10 / 369
第2章 Frustrating Feeling
7
しおりを挟む
智樹の状態が落ち着いてることを確認してから寝室のドアを閉めた。
リビングに入ると、いつもなら智樹が立っている筈のキッチンで、和人が鼻歌を歌いながら料理をする姿が目に入る。
妖艶さと、何より類い稀なダンステクニックで魅せる智樹とはまた違った、可愛らしくも小悪魔的な魅力が売りの和人。和人目当ての客が多いのも頷ける。
和人さえイエスと言ってくれれば、うちの専属にしたいところだが、それもなかなかどうして首を縦に振ってくれないから困ったもんだ。
「簡単な物しか作れませんでしたけど……」
そう言って和人がテーブルに乗せたのは、おそらく有り合わせの野菜で作ったであろう野菜炒めで、簡単という割には見た目も悪くないし、匂いだって十分食欲をそそる。
「ご飯は冷凍庫に入ってたのチンしましたけど、良かったですか?」
「ああ、構わねぇよ」
つか、智樹の奴、そんなモンまで……
智樹と暮らし始めてもう何年も経つのに、そんなことも知らなかった自分に呆れる。
「食べましょ?」
「お、おお……。頂きます」
俺は茶碗と箸を手に、空腹を訴える腹に野菜炒めを掻き込んだ。
「うまっ……」
「マジで? 良かった」
お世辞でもなんでもなく、和人の作った野菜炒めは本当に美味くて、大き目の皿に山盛りあった筈の野菜炒めは、ものの数分でその大半が俺の胃袋へと消えて行った。
「あ、ねえ……、支配人が智樹と初めて会ったのも、こんな雨の日だったんでしょ?」
キャベツをチマチマ箸で摘みながら、和人が思い出したように窓の外に視線を向けた。
そうだ……、あの日も確か今日と同じ、叩きつけるような雨が降っていたっけ……
リビングに入ると、いつもなら智樹が立っている筈のキッチンで、和人が鼻歌を歌いながら料理をする姿が目に入る。
妖艶さと、何より類い稀なダンステクニックで魅せる智樹とはまた違った、可愛らしくも小悪魔的な魅力が売りの和人。和人目当ての客が多いのも頷ける。
和人さえイエスと言ってくれれば、うちの専属にしたいところだが、それもなかなかどうして首を縦に振ってくれないから困ったもんだ。
「簡単な物しか作れませんでしたけど……」
そう言って和人がテーブルに乗せたのは、おそらく有り合わせの野菜で作ったであろう野菜炒めで、簡単という割には見た目も悪くないし、匂いだって十分食欲をそそる。
「ご飯は冷凍庫に入ってたのチンしましたけど、良かったですか?」
「ああ、構わねぇよ」
つか、智樹の奴、そんなモンまで……
智樹と暮らし始めてもう何年も経つのに、そんなことも知らなかった自分に呆れる。
「食べましょ?」
「お、おお……。頂きます」
俺は茶碗と箸を手に、空腹を訴える腹に野菜炒めを掻き込んだ。
「うまっ……」
「マジで? 良かった」
お世辞でもなんでもなく、和人の作った野菜炒めは本当に美味くて、大き目の皿に山盛りあった筈の野菜炒めは、ものの数分でその大半が俺の胃袋へと消えて行った。
「あ、ねえ……、支配人が智樹と初めて会ったのも、こんな雨の日だったんでしょ?」
キャベツをチマチマ箸で摘みながら、和人が思い出したように窓の外に視線を向けた。
そうだ……、あの日も確か今日と同じ、叩きつけるような雨が降っていたっけ……
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる