闇ノ神の力を受けた勇者は、迫害されてもなお愛されたい。

山椒

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始まりの鐘。

始まりの鐘。

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 濡れていた服を着替えローブを脱いだリアは自身の身体を俺の身体に密着させながらも、少し不機嫌な表情をして俺と街中を歩いていた。

「おい、見えていない位置とは言え、機嫌を直せ」
「フンだ。説明しない男の人なんて知りません・・・いきなり服を脱がすなんてナシでしょ」
「それは仕方がないだろ。長い時間あの中にいれば勘ぐられてしまう。勘ぐられたとしても、行為が長く続いたと言っていれば何も言われない。それにおもらしをして服を濡らしたのはどこの誰だ?」
「そ、それは言わないで! それにおもらししたのは怖かったんだから仕方がないよ・・・ねぇ、この方法で本当に上手くいくの?」

 俺の考えた方法はいたって簡単、リアがその身体を使って俺に取り入ったという設定だ。あの場では、音も光景も遮断されていたから、外からでは中で何が起こっていたか分からない。それに俺と仲睦まじく歩いていたら、こう説明しても納得するだろう。

「上手くいくだろう。あいつらは俺のことを闇ノ神の力を受けている悪魔と認識しているだけでそれ以外は何もわかっていない。俺がこういうことをしても何も疑問には思わない」
「あぁ・・・そうだね。私が『聖光教団』でバトラーさんの話を聞いたとき、何かをしたとかではなく、存在自体が悪とだけ言ってた」
「俺を本当にどうにかしたいのなら、俺を理解するところから始めないといけないだろ。武力では勝てないのだから」

 リアの身体を堪能しながら、俺たちは街中を歩き色々な出店を見て回っていた。まず最初におもらししたリアのために服を買い与えた。それからネックレスやブレスレットなどを見て回った。その道中で甘いものを食べたりと何やかんやでデートをしていた。

「凌辱されると思っていたけど・・・これって、で、デートだよね?」
「あぁ、そうだが? 悪魔とデートするなんて凌辱の極みだろ」
「確かに『聖光教団』の信者にとっては、屈辱だけど・・・」
「そういうことにしていないと、お前は上司に嘘をつけないぞ?」
「うーん、・・・確かにそうかも。て言うか、何だかんだ言って、バトラーさんは優しいよね。襲って来た私にここまでしてくれているんだから」
「人による。俺にずっと敵意むき出しなら、助ける気はないが、お前は操られていた節があるから助けたんだよ。俺の役に立つかもしれないからな」
「そうかな? 私なら敵意を見せられた相手に仲良くできないと思うけど・・・」
「俺の場合、幼い頃から敵意や憎悪を向けられていたから少しのことなら動じない」

 それに≪闇ノ神の情愛≫のおかげで敵味方の区別は的確にできている。それにしても、最近俺は人を疑うことを知らないやつによく会うな。ここいらで、一発極大の憎悪が来そうだ。

「俺のことより、お前自身のことで心配するべきだろう」
「私? 私のことならバトラーさんが考えてくれたおかげでどうにかなりそうだけど」
「そうじゃない、お前のその少し優しくされただけでコロッと言うことを聞いてしまうその性格についてだ。お前、少し人を信用しすぎだ」
「そうかな? ・・・信用する人は選別しているつもりだし、私の目は間違っていないと思う。バトラーさんが良い人というのは」
「顔合わせの時、悪魔と殺意を込めていた相手に言う言葉ではないと思うぞ」

 その時は洗脳されていたと思うから、あまりこいつの人柄について考察する情報にはなりえない。

「そ、その時は混乱していたからだよ! バトラーさん以外にされていたら死にたくなってた」
「そうか? それなら良いんだ」

 俺たちは当てはないが、見せつけるように街中を歩いていると、リアが不意に止まった。何かと思いリアの視線の先を見てみると、アクセサリーが売られている出店であった。

「あそこに行くか」

 リアは嬉しそうに頷き、アクセサリー店の前へと行くと、ここも他と変わらず、俺の顔を見るなり嫌な顔をむき出しにしている。それを気にせずに俺は色とりどりの宝石が付いているネックレスや指輪などのアクセサリーを見る。

「ほしいものがあるのか?」
「え、いや・・・私って、こういう綺麗な装飾品をつけることを『聖光教団』で禁止されていたから、憧れるなぁって思っただけ」

 そう言いながらもアクセサリーから目を離そうとしない。絶対にアクセサリーが欲しいんだろうな。しかし自分からは欲しいと言えない。面倒くさいことこの上ない。欲望を制限してまで、幸せを失ってまで神に仕える意味はどこにあるんだろうか。

「どれが良い? 俺が買おう」
「えッ!? いや良いよ! 『聖光教団』で禁止されているから!」
「分かっているのか? 今のお前は悪魔とデートして屈辱に耐えている『聖光教団』の一員なんだぞ? アクセサリーをつけることも『聖光教団』の教えに背く屈辱なんだ。良いから決めろ、これは命令だ」
「わ、分かった・・・く、くつじょくだぁー」

 俺の言うことに納得して、感情がこもっていない言葉を最後に付け足す。本当にこんなので彼女は上司に俺のことを言えるのだろうか。そもそも、彼女は『聖光教団』に入ること自体、合っていない。

「・・・うーん。どれが良いのかな?」
「自分が一目見て気に入ったもので良いだろう」
「何か、どれも綺麗で素敵だからどこもかしこも目移りしてしまう。・・・あ、バトラーさんが決めてよ」
「俺が? 別に構わないが、気に入らなかったからすぐに言えよ。俺のセンスはあまり良くないからな」
「うん、分かった」

 頼まれたが、正直俺に言われてもどうしようもない。しかし長くなりそうだから俺が決めた方が良いとその瞬間思ってしまった。しかしよく考えたら俺は戦い以外ほぼ何もしていないつまらない人間だ。これを決めるのは至難の業と言える。・・・これは適当、いや適切に選ぶか。

 アクセサリーを一つ一つじっくりと見ていき、どれがリアに合うかを感覚で精査していく。じっくりと見ていく中で、一つのアクセサリーが目に入った。銀色の丸い宝石に鳥の両翼が付いているネックレスであった。特に理由はないが、何となくこれが良いと思った。

「これはどうだ?」
「この鳥の翼が付いているネックレス? ・・・・・・うん、良いと思う」
「そうか。なら、これをくれ」

 じっくりと見た後、そう言ってくれて良かった。俺はネックレスの代金を払い、ネックレスを手に入れる。そのままリアに渡そうとしたが、何故だか照れており何かを言いたげな顔をしながら上目遣いでこちらを見てくる。

「どうした? このネックレスは不服だったか?」
「ううん! そうじゃなくて・・・えっと・・・その・・・バトラーさんがつけてくれない?」
「俺が?」

 リアは頷いて俺に背を向けて、うなじを見せるように髪をかきあげる。俺が断る理由もないからリアの後ろに立ってネックレスをつけてやる。

「できたぞ、これで良いのか?」
「うん! ・・・ありがとう」

 ネックレスを嬉しそうに触ったり見たりしているリアを見ると、こっちまでも嬉しくなる。モモネたちでもそうであったが、こうして人に何かをして喜ばれるということはこみあげてくるものがある。特に他人から悪くないのに憎悪を向けられ続けている俺は、こういう人との暖かい関係に慣れていない節があるから嬉しさは倍増する。・・・ただ、これは一時のことである。かみしめてはいけない、ただ光景として記憶するだけしか許されない。

「あれ? オリヴァー?」

 リアがさっきより強く俺の腕に抱き着いて歩き出そうとした時に、後ろから聞き覚えのある声がかけられた。振り向くと思った通り、モモネの姿があった。別れた時の姿ではなく、きちんと新たに買った付与効果があるローブを着ている。

「買い物はもう終わったのか? それにミユキとカンナは一緒じゃないのか?」
「ミユキとカンナの三人で服とか必需品を買ったけど、ミユキは一人で色々なものを食べに行って、カンナは何か用事があるようだったから別れた。あたしはすることもないし一人でぶらぶらしてた。・・・それよりも、誰?」

 モモネは俺に抱き着いているリアを鋭い眼光で見ながら問いただしてくる。しかし、リアは気にするそぶりもせずに答える。

「私はバトラーさんの愛人。そういうあなたもバトラーさんの愛人なの?」
「あ、愛人!? どういうことだし、オリヴァー!」
「どういうもこういうもない。そのままの意味だ」

 リアに抱き着かれている腕を解放させて、リアを抱き寄せる。俺と愛人であるということを周りに誤認させないといけないため、リアも俺の身体に目いっぱい寄せてくるが、慣れていないからかその顔は真っ赤になっている。そして、それを見たモモネは怒りの血相で身体を震えさせている。

「信じらんない・・・あたしたちがいるのに、愛人? どんだけ女を弄べば気が済むわけ・・・?」
「別に俺とお前らはそういう関係ではないだろう? それとも、男女の仲だと錯覚していたのか? 肉体関係もなく、ただレベル上げを手伝った人間に」
「仲良くなったという自覚はあるし。それこそ、男女の仲になるほどには」
「悪いな。俺はそんな簡単に攻略されない。あいにくと人間関係で嫌と言うほど人間の醜悪な部分を見ているから、そう簡単に人間と仲良くなれないし俺と男女の仲になれるわけがない」

 醜悪な部分を嫌と言うほど見た来たというのは本当だが、俺にはそれを看破するスキルがある。だから良い奴なら簡単に仲良くなれる。そう簡単にいないが、モモネたちはそれに当てはまるな。もちろん隣のリアもだ。

「一か月間、ずっと一緒にいたあたしたちでも信用できないん?」
「そうだな、一か月くらいで俺は信用できない。前提として俺が信用できる人間なんてこの世界にただ一人としていないが」
「じゃあ、あたしたちに親切にしてくれたのはどういうことなの? 信用できない人間にそんなことをしたわけ?」
「ただの気まぐれだ。悪い奴だと分かればすぐに魔物のエサにしていたところだ」

 ちょうど良い機会だ。俺との距離をここら辺で離しておくことも良いかもしれない。どの道、俺にはその道しか残っていないんだ。遅かれ早かれ俺はこれ以上仲良くすることを許されてない。

「そもそも、俺がお前らに仲良くすること自体、よく考えればおかしなことだったんだ。お金はお前らに全部渡して、これからのことをよく自分たちで考えて――」
「ああぁっ!!! うるさいしっ!!」

 俺がモモネたちと離れる理由を言い続けようとしたら、モモネが急に癇癪を起した。そしてリアとは反対側の腕に無理やり抱き着き、足も絡めてがっちりと俺に絡んできた。

「あんたがどんなことを言ってきても関係ないし! あたしはオリヴァーと一緒にいる、ただそれだけ! あんたがどんなに離れたくてもずっと一緒にいてやるんだから! あたしを助けたことを後悔させてやるくらいにつけまわしてやるから! それにそこの女と本当にどんな関係か知らないけど、あたしはそれくらいで引く女じゃないし、どうせオリヴァーと今日くらいに会った、男も知らない女なんじゃないの? 抱き着いたくらいで顔を赤くしているくらいなんだから。それくらいの女よりあたしの方が良いに決まってるし!」

 怒涛の勢いで喋るモモネに少し驚いてしまったが、何故か俺の思惑とは別の方向に行っている。距離を取ろうとしているはずが、逆に距離を詰められてしまった。それに俺とリアの関係を当ててしまうとは、女のカンというやつなのか、これが。

「それくらいの女って言うけど、男に触れても動じない男慣れしている穢れた女よりかは良いと思うけど? そんな男の垢まみれの身体でバトラーさんに触れないで」
「は? 何、喧嘩売ってんの?」
「売ってきたのはあなたでしょ?」

 そして、何故だか俺を間においてモモネとリアが険悪な雰囲気になっている。ついでに二人が俺の身体を自分の方へと引っ張っているから、俺を取り合っている図になっている。正直やめてほしい、物理的に痛いとかそういうことではなく、周りの目を考えてほしい。

「おい、闇落ちの勇者が二股していたことがばれたらしいぞ」
「それに闇の勇者を取り合っている」
「いや、あれは殺しにかかっているのかもしれない」
「あんな可愛い娘たちを二股かけるとかどんだけだよ・・・」
「きっと弱みを握られていたんだわ。闇落ちの勇者に自分から近づく女なんていないんだから・・・かわいそうに」

 ハァ、俺の噂がどんどんと酷くなっているような気がする。俺は別に気にしていないが、これを聞いたアルヌーとか情報屋からのいじりが面倒だ。根の葉もない噂なら適当にあしらえるが、根がある噂は質が悪い。もっとも葉の方は俺の知らぬものへとなっているが。とりあえず、二人を大人しくさせるか。



 日が傾き始め、待ち合わせ場所であるクエスト受付ギルドへと歩いていた、俺に密着して離れようとしない二人を連れて。正直歩きにくいが、二人の身体つきに免じて文句を言わずに歩いている。この二人は意地を張っているのだろう、女としての。リアは俺に密着して上司を勘違いさせないといけなく、モモネは俺という便利な道具を手放したくないのだろう。間違えても俺に好意を抱いているなんて言わない。

「あ、オリヴァーさ~ん!」

 道中で灰色を基調にしている新たな鎧を装備して、盾と剣を背負っているミユキが食べ物を腕いっぱいに抱えながらこちらに走ってきた。モモネから買い食いしているとは聞いたが、あれからずっと買い食いをしていたのか?

「ミユキ、あんたまだ食べてたの?」
「え・・・う、ううん。こ、これから食べるところだよ~」

 モモネが鋭い眼光でそう問いただすように言うと、ミユキはあからさまに様子をおかしくしながら答えた。それに対して鋭い眼光をより強めて無言の圧をミユキにかける。

「うっ・・・ず、ずっと食べてました」
「あんた、太るよ?」
「だ、だって~! 久しぶりにおいしいものを食べるから止まらなくて~!」

 そう言いながらミユキは腕の食べ物を器用に口に運んでいる。言われてもなお食べ続けるとは結構な重症だ。一か月間の過酷な生活に、元の平和な世界で生きていたミユキには厳しかったか。しかし、モモネとカンナはそうでもないから、ミユキだけ甘えているのかもしれない。いや、普通にモモネとカンナの適応速度が速いだけだ。

「モフモフ・・・ッグ。で、そちらの女性は誰ですか?」

 抱えられていた食べ物をすぐさま食べたミユキは、先ほどのモモネの対応とは違い普通の対応でリアのことを尋ねてきた。そもそもモモネの対応が異常過ぎたんだ。

「私? 私はバトラーさんの愛人のリアだよ」
「へぇー、そうなんですね。じゃあオリヴァーさんの愛人は二人目ってことですか。あ、私はミユキって言います」
「よく分からないけど、愛人! なの」
「やっぱりオリヴァーさんはモテるんですね~。でも一番目はカンナで、二番目がモモネですから気を付けてくださいね」
「う、うん? ・・・うん、私はバトラーさんの愛人なら何番目とかは気にしないから大丈夫」

 ・・・・・・ん? 何か普通に会話をしてそのまま進めようとしたが、何でリアの愛人発言にミユキは突っ込まずに話を進めているんだよ。

「おい、一番目がカンナで二番目がモモネとかどういうことだ? 俺はそんなもの了承した覚えはないんだが?」
「またまた~、そんなに隠すことじゃないじゃないですか」
「いや、大真面目なんだが・・・」
「・・・えぇ!? そ、そうなんですか!? 私はてっきりもうカンナとモモネとできているのかと思っていました・・・」
「どこからその話の根拠が出ているんだ?」
「え、前にオリヴァーさんが言っていたじゃないですか。私が恋人とかいるのかって聞いたら今はいないって言っていましたよ」
「・・・あぁ、確かにそんなことを言ったが、その話のどこから愛人の話になるんだ?」
「それこそ、またまた~ですよ。私は見ていたんですよ。カンナと夜に寄り添っていたり、モモネと抱き合っていたのも見たんですから~」

 ・・・そう言えばそんなことをしたが、それで愛人認定をされてはカンナとモモネに迷惑だろう。嫌ってはいないにしろ、好きという感情には決してならないはずだ。

「それは誤解だ。モモネとカンナが人肌寂しくしていただけだからそうしていただけで、愛人の事実は一切ない。俺と二人は信頼関係があっても恋愛感情はないと断言できる」
「えぇ? そうですか? 恋愛感情がない人に人肌寂しいからと寄り添ってくるとは思えませんけど」
「そこはどうでも良いだろう。それよりもそろそろで集合場所に行くぞ」

 俺は無理やり話を打ち切って歩き始める。あまりそういう正の感情についての話は得意ではないから早めに打ち切りたかった。俺に恋愛感情など天地がひっくり返った時にしかありえない。



 俺たちは冒険者ギルドの前へとたどり着き、揃っていないカンナを待っていた。あと少しで夕刻を知らせる鐘が鳴る頃。俺を除いた三人は自己紹介を普通にした後、何気に仲良くなっている。リアは自分が俺を狙っている敵の監視役ということを完全に忘れている。まぁ、そこは別に構わない。敵により近づいて警戒心を解いたとでも言っていれば何も言われないだろう。

 今後の俺の行動について暮れている空を見ながら適当に考えていると、こちらに少しだけ殺意を向けている奴がいるのに気が付き、すぐに戦闘態勢に入ってそちらを見る。

「あ」
「なんだ、カンナか。あまり殺気を向けてこちらに来るな。俺はそういう視線には敏感なんでな」
「あ、うん。ごめんなさい」

 速度重視ではあるが、大事なところを守っている防具を装備している暗い顔のカンナがそこにいた。カンナと分かったから戦闘態勢を解いた。カンナが何故俺に対して殺気を放っているのかは謎だが、さっきもモモネがリアの件で殺気を放っていた。それと同じだろうと思い、戦闘態勢を完全に解く。

「さて、時間は少し早いが、俺の家へと行くか」
「オリヴァー、家持ってたん?」
「あぁ、持ってる。この国で泊まろうと思えば、門前払いか値を跳ね上げられるからな。それなら気分を害さずに泊まれる家を買った方が良いと思ったんだ」
「へぇ、オリヴァーってここの国の人間じゃないんだ」
「まぁな。それよりも行くぞ」

 俺が先導して国の端にある俺の家へと行こうとした。しかし、俺への明確な殺気が俺のすぐ後ろから発せられ、すぐに戦闘態勢へと入ろうとしたが、間に合わず、俺の背中から体内へと異物が入ってくる感覚を鮮明に感じ、異物は俺の腹から突き抜けた。腹から突き出ているのは付与効果が付いてあるように見える剣であった。

 振り返ると、俺の背後で剣を俺に突き刺しているカンナの姿があった。カンナは刺したにも関わらずひどく動揺しているように見える。・・・しかし、まさかここで裏切られて後ろから刺されるとは。だが、どうやらカンナにも事情があるようだ。

「・・・ごめん、なさい」

 カンナのそのか弱い言葉をかき消すかのように、夕刻を知らせる鐘が鳴り響いた。
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