H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
213 / 688
第15章  日常6:焦る僕と浮かれる彼

17

しおりを挟む
 「ぼ、僕ん家に来たってカップラーメンくらいしかないし、それに桜木くん家みたく広くないし……」

 別に比べることでもないんだろうけど、大きなお家で暮らすお坊ちゃまを招待するのには、僕のお部屋はあまりにもお粗末過ぎるもん。

 なのに桜木くんは、僕の言葉なんて全く耳に入っていない様子で……

 「決まりな? あ、因みになんだけどさ、今日は俺、醤油ラーメンの気分なんだけど、ある?」
 「ある……けど……」
 「やったね♪ じゃあ急ごうぜ? 俺、腹減り過ぎて死にそうなんだわ」


 え、死にそうって、大変じゃん! ……とは、さすがの僕もなれなくて……


 僕は再び先を歩き出した桜木くんの後を、トボトボと重い足を引き摺るようにして着いて歩いた。

 だって仕方ないじゃん?
 僕のスマホは、桜木くんの手に握られたまま、一向に僕の手元に戻って来る気配がないんだもん。

 「はあ……、参ったな……」

 僕は一人溜息を落とすと、アパートの今朝の様子を、思い出せる限り頭の中に浮かべた。


 うーんと、洗濯物はちゃんと取り込んだし、HIMEグッズが入ったクリアボックスは、しっかり押し入れの中だし……
 多分大丈夫と思うけど、やっぱりなーんか不安なんだよな……


 なんて考えてるうちに、僕達はアパートのすぐ前まで来ていて……

 「あのさ、ちょっとここで待っててくれる?」
 「いいけど、俺、別にちょっとくらい散らかってても気にしないぜ?」


 うん、それは桜木くんの部屋を見てるから分かる。
 まるで台風でも通り過ぎた後みたいな散らかりっぷりだったからね?

 でも僕が気になってるのはそんなことじゃない。


 「い、いいから待ってて!」

 僕は櫻井くんに言い置くと、普段は抜き足差し足忍び足で登る階段を、足音も気にせず一気に駆け上がった。
 鍵を開け、暗い部屋に明かりを灯すと、大急ぎで寝室(……って呼べる程の部屋でもないけど)に駆け込んだ。

 「やっぱり……」

 不安的中!

 僕はカーテンレールに引っ掛けたピンチハンガーから、淡いピンクのレース地のパンティを外し、引きっぱなしのお布団の下に隠した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...