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第2章 Frustrating Feeling
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《じゅんいち》が智樹にとってどんな存在なのか……、それを知ったのは、智樹と暮らし始めて随分経ってからの事だった。
その頃になると、少しずつではあったけど、智樹は自分のことを話すようになっていた。誕生日、家族構成、好きな食べ物、俺の買い与える服は本当は好みじゃない、とか……
でもその中で《じゅんいち》のことを智樹の口から語られることは、一度もなかった。
だから俺もあえてその名前には触れないようにしていた。ただ、一緒に暮らすと決めた以上、やはり知っておくべきだと思った俺は、思い切って《じゅんいち》について尋ねることにした。
《じゅんいち》は智樹にっとってどんな存在なのか、と。
すると智樹は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに哀しそうに瞳の奥を揺らした。
その時になって俺は、聞くべきではなかった……と、そう後悔した。
でも口火を切ってしまった以上、引き下がることも出来ず、困ったように眉尻を下げる智樹に、更に問い詰めた。
理由なんてない。仮にやっと開きかけた智樹の心の扉がまた閉じてしまったとしても、それでも俺は知りたかった。
智樹の心の大半を占める《じゅんいち》のことを……
「そう……だよね……。これだけ世話になっといて、何も言わないって、虫が良すぎるよね……」
智樹は暫く考えた後、一瞬視線を上に向け、徐に人差し指を突き出したかと思うと、それを天井に向けた。
「潤一はね、アソコにいるんだ」
それまで聞いたこともないような、穏やかな……でも苦し気な声で、小さく呟いた。
「アソコ……って……?」
それが何を意味するのか、大凡の想像は出来ていた。にも関わらず当然の様に聞き返した俺に、智樹は一瞬フワリと笑って……でも目に涙をいっぱい溜め、「……天国だよ……」と続けた。
そして、「俺が殺した」と……。
やっぱり聞くべきじゃなかった。
自分で望んだこととはいえ、俺はその時酷く後悔したっけ……。
いや、今でも楽屋の鏡の前に飾られた写真を目にする度、あの時智樹が流した涙を思い出しては、自責の念に駆られることもしばしばだけど……
だからかな、こんな事が起こる度、どうしても心がざわついて、胸が不安に押し潰されそうになる。
その頃になると、少しずつではあったけど、智樹は自分のことを話すようになっていた。誕生日、家族構成、好きな食べ物、俺の買い与える服は本当は好みじゃない、とか……
でもその中で《じゅんいち》のことを智樹の口から語られることは、一度もなかった。
だから俺もあえてその名前には触れないようにしていた。ただ、一緒に暮らすと決めた以上、やはり知っておくべきだと思った俺は、思い切って《じゅんいち》について尋ねることにした。
《じゅんいち》は智樹にっとってどんな存在なのか、と。
すると智樹は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに哀しそうに瞳の奥を揺らした。
その時になって俺は、聞くべきではなかった……と、そう後悔した。
でも口火を切ってしまった以上、引き下がることも出来ず、困ったように眉尻を下げる智樹に、更に問い詰めた。
理由なんてない。仮にやっと開きかけた智樹の心の扉がまた閉じてしまったとしても、それでも俺は知りたかった。
智樹の心の大半を占める《じゅんいち》のことを……
「そう……だよね……。これだけ世話になっといて、何も言わないって、虫が良すぎるよね……」
智樹は暫く考えた後、一瞬視線を上に向け、徐に人差し指を突き出したかと思うと、それを天井に向けた。
「潤一はね、アソコにいるんだ」
それまで聞いたこともないような、穏やかな……でも苦し気な声で、小さく呟いた。
「アソコ……って……?」
それが何を意味するのか、大凡の想像は出来ていた。にも関わらず当然の様に聞き返した俺に、智樹は一瞬フワリと笑って……でも目に涙をいっぱい溜め、「……天国だよ……」と続けた。
そして、「俺が殺した」と……。
やっぱり聞くべきじゃなかった。
自分で望んだこととはいえ、俺はその時酷く後悔したっけ……。
いや、今でも楽屋の鏡の前に飾られた写真を目にする度、あの時智樹が流した涙を思い出しては、自責の念に駆られることもしばしばだけど……
だからかな、こんな事が起こる度、どうしても心がざわついて、胸が不安に押し潰されそうになる。
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