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第13章 特別編「偏愛…」
56
「愛している……」と、
たとえ禁忌を冒しても、それでも僕は智翔を愛していると……
娘などではなく、ただ一人の〝女性〟として、僕は智翔を愛していると……
でも僕の声は智翔に届くことはなかった。
いや、厳密に言えば、僕の言葉は声になることはなかった、なのかもしれない。
脇腹に強い衝撃を感じたかと思うと、次第に熱を帯び始め、次第にその熱はまるで灼熱と化し、やがて身を裂くような痛みへと変わった。
「智……翔……、ど……して……」
息が詰まって、呼吸さえままならなかった。
僕は崩れるようにその場に両膝を着いた。
そして、その時になって漸く、自分の手の中にあった筈のペーパーナイフが無いことに気付いた。
まさか一瞬動揺した隙を見て……?
なんと言うことだ……
僕は、時が経つ毎に激しさを増す痛みを堪えながら、智翔を振り返った。
「智……翔……、それを……寄越すんだ……」
「嫌よ……」
「智翔……!」
智翔は、血に濡れたペーパーナイフを両手に握り、朦朧とする意識の中、徐々に霞み行く視界でも分かるくらいに、身体を震わせていた。
「お父さんを殺して私も死ぬの……」
「馬鹿なことを言う……な……、良いから……それをこちらに……」
息が出来ない……
苦しい……
身体が燃えるように熱い……
それでも僕は、残る力全てを振り絞って、智翔に向かって手を伸ばし続けた。
たとえ禁忌を冒しても、それでも僕は智翔を愛していると……
娘などではなく、ただ一人の〝女性〟として、僕は智翔を愛していると……
でも僕の声は智翔に届くことはなかった。
いや、厳密に言えば、僕の言葉は声になることはなかった、なのかもしれない。
脇腹に強い衝撃を感じたかと思うと、次第に熱を帯び始め、次第にその熱はまるで灼熱と化し、やがて身を裂くような痛みへと変わった。
「智……翔……、ど……して……」
息が詰まって、呼吸さえままならなかった。
僕は崩れるようにその場に両膝を着いた。
そして、その時になって漸く、自分の手の中にあった筈のペーパーナイフが無いことに気付いた。
まさか一瞬動揺した隙を見て……?
なんと言うことだ……
僕は、時が経つ毎に激しさを増す痛みを堪えながら、智翔を振り返った。
「智……翔……、それを……寄越すんだ……」
「嫌よ……」
「智翔……!」
智翔は、血に濡れたペーパーナイフを両手に握り、朦朧とする意識の中、徐々に霞み行く視界でも分かるくらいに、身体を震わせていた。
「お父さんを殺して私も死ぬの……」
「馬鹿なことを言う……な……、良いから……それをこちらに……」
息が出来ない……
苦しい……
身体が燃えるように熱い……
それでも僕は、残る力全てを振り絞って、智翔に向かって手を伸ばし続けた。
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