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第13章 特別編「偏愛…」
32
ただひたすらに智翔の幸せを願った智子と、智子の思いを汲み、願いを受け入れた潤一……
二人が……、そして智翔がとんな思いでいたのか……
そんなことも知らずに僕は……
「僕はなんてことを……、二木、智翔にもしものことがあったら僕は……」
僕の全てを賭けて愛した智子を亡くし、その上一粒種の智翔まで亡くしたら、僕はもう生きていられない。
「なあ二木……、僕はとうしたら……」
二木の手に縋り、堪えきれなくなった涙が床にぽつりと落ちたその時、診察室の戸が静かに開き、処置着を所々血で汚した医師が、疲労に満ちた顔で僕達に向かって頭を下げた。
「さ、智翔は……、娘は……」
「大丈夫ですよ、お父さん」
「本当に……? 本当に智翔は……」
無事……なのか……?
「ええ、ただ……」
「ただ……、なんですか?」
聞き返した二木に、医師が険しい表情で首を横に振る。
その時点でなんとなくの予想は出来た。
だから自分なりの覚悟は出来ていたつもりだった。
それでも、
「残念ですがお腹の子は……」
医師の口から現実を聞かされた瞬間、僕の視界が真っ暗な闇に包まれた。
恐らくはまだ人の形すら成さないであろう小さな小さな命を、僕は自身の感情の昂りと、そして劣情のために殺したんだ。
僕のこの手で……
二人が……、そして智翔がとんな思いでいたのか……
そんなことも知らずに僕は……
「僕はなんてことを……、二木、智翔にもしものことがあったら僕は……」
僕の全てを賭けて愛した智子を亡くし、その上一粒種の智翔まで亡くしたら、僕はもう生きていられない。
「なあ二木……、僕はとうしたら……」
二木の手に縋り、堪えきれなくなった涙が床にぽつりと落ちたその時、診察室の戸が静かに開き、処置着を所々血で汚した医師が、疲労に満ちた顔で僕達に向かって頭を下げた。
「さ、智翔は……、娘は……」
「大丈夫ですよ、お父さん」
「本当に……? 本当に智翔は……」
無事……なのか……?
「ええ、ただ……」
「ただ……、なんですか?」
聞き返した二木に、医師が険しい表情で首を横に振る。
その時点でなんとなくの予想は出来た。
だから自分なりの覚悟は出来ていたつもりだった。
それでも、
「残念ですがお腹の子は……」
医師の口から現実を聞かされた瞬間、僕の視界が真っ暗な闇に包まれた。
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僕のこの手で……
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