116 / 227
第10章 傀儡…
4
未だ泣き崩れたままの母様を横目に、僕と潤一は階段を登り始めた。
「あなた達、どうするつもり……?」
背中にかけられた母様の声に、僕も、そして潤一も階段の途中で足を止めた。
「大丈夫、智子はちゃんと助け出すから……」
僕は振り返ることなく答えると、残りの階段を一気に駆け上がった。
潤一と無言で目配せをして、書斎のすぐ隣の部屋の扉を、音が立たないようにそっと開け、僕は足音を忍ばせながら窓辺へと向かった。
普段は客間としてしか使っていない部屋だから、当然窓には鍵がかかっていて、それを外そうとした指をかけると、手にびっしょりとかいた汗で滑ってしまう。
落ち着け……、落ち着くんだ……
何度も自分に言い聞かせ、漸く開いた窓から露台へと出た。
ふと下を見ると、何度も見てきた筈の景色が、真っ暗な闇に包まれていて、そのまま飲み込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
駄目だ……、こんな所で怯んでいては駄目だ……
俄に震え出した両足を鼓舞するかのように壁に背中を着け、父様の書斎の窓までにじり寄った。そして僅かに光の漏れるカーテンの隙間から、書斎の中を覗き見た瞬間、
「ひっ……!」
僕は思わず息を飲み、慌てて口元を両手で覆った。
なんてこと……
まさか父様がこんな……
僕が幼い頃から尊敬して止まなかった父様が……
今は獣に見える……
「あなた達、どうするつもり……?」
背中にかけられた母様の声に、僕も、そして潤一も階段の途中で足を止めた。
「大丈夫、智子はちゃんと助け出すから……」
僕は振り返ることなく答えると、残りの階段を一気に駆け上がった。
潤一と無言で目配せをして、書斎のすぐ隣の部屋の扉を、音が立たないようにそっと開け、僕は足音を忍ばせながら窓辺へと向かった。
普段は客間としてしか使っていない部屋だから、当然窓には鍵がかかっていて、それを外そうとした指をかけると、手にびっしょりとかいた汗で滑ってしまう。
落ち着け……、落ち着くんだ……
何度も自分に言い聞かせ、漸く開いた窓から露台へと出た。
ふと下を見ると、何度も見てきた筈の景色が、真っ暗な闇に包まれていて、そのまま飲み込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
駄目だ……、こんな所で怯んでいては駄目だ……
俄に震え出した両足を鼓舞するかのように壁に背中を着け、父様の書斎の窓までにじり寄った。そして僅かに光の漏れるカーテンの隙間から、書斎の中を覗き見た瞬間、
「ひっ……!」
僕は思わず息を飲み、慌てて口元を両手で覆った。
なんてこと……
まさか父様がこんな……
僕が幼い頃から尊敬して止まなかった父様が……
今は獣に見える……
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。