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全能の爆誕
017:シルヴィー姉さんとカメラ。
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ルーシー姉さんの要望に答えてよく映るように調整してとられたことで、ルーシー姉さんはかなり満足しているみたいだった。
アイドルのような感じがしたけれど、まあアイドルがどういうものかは全く知らないし前世でも全く興味がなかった。
この世界でアイドルになりたいって思うのは目立ちたいとかそういうことを思っていないとやらないよな。
最初にそういう人がいないと、なりたいは生まれない。そういう最初は俺がしないといけないのか……。
いや、役者はいるわけだから、みんなを楽しませたいという気持ちを持っている人はいるはずだ。たぶん。それを探し出すのも将来的にはしておきたいな。
そんなくだらないことを考えながら、俺は自身のスマホで内カメラにして動画を撮る。
「シルヴィーお姉ちゃん! 新しい機能ができたよ! 時間があれば僕の部屋に来てね!」
「お姉ちゃん! これすごいわよ!」
すぐに俺の隣に来て映り込んでくるルーシー姉さん。
そこで撮影を止めてシルヴィー姉さんにメールで動画を添付して送信した。
「これ、動画を送れるの?」
「そうだよ。写真も動画も送れるよ」
「すごいわね……」
これはただのメール機能だから、メッセージアプリを作ればより簡単になるしそちらの方が便利だと俺は思っている。
そっちの方が前世では使われていたのは事実だし、仲がいい同士で使う以外には使わないわけだからな。
シルヴィー姉さんに送信してルーシー姉さんが撮影した動画をルーシー姉さんが嬉しそうに俺に見せているとこちらに来る足音が聞こえてきた。
これは間違いなくシルヴィー姉さんの足音だ。
おそらくメールに添付されている動画を見て急いで来ているのだろう。
扉の前で足音が消えたと思ったら、扉を開ける姿すら見せずにいつのまにか部屋に入ってきていた。
「……えっ?」
その動作にルーシー姉さんは驚いている。
この動作はシルヴィー姉さんが俺の部屋にこっそりと入ることを繰り返していく内に扉を開ける動作が見えないくらいに早くなっている光景だ。
俺もいつ見てもすごいなと思った。もうすり抜けているのと同じじゃん。
「……これ……見た。どういうこと?」
俺に話しかけようとしたが無理だと判断してルーシー姉さんに話しかけるシルヴィー姉さん。
「お姉ちゃん。アーサーにまだ話しかけられないの?」
「そんなことはない。余裕」
ほぉ、そんなことを言うのなら試してみようではないか。
「シルヴィーお姉ちゃん。これはスマホの新しい機能のカメラだよ!」
俺がシルヴィー姉さんの目の前で上目遣いで説明した。
シルヴィー姉さんと一瞬だけ目が合ったが、速攻で目を外して動かなくなった。
「シルヴィーお姉ちゃん?」
「……む……り……」
「お姉ちゃん!?」
無理だと言い残してシルヴィー姉さんは倒れそうになったが、それを受け止めた。
「アーサー、これ悪化しているんじゃない?」
「そうかも……」
「改善しようとしているのに悪化するって、どういうことなのよ」
「僕にも分かんない」
気を失ったシルヴィー姉さんを俺のベッドの上に寝かせて一分ぐらいで目を覚ました。
ルーシー姉さんに自撮りを教えようと思っていたが、すぐにシルヴィー姉さんが起きたことで後回しになった。
「ここは……天国? アーサーの匂いがする」
「僕のベッドだから僕のにおいがすると思うよ」
「ッ!?」
俺がベッドのそばに立っていることに対してか、俺のベッドに横たわっていることに対してかは分からないがすぐにベッドから降りたシルヴィー姉さん。
「ふぅ……」
「お姉ちゃんもアーサーの匂い好きよね?」
「……そんなことはない」
「いや天国って言ってたわよ」
「気のせい」
決して認めようとしないシルヴィー姉さんに俺の服のにおいを嗅いでいることを知っていると教えてあげたらどんな反応をするのだろうか。
一生引きこもる可能性が少しあるからしないけどね。
「カメラの使い方を教えるね! それからシルヴィーお姉ちゃんのスマホも機能を追加するね」
「……ん」
シルヴィー姉さんに近づいてカメラの説明をしようと思ったが、シルヴィー姉さんは全く俺を近づけさせてはくれなかった。
もしかしたら……そういう遊びなのかもしれないな。説明したけりゃ捕まえてみなぁ、ってな感じで。
まあそんなことはないよな。そんなことをしたら収拾がつかなくなるかもしれないからやめておく。
「……ルーシーお姉ちゃん。僕の代わりにお願いできる?」
「そうなると思ってた。私のスマホで説明しておくから、アーサーはお姉ちゃんのスマホに機能を追加してて」
シルヴィー姉さんがスマホを取り出すとルーシー姉さんに渡して、それを俺に渡すという意味分からない光景が生まれた。
この部分だけを見られたら、シルヴィー姉さんが俺のことを嫌っているかのように思えるだろうなぁ……。
ルーシー姉さんがシルヴィー姉さんにカメラの使い方を教えている間に、俺はシルヴィー姉さんのスマホのカメラ機能を解放した。
ルーシー姉さんと話している時はシルヴィー姉さんは普通なのにな。これは俺の全能でどうにかした方がいい案件ですか?
いやさすがに人のあれこれを変えるのは気が引けるし、それはやっちゃいけない一線だ。
それをやるのはクソみたいな人間だけだ。
時間をかけて、シルヴィー姉さんの歩幅で治していけばいいだけの話だ。
「なるほど……これもとても便利で危険な機能」
「なんで?」
「電話は情報を遠くに送ることができる。それだけでも危険だけど、これはその情報を正確に送ることができる。情報の送ることには変わりないけど、情報の的確さが桁違い」
「へぇ……そうなのね」
シルヴィー姉さんはスマホの重要性、というか情報化社会ではないこの時代においてこの通信手段が危険だということを理解している。
それに比べてルーシー姉さんはあまり危機感を持っていないようだ。七歳にそれを期待するのは無理か。
いや七歳だからと言ってこれを理解せずにいるのは……まあ大丈夫か。俺の言ったことは守ってくれているわけだから問題ない。
「これで使い方は分かったわね」
「分かった。ありがとう」
「このカメラでは私が先輩よ! ほら! これさっき撮った写真よ!」
ルーシー姉さんはさっき撮った写真をシルヴィー姉さんに見せびらかしている。
「む……私もとる」
「誰を?」
「アーサーを」
お、そんなことができるのか見ものだが、本人がやるのなら俺は何も言わない。
「はい、シルヴィーお姉ちゃん! ちゃんと機能を追加しておいたよ!」
「……ん」
何とか物は受け取ってくれたシルヴィー姉さん。
「僕の写真、とるんだよね?」
「……ん」
「かっこつけているから好きな時にとってね!」
シルヴィー姉さんがどんな写真を撮りたいかなんて言わないと思うからこういう形式をとった。
「あっ! それなら私もとるわ!」
「ご自由にどうぞー」
ルーシー姉さんも乗ってきたから気合を入れて色々なポーズをとる。
何だかこれをしているとモデルとかが写真撮影の時に色々なポーズをとっている光景が思い浮かぶが、そんな感じですることにする。
俺がポーズをとる度にシルヴィー姉さんとルーシー姉さんからシャッター音が鳴り響いている。
もう連射をしているのかと思うくらいにシャッター音が聞こえる、シルヴィー姉さんの方から。
「要望があれば動画もするね!」
「こっちに大好きをして!」
「はい行くよー! ……大好き!」
「私も好きだわ!」
こんなルーシー姉さんを見ていると熱烈なファンを想像してしまうが、ルーシー姉さんは絶世の美女だからプラスにしか見えない。
この動画発言はシルヴィー姉さんが何か言い出すきっかけを作ろうと思ってのことだ。
「……こ……こっ……ち」
「シルヴィーお姉ちゃんも? はい行くよー! ……大好きだよシルヴィーお姉ちゃん!」
「……ん」
全能じゃなければ聞き逃しそうな音量だったが、少しは進歩しているのかもしれない。
主にルーシー姉さんがはしゃぎ、シルヴィー姉さんがシャッター音を響かせたことで撮影会は終わった。
「ねぇアーサー。こういうことを定期的にしない?」
「どうして?」
「アーサーの成長記録をつけたいからよ」
それはどの目線から言っているんだ? あなたは七歳のお姉ちゃんですよね?
アイドルのような感じがしたけれど、まあアイドルがどういうものかは全く知らないし前世でも全く興味がなかった。
この世界でアイドルになりたいって思うのは目立ちたいとかそういうことを思っていないとやらないよな。
最初にそういう人がいないと、なりたいは生まれない。そういう最初は俺がしないといけないのか……。
いや、役者はいるわけだから、みんなを楽しませたいという気持ちを持っている人はいるはずだ。たぶん。それを探し出すのも将来的にはしておきたいな。
そんなくだらないことを考えながら、俺は自身のスマホで内カメラにして動画を撮る。
「シルヴィーお姉ちゃん! 新しい機能ができたよ! 時間があれば僕の部屋に来てね!」
「お姉ちゃん! これすごいわよ!」
すぐに俺の隣に来て映り込んでくるルーシー姉さん。
そこで撮影を止めてシルヴィー姉さんにメールで動画を添付して送信した。
「これ、動画を送れるの?」
「そうだよ。写真も動画も送れるよ」
「すごいわね……」
これはただのメール機能だから、メッセージアプリを作ればより簡単になるしそちらの方が便利だと俺は思っている。
そっちの方が前世では使われていたのは事実だし、仲がいい同士で使う以外には使わないわけだからな。
シルヴィー姉さんに送信してルーシー姉さんが撮影した動画をルーシー姉さんが嬉しそうに俺に見せているとこちらに来る足音が聞こえてきた。
これは間違いなくシルヴィー姉さんの足音だ。
おそらくメールに添付されている動画を見て急いで来ているのだろう。
扉の前で足音が消えたと思ったら、扉を開ける姿すら見せずにいつのまにか部屋に入ってきていた。
「……えっ?」
その動作にルーシー姉さんは驚いている。
この動作はシルヴィー姉さんが俺の部屋にこっそりと入ることを繰り返していく内に扉を開ける動作が見えないくらいに早くなっている光景だ。
俺もいつ見てもすごいなと思った。もうすり抜けているのと同じじゃん。
「……これ……見た。どういうこと?」
俺に話しかけようとしたが無理だと判断してルーシー姉さんに話しかけるシルヴィー姉さん。
「お姉ちゃん。アーサーにまだ話しかけられないの?」
「そんなことはない。余裕」
ほぉ、そんなことを言うのなら試してみようではないか。
「シルヴィーお姉ちゃん。これはスマホの新しい機能のカメラだよ!」
俺がシルヴィー姉さんの目の前で上目遣いで説明した。
シルヴィー姉さんと一瞬だけ目が合ったが、速攻で目を外して動かなくなった。
「シルヴィーお姉ちゃん?」
「……む……り……」
「お姉ちゃん!?」
無理だと言い残してシルヴィー姉さんは倒れそうになったが、それを受け止めた。
「アーサー、これ悪化しているんじゃない?」
「そうかも……」
「改善しようとしているのに悪化するって、どういうことなのよ」
「僕にも分かんない」
気を失ったシルヴィー姉さんを俺のベッドの上に寝かせて一分ぐらいで目を覚ました。
ルーシー姉さんに自撮りを教えようと思っていたが、すぐにシルヴィー姉さんが起きたことで後回しになった。
「ここは……天国? アーサーの匂いがする」
「僕のベッドだから僕のにおいがすると思うよ」
「ッ!?」
俺がベッドのそばに立っていることに対してか、俺のベッドに横たわっていることに対してかは分からないがすぐにベッドから降りたシルヴィー姉さん。
「ふぅ……」
「お姉ちゃんもアーサーの匂い好きよね?」
「……そんなことはない」
「いや天国って言ってたわよ」
「気のせい」
決して認めようとしないシルヴィー姉さんに俺の服のにおいを嗅いでいることを知っていると教えてあげたらどんな反応をするのだろうか。
一生引きこもる可能性が少しあるからしないけどね。
「カメラの使い方を教えるね! それからシルヴィーお姉ちゃんのスマホも機能を追加するね」
「……ん」
シルヴィー姉さんに近づいてカメラの説明をしようと思ったが、シルヴィー姉さんは全く俺を近づけさせてはくれなかった。
もしかしたら……そういう遊びなのかもしれないな。説明したけりゃ捕まえてみなぁ、ってな感じで。
まあそんなことはないよな。そんなことをしたら収拾がつかなくなるかもしれないからやめておく。
「……ルーシーお姉ちゃん。僕の代わりにお願いできる?」
「そうなると思ってた。私のスマホで説明しておくから、アーサーはお姉ちゃんのスマホに機能を追加してて」
シルヴィー姉さんがスマホを取り出すとルーシー姉さんに渡して、それを俺に渡すという意味分からない光景が生まれた。
この部分だけを見られたら、シルヴィー姉さんが俺のことを嫌っているかのように思えるだろうなぁ……。
ルーシー姉さんがシルヴィー姉さんにカメラの使い方を教えている間に、俺はシルヴィー姉さんのスマホのカメラ機能を解放した。
ルーシー姉さんと話している時はシルヴィー姉さんは普通なのにな。これは俺の全能でどうにかした方がいい案件ですか?
いやさすがに人のあれこれを変えるのは気が引けるし、それはやっちゃいけない一線だ。
それをやるのはクソみたいな人間だけだ。
時間をかけて、シルヴィー姉さんの歩幅で治していけばいいだけの話だ。
「なるほど……これもとても便利で危険な機能」
「なんで?」
「電話は情報を遠くに送ることができる。それだけでも危険だけど、これはその情報を正確に送ることができる。情報の送ることには変わりないけど、情報の的確さが桁違い」
「へぇ……そうなのね」
シルヴィー姉さんはスマホの重要性、というか情報化社会ではないこの時代においてこの通信手段が危険だということを理解している。
それに比べてルーシー姉さんはあまり危機感を持っていないようだ。七歳にそれを期待するのは無理か。
いや七歳だからと言ってこれを理解せずにいるのは……まあ大丈夫か。俺の言ったことは守ってくれているわけだから問題ない。
「これで使い方は分かったわね」
「分かった。ありがとう」
「このカメラでは私が先輩よ! ほら! これさっき撮った写真よ!」
ルーシー姉さんはさっき撮った写真をシルヴィー姉さんに見せびらかしている。
「む……私もとる」
「誰を?」
「アーサーを」
お、そんなことができるのか見ものだが、本人がやるのなら俺は何も言わない。
「はい、シルヴィーお姉ちゃん! ちゃんと機能を追加しておいたよ!」
「……ん」
何とか物は受け取ってくれたシルヴィー姉さん。
「僕の写真、とるんだよね?」
「……ん」
「かっこつけているから好きな時にとってね!」
シルヴィー姉さんがどんな写真を撮りたいかなんて言わないと思うからこういう形式をとった。
「あっ! それなら私もとるわ!」
「ご自由にどうぞー」
ルーシー姉さんも乗ってきたから気合を入れて色々なポーズをとる。
何だかこれをしているとモデルとかが写真撮影の時に色々なポーズをとっている光景が思い浮かぶが、そんな感じですることにする。
俺がポーズをとる度にシルヴィー姉さんとルーシー姉さんからシャッター音が鳴り響いている。
もう連射をしているのかと思うくらいにシャッター音が聞こえる、シルヴィー姉さんの方から。
「要望があれば動画もするね!」
「こっちに大好きをして!」
「はい行くよー! ……大好き!」
「私も好きだわ!」
こんなルーシー姉さんを見ていると熱烈なファンを想像してしまうが、ルーシー姉さんは絶世の美女だからプラスにしか見えない。
この動画発言はシルヴィー姉さんが何か言い出すきっかけを作ろうと思ってのことだ。
「……こ……こっ……ち」
「シルヴィーお姉ちゃんも? はい行くよー! ……大好きだよシルヴィーお姉ちゃん!」
「……ん」
全能じゃなければ聞き逃しそうな音量だったが、少しは進歩しているのかもしれない。
主にルーシー姉さんがはしゃぎ、シルヴィー姉さんがシャッター音を響かせたことで撮影会は終わった。
「ねぇアーサー。こういうことを定期的にしない?」
「どうして?」
「アーサーの成長記録をつけたいからよ」
それはどの目線から言っているんだ? あなたは七歳のお姉ちゃんですよね?
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