはそのままにして出現頻度と出現可能上限がどれくらいか分からないからそのまま。
広さも大体広いなくらいでいいか。あまり広いと面倒だし。複雑さもそこそこで厳しさはなし。
今のポイントは120。広さで10追加されただけでほぼ変わらないがこれで鉱物を見ていく。
項目の一番上にある鉱物は『魔鉄』。
これはダンジョンでとれる鉱物としてかなり有名な好物だ。鉄の成分に魔力がこもっている鉄よりも上質な鉱物だったはず。この魔鉄が50だった。
この50が一番最低値で次の鉱物は『魔鋼』で70。植物の方を見てみれば最低値が20の『癒草』だから魔鉄と癒草の二種類ができるのか。
『魔鉄だけでよろしいのではないですか?』
魔鉄を選んで癒草を選ぼうとしたところでトキからそんなことを投げかけられた。
「どうしてだ?」
『出現する鉱物も項目があります。タッチしてみてください』
トキの言う通りタッチすれば項目が出現した。量、採取場所、再出現の三つの項目だ。
「これを操作して余ったポイントを振り分ければいいのか」
『その通りです』
三つの項目を操作して見た感じ、一番ポイントを消費するのがやっぱり量だ。その次に採取場所、最後に再出現。
どれを上げれば効率がいいとかは全く分からないから一回に取れる量を増やそう。量に全振りしてすべてのポイントを使い切った。
そして魔鉄が生成される場所を設定した。
「これでいいのか?」
『はい。ですがもう一つだけポイントを増やす方法を伝えておかなければいけません』
「……まだあったのか。なんだ?」
『二階層に降りるための場所にボスを配置しておけばかなりのポイントを追加できます』
「一階層でボスいるか?」
『一階層ですからたかが知れています。やってみてはいかがですか?』
「まあ……」
トキに促されてボスを追加することにした。
ボスの項目もあって強いモンスターからチンアントを巨大にしたキングチンアントというものまでできるみたいだ。
キングチンアントを追加すれば整合性は取れるからそれにすればポイントが100回復していた。ボス自体の数値は何もいじっていないのに。
「……こんなにもらえるのか」
『それで魔鉄の別項目を増やしてもいいかもしれません』
「……そうだな」
言いなりになるのはあれだが一階層で魔鉄以外がとれるのもどうかと思ったから魔鉄の採取場所と再出現にポイントを振り分ける。
あと二ヶ所採取場所を増やすことができるため偏りがないように設置する。
「よし、これで完成だな」
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