視・束ーGaze to chaseー

誠奈

文字の大きさ
1 / 18

しおりを挟む
 いつの頃からだろう……
 常に誰かに見られているような、そんな感覚を覚えるようになったのは……


 でもそのことを恋人の和人に相談しても、「自意識過剰なんだよ」って一蹴されただけで、結局何の解決にもならなくて……


 ただ、俺自身思い当たる節もなかったわけじゃない。

 俺は小さい頃から、元々色白で、女性的な顔立ちのせいか、女の子に間違われることが多くて、大人になった今でも、可愛いと言われることが少なくはない。

 だから自分でも、いつしか《自分は可愛いんだ》と思うようにもなってはいたし、それが和人の言う自意識過剰って言うのなら、そうなのかもしれない。

 けど、子供の頃ならともかくとして、大人になった今では、俺だってれっきとした男だし、可愛いと言われることに対して、あまり良い感情は持っていなかった。


 もっとも、相手・・が変われば、の話だけど。


 俺は所謂ゲイってやつで、自分の性癖に気付いたのは、多分小学生の頃だったと思う。

 プールの後、同級生の男子達が着替えてるのを見て、下腹部に小さな痛みを感じたのがきっかけだった。

 でもその頃はまだ《ゲイ》なんて言葉も知らなければ、男友達の裸を見て自分のアソコが痛くなるのだって、皆も同じなんだって、疑うことすらしなかった。

 そんな俺に、自分がゲイなんだってことを決定付ける出来事が起きたのは、高一の夏休み……補習授業を終え、帰路につことしていた時の事だった。

 一緒に補習授業を受けた同級生と、アイスでも食って帰ろうか、なんて談笑をしていた俺は、丁度門を出た所で後ろから声をかけられた。

 「もし良かったら一緒に帰らないかい?」と。

 声をかけて来たのは、同じ中学の出身で、進学クラスに通う桜木翔真だった。

 翔真とは特別親しい間柄でもなかったけど、出身中学が同じことだったのと、たまたま帰る方向が同じだったことから、急激に距離を縮めて行った。

 クラスの奴らは、生真面目で成績も優秀な上に、育ちも良く何の欠点もなさそう翔真を、いけ好かない奴だと口を揃えて言ったけど、俺は……俺だけはそうは思わなかった。


 俺と一緒にいる時の翔真は、学校で見せる優等生然とした姿とは、全く違っていたから……


 俺は翔真と過ごす時間の中で、自分でも気づかないうちに、翔真のことが好きになっていた。

 だから、翔真から初めてキスをされた時も、俺は躊躇うこともなく素直に受け入れられたし、身体だってそうだ。
 決して安易な気持ちとか、そんなつもりはなかった。


 全ては、翔真が好きで……、翔真に愛されたい一心から生まれた感情だった。


 そうじゃなかったら、あんな身を割くような痛みに耐えられる筈もないし、それを嬉しいと思えることなん、きっと無かったと思う。

 翔真との関係は、高校を卒業するまで続いた。

 お互い、進学やら就職やら、進路問題で忙しくなったのが、距離を置こうと決めた理由だ。

 その結果、翔真と過ごす時間は次第に減り、逆に増えて行ったのが、二木和人……和人との時間だった。

 勿論、初めは翔真への気持ちも僅かながらに残っていたし、何より和人に対して友情以上の感情は、どうしても持てなかった。


 元々和人とは小学校が同じで、幼馴染でもあったから、余計なのかもしんないけど……


 それがどうして恋愛感情へと発展したのか……は、正直俺にも分からない。
 でも気付いた時にはもう、俺の気持ちは翔真から和人へと、見事なまでのシフトチェンジをしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

神父様に捧げるセレナーデ

石月煤子
BL
「ところで、そろそろ厳重に閉じられたその足を開いてくれるか」 「足を開くのですか?」 「股開かないと始められないだろうが」 「そ、そうですね、その通りです」 「魔物狩りの報酬はお前自身、そうだろう?」 「…………」 ■俺様最強旅人×健気美人♂神父■

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

嫌いなアイツと一緒に○○しないと出れない部屋に閉じ込められたのだが?!

海野(サブ)
BL
騎士の【ライアン】は指名手配されていた男が作り出した魔術にで作り出した○○しないと出れない部屋に自分が嫌っている【シリウス】と一緒に閉じ込められた。

処理中です...