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12:クラフト
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失敗を恐れずにベッドを作った結果、できた。
「できたか」
とにかく下を柔らかくして寝やすいようにしたが、まあ俺はプロではないからあまりいい出来ではない。
ベッドというよりは寝床というべきか。精一杯あれこれ想像力を爆発させた。
それでも想像以上のものができたから満足できた。
『新しいスキルが解放されました』
『<クラフト>が解放されました』
「まじか……」
えっ、こんなことで解放されるのか? 今までこんなに早くスキルが手に入ったことはない。
他の人から見れば失敗かもしれないと思うような寝床でスキルが解放されてしまった。
……やったことに意味があるのか? いや、もう考えるのはやめよう。スキルを解放されたのだから喜べばいい話だ。
「不細工だができたぞ」
「そんなことはありません。見事なものです」
「ありがとう。ここにアストリッドを寝かせよう」
「はい」
女王のカストルに運ばせるのはあれだから俺がアストリッドをお姫様抱っこして寝床に寝かせた。
一応大きなものにしたから二人なら余裕で寝れる。
「ユーキ様、よろしいですか?」
「どうした?」
「外に行きませんか?」
「あぁ、いいよ」
カストルのお誘いに応じて一緒に外に出る。
お城の中庭に出れば綺麗に咲いていたであろう花が踏み潰されたり燃えたりして見る影もない。
「このディディミはジェミニ様を信仰しているため、その在り方もジェミニ様と同じようにしています」
そんな中庭で歩きながら話し始めるカストル。
俺は黙ってついていきながら話を聞く。
「例えばディディミの王は二人います。カストルの名を継ぐものとポルックスの名を継ぐもの。その双王がそれぞれ別の役割を担っていました」
「二人が吉兆の証ということか」
「はい。ジェミニ様を信仰しているものはそれが当たり前のようにしていました。ですが、それをよく思っていないものたちがいました」
昔からあるものは今生きていれば窮屈なことはよくある話だ。
「ポルックスの名を継ぐポルックス四十七世がその筆頭でした」
「……もしかして、この国で起こったことと関係しているか?」
「はい、お察しの通りです」
そういえば国が崩壊した原因の一つにアストリッドが薄情者がいたと言っていた。まさかそいつか?
「ポルックス、我が夫は闇の者に対抗するために必要なジェミニの勇者様の召喚に反対していました。ジェミニ様から召喚される勇者様を信用できなかったのでしょう。ですが勇者様を召喚しないのは論外だということは各国の反応から分かり切っていることでした。なので私が主体となり、ジェミニ様の召喚魔法に必要なもう一人をポルックスではなく娘のアスタに任せました」
どうしてジェミニの勇者を召喚するのに二人必要なんだ?
本来であれば召喚魔法で主体となる者は一人で十分なはず。それなのに二人必要なのはジェミニが二柱だからか? そういう縛りを入れている可能性は否めないけど。
「当初、ポルックスはディディミを守るのに勇者は必要ないというスタンスで闇の者と戦っていました。ですが、闇の侵攻は想像以上に激しく、一回目は撃退できたものの被害は甚大でした」
その間にも俺の召喚は進められていたと。
「二回目の闇の侵攻が来る前、ポルックスは反ジェミニ様を掲げました。そうすることで同じ者を集め、このディディミから離れました」
「……何してんだか」
「……我が夫ながら恥ずかしい。国ではなく自らの意思を優先し、国を滅亡まで追い詰めた。もう王ではありません」
「どれくらい離れたんだ?」
「確認できるだけでも半分ほど離れました」
え……そんなに離れるディディミってどんな国なんだ……? それはそれでディディミが怪しくなってきたな。
「それでディディミは二回目で崩壊したのか」
「はい。幸いなことはユーキ様を召喚することができたことですね」
ふーむ……ディディミのことを今聞いてもいいべきか悩むな。
「この国はまだ再起するのに時間がかかります。ユーキ様、このようなことをジェミニの勇者様にお願いするのは心苦しいですが、今一度お願いします。どうかこの国をお救いください」
「あぁ、任せておけ。俺がこの国を全盛期よりも盛り上げるよ」
「ありがとうございます」
俺はこの国に召喚された。
だからどういう国であれば、俺はこの国に味方をしなければいけない。
それが勇者としての役目なのだからな。
「できたか」
とにかく下を柔らかくして寝やすいようにしたが、まあ俺はプロではないからあまりいい出来ではない。
ベッドというよりは寝床というべきか。精一杯あれこれ想像力を爆発させた。
それでも想像以上のものができたから満足できた。
『新しいスキルが解放されました』
『<クラフト>が解放されました』
「まじか……」
えっ、こんなことで解放されるのか? 今までこんなに早くスキルが手に入ったことはない。
他の人から見れば失敗かもしれないと思うような寝床でスキルが解放されてしまった。
……やったことに意味があるのか? いや、もう考えるのはやめよう。スキルを解放されたのだから喜べばいい話だ。
「不細工だができたぞ」
「そんなことはありません。見事なものです」
「ありがとう。ここにアストリッドを寝かせよう」
「はい」
女王のカストルに運ばせるのはあれだから俺がアストリッドをお姫様抱っこして寝床に寝かせた。
一応大きなものにしたから二人なら余裕で寝れる。
「ユーキ様、よろしいですか?」
「どうした?」
「外に行きませんか?」
「あぁ、いいよ」
カストルのお誘いに応じて一緒に外に出る。
お城の中庭に出れば綺麗に咲いていたであろう花が踏み潰されたり燃えたりして見る影もない。
「このディディミはジェミニ様を信仰しているため、その在り方もジェミニ様と同じようにしています」
そんな中庭で歩きながら話し始めるカストル。
俺は黙ってついていきながら話を聞く。
「例えばディディミの王は二人います。カストルの名を継ぐものとポルックスの名を継ぐもの。その双王がそれぞれ別の役割を担っていました」
「二人が吉兆の証ということか」
「はい。ジェミニ様を信仰しているものはそれが当たり前のようにしていました。ですが、それをよく思っていないものたちがいました」
昔からあるものは今生きていれば窮屈なことはよくある話だ。
「ポルックスの名を継ぐポルックス四十七世がその筆頭でした」
「……もしかして、この国で起こったことと関係しているか?」
「はい、お察しの通りです」
そういえば国が崩壊した原因の一つにアストリッドが薄情者がいたと言っていた。まさかそいつか?
「ポルックス、我が夫は闇の者に対抗するために必要なジェミニの勇者様の召喚に反対していました。ジェミニ様から召喚される勇者様を信用できなかったのでしょう。ですが勇者様を召喚しないのは論外だということは各国の反応から分かり切っていることでした。なので私が主体となり、ジェミニ様の召喚魔法に必要なもう一人をポルックスではなく娘のアスタに任せました」
どうしてジェミニの勇者を召喚するのに二人必要なんだ?
本来であれば召喚魔法で主体となる者は一人で十分なはず。それなのに二人必要なのはジェミニが二柱だからか? そういう縛りを入れている可能性は否めないけど。
「当初、ポルックスはディディミを守るのに勇者は必要ないというスタンスで闇の者と戦っていました。ですが、闇の侵攻は想像以上に激しく、一回目は撃退できたものの被害は甚大でした」
その間にも俺の召喚は進められていたと。
「二回目の闇の侵攻が来る前、ポルックスは反ジェミニ様を掲げました。そうすることで同じ者を集め、このディディミから離れました」
「……何してんだか」
「……我が夫ながら恥ずかしい。国ではなく自らの意思を優先し、国を滅亡まで追い詰めた。もう王ではありません」
「どれくらい離れたんだ?」
「確認できるだけでも半分ほど離れました」
え……そんなに離れるディディミってどんな国なんだ……? それはそれでディディミが怪しくなってきたな。
「それでディディミは二回目で崩壊したのか」
「はい。幸いなことはユーキ様を召喚することができたことですね」
ふーむ……ディディミのことを今聞いてもいいべきか悩むな。
「この国はまだ再起するのに時間がかかります。ユーキ様、このようなことをジェミニの勇者様にお願いするのは心苦しいですが、今一度お願いします。どうかこの国をお救いください」
「あぁ、任せておけ。俺がこの国を全盛期よりも盛り上げるよ」
「ありがとうございます」
俺はこの国に召喚された。
だからどういう国であれば、俺はこの国に味方をしなければいけない。
それが勇者としての役目なのだからな。
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