160 / 369
第14章 Separation
7
しおりを挟む
劇場を後にした俺は、どこに立ち寄ることも無くバスに飛び乗った。
潤一に少しでも近付きたくて、ひたすら死に場所を求めていた、あの時と同じように……
ただ一つ違うのは、あの時みたいに、死ぬためじゃない……ってこと。俺は生きるために、その為だけにあの場所に帰るんだ。
俺も随分強くなったもんだ。
それも全部翔真のおかげ……なんだよな?
遠ざかって行く翔真との記憶が詰まった街を車窓に見ながら、思わず笑いが込み上げてきて……。気付けば俺はバスの一番後ろの席で、一人笑いを噛み殺していた。
いつしか笑いが涙に変わるまで、ずっと……
どれくらいの時間バスに揺られていたんだろう、気付けば景色はどこ懐かしい、見覚えのある風景へと変わっていた。
帰って来たんだ。
もう二度と帰ることはないと思っていた場所に、俺は帰って来たんだ。
そう言えば、父ちゃんや母ちゃんは元気にしてるだろうか……
病院を飛び出したきり、連絡も一切取らず、今まであまり思い出すこともなかった両親のことが、不意に脳裏を過ぎる。
心配してるかな、それとも怒ってるかな。
当然か、ある日突然息子が姿消したらさ、心配すんの当たり前だよな。
母ちゃん泣くかな……
父ちゃんは……、殴られたりすんのかな……
会いてぇな……、凄く会いたい。
ふとそんなことを思うけど、今の俺に感傷に浸ってる時間はない、先ずは潤一との約束を果たすのが先決だ。
俺は手に下げたボストンバッグを肩に担ぎ直すと、陽が傾き始めた街をとぼとぼと歩き、潤一が指定した場所へと向かった。
途中、俺達を引き裂いたあの事故の現場の横を通った時には、流石に息が詰まるのを感じた。
ハッキリと事故の事を記憶しているわけじゃないけど、行き交うトラックを見れば、薄ぼんやりとだけど、嫌でもその時の記憶が呼び起こされる。
事故にさえ遭わなければ、そしたら俺達は、また違った道を歩いていただろうに……
俺は次々浮かぶ過去の記憶を振り払うように頭をブンと振ると、一度はピタリと止まってしまった足を再び動かし始めた。
潤一に少しでも近付きたくて、ひたすら死に場所を求めていた、あの時と同じように……
ただ一つ違うのは、あの時みたいに、死ぬためじゃない……ってこと。俺は生きるために、その為だけにあの場所に帰るんだ。
俺も随分強くなったもんだ。
それも全部翔真のおかげ……なんだよな?
遠ざかって行く翔真との記憶が詰まった街を車窓に見ながら、思わず笑いが込み上げてきて……。気付けば俺はバスの一番後ろの席で、一人笑いを噛み殺していた。
いつしか笑いが涙に変わるまで、ずっと……
どれくらいの時間バスに揺られていたんだろう、気付けば景色はどこ懐かしい、見覚えのある風景へと変わっていた。
帰って来たんだ。
もう二度と帰ることはないと思っていた場所に、俺は帰って来たんだ。
そう言えば、父ちゃんや母ちゃんは元気にしてるだろうか……
病院を飛び出したきり、連絡も一切取らず、今まであまり思い出すこともなかった両親のことが、不意に脳裏を過ぎる。
心配してるかな、それとも怒ってるかな。
当然か、ある日突然息子が姿消したらさ、心配すんの当たり前だよな。
母ちゃん泣くかな……
父ちゃんは……、殴られたりすんのかな……
会いてぇな……、凄く会いたい。
ふとそんなことを思うけど、今の俺に感傷に浸ってる時間はない、先ずは潤一との約束を果たすのが先決だ。
俺は手に下げたボストンバッグを肩に担ぎ直すと、陽が傾き始めた街をとぼとぼと歩き、潤一が指定した場所へと向かった。
途中、俺達を引き裂いたあの事故の現場の横を通った時には、流石に息が詰まるのを感じた。
ハッキリと事故の事を記憶しているわけじゃないけど、行き交うトラックを見れば、薄ぼんやりとだけど、嫌でもその時の記憶が呼び起こされる。
事故にさえ遭わなければ、そしたら俺達は、また違った道を歩いていただろうに……
俺は次々浮かぶ過去の記憶を振り払うように頭をブンと振ると、一度はピタリと止まってしまった足を再び動かし始めた。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる