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第3章 傷跡…
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抱き締めたくなる衝動を堪えようと、僕は目を閉じ唇を固く結んだ。それなのに……
「智子、兄さまが好き。潤一先生のことは好き。でも、それよりも兄さまのことが……」
智子が涙に濡れた頬を僕の胸に埋めた。
ああ、心臓が張り裂けそうだ……
「兄さまは? 兄さまは智子のことがお嫌い?」
嫌いなんて……、そんなことあるものか。
僕の心の大半を埋め尽くしているのは、智子、君なのに……
「嫌いなもんか。だって智子は僕の大事な妹なんだから」
そう、どんなにお互い惹かれ合おうと、僕達は血の繋がった兄妹。
僕達の恋が実を結ぶことは、決してないんだ。
もし仮にあったとしたら、それは最早禁忌でしかない。
「それだけ? 智子が妹だから? だから兄さまは智子が好きなの?」
「そ、そうだよ? それ以外に何があると言うんだい?」
「そうなのね……。智子は妹だから、だから……」
僕の背中に回った手がどんどん力を失くし、終いには糸の切れたマリオネットのように垂れ下がった。
「智子はどうして妹なんかに生まれてしまったのかしら。ううん、兄さまが潤一先生だったら良かったのに。そしたら智子、兄さまのお嫁さんになれたのに…」
僕だって……、僕だって何度そう思ったことか!
智子がもし父様が妾に産ませた子じゃなかったら、僕はこんな思いをしなくてもすんだのにと、何度僕達の出自そ恨んだことか。
兄と妹ではなく、別の生き方を選べたのなら、もしかしたらこんな風に智子の涙を見ることだってなかった筈なのに。
ああ……、神様はなんて意地悪なんだろう……
僕は少しずつ離れて行く智子の頬を指の先でそっと撫でた。
生涯消えることのない、妹を愛してしまった罪の証を……
「智子、兄さまが好き。潤一先生のことは好き。でも、それよりも兄さまのことが……」
智子が涙に濡れた頬を僕の胸に埋めた。
ああ、心臓が張り裂けそうだ……
「兄さまは? 兄さまは智子のことがお嫌い?」
嫌いなんて……、そんなことあるものか。
僕の心の大半を埋め尽くしているのは、智子、君なのに……
「嫌いなもんか。だって智子は僕の大事な妹なんだから」
そう、どんなにお互い惹かれ合おうと、僕達は血の繋がった兄妹。
僕達の恋が実を結ぶことは、決してないんだ。
もし仮にあったとしたら、それは最早禁忌でしかない。
「それだけ? 智子が妹だから? だから兄さまは智子が好きなの?」
「そ、そうだよ? それ以外に何があると言うんだい?」
「そうなのね……。智子は妹だから、だから……」
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「智子はどうして妹なんかに生まれてしまったのかしら。ううん、兄さまが潤一先生だったら良かったのに。そしたら智子、兄さまのお嫁さんになれたのに…」
僕だって……、僕だって何度そう思ったことか!
智子がもし父様が妾に産ませた子じゃなかったら、僕はこんな思いをしなくてもすんだのにと、何度僕達の出自そ恨んだことか。
兄と妹ではなく、別の生き方を選べたのなら、もしかしたらこんな風に智子の涙を見ることだってなかった筈なのに。
ああ……、神様はなんて意地悪なんだろう……
僕は少しずつ離れて行く智子の頬を指の先でそっと撫でた。
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