235 / 369
第19章 Clue
14
しおりを挟む
また連絡するかもしれないことを創に伝え、カフェを出た俺達はその足で劇場へと向かった。
支配人室に一人籠った俺は、早速ボイスレコーダーのデータをPCと、プライベート用のスマホにコピーした。
そうしておけば、もしどちらかのデータが破損したとしても、データが全て失われることはない。
念には念を入れて、ってやつだ。
「さて、と」
俺は一つ伸びをすると、今度は劇場のホームページをPC上に立ち上げた。
このところ特に忙しいわけでもないのに、ホームページのチェックすらろくに出来ていない。
理由は簡単だ。
寝ている時間以外は、智樹のことばかりが頭の中をチラついて、仕事が全く手につかなくなるからだ。
本音を言えば、仕事なんて全部ほっぽり出して、智樹を連れ戻しに行きたい。
でもそんなわけにもいかないのが実際で、どうにもならないジレンマに陥りそうになるのを、探偵の真似事をすることで、どうにかこうにか食い止めるだけの日が続いてる。
「何やってんだろ、俺は……」
どうしてこうも惚れちまったのか……
諦めの悪さに、自分でもいい加減呆れる。
いや、寧ろ智樹だからなのかもしれない。
生涯最後と思える程惚れた相手が、智樹だったから、だから俺はここまで……
俺は空になった煙草の箱を手の中でクシャッと潰すとデスクの横に置いたゴミ箱に放り込んだ。
その時、支配人室のドアがノックされ、俺の了承を得る前に開いたドアの隙間から、「今ちょっといい?」と雅也が顔だけを出した。
「ああ、別に構わねぇけど? 俺も丁度お前に相談したいことあったから」
ずっと変えてなかったホームページを、これを機に一新しようと思っていたところだったから丁度いい、そう思っていた俺に、雅也は「それがさ」と顔を険しくすると、後ろを振り返った。
「あのさ、殿様探偵、来てるんだけど、入って貰っていい?」
「今……か?」
「うん、まさかこんなに早く来ると思ってなかったんだけど。もし都合悪ければ日を改めて貰うけど、どうする?」
「いや、通してくれ」
仕方ない、近いうちに会いたいと連絡を入れたのは俺の方だ。
ただ、雅也同様、こんなに早く来るとは思わなかったけど……
それに殿様探偵のことだ、手ぶらで来るってことはまず考えられない。
俺は短くなったタバコを灰皿に揉み消した。
支配人室に一人籠った俺は、早速ボイスレコーダーのデータをPCと、プライベート用のスマホにコピーした。
そうしておけば、もしどちらかのデータが破損したとしても、データが全て失われることはない。
念には念を入れて、ってやつだ。
「さて、と」
俺は一つ伸びをすると、今度は劇場のホームページをPC上に立ち上げた。
このところ特に忙しいわけでもないのに、ホームページのチェックすらろくに出来ていない。
理由は簡単だ。
寝ている時間以外は、智樹のことばかりが頭の中をチラついて、仕事が全く手につかなくなるからだ。
本音を言えば、仕事なんて全部ほっぽり出して、智樹を連れ戻しに行きたい。
でもそんなわけにもいかないのが実際で、どうにもならないジレンマに陥りそうになるのを、探偵の真似事をすることで、どうにかこうにか食い止めるだけの日が続いてる。
「何やってんだろ、俺は……」
どうしてこうも惚れちまったのか……
諦めの悪さに、自分でもいい加減呆れる。
いや、寧ろ智樹だからなのかもしれない。
生涯最後と思える程惚れた相手が、智樹だったから、だから俺はここまで……
俺は空になった煙草の箱を手の中でクシャッと潰すとデスクの横に置いたゴミ箱に放り込んだ。
その時、支配人室のドアがノックされ、俺の了承を得る前に開いたドアの隙間から、「今ちょっといい?」と雅也が顔だけを出した。
「ああ、別に構わねぇけど? 俺も丁度お前に相談したいことあったから」
ずっと変えてなかったホームページを、これを機に一新しようと思っていたところだったから丁度いい、そう思っていた俺に、雅也は「それがさ」と顔を険しくすると、後ろを振り返った。
「あのさ、殿様探偵、来てるんだけど、入って貰っていい?」
「今……か?」
「うん、まさかこんなに早く来ると思ってなかったんだけど。もし都合悪ければ日を改めて貰うけど、どうする?」
「いや、通してくれ」
仕方ない、近いうちに会いたいと連絡を入れたのは俺の方だ。
ただ、雅也同様、こんなに早く来るとは思わなかったけど……
それに殿様探偵のことだ、手ぶらで来るってことはまず考えられない。
俺は短くなったタバコを灰皿に揉み消した。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる