H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
206 / 688
第15章  日常6:焦る僕と浮かれる彼

10

しおりを挟む
 「あ、ねぇ、桜木くんて自転車じゃなかったっけ?」

 駐輪場を通り過ぎる桜木くんを呼び止めるけど、桜木くんは自転車の存在を忘れてしまっているのか、足を止めることもなく……

 「なあ、風呂寄ってかない?」

 通り沿いにある最近出来たばかりのスーパー銭湯を指さした。

 「お、お風呂……?」
 「ほら、さっき大田くん言ってただろ? 男でも興奮するのか……って」
 「う、うん……」


 言ったよ?
 確かに言ったけどさ、でもお風呂って……いきなり過ぎじゃない?


 「だから試しに一緒に風呂でもどうかなと思ってさ……。ダメかな?」
 「ダ、ダメってことはないけど……」

 ニキビくんに触られた所が気持ち悪いし、ダメじゃない。
 寧ろ、桜木くんと一緒なら、苦手なお風呂も好きになれるかもしんれない。

 でもさ、でもさ……

 「か、替えのパンツも持ってないし……」

 それに、HIMEの息子の形から、お尻の穴の大きさまで熟知してると豪語する桜木くんだよ?
 一緒にお風呂なんか入ったら、きっと僕がHIMEだって気付く筈。
 いずれ分かることかもしんないけど、今はまだ絶対ダメ。

 「また今度にしない?」
 「何でよ……、良いじゃん」
 「な、何でもだよ……」
 「ふーん……、じゃあまた今度にすっか……」


 ホッ……、良かった……

 ガッカリしてるわけじゃないんだけど、子供みたく唇を尖らせる桜木くんの隣で、僕はホッと胸を撫で下ろした。
 だってさ、何事も心の準備ってのが必要だしね?

 それに……
 桜木くんが本当に女の子にしか興味がないのか、それとも相原さんみたくどっちもイけるバイなのかを確かめる方法は、他にも沢山ある。

 僕は人通りが少なくなって来たタイミングを見計らって、先を歩く桜木くんのシャツの裾を引っ張った。

 「あの……さ……」
 「なに?」
 「キ、キス……」
 「キスがどうかした?」
 「だ、だから……、その……キスを……」

 言いかけたその時、僕の背後でジャリッて音がして、振り向いた桜木くんの顔が、一瞬にして赤鬼もビックリなくらいに険しくなった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...