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第二ミッション
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「へー、そんなに使役している神獣たちがいるんですねー」
「そうですね」
神蛇の頭に乗りプネウマ王国に向かう道中、俺に積極的に話しかけてくる女性がいた。
長い茶髪を後ろに束ねた大人しそうな女性、エイミーさんだ。この人は俺が腫れていた足を治して全身を治した女性だ。
「晴明様の故郷はどちらですか?」
エイミーさんはかなり積極的に俺のことを聞いてくる。それに様付けは初めてだから少しだけむずがゆさを感じてしまう。
「故郷は言えません」
「ご、ごめんなさい! 気分を害してしまったでしょうか……?」
俺は普通に答えたつもりだったがなぜかひどく怯えた感じで俺の顔を窺ってくるエイミーさん。
「そんなことで気分を害さないですし怒らないですよ。ただ本当に言えないだけです。俺の故郷はそういうところですから」
この世界での天日晴明の情報を深掘りしていけば俺の故郷はある力を恐れられ滅ぼされた。だからその出自を知られてしまえばどこから狙われるか分からないくらいにヤバい。
「ほ、本当ですか……?」
「本当ですよ。だから気にしないでください。それよりも今度はエイミーさんのことも教えてほしいです」
「は、はい! 記憶の限りお伝えします!」
記憶の限りが物心ついた頃からだとは思わず長編映画が始まるかと覚悟した時、アナスタシアさんが声をかけてきた。
「話はそれくらいにしなさい。これからやることを言うわ」
ただここから入るだけじゃないのか。
「まず、私とあなたで知られずに王国の中に入る必要があるわ」
「どうしてですか?」
公爵家ならそのまま入ればいいだろうにって聞くのは野暮か。これを言うには間違いなく何かあって、俺はそれに突っ込んでいる。
「本当に何も知らないのね。いいわ、無知で可哀想なあなたに教えてあげる」
「どうぞこの無知な私目にお教えください」
さてさて、どんな事情に突っ込んでいるんだか。
「プネウマ王国の国事情は分かっている?」
「いやなにも。この国に着て一日も経っていないですから何も分かっていないです」
「それならこの私が簡単に説明するわ。プネウマ王国の魔法のレベルが他の国よりも高く、魔法の技術は世界最大と言われていることは分かるわよね?」
「それはもちろん」
「そうなっているのはプネウマ王国の魔法使いたちが魔法に対してかなりの興味を持って、なおかつ魔法の素質が高いということが主な要因ね」
「当然の帰結ですね。人は興味があることにしかモチベーションが上がりませんからね」
「ただプネウマ王国の魔法使いはその度を遥かに超えていた。プネウマ王国は遥か昔、一度滅びかけているのよ。興味が故に愚かな魔法使いが魔神を召喚したがためにね」
魔神! そうか、プネウマ王国は一度魔神が召喚されているのか。
「魔神ですか」
「そうよ。あなたも名前だけは知っているでしょう? この世界に存在してはならない外界の存在であり、人間が太刀打ちできないほどに強い上位の存在」
この体はよく知っているとも。この体はそういう死すらもない存在に死を与える役割を持った一族だったのだから。
「名前だけは知っていますね。でも魔神が召喚されたのに滅びかけただけで終わったんですね」
「その時は幸運にも召喚が不十分だったから助かったのよ。そのことがあってプネウマ王国は魔法の発展を監視することを決めた。それがマギア機関よ」
マギア機関! こんなにも早くクリアの条件が目の前に来るとは思っていなかった!
でももう少しだけ手ごたえがないと面白みに欠けるなぁと思ってしまう。
「マギア機関?」
とりあえず聞いたことがないような反応をする。
「マギア機関はさっきも言った通り悪いことに魔法が使われないようにするために監視する機関よ。スィオピ家はマギア機関を国家とは別に管理することを言い渡されていたわ」
「今は違うんですか」
「魔神が召喚されてからかなりの時が経った今、魔法は管理されるものではなく自由にあるべきものだという主張が大多数を占めているのよ。だからマギア機関は解体、そしてこれまで魔法の自由を束縛されていたとしてスィオピ家はかなりの財を魔法の貢献のために徴収されたわ」
「えっ、バカしかいないじゃん」
「そうよ、バカしかいないのよ」
現在が過去より魔法が優れていたとしても、魔法の失敗はなくならない。それを分からない時点でバカとしか言いようがない。
「スィオピ家は嫌われているわけですね」
「別に私は有象無象に嫌われても気にしないわ。ただ度が過ぎればやり返す。でもスィオピ家が何かをすればあることないことを脚色されて罰せられるのよ」
「そういうことですか。だからバレずに中に入りたいわけですね」
「そうよ、分かったかしら?」
「十分すぎるほどに。それで俺は何をすればいいんですか?」
「私と晴明でスィオピ家に向かうわ。そこでお父様とお母様と妹、それから数人の使用人を連れ出すわ」
「連れ出す……王国から出るんですか」
「えぇ。もう王国に安全なところはないわ。スィオピ家が所有する少し離れた土地に向かうつもりよ」
「安全? 誰かに狙われているんですか?」
「――狙われているわ、魔神の復活を企んでいるやつらにね」
そんなのがいるのかー。あー、公爵家のお嬢様が助けも来ずあんなところにいたのはそういうことかー。
「そうですね」
神蛇の頭に乗りプネウマ王国に向かう道中、俺に積極的に話しかけてくる女性がいた。
長い茶髪を後ろに束ねた大人しそうな女性、エイミーさんだ。この人は俺が腫れていた足を治して全身を治した女性だ。
「晴明様の故郷はどちらですか?」
エイミーさんはかなり積極的に俺のことを聞いてくる。それに様付けは初めてだから少しだけむずがゆさを感じてしまう。
「故郷は言えません」
「ご、ごめんなさい! 気分を害してしまったでしょうか……?」
俺は普通に答えたつもりだったがなぜかひどく怯えた感じで俺の顔を窺ってくるエイミーさん。
「そんなことで気分を害さないですし怒らないですよ。ただ本当に言えないだけです。俺の故郷はそういうところですから」
この世界での天日晴明の情報を深掘りしていけば俺の故郷はある力を恐れられ滅ぼされた。だからその出自を知られてしまえばどこから狙われるか分からないくらいにヤバい。
「ほ、本当ですか……?」
「本当ですよ。だから気にしないでください。それよりも今度はエイミーさんのことも教えてほしいです」
「は、はい! 記憶の限りお伝えします!」
記憶の限りが物心ついた頃からだとは思わず長編映画が始まるかと覚悟した時、アナスタシアさんが声をかけてきた。
「話はそれくらいにしなさい。これからやることを言うわ」
ただここから入るだけじゃないのか。
「まず、私とあなたで知られずに王国の中に入る必要があるわ」
「どうしてですか?」
公爵家ならそのまま入ればいいだろうにって聞くのは野暮か。これを言うには間違いなく何かあって、俺はそれに突っ込んでいる。
「本当に何も知らないのね。いいわ、無知で可哀想なあなたに教えてあげる」
「どうぞこの無知な私目にお教えください」
さてさて、どんな事情に突っ込んでいるんだか。
「プネウマ王国の国事情は分かっている?」
「いやなにも。この国に着て一日も経っていないですから何も分かっていないです」
「それならこの私が簡単に説明するわ。プネウマ王国の魔法のレベルが他の国よりも高く、魔法の技術は世界最大と言われていることは分かるわよね?」
「それはもちろん」
「そうなっているのはプネウマ王国の魔法使いたちが魔法に対してかなりの興味を持って、なおかつ魔法の素質が高いということが主な要因ね」
「当然の帰結ですね。人は興味があることにしかモチベーションが上がりませんからね」
「ただプネウマ王国の魔法使いはその度を遥かに超えていた。プネウマ王国は遥か昔、一度滅びかけているのよ。興味が故に愚かな魔法使いが魔神を召喚したがためにね」
魔神! そうか、プネウマ王国は一度魔神が召喚されているのか。
「魔神ですか」
「そうよ。あなたも名前だけは知っているでしょう? この世界に存在してはならない外界の存在であり、人間が太刀打ちできないほどに強い上位の存在」
この体はよく知っているとも。この体はそういう死すらもない存在に死を与える役割を持った一族だったのだから。
「名前だけは知っていますね。でも魔神が召喚されたのに滅びかけただけで終わったんですね」
「その時は幸運にも召喚が不十分だったから助かったのよ。そのことがあってプネウマ王国は魔法の発展を監視することを決めた。それがマギア機関よ」
マギア機関! こんなにも早くクリアの条件が目の前に来るとは思っていなかった!
でももう少しだけ手ごたえがないと面白みに欠けるなぁと思ってしまう。
「マギア機関?」
とりあえず聞いたことがないような反応をする。
「マギア機関はさっきも言った通り悪いことに魔法が使われないようにするために監視する機関よ。スィオピ家はマギア機関を国家とは別に管理することを言い渡されていたわ」
「今は違うんですか」
「魔神が召喚されてからかなりの時が経った今、魔法は管理されるものではなく自由にあるべきものだという主張が大多数を占めているのよ。だからマギア機関は解体、そしてこれまで魔法の自由を束縛されていたとしてスィオピ家はかなりの財を魔法の貢献のために徴収されたわ」
「えっ、バカしかいないじゃん」
「そうよ、バカしかいないのよ」
現在が過去より魔法が優れていたとしても、魔法の失敗はなくならない。それを分からない時点でバカとしか言いようがない。
「スィオピ家は嫌われているわけですね」
「別に私は有象無象に嫌われても気にしないわ。ただ度が過ぎればやり返す。でもスィオピ家が何かをすればあることないことを脚色されて罰せられるのよ」
「そういうことですか。だからバレずに中に入りたいわけですね」
「そうよ、分かったかしら?」
「十分すぎるほどに。それで俺は何をすればいいんですか?」
「私と晴明でスィオピ家に向かうわ。そこでお父様とお母様と妹、それから数人の使用人を連れ出すわ」
「連れ出す……王国から出るんですか」
「えぇ。もう王国に安全なところはないわ。スィオピ家が所有する少し離れた土地に向かうつもりよ」
「安全? 誰かに狙われているんですか?」
「――狙われているわ、魔神の復活を企んでいるやつらにね」
そんなのがいるのかー。あー、公爵家のお嬢様が助けも来ずあんなところにいたのはそういうことかー。
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