4 / 227
第1章 義妹…
4
僕は智子をとても可愛がった。
父様に言われたからじゃない。初めて出来た妹の存在が、とても嬉しかったからだ。
母様はそんな僕を咎めこそしなかったが、智子の存在を疎ましく思っているのは、その態度からも容易に見て取れた。
智子はいつも、僕が学校から帰るのを、玄関脇の階段の一番下に座って待っていた。そして僕が玄関扉を開けると同時に、まるで跳ねるように僕に駆け寄っては、ふわりとした笑顔で僕を見上げた。
「お帰りなさい、兄たま」
僕は智子にそう言って貰えるのが、少しむず痒く感じながらも、嬉しくて堪らなかった。そう、智子が来る前までは、照以外僕を出迎えてくれる人なんていなかったから。
「ただいま、智子」
僕がそう言うと、智子はまるで抱っこをせがむように、僕に向かって両手を伸ばしてくる。でも僕の手は学生鞄やら、脱いだ外套やらでで塞がっていて……
「駄目だよ、智子。まずは鞄を部屋に置いて、着替えを済ませてからじゃないと? それに、《兄たま》じゃなくて《兄さま》だからね?」
十を過ぎようとしているのに、中々に舌足らずな智子の口調をやんわりと咎めると、途端に剥れ顔になる智子。
僕はそんな智子が可愛くて仕方なかった。《兄たま》と呼ばれることだって、口ではそう言っても、本当はそう呼ばれるのが好きだった。
「こら、そんな顔をしていては可愛いお顔が台無しだよ?」
僕は指を咥えて膨れる智子の手を取ると、手を繋いで階段を上った。そして僕の部屋の前まで来ると、しっかりと指を絡めてくる智子の手をそっと解いた。
「着替えを済ませたら本を読んで上げるから、少しだけここで待ってて?」
「少しだけ?」
「うん、すぐだから」
繋いでいた手が離れた途端、再び指を咥え始めた智子に言い付け、僕は自室へと入った。
いくら幼い兄妹とはいえ、僕達は男子と女子であって、無闇に部屋へと入ることは、母様から固く禁じられていた。
その理由こそ分からないが、僕も智子も、母様からの言い付けだけは守っていた。
ずっと……
父様に言われたからじゃない。初めて出来た妹の存在が、とても嬉しかったからだ。
母様はそんな僕を咎めこそしなかったが、智子の存在を疎ましく思っているのは、その態度からも容易に見て取れた。
智子はいつも、僕が学校から帰るのを、玄関脇の階段の一番下に座って待っていた。そして僕が玄関扉を開けると同時に、まるで跳ねるように僕に駆け寄っては、ふわりとした笑顔で僕を見上げた。
「お帰りなさい、兄たま」
僕は智子にそう言って貰えるのが、少しむず痒く感じながらも、嬉しくて堪らなかった。そう、智子が来る前までは、照以外僕を出迎えてくれる人なんていなかったから。
「ただいま、智子」
僕がそう言うと、智子はまるで抱っこをせがむように、僕に向かって両手を伸ばしてくる。でも僕の手は学生鞄やら、脱いだ外套やらでで塞がっていて……
「駄目だよ、智子。まずは鞄を部屋に置いて、着替えを済ませてからじゃないと? それに、《兄たま》じゃなくて《兄さま》だからね?」
十を過ぎようとしているのに、中々に舌足らずな智子の口調をやんわりと咎めると、途端に剥れ顔になる智子。
僕はそんな智子が可愛くて仕方なかった。《兄たま》と呼ばれることだって、口ではそう言っても、本当はそう呼ばれるのが好きだった。
「こら、そんな顔をしていては可愛いお顔が台無しだよ?」
僕は指を咥えて膨れる智子の手を取ると、手を繋いで階段を上った。そして僕の部屋の前まで来ると、しっかりと指を絡めてくる智子の手をそっと解いた。
「着替えを済ませたら本を読んで上げるから、少しだけここで待ってて?」
「少しだけ?」
「うん、すぐだから」
繋いでいた手が離れた途端、再び指を咥え始めた智子に言い付け、僕は自室へと入った。
いくら幼い兄妹とはいえ、僕達は男子と女子であって、無闇に部屋へと入ることは、母様から固く禁じられていた。
その理由こそ分からないが、僕も智子も、母様からの言い付けだけは守っていた。
ずっと……
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。