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第一章 第十五節
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森深部にある廃墟にメビウスは現れた。
「ここは違うのか。ここが本部としては最適かと思ったが」
「「「ファイアボール」」」
廃墟の中心で佇むメビウスを複数の魔法が襲う。
「やったか?」
煙がはれる。そこには傷一つないメビウスの姿があった。
「ここにマオという人間はいるか? 俺はその人間を助ける依頼を受けている」
「教えるわけがねえだろ。死ね」
切りかかった人物は一瞬で無惨な姿に変貌する。
「なにが起きた?」
「何かに押しつぶされたように見えたな」
「全員戦闘体勢だ。目標は達成している。街にいる戦士が戻るまでの時間を稼げ」
廃墟に潜んでいた数十名がメビウスを囲うように姿を現す。
「それでいいんだな? さっきのは脅しのつもりだったんだが。依頼で来ている以上手加減はしないぞ」
「抜かせ。俺たちだって世界を変えるために鍛錬を積んできた戦士。死ぬのはお前だ」
「分かった。全力で相手をしよう」
それは戦いですらなかった。メビウスに近づいた人物は例外なく何かに押しつぶされ、血液へと姿をかえる。魔法も一切通用せず、メビウスは無傷だった。
「た、助けてくれ。命だけは。命だけは」
戦意を喪失して命乞いをする者も現れはじめる。だが、メビウスは容赦をしない。一人一人確実に血液へと変えていく。
「慈悲はないのですか?」
涙を流し懇願する戦士に向かってメビウスはゆっくりと近づいていく。
「お前はバカか。ここは戦場だ。勝ちも負けもない。生があるか死があるかそれだけの場所だ。そんな場所に覚悟も持たず踏み入ったお前が悪い。死ぬ覚悟もない奴が戦場をウロウロするな」
そしてまた一人血液へと変わる。
「まだだ。まだ諦めるな。街にいる戦士が帰ってくれば戦況は変わる。信じて待つんだ」
魔法の音を聞きつけて森の付近で警戒を行っていた戦士が集まってくる。その数は二百に迫っていた。
「無駄死にだな。相手の力量を測れないから撤退もしない。お前らを育てた人間は本当に間抜けだ。もっとしっかり教えていれば、全員死なずにすんだかもしれないのに」
数分もしないうちに廃墟は血の海に変わっていた。
「これは一体どういう状況だ? 何故結界の中に知らない人間がいる」
戦士があと数人になったところにバランドが現れた。バランドはメビウスの姿を見た瞬間戦慄した。それはそうだ。目の前の男はイヤリングをつけている。赤色であって赤色とは全く異なる、真紅の輝きを放つイヤリングを。
「撤退だ。ペイに伝えろ。紅が来ている」
「しかし・・・」
「黙って行け。二度目はないぞ」
「「はい」」
戦士達はペイがいる第二拠点に向かって移動を開始する。
「さて、どこまで時間を稼げるか。トライデント」
戦闘体制に入ったバランドは魔法を放つ。だが、メビウスに魔法が届くことはない。続けざまに何十発もの魔法を放つが同じことだった。
「そういうことか。透明の・・・」
バランドが何かを言いかけた瞬間メビウスが一気に距離を詰める。咄嗟に後退したバランドは背後にある何かにぶつかった。体勢をすぐに立て直し上空への跳躍を開始する。だが、再び何かに遮られ飛び立つことができなかった。全方向への移動も試したが、バランドを囲うように何かが遮っていた。
「もう無理か」
バランドは悟ったように目を閉じる。
「命乞いはなしか。流石だな」
先程までの人物と何も変わらず、バランドは押しつぶされて血液へと姿を変えた。
「さて、行くか」
メビウスはゆったりとした足取りで戦士達が逃げて行った森の中に消えていたった。
「ここは違うのか。ここが本部としては最適かと思ったが」
「「「ファイアボール」」」
廃墟の中心で佇むメビウスを複数の魔法が襲う。
「やったか?」
煙がはれる。そこには傷一つないメビウスの姿があった。
「ここにマオという人間はいるか? 俺はその人間を助ける依頼を受けている」
「教えるわけがねえだろ。死ね」
切りかかった人物は一瞬で無惨な姿に変貌する。
「なにが起きた?」
「何かに押しつぶされたように見えたな」
「全員戦闘体勢だ。目標は達成している。街にいる戦士が戻るまでの時間を稼げ」
廃墟に潜んでいた数十名がメビウスを囲うように姿を現す。
「それでいいんだな? さっきのは脅しのつもりだったんだが。依頼で来ている以上手加減はしないぞ」
「抜かせ。俺たちだって世界を変えるために鍛錬を積んできた戦士。死ぬのはお前だ」
「分かった。全力で相手をしよう」
それは戦いですらなかった。メビウスに近づいた人物は例外なく何かに押しつぶされ、血液へと姿をかえる。魔法も一切通用せず、メビウスは無傷だった。
「た、助けてくれ。命だけは。命だけは」
戦意を喪失して命乞いをする者も現れはじめる。だが、メビウスは容赦をしない。一人一人確実に血液へと変えていく。
「慈悲はないのですか?」
涙を流し懇願する戦士に向かってメビウスはゆっくりと近づいていく。
「お前はバカか。ここは戦場だ。勝ちも負けもない。生があるか死があるかそれだけの場所だ。そんな場所に覚悟も持たず踏み入ったお前が悪い。死ぬ覚悟もない奴が戦場をウロウロするな」
そしてまた一人血液へと変わる。
「まだだ。まだ諦めるな。街にいる戦士が帰ってくれば戦況は変わる。信じて待つんだ」
魔法の音を聞きつけて森の付近で警戒を行っていた戦士が集まってくる。その数は二百に迫っていた。
「無駄死にだな。相手の力量を測れないから撤退もしない。お前らを育てた人間は本当に間抜けだ。もっとしっかり教えていれば、全員死なずにすんだかもしれないのに」
数分もしないうちに廃墟は血の海に変わっていた。
「これは一体どういう状況だ? 何故結界の中に知らない人間がいる」
戦士があと数人になったところにバランドが現れた。バランドはメビウスの姿を見た瞬間戦慄した。それはそうだ。目の前の男はイヤリングをつけている。赤色であって赤色とは全く異なる、真紅の輝きを放つイヤリングを。
「撤退だ。ペイに伝えろ。紅が来ている」
「しかし・・・」
「黙って行け。二度目はないぞ」
「「はい」」
戦士達はペイがいる第二拠点に向かって移動を開始する。
「さて、どこまで時間を稼げるか。トライデント」
戦闘体制に入ったバランドは魔法を放つ。だが、メビウスに魔法が届くことはない。続けざまに何十発もの魔法を放つが同じことだった。
「そういうことか。透明の・・・」
バランドが何かを言いかけた瞬間メビウスが一気に距離を詰める。咄嗟に後退したバランドは背後にある何かにぶつかった。体勢をすぐに立て直し上空への跳躍を開始する。だが、再び何かに遮られ飛び立つことができなかった。全方向への移動も試したが、バランドを囲うように何かが遮っていた。
「もう無理か」
バランドは悟ったように目を閉じる。
「命乞いはなしか。流石だな」
先程までの人物と何も変わらず、バランドは押しつぶされて血液へと姿を変えた。
「さて、行くか」
メビウスはゆったりとした足取りで戦士達が逃げて行った森の中に消えていたった。
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